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無効電力・無効電力量
(むこうでんりょく・むこうでんりょくりょう)
無効電力・無効電力量とは、交流回路において、モーターや変圧器の磁界をつくるために電源と負荷の間を往復する電力と、その一定期間の積算値です。無効電力はvar(バール)やkvar(キロバール)、無効電力量はvarhやkvarhで表します。
無効電力は、モーターを回転させる、ヒーターで熱を発生させるといった実際の仕事には直接使われません。しかし、無効電力が大きくなると、同じ有効電力を使用する場合でも流れる電流が増え、配線、変圧器、受電設備の負担や電力損失が増加します。
ハカルプラスでは、有効電力、無効電力、皮相電力、力率を計測し、表示、警報、データ保存、進相コンデンサの制御などへ活用する機器・システムを検討します。
無効電力が発生する仕組み
交流回路では、電圧と電流の大きさだけでなく、両者の波形の時間的なずれである位相差が生じることがあります。
抵抗負荷では、電圧と電流がほぼ同じタイミングで変化し、供給された電力の多くが熱などの仕事に利用されます。一方、モーター、変圧器、リアクトルなどの誘導性負荷では、磁界をつくるために電流の位相が電圧より遅れます。
この位相差によって、負荷で消費される有効電力とは別に、電源と負荷の間を往復する無効電力が発生します。
無効電力と無効電力量の違い
無効電力は、ある時点で発生している無効分の大きさを示します。設備の運転状態や進相コンデンサの投入状態をリアルタイムで確認するために使用します。
無効電力量は、無効電力を時間に沿って積算した値です。どの時間帯に無効電力が多かったか、力率改善設備が一定期間にどの程度機能したかを分析する際に利用できます。
無効電力量だけで設備状態を判断するのではなく、有効電力量、力率、運転時間と合わせて確認することが重要です。
有効電力・無効電力・皮相電力
交流設備の電力には、主に次の三つがあります。
- 有効電力:モーターの回転や発熱など、実際の仕事に使用される電力
- 無効電力:磁界などをつくるため、電源と負荷の間を往復する電力
- 皮相電力:電圧と電流から求められる、設備全体の電力容量
有効電力はW、無効電力はvar、皮相電力はVAで表します。変圧器、発電機、配線などの容量は、実際に流れる電流と関係する皮相電力を考慮して選定します。
力率との関係
力率は、皮相電力のうち、どの程度が有効電力として利用されているかを示す値です。無効電力が大きくなると、一般に力率は低下します。
例えば、同じ100kWの有効電力を使用する設備でも、力率が低い設備ではより大きな電流が流れます。その結果、配線での電力損失が増え、変圧器や遮断器の容量にも余裕が必要になります。
ただし、力率が低い原因は負荷の種類や運転状態によって異なります。計測値を確認せずにコンデンサを追加すると、過補償になる場合があります。
進相コンデンサによる補償
モーターなどが発生させる遅れ無効電力は、進相コンデンサが発生させる進み無効電力によって打ち消すことができます。これにより、受電点から供給される無効電力を減らし、力率を改善します。
負荷が一定の場合は固定式コンデンサを使用できますが、設備の運転台数や負荷が変動する場合は、複数段のコンデンサを自動で投入・遮断する方式を検討します。
軽負荷時にコンデンサを投入しすぎると進み力率となり、電圧上昇や設備への悪影響につながる可能性があります。現在の無効電力や力率を確認しながら制御することが重要です。
無効電力を計測する目的
無効電力を計測すると、次のような状態を把握できます。
- モーターや変圧器による無効電力の発生量
- 進相コンデンサ投入前後の補償効果
- 設備の運転台数に対する力率の変化
- コンデンサや開閉器の故障・容量低下
- 進み力率や過補償の発生
有効電力だけでは、負荷が実際に必要としている電気設備容量を十分に把握できない場合があります。無効電力と皮相電力を併せて計測することで、受配電設備の利用状況を詳しく確認できます。
無効電力量の活用
無効電力量を時間帯別、日別、月別に保存すると、設備の稼働状況と無効電力の発生傾向を比較できます。
例えば、夜間や休日にも無効電力量が増加している場合は、停止中の設備に進相コンデンサが接続されたままになっている可能性があります。また、同じ生産量でも無効電力量が増加していれば、力率改善設備の状態を点検するきっかけになります。
高調波がある設備での注意点
インバーターやスイッチング電源が多い設備では、電圧・電流波形に高調波が含まれます。波形がひずんでいる場合、単純な位相差だけでは電力状態を正確に表せないことがあります。
進相コンデンサと系統のリアクタンスが共振すると、高調波電流が増加し、コンデンサの過熱や故障につながる可能性があります。高調波を含む設備では、リアクトル付きコンデンサや高調波対策機器の採用を検討します。
計測時の確認事項
無効電力を正しく演算するには、電圧相と電流相の対応、CTの向き、配電方式を正しく設定する必要があります。
相の組合せやCT方向を間違えると、遅れ・進みの判定が逆になったり、無効電力が不自然な値になったりします。設置後は、有効電力、無効電力、皮相電力、力率の関係を確認します。
設備によっては、回生運転や発電設備から系統側へ電力が戻る場合があります。受電・送電、遅れ・進みを区別して計測できる機器を選定します。
異常監視への活用
進相コンデンサを投入しても無効電力が減少しない場合は、コンデンサ容量の低下、ヒューズ切れ、開閉器の動作不良などが考えられます。
反対に、負荷停止後も進み無効電力が大きい場合は、コンデンサが切り離されていない可能性があります。上限・下限や力率の範囲を設定し、一定時間継続した場合に警報を出すことで、異常の早期発見に利用できます。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、有効電力、無効電力、皮相電力、力率、各積算値を計測する電力計測機器を設計・開発してきました。
電圧入力、CT、計測演算、表示回路、警報出力、通信機能を組み合わせ、設備別の無効電力監視や力率管理を検討します。
複数段の進相コンデンサを負荷状態に応じて投入・遮断する力率制御についても、目標力率、負荷変動、投入間隔、過補償防止などを確認して構成します。
よくある質問
Q. 無効電力は無駄に消費される電力ですか?
A. 実際の仕事には直接使われませんが、モーターや変圧器が磁界をつくるために必要となる電力です。
Q. 無効電力が大きいと何が問題になりますか?
A. 同じ有効電力でも電流が増え、配線損失や受配電設備の負担が大きくなります。
Q. 進相コンデンサを増やせば力率は高くなりますか?
A. 改善できますが、投入しすぎると進み力率となるため、負荷に合わせた容量と制御が必要です。
Q. 無効電力量を記録するメリットは何ですか?
A. 時間帯ごとの無効電力発生量や、力率改善設備の効果・異常を長期的に確認できます。
Q. 既設設備でも無効電力を計測できますか?
A. 電圧入力とCTを設置できれば、既設設備へ計測機器を追加できる場合があります。
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