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高調波

(こうちょうは)

高調波とは、電圧や電流の波形に含まれる、基本波の整数倍の周波数を持つ成分です。商用電源の基本波が50Hzの場合、第3高調波は150Hz、第5高調波は250Hzとなります。60Hzの場合は、それぞれ180Hz、300Hzです。

理想的な交流電圧・電流は滑らかな正弦波ですが、インバーター、スイッチング電源、整流回路などの非線形負荷が接続されると、電流が波形の一部分に集中して流れ、正弦波からひずみます。このひずみ波を基本波と複数の高調波へ分解して表す方法がフーリエ解析です。

一般に電力設備で問題となる高調波は、負荷機器から電源側へ流出する「高調波電流」です。高調波電流が配線や変圧器のインピーダンスを通過すると高調波電圧が生じ、同じ系統に接続された機器へ影響する場合があります。

ハカルプラスでは、高調波を含む電圧・電流の計測、表示、通信、データ保存に加え、電力、力率、デマンド電力などを組み合わせた電力監視を、設備構成に合わせて検討します。

高調波が発生する仕組み

抵抗器やヒーターのように、電圧と電流がほぼ比例する線形負荷は、電源電圧が正弦波であれば高調波電流をほとんど発生させません。一方、半導体を用いた機器は、電圧の大きさやスイッチングのタイミングによって電流の流れ方が変わるため、非線形負荷となります。

代表的な発生源には、次のような機器があります。

  • インバーターやサーボアンプ
  • パソコンやサーバーのスイッチング電源
  • LED照明や電子安定器
  • 無停電電源装置
  • 整流器、充電器、溶接機

これらの機器では、交流を直流へ変換する整流回路や高速スイッチング回路によって、電流波形がパルス状になることがあります。この波形に第3、第5、第7などの高調波成分が含まれます。

基本波と高調波次数

基本波とは、電源本来の周波数成分です。日本の商用電源では50Hzまたは60Hzが基本波となります。高調波の周波数は、次の関係で求められます。

高調波周波数=基本波周波数×高調波次数

例えば、基本波が60Hzの場合、第5高調波は60Hz×5=300Hzです。次数が高くなるほど周波数も高くなります。

一般的な三相の整流負荷では第5、第7、第11、第13高調波などが現れやすく、単相負荷が多い設備では第3高調波が問題になる場合があります。ただし、重点的に確認すべき次数は負荷の方式や回路構成によって異なります。

第3高調波の特徴

三相4線式回路では、基本波の各相電流は位相がずれているため中性線で打ち消し合います。一方、第3高調波とその整数倍の一部は各相で同相となり、中性線へ加算される性質があります。

単相の電子機器やLED照明が多数接続された設備では、中性線電流が相電流より大きくなる場合があります。中性線の発熱、端子の温度上昇、電圧変動などが見られる場合は、第3高調波を含む電流波形の確認が有効です。

第5高調波の特徴

三相モーターに対して第5高調波は、基本波とは反対方向に回転する磁界を生じさせる成分となる場合があります。そのため、モーターの発熱、振動、騒音、トルク低下などに影響する可能性があります。

インバーターや三相整流器を多く使用する工場では、第5高調波が比較的大きくなることがあります。ただし、第5高調波だけで設備全体を評価せず、ほかの次数や総合高調波ひずみ率も確認します。

高調波による主な影響

  • 変圧器、配線、リアクトルなどの発熱増加
  • 進相コンデンサや直列リアクトルの過熱・損傷
  • 中性線電流の増加
  • モーターの振動、騒音、損失増加
  • 保護装置や計測機器の誤動作
  • 通信機器や制御機器へのノイズ影響
  • 電圧波形のひずみによる他設備への影響

高調波による異常は、設備を導入した直後だけでなく、インバーターや電子機器を増設した後に顕在化することがあります。設備構成の変更前後で計測値を比較すると、原因を絞り込みやすくなります。

総合高調波ひずみ率

波形全体のひずみを評価する指標として、総合高調波ひずみ率(THD)が使用されます。電流についてはTHD-I、電圧についてはTHD-Vと表記されることがあります。

THDは、基本波に対して高調波成分がどの程度含まれているかを割合で表したものです。ただし、負荷電流が小さいときは基本波も小さくなるため、THDの割合だけが大きく見える場合があります。

高調波を評価するときは、THDだけでなく、各次数の実効値、基本波電流、設備の運転状態、計測時刻を併せて確認します。

高調波の測定方法

高調波を測定するには、対象周波数と次数に対応した電力計測器や電源品質測定器を使用します。CTで電流を検出し、電圧波形と電流波形を一定周期でサンプリングして、各次数へ分解します。

設備全体への影響を確認する場合は受電点や変圧器二次側、発生源を調べる場合はインバーター盤や負荷回路ごとに測定します。運転台数や負荷率によって高調波量が変わるため、通常運転時、最大負荷時、設備の起動・停止時などを比較します。

計測時の注意点

測定器の周波数帯域や演算方式が適していないと、高次の成分を正しく測定できない場合があります。CTについても、商用周波数の電流計測だけでなく、確認したい高調波周波数に対応しているかを確認します。

インバーターの出力側は、電圧波形が高速にスイッチングされた特殊な波形です。一般的な電力計測器では正しく測定できない場合があるため、測定場所と目的に適した機器を選定します。

電圧・電流の相対応やCTの取付方向が誤っていると、電力や力率の演算結果も不自然になります。高調波だけでなく、基本的な配線と設定を最初に確認することが重要です。

高調波対策

高調波対策は、発生源、設備容量、対象次数、既設設備への影響を調査してから選定します。代表的な方法には次のものがあります。

  • 交流リアクトルや直流リアクトルの追加
  • 高調波抑制機能を持つインバーターや電源装置の採用
  • 多相化・多パルス化された整流方式の採用
  • パッシブフィルターによる特定次数の低減
  • アクティブフィルターによる高調波電流の補償
  • 負荷や変圧器系統の分離・見直し

特定次数だけを対象とするフィルターは、電源系統の条件によって共振を生じる可能性があります。進相コンデンサやリアクトルを含む設備では、系統全体を確認したうえで対策を検討します。

異常が疑われる場合の確認

変圧器や配線の温度が高い場合は、通常の負荷電流に加えて高調波電流を確認します。進相コンデンサやリアクトルの異音・過熱がある場合は、特定次数の拡大や共振の可能性も考えられます。

計測値が以前より増えた場合は、新たに追加されたインバーター、LED照明、情報機器などを確認します。設備を順番に停止して変化を見る方法もありますが、操業や安全に影響しない手順で実施する必要があります。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、電圧、電流、高調波、力率、電力、電力量などを計測できる機器とシステムを、受配電設備や監視目的に合わせて検討します。

計測点、CT、電圧入力、通信方式、表示項目、保存周期を整理し、高調波の現在値や履歴を確認できる構成に対応します。既設設備への追加では、盤内スペース、配線、停電条件、既設計測器との取り合いを確認します。

高調波対策そのものについては、計測結果と設備構成をもとに発生源や傾向を整理し、必要に応じて設備メーカーや専門事業者と対策方法を検討します。

よくある質問

Q. 抵抗負荷では高調波は発生しませんか?

A. 電源電圧が正弦波で、負荷が線形であれば、高調波電流はほとんど発生しません。ただし、電源電圧自体がひずんでいれば、抵抗負荷にも高調波電流が流れます。

Q. 第3高調波と第5高調波だけ確認すればよいですか?

A. 重要な次数ですが、発生する次数は負荷方式によって異なります。各次数とTHDを確認して評価します。

Q. THDが高ければ必ず設備に問題がありますか?

A. 負荷電流が小さいとTHDだけが大きく見える場合があります。実際の高調波電流値や設備容量も併せて判断します。

Q. 高調波は電気料金を増加させますか?

A. 直接の料金項目ではない場合でも、配線や変圧器の損失増加、力率や設備容量への影響につながる可能性があります。

Q. 既設設備の高調波を継続監視できますか?

A. 高調波計測に対応した機器とCTを設置し、現在値、次数別データ、THD、履歴を保存する構成を検討できます。

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