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零相変流器(ZCT)

(ぜろそうへんりゅうき)

零相変流器(ZCT)とは、複数の電線をまとめて通し、回路から大地へ漏れた電流を検出するための変流器です。ZCTはZero-phase Current Transformerの略で、漏電リレー、絶縁監視装置、漏電警報器などと組み合わせて使用します。

正常な回路では、負荷へ流れる電流と戻ってくる電流の合計はほぼゼロです。絶縁劣化や配線損傷によって一部の電流が大地へ流れると、ZCTを通る電流の合計に差が生じます。ZCTはこの差分となる零相電流を検出します。

ハカルプラスでは、ZCTを用いた漏電・絶縁監視について、対象回路、電流範囲、配線方式、警報条件を確認し、表示、警報、通信、履歴保存まで含む構成を検討します。

ZCTの検出原理

単相2線式回路では、往路と復路の電線を同じZCTへ通します。正常時は二つの電流による磁束が打ち消し合い、ZCTの出力はほぼゼロになります。

漏電が発生すると、負荷へ流れた電流の一部が接地線や大地を通って戻るため、往路と復路の電流が一致しません。この差分による磁束をZCTが検出し、二次側へ信号を出力します。

三相3線式では三相すべての電線を、三相4線式では三相と中性線をまとめてZCTへ通します。

一般的なCTとの違い

一般的なCTは、一つの相に流れる負荷電流を計測します。一方、ZCTは複数の電線をまとめて通し、各電流の合計となる零相電流を検出します。

  • CT:負荷電流、電力、設備運転状態の計測
  • ZCT:漏電電流、地絡電流、絶縁劣化の監視

外形が似ていても、出力特性や目的が異なるため、通常のCTをZCTの代わりに使用することはできません。

ZCTへ通す電線

ZCTには、その回路の電流が流れるすべての活線をまとめて通します。接地線は通常、ZCTの中へ通しません。

例えば単相3線式では、二本の電圧線と中性線をまとめて通します。一部の線だけを通すと、正常な負荷電流を漏電として検出してしまいます。

複数回路の電線を一つのZCTへ通すと、漏電が発生した回路を特定しにくくなります。監視単位に合わせて設置場所を決めます。

主な用途

  • 受配電設備や分岐回路の漏電監視
  • モーター、ヒーター、ポンプなどの絶縁劣化監視
  • 設備停止前の微小な漏電傾向の把握
  • 漏電発生時の警報・遮断
  • 遠隔監視システムへの漏電状態送信

漏電遮断器のように直ちに電源を遮断する用途だけでなく、警報を出して保全担当者へ通知する予防保全にも利用されます。

ZCTの選定

ZCTを選定する際は、貫通させるケーブル本数と外径、検出したい漏電電流、接続する監視装置の入力仕様を確認します。

既設設備へ追加する場合は、電線を取り外さずに設置できる分割形ZCTを使用できることがあります。ただし、分割面の密着不良や異物の挟み込みは計測誤差の原因になります。

大電流回路では、負荷電流そのものが大きくても打ち消し合うため、理論上ZCTの出力には現れません。ただし、導体位置の偏りや外部磁界が微小電流の検出へ影響する場合があります。

感度と警報設定

警報設定を低くすると小さな漏電を早期に検出できますが、インバーターやノイズフィルタ、長いケーブルから流れる対地漏れ電流によって警報が発生しやすくなります。

一時的な変動で警報を出さないよう、しきい値だけでなく判定時間やヒステリシスを設定します。正常時の漏電電流を測定し、設備特性に合わせて警報値を決めることが重要です。

インバーター設備での注意点

インバーターやサーボアンプでは、高周波成分を含む漏れ電流が発生することがあります。モーターケーブルが長い場合やノイズフィルタを使用する場合は、正常運転時でも対地漏れ電流が増えることがあります。

ZCTと監視装置が対象周波数に対応していないと、表示値や警報動作が不安定になる場合があります。インバーター対応の監視機器を選定し、設置場所と配線条件を確認します。

誤検出を防ぐ取付方法

ZCTの近くに大電流配線、電磁接触器、変圧器などがあると、外部磁界の影響を受ける場合があります。必要な距離を確保し、電線をZCTの中心付近へまとめて通します。

ZCTを通過した電線の一部が別経路で戻る構成や、接地線を誤って通した構成では正しく測定できません。回路図と現地配線を照合します。

異常値が表示された場合の確認

漏電値が高い場合は、負荷設備を分岐ごとに停止し、値の変化を確認します。モーター、ヒーター、配線、端子箱などの絶縁状態を点検します。

設備運転時だけ増加する場合は、インバーター、フィルタ、ケーブルの対地容量なども確認します。常に一定値が表示される場合は、ZCTへの電線の通し方、接地線、配線、外部磁界の影響を点検します。

保守と定期確認

ZCT本体だけでなく、監視装置、警報出力、通信、遮断回路が正常に動作することを定期的に確認します。試験機能や模擬漏電電流を利用し、検出から警報までの一連の動作を点検します。

分割形ZCTでは、固定部の緩み、分割面の汚れ、ケーブルとの干渉を確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、低圧設備を中心に、回路方式、ケーブル寸法、正常時の漏れ電流、警報条件に合わせてZCTと監視機器を選定します。

現在値表示、上限警報、接点出力、通信、履歴保存を組み合わせ、漏電の早期発見や絶縁劣化の傾向監視に利用できる構成を検討します。

よくある質問

Q. ZCTと通常のCTは同じものですか?

A. 同じではありません。通常のCTは負荷電流を測定し、ZCTは複数線の電流差から漏電電流を検出します。

Q. 接地線もZCTへ通しますか?

A. 通常は通しません。接地線を通すと漏電電流が打ち消され、正しく検出できない場合があります。

Q. 分割形ZCTを既設設備へ取り付けられますか?

A. ケーブル寸法、設置スペース、監視装置との適合を確認し、取り付けられる場合があります。

Q. インバーター設備では漏電値が高くなりますか?

A. 高周波漏れ電流やケーブルの対地容量によって、正常時でも値が増える場合があります。

Q. 漏電値を遠隔監視できますか?

A. ZCTと通信対応の監視機器を組み合わせ、現在値、警報、履歴を遠隔確認する構成を検討できます。

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