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産業用無線通信

(さんぎょうようむせんつうしん)

産業用無線通信

ANT無線モジュール

産業用無線通信とは、計測機器、センサ、制御装置、表示器などの間で、配線を使用せずにデータを伝送する技術です。配線工事が難しい場所、移動する機器、離れた設備の監視などに利用されます。

産業用途では、単に電波が届くことだけでなく、通信距離、障害物、電池寿命、通信周期、データ欠落時の処理、電波法への適合を含めて設計する必要があります。

ハカルプラスでは、特定小電力無線、920MHz帯無線モジュール、ANT無線などを利用した製品・システムの開発実績があります。用途や設置環境に合わせ、センサ、無線端末、中継機、受信機、表示・監視システムを組み合わせます。

産業用無線通信の主な用途

  • 離れた場所にある計測データの収集
  • 配線工事が難しい既設設備へのセンサ追加
  • 移動台車や携帯機器との通信
  • 建物内の警報・呼出信号の伝送
  • 屋外設備や無人設備の遠隔監視
  • 複数端末の状態を監視装置へ集約

通信する情報には、温度、電流、重量などの計測値のほか、接点状態、警報、電池残量、機器番号、通信状態などがあります。

特定小電力無線

特定小電力無線は、定められた周波数、送信出力、通信方法などの条件を満たすことで、利用者が無線局免許を取得せずに使用できる無線方式です。

ただし、どのような機器でも自由に使用できるわけではありません。日本国内で使用する場合は、対象となる技術基準に適合し、必要な技適表示が行われた機器を使用します。

ハカルプラスでは、429MHz帯の特定小電力無線を利用した機器の開発実績があります。比較的少量の計測値や警報信号を、一定間隔で送信する用途などに使用されます。

920MHz帯無線

920MHz帯無線は、センサデータや設備状態を比較的低い消費電力で伝送する用途に利用されます。2.4GHz帯と比べ、壁や設備などの障害物がある環境で通信しやすい場合があります。

認証済みの無線モジュールを使用すれば、無線回路を一から設計する場合に比べて開発負担を抑えられます。ただし、指定されたアンテナ、送信出力、電源条件、組み込み方法などを守る必要があります。

実際の通信性能は、無線モジュールの仕様だけでなく、アンテナ位置、筐体、取付高さ、周囲の金属、壁の材質によって変化します。

ANT無線

ANT無線は、低消費電力で小容量のデータを送受信する近距離無線通信に利用される方式です。電池で動作する小型端末や、人体の近くで使用するセンサ機器などに適しています。

ハカルプラスでは、メディカルケア機器分野においてANT無線を利用した製品・システムの開発実績があります。

複数の端末を使用する場合は、機器番号の管理、受信先の識別、再送処理、電池消費などを考慮して通信ソフトウェアを設計します。

携帯電話回線を利用した遠隔通信

携帯電話回線を利用すると、工場内や建物内の無線通信だけでなく、遠隔地にある設備からインターネットを経由して監視サーバーへデータを送信できます。

ハカルプラスでは、NTTドコモのFOMA回線を利用した計測機器や遠隔監視システムを開発してきた実績があります。ただし、FOMAサービスは2026年3月31日に終了しているため、現在はFOMAを前提とした新規システムを構築できません。既設機器では、4G・LTEなどに対応した通信機器への更新を検討する必要があります。

携帯電話回線を使用するシステムでは、端末だけでなく、通信回線の契約、SIM、通信サーバー、データ保存、利用者画面などを含めた構成が必要です。

通信距離に影響する要因

無線機器の仕様に記載された通信距離は、見通しのよい試験環境を前提としていることがあります。工場や建物内では、壁、床、配管、機械、制御盤などによって電波が反射・吸収されます。

特に金属製の制御盤内へ無線機器を設置すると、電波が大きく減衰する場合があります。外部アンテナを使用する、盤外へ無線端末を設置する、中継機を追加するなどの対策を検討します。

設置予定場所で通信試験を行い、扉の開閉、設備の稼働、人や車両の移動なども含めて受信状態を確認することが重要です。

中継機とネットワーク構成

送信端末と受信機の間に障害物がある場合や通信距離が長い場合は、中継機を設置して通信範囲を広げます。

中継機を増やすと通信経路を確保しやすくなりますが、データ到着までの時間、通信量、電源、故障時の影響も増えます。必要以上に複雑な構成とせず、設置環境に応じて台数と位置を決めます。

複数端末が同時に送信すると電波が衝突する可能性があるため、送信時刻を分散する、ランダムな待ち時間を設けるなどの制御を行います。

電池駆動と消費電力

配線を不要にするため、無線端末を電池で動作させる場合があります。電池寿命は、送信間隔、送信時間、通信失敗時の再送回数、センサの消費電力、使用温度などによって変わります。

常時通信するのではなく、一定時間ごとに起動してデータを送信し、通信後は省電力状態へ移行することで電池消費を抑えます。

電池電圧を監視し、交換時期が近づいた際に警報を送信する機能を設ける場合もあります。

データの識別と誤り検出

複数の無線端末を使用するシステムでは、受信したデータがどの機器から送られたものかを識別する必要があります。

送信データには、機器番号、データ種別、連番、計測値、電池状態、誤り検出情報などを付加します。受信側では、データの破損、重複、順序の入れ替わりを確認します。

連番を管理すると、途中のデータが受信できなかったことを検出できます。ただし、欠落したデータを再送するか、そのまま次のデータを使用するかは、監視周期や用途に応じて決めます。

通信異常時の処理

無線通信では、一時的にデータを受信できないことがあります。そのため、通信失敗を前提としてシステムを構成します。

一定時間データを受信できない場合は通信異常とし、前回値を保持する、無効値として表示する、警報を出すなどの処理を行います。

前回値を表示する場合は、最新値と誤認されないよう、最終受信時刻や通信異常を併せて表示します。

設備の安全に直接関わる停止制御などでは、一般的な無線通信だけに依存せず、有線回路や安全に対応した別系統を併用することがあります。

セキュリティ

無線通信では、第三者による受信、なりすまし、不正なデータ送信などを考慮する必要があります。

無線方式が対応している場合は、暗号化、機器認証、通信先の制限などを利用します。携帯電話回線やインターネットを使用する場合は、端末からサーバーまでの通信経路、接続先、利用者権限も含めて設計します。

遠隔監視システムでは、端末、回線、サーバー、利用者画面のそれぞれで対策を行い、必要以上に外部から設備制御へアクセスできない構成とします。

既設設備への無線追加

既設設備へ無線通信を追加する場合は、取得する信号、通信周期、電源、設置場所、必要な通信距離を確認します。

既設の接点信号やアナログ信号を無線端末へ入力し、離れた監視盤へ送信することで、大規模な配線工事を行わずに監視項目を追加できる場合があります。

既設設備の配線を無線へ置き換える際は、通信異常時の動作が従来と変わらないかを確認します。通信遅延が設備制御へ影響する用途では、無線化が適さない場合もあります。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、429MHz帯特定小電力無線、920MHz帯無線モジュール、ANT無線などを利用した製品・システムの開発実績があります。

通信距離、端末台数、データ量、送信周期、電源、設置環境を確認し、無線端末、アンテナ、中継機、受信機、表示・監視装置を含む構成を検討します。

無線回路や認証済み無線モジュールの組み込みに加え、マイコンソフト、通信データ、再送処理、通信異常監視、電池管理などを設計します。

携帯電話回線を利用した既設遠隔監視システムについても、使用中の通信端末、サーバー、データ形式を確認し、現行通信方式への更新を検討します。

よくある質問

Q. 特定小電力無線は免許なしで使用できますか?

A. 技術基準に適合した機器を、定められた条件で使用する場合は、利用者による無線局免許を必要としません。機器の改造や指定外アンテナの使用は認証条件から外れる可能性があります。

Q. カタログ記載の通信距離まで必ず通信できますか?

A. 通信距離は壁、金属設備、アンテナ位置、取付高さ、電気ノイズなどによって変化します。設置場所での通信試験が必要です。

Q. 既設設備の接点信号や計測値を無線化できますか?

A. 信号形式、通信周期、必要な応答時間を確認し、無線端末や信号変換器を追加して無線化できる場合があります。

Q. 無線通信が一時的に切れた場合はどうなりますか?

A. 再送を行う、前回値を無効化する、通信異常を表示するなど、用途に応じた処理を設計します。通信復旧だけで設備を自動再起動させない構成も検討します。

Q. FOMAを利用した既設システムはそのまま使用できますか?

A. FOMAサービスは2026年3月31日に終了したため、FOMA通信を使用する機器は継続利用できません。通信端末や回線を4G・LTEなどへ変更し、必要に応じてサーバーや通信ソフトも更新します。

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