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ノイズフィルタ回路

(ノイズフィルタかいろ)

ノイズフィルタ回路とは、電源線、信号線、通信線などへ重なった不要な高周波成分や瞬間的な変動を減衰させ、必要な信号だけを通過させる回路です。電子機器の誤動作、計測値の変動、通信エラー、周辺機器への電磁妨害を低減するために使用されます。

ノイズには、外部から機器へ侵入するノイズと、機器内部のスイッチング回路などから外部へ放出されるノイズがあります。ノイズ源、伝達経路、影響を受ける回路を確認し、適切な位置へフィルタを設けることが重要です。

ハカルプラスでは、電源、アナログ入力、パルス入力、通信回路などの特性を確認し、必要な信号帯域と応答速度を保ちながらノイズを抑える回路を検討します。

ノイズの主な発生源

  • インバーター、サーボアンプ、スイッチング電源
  • モーター、接触器、リレー、電磁弁
  • ヒーターや大電流負荷の開閉
  • 無線機器や高周波装置
  • 雷サージ、静電気放電
  • デジタル回路の高速クロック

ノイズ源と信号配線が近いほど、電磁誘導や静電結合によって影響を受けやすくなります。

伝導ノイズと放射ノイズ

配線や電源線を通って伝わるノイズを伝導ノイズ、空間を電磁波として伝わるノイズを放射ノイズと呼びます。

ノイズフィルタ回路は主に伝導ノイズへ有効ですが、配線配置、シールド、筐体構造と組み合わせることで放射ノイズも低減します。

ローパスフィルタ

ローパスフィルタは、低い周波数の信号を通し、高い周波数成分を減衰させます。温度、重量、圧力など、ゆっくり変化するアナログ信号のノイズ除去に使用されます。

抵抗とコンデンサを組み合わせたRCローパスフィルタが代表的です。

RCフィルタ

RCフィルタは、抵抗RとコンデンサCによって構成されます。遮断周波数は次の式で概算できます。

遮断周波数=1÷(2πRC)

抵抗値または容量を大きくすると、より低い周波数から減衰しますが、信号応答も遅くなります。

ハイパスフィルタ

ハイパスフィルタは、直流や低周波成分を減衰させ、高い周波数を通過させます。

直流オフセットを除去して交流成分だけを測定する回路や、音声信号、振動信号などに使用されます。

バンドパス・バンドストップフィルタ

特定の周波数帯域だけを通す回路をバンドパスフィルタ、特定帯域だけを減衰させる回路をバンドストップフィルタと呼びます。

商用電源の50Hz・60Hzノイズを抑えるノッチフィルタは、バンドストップフィルタの一種です。

電源ラインフィルタ

交流電源や直流電源へ重なった高周波ノイズを抑えるため、コイル、コンデンサ、コモンモードチョークなどを使用します。

機器内部から電源線へ流出するノイズと、外部から侵入するノイズの両方を低減します。フィルタは電源入口付近へ配置します。

コモンモードノイズ

複数の線へ同じ方向・同じ位相で現れるノイズをコモンモードノイズと呼びます。配線と接地・筐体間を流れる電流が原因となります。

コモンモードチョークや対地コンデンサを使用して減衰させます。接地構造が不適切だと十分な効果を得られません。

ノーマルモードノイズ

二本の電源線や信号線の間に現れるノイズをノーマルモードノイズまたはディファレンシャルモードノイズと呼びます。

線間コンデンサや直列インダクタを使用して減衰させます。負荷電流による電圧降下と部品発熱を確認します。

XコンデンサとYコンデンサ

交流電源フィルタでは、線間に接続する安全規格対応コンデンサをXコンデンサ、電源線と接地間へ接続するものをYコンデンサと呼びます。

一般的なコンデンサで代用せず、使用電圧と安全規格に適合した部品を使用します。Yコンデンサは漏れ電流へ影響するため、容量に注意します。

フェライトビーズ

フェライトビーズは、高周波領域でインピーダンスが大きくなり、信号線や電源線の高周波ノイズを減衰させます。

低周波や直流への影響を小さくしながら、高周波成分を熱として吸収します。直流重畳電流による特性変化も確認します。

信号入力のフィルタ

接点入力やセンサ入力では、短時間のノイズパルスを除去するためRCフィルタやシュミットトリガを使用します。

フィルタ時間を長くすると誤入力は減りますが、短い正常信号も検出できなくなります。信号の最小ON時間・OFF時間を確認します。

アナログ計測のフィルタ

ロードセル、温度センサ、4~20mA入力などでは、ローパスフィルタによって高周波ノイズを除去します。

A/D変換前のアナログフィルタと、変換後の移動平均などのデジタルフィルタを組み合わせます。アナログ側ではエイリアシング防止も考慮します。

通信線のフィルタ

通信線へ過大な容量を接続すると、信号波形が鈍り、通信エラーが増える可能性があります。

通信速度、特性インピーダンス、終端抵抗を確認し、専用のコモンモードチョークやサージ保護素子を使用します。

フィルタの配置

ノイズが基板内部へ広がってからフィルタしても効果が小さくなる場合があります。外部配線から侵入するノイズは、コネクタや端子台の近くで除去します。

電源フィルタの入力側と出力側の配線を近づけると、フィルタを迂回してノイズが結合するため、配線を分離します。

接地との関係

対地コンデンサやシールドを使用する場合、ノイズ電流を逃がす低インピーダンスの接地経路が必要です。

細く長い接地線は高周波ではインピーダンスが大きくなります。筐体へ短く広い面で接続するなど、周波数特性を考慮します。

応答速度とのバランス

ノイズを強く除去するほど、信号変化への応答が遅くなります。温度表示では問題にならなくても、モーター保護や高速計量では遅れが影響します。

表示用データと制御用データで異なるフィルタを使う方法もあります。

部品定格

コンデンサやコイルには、使用電圧、電流、周波数、温度の定格があります。

電源ラインでは突入電流やサージ、直流ラインではコイルの飽和と発熱を確認します。部品の直流抵抗による電圧降下も考慮します。

フィルタの共振

コイルとコンデンサを組み合わせると、条件によっては特定周波数で共振し、ノイズを増幅する場合があります。

回路シミュレーションや実測を行い、必要に応じて抵抗を追加して共振を抑えます。

異常時の確認

ノイズが改善しない場合は、フィルタ定数だけでなく、ノイズ源、配線経路、接地、シールドを確認します。

信号応答が遅い場合は、フィルタの遮断周波数、ソフトウェア平均化、入力容量を点検します。フィルタ部品の破損や接地不良も確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、ノイズの発生源、周波数、侵入経路、必要な信号帯域を確認し、RCフィルタ、コモンモードチョーク、フェライトなどを選定します。

回路設計、基板配置、配線、接地、シールドを組み合わせ、計測精度とEMC性能を両立するノイズ対策を検討します。

よくある質問

Q. コンデンサを大きくすればノイズは必ず減りますか?

A. 高周波ノイズは減りやすくなりますが、信号応答が遅れたり通信波形が崩れたりする場合があります。

Q. 電源フィルタはどこへ取り付けますか?

A. 外部電源が機器へ入る入口付近へ配置し、入力側と出力側の配線を分離します。

Q. ソフトウェアの平均化だけで十分ですか?

A. 高周波ノイズやエイリアシングには、A/D変換前のアナログフィルタも必要です。

Q. フィルタを入れると信号が遅れますか?

A. フィルタ定数に応じて応答が遅れるため、必要な制御速度を確認して設計します。

Q. 既設機器のノイズ対策もできますか?

A. 配線、接地、信号波形、ノイズ源を確認し、外付けフィルタや回路変更を検討できます。

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