Technology
電流
(でんりゅう)
電流とは、導体や電気回路を流れる電荷の量を表す物理量です。単位にはA(アンペア)を使用します。電圧が加わった回路に負荷が接続されると、回路の抵抗やインピーダンスに応じた電流が流れます。
電流が大きすぎると、配線や電気機器の発熱、部品の破損、火災などにつながる可能性があります。一方、通常より電流が小さい場合は、設備の空運転、断線、原料切れなどが考えられます。そのため、電流計測は設備の状態監視、電力演算、異常検出に広く利用されています。
ハカルプラスでは、CTなどを用いた交流電流の計測から、表示、警報、通信、データ保存、電力・電力量の演算まで、用途に合わせた電流計測機器・システムを検討します。
電圧・電流・抵抗の関係
直流回路や抵抗負荷では、電圧、電流、抵抗の関係をオームの法則で表せます。
I=V÷R
各記号と単位は次のとおりです。
- I:電流[A(アンペア)]
- V:電圧[V(ボルト)]
- R:抵抗[Ω(オーム)]
例えば、100Vの電圧を10Ωの抵抗へ加えた場合、流れる電流は10Aです。同じ電圧であれば、抵抗が小さいほど大きな電流が流れます。
ただし、モーター、変圧器、コンデンサなどを含む交流回路では、抵抗だけでなくコイルや静電容量の影響を含むインピーダンスによって電流が決まります。
1Aが表す電荷の量
電流は、一定時間に通過した電荷量で表せます。1Aは、1秒間に1C(クーロン)の電荷が通過する電流です。
1A=1C÷1秒
電子1個が持つ電荷の大きさは約1.602×10−19Cです。このため、1Cは約6.24×1018個分の電子の電荷に相当します。
多数の電子が導体内を移動することで、回路に電流が流れます。ただし、導体中の個々の電子が非常に速い速度で電源から負荷まで移動しているわけではありません。
電流の向きと電子の移動
電流の向きは、正の電荷が電位の高い側から低い側へ移動する方向として定義されています。一方、金属導体の中で実際に移動する電子は負の電荷を持つため、電流とは反対方向へ移動します。
これは、電子の存在が詳しく分かる以前に電流の向きが定義されたためです。回路図や電気設計では、現在も正電荷の移動方向を電流方向として扱います。
電子の移動速度
金属導体内の電子は、電界を受けると平均的に一方向へ少しずつ移動します。この平均速度をドリフト速度と呼びます。
例えば、断面積1mm2の銅線へ1Aを流す場合、自由電子の密度を約8.5×1028個/m3とすると、ドリフト速度は概算で約0.07mm/秒となります。
電子自体の平均移動は非常に遅いものの、スイッチを入れると離れた場所の機器がほぼ直ちに動作します。これは、電圧を加えた際の電界の変化が導体に沿って非常に速く伝わり、回路内の電子が各位置でほぼ同時に動き始めるためです。
直流電流と交流電流
直流電流は、基本的に一定方向へ流れる電流です。電池、直流電源、制御回路、センサなどで使用されます。
交流電流は、一定の周期で向きと大きさが変化する電流です。家庭や工場の商用電源では、50Hzまたは60Hzの交流が使用されています。
交流電流は通常、直流と同程度の発熱効果を持つ実効値で表します。高調波を含む波形では、平均値方式の計測器と真の実効値方式の計測器で表示が異なる場合があります。
電流を計測する方法
小さな直流電流では、電流計やシャント抵抗を回路へ直列に接続して測定できます。一方、工場設備などの大きな交流電流では、CT(変流器)を使用する方法が一般的です。
CTは、一次側の電線に流れる大きな電流を、計測器で扱える小さな電流や電圧信号へ変換します。既設配線を切断せずに取り付けられる分割型CTもあります。
測定対象の最大電流に対してCTの定格が小さすぎると飽和し、大きすぎると低電流域の分解能が不足する場合があります。通常の運転電流と最大電流を確認して選定します。
設備監視への活用
モーターやポンプ、コンベアなどでは、機械負荷が増えると電流が増加する傾向があります。正常時の電流範囲を把握し、上限・下限を監視することで、次のような異常を検出できます。
- 詰まり、噛み込み、過積載による過電流
- 軸受や機械部品の摩耗による負荷増加
- 空運転、材料切れ、ベルト切れによる電流低下
- 三相モーターの欠相や相間不平衡
- 設備停止中の不要な待機電流
始動時には通常運転より大きな電流が流れるため、起動直後を異常判定から除外するマスク時間を設けます。一時的な変動で警報を出さないよう、判定時間やヒステリシスも設定します。
電力計測との関係
電流値だけでも設備負荷の目安を確認できますが、正確な消費電力を求めるには、電圧と力率を含めた計測が必要です。
交流回路では、同じ電流でも力率が異なれば有効電力は変わります。そのため、省エネルギーや電気料金の分析では、電流だけでなく電力・電力量を計測します。
電流計測時の注意点
CTを使用する場合は、定格電流、取付方向、対象相、配線方式を正しく設定します。CTの向きや相を間違えると、電力や力率の演算結果が不自然になることがあります。
一般的な二次側電流出力型CTでは、一次電流が流れている状態で二次側を開放すると、高い電圧が発生する危険があります。取扱方法はCTの仕様に従う必要があります。
インバーター出力側では、周波数や波形が商用電源と異なります。測定する場合は、対象周波数と波形に対応した計測器を選定します。
異常値が表示された場合の確認
電流が表示されない場合は、CTの取付位置、配線、端子の緩み、計測器の電源、CT比設定を確認します。一相だけ値が異なる場合は、負荷の偏り、欠相、接触不良などが考えられます。
通常より電流が高い場合は、設備の詰まりや過負荷だけでなく、電圧低下によるモーター電流の増加も確認します。測定値が不安定な場合は、ノイズ、配線経路、計測周期、CTの固定状態を点検します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、単相・三相の低圧設備を中心に、用途と電流範囲に適したCTや計測回路を選定します。
現在電流の表示、上限・下限警報、三相電流の比較、運転状態の判定、通信、データ保存などを、製品や設備の仕様に合わせて構成します。
電圧、力率、電力、電力量と組み合わせた電力監視や、既設設備への電流計測機能の追加についても、配線条件や設置スペースを確認して検討します。
よくある質問
Q. 電流は抵抗が大きいほど多く流れますか?
A. 同じ電圧であれば、抵抗が大きいほど電流は小さくなります。電流は電圧に比例し、抵抗に反比例します。
Q. 電子の移動が遅いのに、なぜ機器はすぐに動作しますか?
A. 電界の変化が回路に沿って速く伝わり、導体内の電子が各位置でほぼ同時に動き始めるためです。
Q. CTを電線へ取り付けるだけで電流を測定できますか?
A. CTの定格、取付方向、配線、計測器側のCT比設定を正しく合わせる必要があります。
Q. 電流値から消費電力を求められますか?
A.概算できる場合はありますが、正確な電力を求めるには電圧と力率も計測する必要があります。
Q. 既設設備の電流を遠隔監視できますか?
A. CTと通信対応計測器を追加し、現在値、警報、履歴を遠隔で確認する構成を検討できます。