Technology
直流計測(交流CT)
(ちょくりゅうけいそく(こうりゅうCT))
直流計測(交流CT)とは、一般に交流電流の計測に用いられるCT(変流器)を活用し、太陽光発電設備などの直流電流を計測する技術です。ハカルプラスでは、交流用CTと専用の信号処理回路を組み合わせ、直流電流を計測する技術を保有しています。
一般的な直流電流センサと比べ、広く普及している交流用CTを利用できるため、計測システムのコストを抑えながら、実績のある部品によって信頼性の高い構成を実現しやすいことが特長です。
ハカルプラスの直流計測は25Aから200Aまで対応し、太陽光発電設備におけるストリング単位の電流監視や、複数のストリングをまとめた集電箱の電流監視に利用されています。
交流CTで直流を計測する仕組み
通常の交流CTは、一次側を流れる電流によって生じる磁束の変化を利用し、二次側へ電流を出力します。一定方向へ流れ続ける直流は磁束が変化しないため、交流CTだけでは継続して計測できません。
そこで、測定対象となる直流電流によって生じる磁気の状態を変化させ、交流CTが検出できる信号として取り出します。その信号を専用回路で演算・補正することで、元の直流電流値を求めます。
交流用CTを利用する場合でも、CTを取り付けるだけで直流を測定できるわけではありません。磁気特性、励磁方法、信号処理、温度補正などを含む専用の計測回路が必要です。
太陽光発電設備における用途
太陽光発電設備では、複数の太陽電池モジュールを直列に接続したストリングから直流電流が出力されます。各ストリングの電流を監視することで、発電量の低下、断線、接続不良、パネルの異常などを把握しやすくなります。
複数のストリングは接続箱や集電箱でまとめられ、最終的にパワーコンディショナへ送られます。監視する位置と電流容量に応じて、計測レンジを選定します。
- 25A程度:ストリングごとの電流計測
- 100A以上:接続箱・集電箱における合計電流の計測
- 最大200A:比較的大きな直流回路の監視
正常時の電流値だけでなく、同一条件にあるストリング同士を比較することで、特定回路の発電低下を検出する方法もあります。
交流CTを利用するメリット
交流用CTは広く普及しており、製品の選択肢や使用実績が豊富です。そのため、専用の直流電流センサを使用する場合と比べ、計測部品のコストを抑えられる場合があります。
また、CTは測定対象の主回路と計測回路を電気的に絶縁できるため、大電流回路を監視装置へ直接接続する必要がありません。主回路側の電位の影響を受けにくく、安全性と耐ノイズ性を考慮した計測構成を作りやすくなります。
ただし、必要な精度、使用温度、導体径、計測範囲などによって適切なCTと回路構成は異なります。実際の設備条件を確認して選定します。
クランプ式CTによる後付け計測
クランプ式CTは、既設の電線を取り外さず、CTを開いて導体を挟み込むことで取り付けられます。接続箱や集電箱へ監視装置を追加する場合に、主回路の配線変更を抑えられることが特長です。
既設設備へ後付けする際は、導体径、CTの取付スペース、電流方向、周囲温度、盤内の配線状態を確認します。CTが完全に閉じていない場合や、異なる極性で取り付けた場合は、正しく計測できないことがあります。
後付け工事では、CTの設置だけでなく、変換器、監視装置、通信配線、補助電源などの設置場所も検討します。
計測精度に影響する要因
直流計測の精度には、CTの磁気特性、計測電流、周囲温度、導体の位置、外部磁界などが影響します。CTの中心から導体が大きくずれる場合や、近くに大電流線がある場合は、測定値に影響が生じることがあります。
計測レンジに対して電流が小さすぎると、相対的な測定誤差が大きくなります。通常時と最大発電時の電流を確認し、適切な定格を選定することが重要です。
設置後は、基準となる計測器との比較や、実際の発電状態における各回路の値を確認し、必要に応じて補正します。
異常判定と監視方法
太陽光発電の電流は、日射量、天候、時刻、パネル温度などによって変化します。そのため、単純に一定値を下回っただけで異常と判断すると、曇天時や朝夕に不要な警報が発生します。
異常判定では、近接するストリングとの比較、日射計の値、パワーコンディショナの運転状態、一定時間の継続条件などを組み合わせます。
通信異常やCTの断線が発生した場合は、電流が低下した状態と区別して表示する必要があります。計測値、機器状態、最終受信時刻を監視することで、発電異常と計測系統の異常を切り分けやすくなります。
太陽光監視装置との組合せ
直流計測器と太陽光監視装置を組み合わせることで、ストリング電流や集電箱電流を収集し、設備全体の発電状態を監視できます。
計測値の表示だけでなく、各回路の比較、異常判定、履歴保存、警報出力、遠隔監視などを含むシステム構成を検討できます。大規模設備では、多数の接続箱・集電箱からデータを収集するため、通信方式、監視周期、端末台数も重要になります。
保守と更新
定期点検では、CTの固定状態、クランプ部の閉鎖、配線端子の緩み、変換器の電源、通信状態を確認します。各ストリングの値に不自然な差がある場合は、発電設備だけでなくCTの取付方向や計測回路も確認します。
既設の太陽光発電設備へ後付けする場合は、現在の接続箱・集電箱の構造、回路数、最大電流、監視装置との通信仕様を調査します。既設監視装置がある場合は、利用可能な入力信号や通信方式も確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、交流用CTを利用して25Aから200Aまでの直流電流を計測する技術を保有し、太陽光発電設備向けの直流計測設備を提供しています。
25Aクラスのストリング計測から、100A以上の集電箱計測まで、回路構成と電流容量に合わせてCT、信号変換回路、監視装置を選定します。クランプ式CTを使用し、既設の接続箱や集電箱へ後付けする構成も検討できます。
直流計測だけでなく、太陽光監視装置、通信機器、データ収集、異常判定、遠隔監視を組み合わせ、監視設備全体を構成することも可能です。
本技術は最大120MWの太陽光発電設備で採用された実績があり、規模の異なる100か所以上の太陽光発電設備へ導入されています。
よくある質問
Q. 一般的な交流CTを取り付けるだけで直流を計測できますか?
A. 交流CTだけでは一定の直流を継続して計測できません。直流による磁気の状態を検出可能な信号へ変換し、演算・補正する専用回路が必要です。
Q. どの程度の直流電流を計測できますか?
A. ハカルプラスでは25Aから200Aまでの計測に対応しています。ストリングや集電箱の最大電流に合わせて計測レンジを選定します。
Q. 稼働中の太陽光発電設備へ後付けできますか?
A. クランプ式CTを使用することで、主回路配線の変更を抑えて後付けできる場合があります。盤内スペース、導体径、通信・電源条件の確認が必要です。
Q. 電流が低い場合はストリングの異常と判断できますか?
A. 天候や時刻によって電流は変化するため、電流値だけでは判断できません。他のストリング、日射量、継続時間などを組み合わせて判定します。
Q. 直流計測から遠隔監視までまとめて構築できますか?
A. CT、信号変換、監視装置、通信機器、データ保存、異常表示を組み合わせ、設備条件に応じた監視システムを検討します。