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低圧CT
(ていあつCT)
低圧CTとは、低圧電路に流れる大きな交流電流を、計測機器で扱いやすい小さな電流または電圧信号へ変換する電流センサです。CTは「Current Transformer」の略で、日本語では変流器と呼ばれます。
電線へ直接大電流を入力できない電力計、電流計、デマンド監視装置などと組み合わせ、設備の電流、電力、使用電力量を測定するために使用されます。低圧CTには、電線をCTの穴へ通す貫通型や、CTを開閉して既設電線へ取り付ける分割型・クランプ型などがあります。
低圧CTの仕組み
低圧CTは、測定対象となる電線を一次側とし、その周囲に設けた鉄心と巻線によって二次側へ比例した信号を発生させます。一次側に大きな交流電流が流れると、鉄心に磁束が生じ、その変化によって二次側に小さな電流が流れます。
例えば一次側に100Aが流れたとき、二次側へ5Aを出力するCTは「100A/5A」と表記されます。小型の計測機器では、二次側が数十mA程度の電流出力や、内部抵抗によって電圧信号へ変換されたタイプも使用されます。
計測機器は、CTから入力された信号とCT比をもとに一次側の電流値を換算します。電圧入力と組み合わせれば、電力、力率、使用電力量なども演算できます。
低圧とは
電気設備における低圧とは、交流では600V以下、直流では750V以下の電圧区分を指します。工場、ビル、店舗などでは、三相200V、単相100V・200Vといった低圧回路の電流計測に低圧CTが使用されます。
低圧CTは低圧電路で使用することを前提に、絶縁性能、電線径、定格電流、設置場所などを確認して選定します。高圧回路には高圧用の変流器が必要であり、低圧CTを使用することはできません。
低圧CTの主な種類
貫通型CT
中央の穴へ測定対象の電線を通して使用するCTです。鉄心が一体構造となっているため、分割型と比べて測定精度を確保しやすい傾向があります。
新設設備では電線を施工する際にCTへ通せますが、既設設備へ追加する場合は、電線や母線を取り外す作業が必要になることがあります。
分割型CT・クランプ型CT
鉄心を開閉できる構造で、既設の電線を切断せずに挟み込んで設置できます。設備を大きく変更せずに後付けしやすいため、電力使用量の見える化やデマンド監視などで利用されます。
取り付ける際は、CTの接合面にごみや異物を挟まず、完全に閉じることが重要です。接合部に隙間があると、計測誤差が大きくなる場合があります。
電流出力型と電圧出力型
電流出力型は、一次電流に比例した二次電流を出力します。計測器側の入力仕様とCTの定格二次電流を一致させる必要があります。
電圧出力型は、CT内部や外部の抵抗によって電流を電圧へ変換して出力します。専用の計測器と組み合わせる場合が多いため、出力電圧や負荷条件を確認します。
主な用途
- 配電盤や分電盤における電流監視
- 工場設備や機械ごとの使用電力計測
- デマンド電力の監視・管理
- 太陽光発電設備や蓄電設備の電力計測
- 空調、照明、コンプレッサーなどの設備別計測
- 電力使用量の見える化や省エネルギー管理
主幹回路へCTを設置すれば建物や設備全体の電流を測定でき、分岐回路ごとに設置すれば用途別・設備別の電力使用状況を把握できます。
選定時のポイント
定格一次電流
測定する回路の最大電流に合わせてCTの定格一次電流を選定します。定格を大きく超える電流が流れると、正しく測定できないだけでなく、CTの発熱や劣化につながる可能性があります。
一方、実際の電流に対して定格が大きすぎるCTを選ぶと、低電流域で十分な測定精度を得にくくなる場合があります。通常時の電流と最大電流の両方を確認することが重要です。
電線径と開口寸法
CTの開口部に電線や母線を収められるかを確認します。電線の仕上がり外径だけでなく、曲げ半径、端子周辺の空間、隣接する配線との間隔も考慮します。
既設盤へ後付けする場合は、CT本体を開閉・固定するための作業スペースも必要です。
計測器との組み合わせ
CTは、計測器が対応する定格、出力方式、CT比に合わせて選定します。電流出力型と電圧出力型を取り違えたり、異なるCT比を設定したりすると、実際とは異なる電流値が表示されます。
専用CTが指定されている計測器では、指定外のCTを接続すると精度や安全性を確保できない場合があります。
測定精度と周波数
CTには測定誤差や位相誤差があり、電流だけでなく電力や力率を測定する場合は、位相特性も重要になります。使用する周波数、測定範囲、必要精度に適したCTを選定します。
インバーターやスイッチング電源を含む回路では、高調波成分を含む電流が流れることがあります。測定対象の波形に対して、CTと計測器が対応できる周波数範囲を確認します。
取り付け時の注意点
CTの向きを合わせる
CTには、電源側と負荷側を示す矢印やK・Lなどの方向表示があります。方向を逆に取り付けると、電流の極性や位相が反転し、電力がマイナス表示になるなど、演算結果へ影響する場合があります。
三相回路では、各相のCT方向をそろえ、電圧入力と電流入力の相を一致させます。
1本の導体を通す
単相2線式や三相回路では、測定したい相の導体だけをCTへ通します。往きと戻りの電線を同じCTへ通すと、それぞれの磁束が打ち消し合い、正しく測定できません。
漏電計測では複数の導体をまとめて通す零相変流器を使用しますが、通常の電流計測用CTとは目的と仕組みが異なります。
二次側の開放に注意する
二次側が5Aや1Aの電流出力型CTでは、一次側に電流が流れている状態で二次回路を開放すると、高い電圧が発生する危険があります。配線変更や計測器交換時は、CTの仕様と安全な作業手順を確認する必要があります。
低出力の専用CTでは構造が異なる場合もありますが、メーカーが指定する接続方法を守ることが基本です。
分割面を確実に閉じる
分割型CTでは、鉄心の接合面を確実に閉じます。ほこり、油分、異物が付着している場合は除去し、ロック機構が正しく固定されていることを確認します。
低圧CTを使用した電力計測
電流値だけを測定する場合はCT信号を電流計へ入力します。電力を求める場合は、CTで測定した電流と、同じ回路から取得した電圧を計測器へ入力します。
交流電力は電圧と電流の大きさだけでなく、両者の位相差にも影響されます。そのため、CTの取付方向、相の組み合わせ、位相特性が正しくなければ、有効電力、無効電力、力率を正確に演算できません。
デマンド監視では、CTから取得した電流と電圧をもとに一定時間内の平均使用電力を演算します。設備の電力使用状況を継続的に監視し、設定値へ近づいた場合に警報を出すなどの運用ができます。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、低圧回路の電流・電力計測に使用する計測機器を取り扱っています。測定する回路の電圧、相線式、最大電流、電線径、設置スペース、必要な計測項目などを確認し、計測器に対応する低圧CTを選定します。
既設設備への後付けでは、分割型CTを利用することで、電線の切断を伴わずに設置できる場合があります。ただし、取り付け作業時の停電の要否や安全措置については、設備条件に応じて確認が必要です。
また、電流、電力、力率、デマンド電力などの計測に加え、計測データの表示、通信、収集、保存を含むシステム構成についても、用途に応じて検討します。
よくある質問
Q. 分割型CTは通電したまま取り付けられますか?
A. 電線を切断せずに取り付けられる構造ですが、通電中の盤内作業には感電や短絡の危険があります。設備の安全規程に従い、原則として停電や必要な防護措置を行ったうえで有資格者が作業します。
Q. 100Aの回路に200A用のCTを使用できますか?
A. 測定自体は可能な場合がありますが、実際の電流に対して定格が大きすぎると、特に低電流域で測定精度が低下することがあります。通常電流と最大電流に適した定格を選定します。
Q. CTを逆向きに取り付けるとどうなりますか?
A. 電流の極性や位相が反転し、電力がマイナス表示になったり、力率の進み・遅れが正しく表示されなかったりする場合があります。
Q. 1つのCTで複数の電線を測定できますか?
A. 通常の電流計測では、測定対象となる1相分の導体を通します。複数回路の電線をまとめて通すと、それぞれの電流が合成・相殺され、目的の電流を正しく測定できません。
Q. CTだけで電力を測定できますか?
A. CTで測定できるのは主に電流です。電力を求めるには、電流に加えて電圧と位相関係を計測し、電力計や電力計測器で演算する必要があります。
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