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総合高調波ひずみ率(THD)

(そうごうこうちょうはひずみりつ)

総合高調波ひずみ率(THD)とは、電圧や電流の波形に含まれる高調波成分の大きさを、基本波に対する割合で表した指標です。THDはTotal Harmonic Distortionの略で、電圧ではTHD-V、電流ではTHD-Iと表記されることがあります。

理想的な交流波形は滑らかな正弦波ですが、インバーター、整流器、スイッチング電源などの非線形負荷が接続されると波形がひずみます。THDを確認することで、波形全体が基本波からどの程度ひずんでいるかを数値として把握できます。

ハカルプラスでは、高調波、電圧、電流、電力、力率などを計測し、設備状態の表示、警報、通信、データ保存に活用できる構成を検討します。

THDの算出方法

THDは、第2高調波以降の各高調波成分を合成し、基本波成分に対する割合として求めます。

THD=√(第2高調波2+第3高調波2+…)÷基本波×100

例えば、基本波電流が100Aで、高調波成分の二乗和平方根が20Aの場合、THD-Iは20%です。

測定器によって、対象とする最高次数や演算方式が異なる場合があります。複数の機器を比較するときは、測定帯域と演算条件を確認します。

THD-VとTHD-Iの違い

THD-Vは電圧波形のひずみ率、THD-Iは電流波形のひずみ率です。負荷機器が高調波電流を発生すると、その電流が配線や変圧器のインピーダンスを流れることで高調波電圧が生じます。

そのため、発生源を調査する場合はTHD-I、系統全体や他設備への影響を調べる場合はTHD-Vが重要になります。ただし、いずれか一方だけでは原因と影響を判断しにくいため、電圧・電流の両方を確認します。

THDが高くなる主な設備

  • インバーターやサーボアンプ
  • スイッチング電源を使用する情報機器
  • LED照明や電子安定器
  • 無停電電源装置や充電器
  • 整流器、溶接機、電力変換装置

同じ種類の負荷でも、回路方式、負荷率、入力リアクトルの有無などによって高調波の大きさは変わります。

THDだけで判断できない理由

THDは基本波を基準とする割合です。そのため、負荷電流が非常に小さい状態では、実際の高調波電流が小さくてもTHD-Iが大きく表示される場合があります。

例えば、基本波が2A、高調波が1AならTHDは50%ですが、基本波が100A、高調波が20AならTHDは20%です。後者の方が実際に流れている高調波電流は大きくなります。

設備への影響を評価する際は、THDだけでなく、各次数の電流値、基本波電流、設備容量、運転状態を併せて確認します。

各次数の確認

THDは波形ひずみ全体を一つの数値で示すため、どの次数が大きいかは分かりません。原因を調べるには、第3、第5、第7など各次数の値を確認します。

単相の電子機器が多い設備では第3高調波、三相整流負荷では第5、第7高調波などが現れやすい傾向があります。対象次数は負荷の回路方式によって異なります。

設備への影響

高調波が増えると、基本波だけで運転している場合より配線や変圧器の実効電流が増え、発熱や損失が大きくなることがあります。

  • 変圧器、配線、リアクトルの温度上昇
  • 進相コンデンサの過熱・損傷
  • 三相4線式回路の中性線電流増加
  • モーターの振動、騒音、損失増加
  • 計測・制御・通信機器の誤動作

設備増設後に温度上昇や異音が発生した場合は、負荷電流とともにTHDや各高調波次数を確認します。

THDの測定方法

高調波計測に対応した電力計測器や電源品質測定器を使用し、電圧・電流波形を一定周期でサンプリングして演算します。

設備全体を見る場合は受電点や変圧器二次側、発生源を見る場合はインバーターや負荷回路の入力側で測定します。負荷率によってTHDが変わるため、通常運転、最大負荷、軽負荷など複数条件で確認します。

測定時の注意点

CTや計測器の周波数特性が不足すると、高次高調波を正しく測定できません。確認したい次数に対応する測定帯域があるかを確認します。

インバーター出力側は高速スイッチング波形であり、一般的な商用電源向け計測器では正確に測定できない場合があります。測定目的に適した機器を選定します。

異常値が見つかった場合の確認

THD-Iが高い場合は、運転しているインバーター、電源装置、LED照明などを確認します。設備を順に停止した際の変化を比較すると、主な発生源を特定しやすくなります。

THD-Vが高い場合は、受電点と各分岐回路を比較し、高調波電流が流れる経路、変圧器容量、配線インピーダンス、進相コンデンサなどを確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、高調波計測に対応した機器を用いて、THD、次数別高調波、電圧、電流、電力、力率を監視する構成を検討します。

現在値の表示、上限警報、通信、データ保存を組み合わせ、設備増設前後の比較、異常傾向の把握、保全判断に活用できます。

よくある質問

Q. THDが高いと必ず設備に異常がありますか?

A. 必ずしも異常とは限りません。負荷電流が小さい場合は、実際の高調波電流が小さくてもTHDが高く表示されます。

Q. THD-VとTHD-Iはどちらを測ればよいですか?

A. 発生源の確認にはTHD-I、電源系統や他設備への影響確認にはTHD-Vが重要です。可能であれば両方を測定します。

Q. THDだけで高調波対策を選定できますか?

A. 各次数、高調波電流値、負荷方式、系統構成も確認して対策を検討する必要があります。

Q. インバーターを追加するとTHDは増えますか?

A. 増える場合がありますが、インバーターの回路方式、リアクトル、負荷率によって異なります。

Q. THDを継続的に記録できますか?

A. 対応する計測器と通信・保存機能を組み合わせ、時間変化を記録する構成を検討できます。

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