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太陽光ストリング監視

(たいようこうストリングかんし)

太陽光ストリング監視とは、太陽光パネルを直列接続したストリングごとに、直流電流などを計測し、発電状態の違いや異常兆候を監視することです。パワーコンディショナ単位の総発電量だけでは見つけにくい、特定ストリングの発電低下を把握するために利用します。

太陽光発電設備では、多数のストリングが並列に接続されています。一部のストリングで断線、影、汚れ、パネル故障などが発生しても、他のストリングが発電を続けるため、設備全体の発電量だけでは異常を発見しにくい場合があります。

ストリングとは

ストリングとは、複数枚の太陽光パネルを直列に接続した回路単位です。パネルを直列に接続すると電圧が加算され、各ストリングは接続箱や集電箱で並列にまとめられます。

同じ仕様、同じ枚数、同じ設置条件のストリングであれば、日射条件が同じときには近い電流が流れることが期待されます。

この性質を利用し、ストリング間の電流差を比較して異常兆候を確認します。

監視する主な項目

  • ストリングごとの直流電流
  • 接続箱または計測点の直流電圧
  • 日射量
  • パネル温度や周囲温度
  • 接点状態や機器警報
  • 発電量の時間変化

電流だけでなく、日射量や温度も併せて記録すると、天候による発電低下と設備異常を区別しやすくなります。

ストリング監視の仕組み

ストリングごとの直流配線へ電流センサを取り付け、計測ユニットで各電流を測定します。計測値はRS-485などの通信を通じて監視装置や上位パソコンへ送信します。

監視装置では、各ストリングの電流、平均値、最大値、最小値、前日値などを比較します。設定した条件から外れた場合には、警報や異常候補として表示します。

ストリング間比較

同一条件のストリング間で、特定の回路だけ電流が低い場合は、異常が発生している可能性があります。

例えば、各ストリングの平均電流を基準として、一定割合以上低いストリングを抽出する方法があります。

偏差率=(対象ストリング電流-基準電流)÷基準電流×100

ただし、設置方位、傾斜角、影、パネル枚数、パネル仕様が異なるストリングを単純に比較すると、正常な差を異常と判定する可能性があります。

検知できる可能性がある異常

  • ストリング配線の断線
  • コネクタの接触不良
  • ヒューズ切れ
  • パネル故障
  • 部分的な影
  • パネル表面の著しい汚れ
  • 積雪や落葉による遮光
  • バイパスダイオードの異常

電流低下から異常の兆候を発見できますが、測定値だけで原因を自動的に特定できるとは限りません。現地での外観点検、電圧測定、絶縁測定などが必要になる場合があります。

日射変動への対応

太陽光発電の電流は、日射量によって短時間に変化します。雲が流れているときには、設備が正常でも電流値が大きく上下します。

異常判定では、瞬時値だけでなく、一定時間の平均値、同一時刻のストリング間比較、日射量との関係を使用します。

早朝、夕方、雨天など発電量が小さい時間帯は、電流差の割合が大きくなりやすいため、判定対象から外す場合があります。

影や設置条件の影響

建物、電柱、樹木、架台などの影が特定のストリングだけにかかると、正常設備でも電流差が生じます。

季節や時刻によって影の位置が変わるため、毎日同じ時間帯に繰り返す低下は、影による可能性があります。

監視システムへ設置条件や既知の影を登録し、異常判定条件をストリングごとに調整する方法があります。

計測機器の選定

選定時には、ストリング数、最大直流電流、最大直流電圧、センサ方式、通信方式などを確認します。

既設設備へ後付けする場合は、接続箱内部の取付スペース、配線の取り回し、停電作業の可否、耐熱性なども確認します。

直流回路は交流と異なり、遮断時にもアークが継続しやすいため、作業は設備の安全手順に従って行います。

警報設定

異常判定値を厳しく設定しすぎると、雲、影、センサ誤差によって警報が多発します。緩すぎると小さな異常を見逃す可能性があります。

運転開始後の正常データを収集し、設備ごとのばらつきを確認してから、警報値と継続時間を調整します。

電流が一定時間ゼロになった場合の断線警報と、平均値から徐々に低下した場合の劣化警報を分ける方法もあります。

異常が表示されたときの確認

まず、同じ時間帯の他ストリング、日射量、天候、影の状態を確認します。次に、計測センサ、配線、通信異常の有無を確認します。

現地点検では、ヒューズ、コネクタ、配線、パネル表面、接続箱などを確認します。必要に応じてストリング電圧、絶縁抵抗、サーモグラフィなどを使用します。

保守への活用

ストリング監視では、完全に発電しなくなった異常だけでなく、以前より発電量が低下している回路を抽出できます。

点検対象を絞り込むことで、大規模な太陽光発電所における巡回作業を効率化できます。

清掃や部品交換の前後で測定値を比較すると、保守作業の効果も確認できます。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、ストリング計測ユニットを使用し、直流電圧と複数ストリングの直流電流を計測して、RS-485通信により上位システムへ伝送する構成を検討します。

ストリング数、電流範囲、電圧、通信方式、接続箱の構造などを確認し、設備条件に合わせて構成します。

よくある質問

Q. ストリング監視で故障原因まで分かりますか?

A. 異常が疑われるストリングを特定できますが、原因の確定には現地点検や追加測定が必要な場合があります。

Q. 雲による発電低下を異常と判定しませんか?

A. 同時刻のストリング間比較や継続時間を利用することで、天候変動による誤判定を抑えます。

Q. すべてのストリングが同じ電流になりますか?

A. パネル、配線、影、方位、温度などによって差が生じます。設備ごとの正常なばらつきを考慮します。

Q. 既設の太陽光発電設備へ後付けできますか?

A. 接続箱のスペース、配線、電流範囲、通信経路などの条件によって対応できる場合があります。

Q. ストリング監視だけで発電所全体を監視できますか?

A. 詳細な回路監視に有効ですが、パワーコンディショナ、日射、系統、通信などの監視も組み合わせます。

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