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高圧CT(高圧回路用変流器)
(こうあつCT)
高圧CTとは、高圧回路に流れる大きな交流電流を、計測器で扱える小さな信号へ変換する電流センサです。CTはCurrent Transformerの略で、日本語では変流器と呼ばれます。高圧受電設備や工場の受配電設備において、電流、電力、電力量、デマンド電力などを計測するために使用されます。
高圧回路では、低圧回路以上に絶縁性能と安全性が重要です。CT本体の絶縁性能だけでなく、導体との距離、隣接する相との距離、接地された金属部との距離、取付作業時の安全確保まで含めて検討します。
ハカルプラスでは、高圧回路の導体へ直接クランプして電流を検出できる高圧用電流センサを製造・販売しています。既設設備への計測機能追加や、電力監視・デマンド監視への展開についても、受電設備の構成と計測目的を確認して検討します。
高圧CTの役割
高圧受電設備では、数十Aから数百Aの電流が流れることがあります。この電流を計測器へ直接入力することはできないため、CTを介して安全に扱える信号へ変換します。
CTの一次側には高圧回路の電流が流れ、二次側には一次電流に比例した小さな電流または電圧信号が出力されます。計測器では、設定されたCT比を用いて一次側の電流値を演算します。
例えば、一次側100Aを二次側5Aへ変換するCTでは、一次側に50Aが流れると二次側には約2.5Aが出力されます。ただし、出力仕様はCTによって異なるため、接続する計測器との適合確認が必要です。
一般的な高圧CTとクランプ式高圧CT
一般的な高圧CTは、受電設備や開閉装置の設計時に組み込まれます。貫通形や巻線形などがあり、導体をCTの中心へ通して使用します。既設設備へ後から追加する場合は、停電や導体の取り外しを伴うことがあります。
クランプ式の高圧CTは、分割できる構造を持ち、既設導体を挟み込むように取り付けます。導体をCTへ通し直す必要がないため、既設設備への計測追加を検討しやすいことが特長です。
ただし、高圧回路への取付作業は危険を伴います。クランプ式であっても、設備の停電、検電、接地、作業距離の確保など、所定の安全手順に従う必要があります。
絶縁性能と絶縁距離
高圧回路では、通常運転時の電圧だけでなく、雷や開閉操作などによる一時的な過電圧も考慮します。CTには、使用電圧に適した絶縁材料、構造、耐電圧性能が求められます。
取付設計では、充電部相互の空間距離、充電部と接地金属部との距離、表面に沿った沿面距離を確認します。CT本体の仕様を満たしていても、取付後にケーブルや金具が近接すると必要な絶縁距離を確保できない場合があります。
粉じん、湿気、結露、塩分などがある環境では、表面の絶縁性能が低下する可能性があります。キュービクル内部の環境と保守方法も含めて設計します。
高圧CTの選定項目
高圧CTを選定する際は、次の条件を確認します。
- 回路の公称電圧と絶縁条件
- 通常電流と想定される最大電流
- 導体やケーブルの外径、形状
- CTの定格一次電流と出力仕様
- 要求される計測精度
- 取付スペースと周囲の絶縁距離
- 接続する計測器との適合
定格一次電流が実際の電流に対して大きすぎると、低電流域での分解能や精度が不足する場合があります。反対に小さすぎると、最大電流時にCTが飽和し、正しく計測できない可能性があります。
CT比と計測器の設定
計測器には、使用するCTの一次側・二次側の定格を設定します。CT比の設定を誤ると、実際とは異なる電流値、電力値、電力量が表示されます。
CT交換時には、外形や取付方法だけでなく、出力仕様とCT比が既設品と同じかを確認します。既設品と異なる場合は、計測器や監視システム側の設定変更が必要です。
複数の計測器へ信号を接続する場合は、CTの出力容量や接続可能な負担を確認します。安易な分岐は計測誤差や回路異常の原因になります。
取付方向と相の対応
CTには電流の向きを示す取付方向があります。電流値だけを表示する場合には影響が分かりにくいことがありますが、電力や力率を演算する場合は、CTの向きと電圧入力の相を正しく対応させる必要があります。
三相回路では、R相・S相・T相のCTと電圧入力を一致させます。相の取り違えやCTの逆向き取付があると、電力値が極端に小さくなったり、力率や電力方向が不自然になったりします。
高圧CTを使った電力監視
高圧CTで取得した電流信号と、高圧回路の電圧信号を計測器へ入力することで、電流だけでなく電力、電力量、力率、デマンド電力などを計測できます。
受電点や主要な高圧負荷を計測することで、工場全体の電力使用状況、設備ごとの負荷、ピーク電力を把握できます。通信対応計測器と組み合わせれば、事務所や中央監視装置からの遠隔確認、データ保存、警報通知にも利用できます。
既設設備へ追加する際の確認
既設の高圧受電設備へCTを追加する場合は、単線結線図、盤内配置、導体寸法、既設CTの有無、停電可能時間などを確認します。
取付スペースがあっても、周囲の充電部や接地金属部との絶縁距離を確保できない場合があります。また、CTから計測器までの配線経路、ノイズ、端子台、盤の貫通部も検討が必要です。
設備停止期間を短くするには、現地調査によって取付条件を確認し、必要な部材や設定を事前に準備します。
異常値が表示された場合の確認
電流値が表示されない場合は、CTの取付、配線、端子の緩み、計測器の電源、CT比設定を確認します。一相だけ値が異なる場合は、実際の負荷不平衡に加え、相の取り違えや接触不良も考えられます。
実際より小さく表示される場合は、CTの定格不適合、CT比設定の誤り、CTのかみ合わせ不良、過電流による飽和などを確認します。電力や力率だけが不自然な場合は、CTの方向と電圧入力の相対応を点検します。
安全上の注意
高圧回路の調査、取付、配線、点検は、必要な資格と知識を持つ作業者が実施する必要があります。CTがクランプ式であっても、活線状態での安易な取付を前提とするものではありません。
作業前には停電範囲を確認し、開路、施錠、検電、接地などの安全措置を行います。取付後は工具や部材の置き忘れ、端子の緩み、絶縁距離、カバーの復旧を確認してから受電します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、高圧回路の電流を計測するための高圧用電流センサを製造・販売しています。既設導体へクランプする構造を活用し、受電設備へ計測機能を追加する構成を検討します。
高圧CT単体だけでなく、電力計測器、表示器、通信機器、警報出力、データ保存を組み合わせ、電流・電力・電力量・デマンド電力を監視するシステムにも対応します。
設備の回路電圧、導体寸法、計測範囲、盤内スペース、停電条件を確認し、安全性と計測精度を考慮して構成します。
よくある質問
Q. 高圧CTと低圧CTは何が違いますか?
A. 主な違いは、使用する回路電圧と求められる絶縁性能です。高圧CTには、高圧回路に対応した耐電圧性能と絶縁構造が必要です。
Q. 既設の高圧回路へ後からCTを追加できますか?
A. 導体寸法、取付スペース、絶縁距離、停電条件を確認し、クランプ式CTなどで追加できる場合があります。
Q. 高圧CTは活線状態で取り付けられますか?
A. クランプ式であっても、原則として設備を安全な状態にして取り付けます。作業方法は設備条件と安全規程に従って決定します。
Q. 高圧CTだけで電力を計測できますか?
A. CTでは電流を検出します。電力を演算するには、電圧入力と電力計測器を組み合わせる必要があります。
Q. 高圧CTの交換後に設定変更は必要ですか?
A. CT比や出力仕様が変わる場合は、計測器や監視システム側の設定変更が必要です。