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マイクロ波式水分計
(マイクロはしきすいぶんけい)
マイクロ波式水分計測とは、測定対象へマイクロ波を照射し、対象物を通過または反射したマイクロ波の変化から、内部に含まれる水分量を測定する方法です。
電子レンジは、水分子がマイクロ波の電界変化に応答する際に生じる損失を利用して食品を加熱します。マイクロ波式水分計も、水がマイクロ波へ強く影響する性質を利用しますが、対象物を加熱することが目的ではありません。微弱なマイクロ波を送信し、その減衰量や位相の変化などを測定して水分量へ換算します。
対象物の内部までマイクロ波が入り込むため、表面だけでなく一定範囲の平均的な水分状態を非接触または近接状態で連続測定できることが特長です。一方、密度、粒度、温度、設置状態なども測定値へ影響するため、対象物ごとの校正と実機での確認が重要です。
マイクロ波式水分計測の原理
マイクロ波は、周波数がおおむね300MHzから300GHzの範囲にある電磁波です。水分計測では、送信アンテナから対象物へマイクロ波を照射し、受信アンテナで通過波または反射波を検出します。
水分を多く含む物質へマイクロ波を照射すると、水分子の影響によってマイクロ波の強さが低下し、波の進み方にも変化が生じます。代表的な測定情報には、次のものがあります。
- 送信時と受信時の信号強度の差である減衰量
- マイクロ波が対象物を通過した際の位相変化
- 対象物から戻ってくる反射波の強さ
- 温度や密度などの補正情報
これらの測定値と、乾燥法などで求めた基準水分値との関係を登録し、演算式や校正曲線によって水分率へ換算します。
マイクロ波の減衰と水分量
送信したマイクロ波の強さをPin、受信した強さをPoutとすると、減衰量Aは概念的に次の式で表せます。
A=10log10(Pin/Pout)
Aの単位にはdB(デシベル)を使用します。一般に、対象物に含まれる水分が増えるとマイクロ波の減衰も大きくなります。
ただし、減衰量と水分率がすべての物質で同じ関係になるわけではありません。骨材、粉体、穀物、木材などでは、密度、粒径、成分、測定厚さが異なるため、それぞれに適した校正が必要です。
主な測定方式
透過方式
対象物を挟むように送信アンテナと受信アンテナを配置し、対象物を通過したマイクロ波を測定します。対象物内部を通過するため、一定範囲の平均的な水分量を測定しやすい方式です。
測定物の厚さや密度が大きく変化すると減衰量も変わるため、測定経路を安定させる必要があります。
反射方式
送信したマイクロ波が対象物で反射し、戻ってきた信号を測定します。対象物の片側だけにセンサを設置できるため、ホッパーや搬送設備へ組み込みやすい場合があります。
センサと対象物の距離、表面形状、充填状態などによる影響を受けやすいため、取付条件を一定に保つことが重要です。
マイクロ波式水分計の特長
- 対象物を採取せずに連続測定できる
- 表面だけでなく一定範囲の内部水分を捉えられる
- 製造工程中の水分変化をリアルタイムに監視できる
- 測定結果を制御や記録へ利用できる
- 人による採取・乾燥・計算作業を削減できる
乾燥法は基準となる精度を得やすい一方、試料採取から結果が出るまで時間がかかります。マイクロ波式水分計は、乾燥法による定期確認と組み合わせ、工程中の変化を連続的に捉える用途に適しています。
生コンクリート工場での利用
生コンクリート工場では、砂や砂利などの骨材に含まれる水分量が、練混ぜ時に加える水量へ影響します。骨材表面に付着している水分を考慮せずに計量すると、実際の単位水量や配合が設定値からずれる可能性があります。
骨材の水分率を連続測定し、配合上の水量や骨材計量値を補正することで、スランプや品質の安定化につなげます。
例えば、湿潤状態の骨材重量をW、測定した水分率をM%とすると、水分量Wwは管理方式に応じて換算します。水分率の定義には湿量基準と乾量基準があるため、配合システムと水分計で同じ定義を使用することが重要です。
測定値に影響する要因
かさ密度と充填状態
同じ水分率でも、対象物が密に詰まっている場合と、空隙が多い場合ではマイクロ波の通過状態が変わります。ホッパー内の材料高さや締まり方が変化すると、測定値が変動する場合があります。
測定位置で材料が安定して存在する構造とし、空の状態や材料不足を別のセンサで検出することも検討します。
粒径と材料構成
粒径、粒度分布、材料成分が変わると、マイクロ波の散乱や反射状態が変化します。異なる材料や産地の骨材へ変更した場合は、既存の校正値をそのまま使用できるとは限りません。
温度
対象物やセンサ周辺の温度変化は、水の誘電特性や電子回路の特性へ影響します。必要に応じて温度センサを設け、測定値を補正します。
付着と摩耗
センサ前面へ材料が付着すると、マイクロ波の経路が変化します。骨材が接触する環境では、保護板の摩耗や汚れも測定値へ影響します。
耐摩耗性、清掃性、交換性を考慮し、定期的にセンサ面を点検します。
校正方法
マイクロ波式水分計を使用するには、センサ出力と実際の水分率を関連付ける校正が必要です。
水分状態の異なる試料について、センサ出力を記録すると同時に、乾燥法などで基準水分率を求めます。複数の測定点から校正曲線を作成し、センサ出力を水分率へ換算します。
校正時には、通常運転で想定される水分範囲、密度、温度、材料種類を含めます。狭い範囲のデータだけで校正すると、その範囲を外れた際に誤差が大きくなる場合があります。
設置上のポイント
センサは、材料が安定して存在し、代表的な水分状態を測定できる場所へ取り付けます。ホッパー内で材料が偏る位置や、空洞が発生しやすい位置は避けます。
材料の流れによってセンサ面へ強い衝撃や摩耗が加わる場合は、保護構造を設けます。ただし、保護板の材質や厚さもマイクロ波へ影響するため、センサ仕様に合わせて選定します。
周辺の金属構造物は、マイクロ波の反射へ影響することがあります。取付角度、周囲の空間、送受信アンテナの位置関係を確認します。
制御システムとの連携
水分計から出力される水分率は、PLCや配合管理システムへ取り込み、計量値や加水量の補正に使用できます。
アナログ信号、接点、シリアル通信、Ethernet通信など、機器仕様に応じた方法でデータを受け渡します。PLCでは、水分率の上下限、信号断線、更新停止、異常値を監視します。
測定値が急激に変化した場合は、その値を直ちに補正へ使用せず、変化量制限や移動平均によって安定化させる場合があります。ただし、フィルターを強くしすぎると実際の水分変化への追従が遅れます。
異常時の確認と復旧
水分率が一定値から変化しない場合は、センサ通信、材料の有無、出力更新状態を確認します。材料がない状態の信号を水分値として扱っていないかも確認します。
測定値が急にずれた場合は、センサ面への付着、材料種類の変更、密度変化、温度、ケーブル、電源を点検します。
水分計が異常となった場合は、誤った補正値で製造を継続しないよう、補正を停止して固定値や手分析値へ切り替える運用を検討します。異常解除後は、基準試料との比較を行ってから自動補正へ戻します。
保守・点検
定期点検では、センサ面の付着や摩耗、取付けの緩み、ケーブル、コネクタ、電源、通信状態を確認します。
乾燥法などによる基準値と水分計の指示値を定期的に比較し、差が大きくなった場合は校正値を確認します。
材料の産地、配合、粒度、設備構造を変更した場合は、測定条件が変化していないか再評価します。センサ交換時も、個体差や取付状態を含めて再校正が必要になる場合があります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、マイクロ波を利用した水分計を独自技術で製品化し、生コンクリート工場における骨材の水分計測へ活用しています。
測定対象、粒度、水分範囲、ホッパーや搬送設備の構造を確認し、センサの取付位置、保護構造、校正方法を検討します。
水分センサだけでなく、計量コントローラ、制御盤、PLC、タッチパネル、配合管理システムを組み合わせ、水分率の表示、異常監視、加水量や骨材量の補正、実績保存まで構成します。
既設設備への追加についても、材料の流れ、設置スペース、既存制御、通信仕様を確認し、対応可能な構成を検討します。
よくある質問
Q. マイクロ波式水分計は対象物を加熱しますか?
A. 水分計測では測定に必要な微弱なマイクロ波を使用し、電子レンジのように対象物を加熱することを目的としていません。
Q. 材料の種類が変わっても同じ校正値を使用できますか?
A. 材料成分、粒径、密度が変わるとセンサ出力との関係も変化するため、材料ごとの確認や再校正が必要になる場合があります。
Q. 水分計の値が急に高くなった場合は何を確認しますか?
A. 実際の材料水分に加え、センサ面の付着、材料の締まり方、温度、材料種類、通信状態を確認します。
Q. 既設の骨材ホッパーへ水分計を追加できますか?
A. 材料が安定して存在する位置、取付スペース、摩耗対策、既存制御との接続を確認し、追加できる場合があります。
Q. 水分計が故障した場合も製造を継続できますか?
A. 固定補正値や手分析値へ切り替える運用を設ければ継続できる場合があります。誤った測定値を自動補正へ使用しない制御が重要です。