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ジャイロセンサ
(ジャイロセンサ)
ジャイロセンサ
ジャイロセンサとは、物体が回転する速さである角速度を検出するセンサです。機器がどの方向へ、どの程度の速さで回転しているかを測定でき、姿勢制御、回転検出、手ぶれ補正、ロボット制御、移動体の動作判定などに利用されます。
検出する方向によって1軸、2軸、3軸のジャイロセンサがあり、3軸タイプではX・Y・Zの各軸を中心とする回転を個別に測定できます。加速度センサと組み合わせることで、動作中の姿勢や向きをより安定して推定できます。
角速度とは
角速度とは、単位時間当たりに回転した角度を表す物理量です。回転角度の変化量をΔθ、経過時間をΔt、角速度をωとすると、平均角速度は次の式で表されます。
ω=Δθ/Δt
単位には、rad/s(ラジアン毎秒)または°/s(度毎秒)が使用されます。
例えば、物体が2秒間で90°回転した場合の平均角速度は次のようになります。
ω=90/2=45°/s
角速度が正か負かによって、回転方向を区別します。ただし、正方向の定義はセンサの軸方向やメーカーの仕様によって異なるため、取付方向と軸定義を確認する必要があります。
角速度から回転角度を求める方法
ジャイロセンサは回転角度そのものではなく、角速度を測定します。回転角度は、角速度を時間について積分することで求めます。
θ=∫ωdt
一定のサンプリング周期で測定する場合は、角速度と経過時間を順次掛け合わせて加算します。
θₙ=θₙ₋₁+ωₙ×Δt
ここで、θₙは今回の推定角度、θₙ₋₁は前回までの角度、ωₙは今回測定した角速度、Δtはサンプリング周期です。
例えば、角速度が30°/sの状態が0.5秒間続いた場合、回転角度は次のようになります。
θ=30×0.5=15°
ジャイロセンサの仕組み
小型電子機器には、半導体製造技術を利用したMEMSジャイロセンサが多く使用されます。MEMSジャイロセンサの内部には微細な振動体があり、センサが回転するとコリオリ力によって振動方向に変化が生じます。
この変化を静電容量などの電気信号として検出し、角速度へ換算します。センサからは、各軸の角速度に応じたアナログ信号またはデジタルデータが出力されます。
1軸・2軸・3軸の違い
1軸ジャイロセンサ
1方向の回転だけを検出します。回転軸が決まっている装置や、特定方向の角速度監視に使用されます。
2軸ジャイロセンサ
互いに直交する2方向の回転を検出します。機器の傾き変化や2方向の姿勢変化を捉える用途に利用されます。
3軸ジャイロセンサ
X・Y・Zの3軸を中心とする回転を同時に検出します。一般に、前後方向の回転をロール、左右方向の回転をピッチ、上下軸回りの回転をヨーと呼びます。
ドリフトと角度誤差
ジャイロセンサには、静止していても出力が完全に0にならないゼロ点誤差があります。この小さな誤差を積分し続けると、実際には回転していなくても推定角度が徐々に変化します。この現象をドリフトと呼びます。
一定の角速度誤差をωe、経過時間をtとすると、角度誤差θeは概算で次のように増加します。
θe=ωe×t
例えば、ゼロ点誤差が0.1°/sある状態で60秒間積分すると、角度誤差は次のようになります。
θe=0.1×60=6°
そのため、ジャイロセンサだけで長時間の絶対姿勢を求める場合は、定期的なゼロ点補正や、ほかのセンサによる補正が必要です。
加速度センサとの組み合わせ
加速度センサは、静止時には重力方向を利用して傾きを推定できます。しかし、物体が動いている最中は運動による加速度も加わるため、姿勢推定が不安定になる場合があります。
ジャイロセンサは短時間の回転変化を滑らかに検出できますが、積分誤差が蓄積します。両者を組み合わせることで、それぞれの弱点を補います。
簡易的な補完フィルターでは、ジャイロセンサから求めた角度をθgyro、加速度センサから求めた角度をθacc、補正後の角度をθとすると、次のように表せます。
θ=α×θgyro+(1-α)×θacc
αは0から1までの係数で、ジャイロセンサの短時間の応答と、加速度センサの長時間の基準を組み合わせます。
主な用途
- ロボットや搬送装置の姿勢・旋回検出
- カメラや機器の手ぶれ検出
- 車両や移動体の回転・方向変化の把握
- 介護支援機器や見守り機器の動作判定
- 操作機器の傾きや回転を利用した入力
- 加速度センサと組み合わせた姿勢推定
設計・計測上のポイント
測定レンジを選定する
ジャイロセンサには、測定可能な最大角速度の範囲があります。ゆっくりした姿勢変化と高速回転では、適した測定レンジが異なります。
狭いレンジは小さな角速度を細かく測定しやすい一方、範囲を超える回転では正しく測定できません。対象動作の最大角速度を確認して選定します。
サンプリング周期を一定にする
角度は角速度とサンプリング周期から求めるため、Δtが不正確だと角度計算にも誤差が生じます。タイマーなどを使用し、一定周期でデータを取得します。
起動時にゼロ点補正を行う
センサを静止させた状態で複数回測定し、その平均値をゼロ点として差し引くことで、静止時の出力誤差を抑えられます。補正中に機器が動くと正しい基準値を取得できません。
温度変化を考慮する
ゼロ点や感度は温度によって変化する場合があります。使用温度範囲が広い製品では、温度センサを利用した補正や、温度ごとの校正値を持たせる方法を検討します。
振動の影響を抑える
機械振動や衝撃が測定値へ影響する場合があります。機械的な取付方法、フィルター処理、異常値除去などを用途に合わせて調整します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、ジャイロセンサや加速度センサを利用した機器の研究・開発に取り組んでいます。
各軸の角速度データ取得、ゼロ点補正、フィルター処理、角度演算、姿勢や動作の判定などを、マイコンと組み込みソフトウェアで処理します。
また、検出したデータの記録や通信、ほかのセンサとの組み合わせなど、製品の用途に応じた構成を検討します。
よくある質問
Q. ジャイロセンサは回転角度を直接測定しますか?
A. 直接測定するのは角速度です。角速度を時間積分することで回転角度を推定します。
Q. 静止していても角度が変化するのはなぜですか?
A. ゼロ点誤差やノイズを積分すると、角度誤差が時間とともに蓄積するためです。起動時の補正やほかのセンサによる補正が必要です。
Q. 加速度センサとの違いは何ですか?
A. 加速度センサは直線方向の速度変化や重力を検出し、ジャイロセンサは回転の速さを検出します。
Q. 3軸ジャイロセンサでは何を測定できますか?
A. X・Y・Zの各軸回りの角速度を測定でき、ロール、ピッチ、ヨー方向の回転変化を把握できます。
Q. ジャイロセンサだけで正確な姿勢を維持できますか?
A. 短時間の姿勢変化には適していますが、長時間ではドリフトが蓄積します。加速度センサや地磁気センサと組み合わせる方法があります。
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