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デマンド電力

(デマンドでんりょく)

デマンド電力とは、工場、オフィスビル、商業施設などの電力需要家が、一定時間内に平均して使用した電力を示す値です。日本の高圧受電設備では、一般に30分を1つの区切りである「デマンド時限」とし、その30分間に使用した電力量から平均電力を算出します。単位にはkW(キロワット)が用いられます。

30分ごとに算出されるデマンド電力のうち、一定期間内で最も大きい値を最大需要電力と呼びます。最大需要電力は、契約区分や電力会社との契約内容によって、契約電力や電気料金の基本料金に影響することがあります。そのため、電力量の合計だけでなく、特定の時間帯に電力使用が集中していないかを管理することが重要です。

デマンド電力の仕組み

デマンド電力は、デマンド時限内に使用した電力量を、その時間で平均して求めます。30分間に15kWhの電力量を使用した場合、その時間帯のデマンド電力は30kWです。

一瞬だけ大きな電力を使用しても、その状態が短時間で終わり、その後の使用量が小さければ、30分間の平均値への影響は限定されます。一方、空調機、生産設備、コンプレッサ、電気炉などが同時に稼働し、大きな電力使用が続くと、デマンド電力が上昇します。

デマンド時限は30分ごとに区切られ、一般に時限が切り替わると、その時限における電力量の積算を新たに開始します。デマンド監視では、現在までの使用電力量だけでなく、時限終了までの残り時間や電力の増加傾向から、30分終了時点の予測値を算出します。

デマンド電力と瞬時電力・電力量の違い

瞬時電力との違い

瞬時電力は、ある時点で設備が使用している電力を示します。大型設備が起動すると短時間だけ大きくなることがありますが、その値がそのままデマンド電力になるわけではありません。デマンド電力は、30分間の電力使用を平均した値です。

電力量との違い

電力量は、一定期間に使用した電気の総量で、kWh(キロワット時)で表します。デマンド電力は電気を使用するペースに相当し、kWで表します。月間の電力量が同じでも、短時間に使用が集中する事業所と、時間を分散して使用する事業所では、最大需要電力が異なる場合があります。

デマンド電力が上昇しやすい場面

デマンド電力は、複数の高負荷設備が同時に運転した場合に上昇しやすくなります。代表的な場面には、次のようなものがあります。

  • 夏季や冬季の始業時に空調設備を一斉に起動した場合
  • 生産設備と空調設備の高負荷運転が重なった場合
  • コンプレッサ、ポンプ、ヒーターなどが同時に稼働した場合
  • 休止していた複数の設備を同じ時刻に再起動した場合
  • 通常とは異なる臨時設備や大型機器を使用した場合

特に始業直後は、空調設備、照明、生産設備が短時間に相次いで起動するため、デマンド電力が上昇しやすい時間帯です。設備ごとの起動時刻をずらすだけでも、電力使用の集中を緩和できる場合があります。

デマンド電力の計測と監視

デマンド電力の監視では、取引用電力量計や電力計測機器から、電力量パルスまたは通信データを取得します。デマンド監視装置は、取得した情報をもとに現在のデマンド値、予測デマンド、目標値までの余裕、デマンド時限の残り時間などを表示します。

目標値に近づいた場合は、表示灯、ブザー、接点出力、メールなどによって管理者へ知らせます。警報を受けた管理者が設備を停止する運用のほか、PLCや空調制御機器と連携し、あらかじめ選定した負荷を自動的に抑制する方法もあります。

受電点のデマンド電力だけでなく、系統別・設備別の電力を計測すると、どの設備がピークの原因になっているかを確認しやすくなります。保存したデータを日別、曜日別、時間帯別に比較することで、設備の運転方法や目標デマンドの見直しにも活用できます。

計測・運用上のポイント

契約内容の確認

最大需要電力と契約電力の関係は、受電方式、契約区分、電力会社、小売電気事業者との契約内容によって異なります。過去の最大需要電力が契約電力に反映される契約もありますが、すべての需要家に同じ決定方法が適用されるとは限りません。

デマンド監視を導入する際は、電気料金の明細や契約約款を確認し、管理すべき目標値と期待できる効果を整理します。

目標値と警報値の設定

目標デマンドを現在の最大需要電力より低く設定すると、ピーク低減を目指せます。ただし、低く設定しすぎると警報や負荷制御が頻繁に発生し、生産性や室内環境へ影響する可能性があります。

一般には、最終的に超えたくない目標値だけでなく、その手前に注意警報や制御開始値を設定します。時限終了直前に急激な負荷が加わる可能性も考慮し、一定の余裕を持たせます。

時刻とパルス入力の管理

正しくデマンドを演算するには、電力量パルスの入力、パルス定数、デマンド時限の時刻を正しく設定する必要があります。パルス定数が誤っていると、実際とは異なる電力値が表示されます。

停電復旧後や機器交換後には、現在時刻、入力設定、計測値を確認します。電力量計や通信機器から信号が届かない場合は、断線、設定不良、通信異常などを警報として検出することも重要です。

負荷制御との連携

デマンド電力が目標値を超える可能性がある場合、停止可能な設備を優先順位に従って制御します。負荷制御の対象には、空調機、ヒーター、コンプレッサなどがありますが、安全、品質、生産への影響を考慮して選定する必要があります。

電力に余裕が戻った後は、停止していた設備を一斉に起動せず、一定の間隔を空けて段階的に復帰させます。短時間で停止と復帰を繰り返さないよう、最低停止時間や復帰条件も設定します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、電力量計などから取得した情報をもとに、現在デマンド、予測デマンド、目標値までの余裕、デマンド時限の残り時間などを表示するデマンド監視装置・デマンド表示器を開発、販売しています。

電力量パルスの入力回路、表示器や制御盤の設計、警報接点の出力、PLCとの連携、空調設備などの負荷制御にも対応します。警報発生条件、負荷の優先順位、停止時間、復帰順序などを、設備の運用に合わせて設計します。

また、電力データや警報履歴の保存、通信による遠隔監視、エネルギー管理システムとの連携も検討できます。既設設備へ導入する場合は、電力量計の出力方式、パルス定数、契約電力、制御対象設備、通信環境などを確認して構成を選定します。

デマンド表示器について詳しくはこちらをご覧ください

よくある質問

Q. デマンド電力はどのように計算しますか?

A. 一般には、30分間に使用した電力量を0.5時間で割って求めます。例えば、30分間に15kWhを使用した場合、デマンド電力は30kWです。

Q. 瞬時電力が契約電力を超えると、すぐに最大需要電力が更新されますか?

A. デマンド電力は30分間の平均値であるため、瞬時電力が短時間だけ大きくなっても、直ちに最大需要電力が更新されるとは限りません。ただし、大きな電力使用が続けば30分平均値が上昇します。

Q. デマンド電力と使用電力量は何が違いますか?

A. デマンド電力は一定時間内の平均的な電力使用の大きさをkWで表し、使用電力量は一定期間に使用した電気の総量をkWhで表します。デマンド電力は基本料金、使用電力量は主に電力量料金に関係しますが、具体的な料金体系は契約によって異なります。

Q. デマンド電力を下げるにはどうすればよいですか?

A. 複数設備の起動時刻をずらす、停止可能な負荷を一時的に抑制する、空調やコンプレッサの運転台数を調整するなどの方法があります。まずデータを計測し、電力使用が集中する時間帯と設備を特定することが重要です。

Q. デマンド監視装置を設置するだけで電気料金は下がりますか?

A. 監視装置は、デマンド超過の可能性を把握するためのものです。料金削減につなげるには、警報時の対応方法を定める、設備の起動時間を分散する、自動負荷制御を行うなどの運用が必要です。

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