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加速度センサ

(かそくどせんさ)

加速度センサ

加速度センサ

加速度センサとは、物体の速度や移動方向が、時間とともにどの程度変化したかを検出するセンサです。静止状態から動き始めた、速度が上がった、減速した、向きが変わった、衝撃を受けたといった運動の変化を電気信号として取得します。

測定方向により、1方向を測る1軸、直交する2方向を測る2軸、X・Y・Zの3方向を測る3軸加速度センサがあります。3軸タイプでは前後・左右・上下の動きを同時に取得できるため、姿勢判定、転倒・落下検出、活動量計測、機械振動の監視などに利用されます。

加速度の基本

加速度は、単位時間当たりの速度変化を表す物理量です。速度の変化量をΔv、変化に要した時間をΔtとすると、平均加速度aは次の式で表せます。

a=Δv/Δt

単位にはm/s2を使用します。例えば、静止していた物体が2秒間で10m/sまで加速した場合は、次のようになります。

a=(10-0)/2=5m/s2

速度には大きさと方向があるため、速さが一定でも進行方向が変われば加速度が発生します。円運動をしている物体がその例です。

加速度センサの仕組み

加速度センサの内部には、外力によってわずかに変位する質量体があります。センサ本体が動くと、質量体には慣性力が働きます。その変位や力を電気信号へ変換し、加速度として出力します。

小型機器には、半導体製造技術を利用したMEMS方式が広く使われています。MEMS加速度センサでは、微細な質量体と固定電極の間に生じる静電容量の変化などを検出します。

出力方式には、加速度に応じた電圧を出すアナログ方式と、I2CやSPIなどで数値データを送るデジタル方式があります。マイコンは各軸の値を一定周期で読み取り、フィルター処理、しきい値判定、合成値演算などを行います。

1軸・2軸・3軸の違い

1軸加速度センサ

一方向の加速度を検出します。上下振動や機械の特定方向の衝撃など、測定方向が明確な用途に適しています。

2軸加速度センサ

X・Yなど、直交する2方向を検出します。平面内の動きや傾きを把握する用途に使われます。

3軸加速度センサ

X・Y・Zの3方向を同時に検出します。機器の向きが変化する場合や、人の動作、姿勢、転倒などを立体的に判定する用途に適しています。

重力加速度と姿勢判定

加速度センサは、物体の運動による加速度だけでなく、重力の影響も検出します。地表付近の重力加速度は約9.8m/s2で、一般に1Gと表します。

静止した3軸センサでは、重力方向と一致する軸におおむね1G、重力と直交する軸におおむね0Gが現れます。X・Y・Z軸の加速度をax、ay、azとすると、合成加速度Aは次の式で求められます。

A=√(ax2+ay2+az2

静止時には、合成値がおおむね1Gになります。各軸の値から重力の向きを求めることで、機器の傾きや表裏、立位・横倒しなどを判定できます。

ただし、動作中は重力成分と運動成分が重なります。素早く動いている間の姿勢を正確に推定する場合は、ジャイロセンサと組み合わせて補正します。

主な用途

  • 機器の傾き、向き、姿勢の検出
  • 歩行、体動、活動量の計測
  • 転倒、落下、衝撃の検出
  • モーターや回転機械の振動監視
  • 操作機器の動作やジェスチャー判定
  • 介護支援機器や見守り機器の状態検出

一定周期で加速度を記録すれば、動いていた時間、動きの強さ、姿勢変化の回数などを分析できます。機械設備では、通常時の振動傾向と比較して、アンバランス、緩み、軸受劣化などの兆候を捉える用途にも利用されます。

活動量・転倒判定の考え方

活動量を求める場合は、瞬間値だけでなく、一定時間内の加速度変動を継続的に処理します。重力成分を除いた動的加速度を積算する方法や、合成加速度がしきい値を超えた回数を数える方法があります。

転倒判定では、大きな衝撃だけでなく、その前後の姿勢変化、落下中に近い低加速度状態、衝撃後の静止時間などを組み合わせます。衝撃だけで判断すると、機器を机へ置いた動作や激しい日常動作を誤って転倒と判定する可能性があります。

判定条件は、装着位置、使用者の動き、製品の用途によって変わります。実際の使用環境でデータを収集し、検出率と誤報率の両方を確認して調整することが重要です。

設計・計測上のポイント

測定レンジを選定する

加速度センサには、±2G、±4G、±8G、±16Gなどの測定範囲があります。狭いレンジは小さな変化を細かく測りやすい一方、大きな衝撃では測定上限を超えて飽和します。

姿勢や体動の検出では比較的狭いレンジ、落下や衝撃の検出では広いレンジが必要になる場合があります。通常動作と想定最大衝撃の両方を確認します。

サンプリング周期を設定する

データ取得間隔が長すぎると、短時間の衝撃や高い周波数の振動を捉えられません。一方、高速に取得しすぎると、データ量、演算負荷、通信量、消費電力が増えます。

歩行や姿勢変化、転倒衝撃、機械振動では必要なサンプリング周波数が異なります。検出対象の周波数成分を確認して設定します。

フィルターを用途別に使い分ける

センサ出力には、電気的ノイズ、取付部の微振動、不要な衝撃が含まれます。移動平均やローパスフィルターを使用すると、細かな変動を抑えられます。

姿勢判定では低周波成分を重視し、衝撃検出では急激な変化を残す必要があります。フィルターを強くしすぎると、検出したい信号が小さくなったり、判定が遅れたりします。

取付方向と固定方法を管理する

センサのX・Y・Z軸が、製品や設備のどの方向に対応するかを明確にします。基板の向きを変更した場合は、ソフトウェア上の軸変換も必要です。

基板や筐体が緩んでいると、それ自体の共振やがたつきが測定値へ加わります。機械振動を測る場合は、測定対象の動きを正しく伝えられるよう、十分な剛性で固定します。

オフセットと感度を補正する

加速度センサには、入力がない状態でもゼロ以外を出力するオフセット誤差があります。また、軸ごとの感度差、軸の直交誤差、温度変化によるずれもあります。

必要な精度に応じて、複数の姿勢で静止値を測定し、ゼロ点と感度を補正します。製品ごとに補正値を不揮発性メモリへ保存する方法もあります。

省電力動作を検討する

電池で動作する見守り機器では、常時高速サンプリングすると電池寿命が短くなります。センサ内蔵の動作検出機能で待機し、一定以上の動きを検出したときだけマイコンを起動する構成があります。

測定周期、通信頻度、保存間隔を用途に合わせ、必要な検出性能と電池寿命のバランスを取ります。

異常値とトラブルの確認

静止しているのに値が大きく変動する場合は、基板の固定、周辺機器の振動、電源ノイズ、通信エラー、フィルター設定を確認します。特定軸だけ異常な場合は、取付方向の誤認、センサ故障、はんだ接合不良も考えられます。

合成加速度が静止時に1Gから大きく外れる場合は、オフセットや感度設定、単位換算、測定レンジの設定を確認します。デジタルセンサでは、レジスタ設定とデータの符号・ビット配置の誤りも原因になります。

衝撃を検出できない場合は、サンプリング周期が遅い、測定レンジが飽和している、フィルターで信号を除去している可能性があります。実波形を記録し、判定前の元データから切り分けます。

ジャイロセンサとの違い

加速度センサは、直線方向の速度変化と重力方向を検出します。静止時の傾き判定に適していますが、動作中は運動加速度の影響を受けます。

ジャイロセンサは、物体が回転する速さである角速度を測ります。短時間の回転変化を捉えやすい一方、角速度を積分して角度を求めると誤差が蓄積します。

両者のデータを組み合わせるセンサフュージョンにより、加速度センサの動作中の乱れと、ジャイロセンサの累積誤差を互いに補い、姿勢を安定して推定できます。

保守・製品更新時の注意点

加速度センサを後継品へ変更する場合は、測定レンジ、分解能、ノイズ特性、サンプリング周波数、軸方向、通信方式、レジスタ構成を確認します。同じ設定値でも、フィルター特性や割り込み条件が異なる場合があります。

センサ変更後は、静止姿勢、通常動作、最大衝撃、温度変化などで比較試験を行い、しきい値と補正値を再調整します。過去データとの連続性が必要な製品では、新旧センサの出力差も評価します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、加速度センサを利用した介護支援機器や見守り機器の研究・開発に取り組んでいます。

センサの選定、基板回路、マイコン、組み込みソフトウェアを組み合わせ、3軸加速度の取得、合成値演算、姿勢・動作判定、異常検出、データ保存、通信まで構成します。

検出したい動作と使用環境に応じて、測定レンジ、サンプリング周期、フィルター、しきい値、省電力動作を検討します。実際の動作データを確認しながら、誤検出を抑える判定条件を設計します。

センサやマイコンの生産終了に伴う更新についても、新旧部品の特性、通信仕様、補正値、既存データとの互換性を確認し、回路・ソフトウェアの変更を検討します。

よくある質問

Q. 静止しているのに3軸の値がすべて0にならないのはなぜですか?

A. 重力加速度が各軸へ分配されるためです。静止時の3軸合成値はおおむね1Gとなります。オフセット誤差によるずれも含まれます。

Q. 転倒を誤検出する場合はどう調整しますか?

A. 衝撃しきい値だけでなく、衝撃前後の姿勢、低加速度状態、静止時間を確認します。装着位置や実際の生活動作に合わせて条件を調整します。

Q. 小さな振動を検出できない場合は何を確認しますか?

A. 測定レンジ、分解能、サンプリング周期、フィルター設定、取付方法を確認します。広すぎるレンジや強いフィルターでは小さな変化を捉えにくくなります。

Q. 加速度センサを別機種へ交換できますか?

A. 電源、通信方式、測定レンジ、軸方向、取付寸法が適合すれば交換できる場合があります。ただし、ソフトウェアと判定しきい値の再調整が必要です。

Q. 加速度センサだけで正確な移動距離を測れますか?

A. 加速度を積分して速度と距離を推定できますが、わずかな誤差が時間とともに蓄積します。長時間の正確な距離計測には、他のセンサや位置情報による補正が必要です。

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