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バックアップ電源回路
(バックアップでんげんかいろ)
バックアップ電源回路とは、主電源が停電・低下した場合に、バッテリー、スーパーキャパシタ、UPSなどの予備電源へ切り替え、制御回路、時計、通信、データ保存などを一定時間継続するための回路です。
バックアップ対象は、設備全体とは限りません。安全停止やデータ保存に必要なPLC、マイコン、通信機器、センサだけを対象とすることで、必要容量と装置規模を抑えられます。
ハカルプラスでは、停電時に継続する機能、必要時間、消費電力、保守周期を確認し、電源切替、充電、逆流防止、残量監視を含む回路を検討します。
バックアップ電源の目的
- 停電時に設定値や積算値を保存する
- PLCやマイコンを安全停止させる
- 通信機器から停電通知を送信する
- RTCやメモリの日時・データを保持する
- 短時間の瞬低中も制御を継続する
- 重要機器を一定時間運転する
バックアップ対象の選定
モーター、ヒーター、ポンプなどの大電力負荷までバックアップすると、大容量の電池やUPSが必要です。
安全停止とデータ保存が目的であれば、制御電源、PLC、タッチパネル、通信機器などに対象を限定します。停電時に何を残し、何を停止するかを明確にします。
必要容量の考え方
必要なエネルギーは、消費電力と保持時間から概算できます。
必要エネルギー=負荷電力×保持時間
実際には、電源変換効率、電池劣化、低温時容量低下、余裕率を加えます。
バックアップ電池
鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、一次電池などが使用されます。
長時間保持には電池が適していますが、充電制御、寿命、交換、温度、安全性を考慮する必要があります。電池種類に合った充電回路を使用します。
スーパーキャパシタ
スーパーキャパシタは、大きな静電容量を持ち、短時間のバックアップに適した部品です。繰返し充放電に強く、電池交換を減らしやすい点が特長です。
一方、放電に伴って電圧が連続的に低下します。必要な最低電圧を維持するため、昇降圧電源回路を組み合わせることがあります。
UPS
UPSは、停電時に蓄電池から交流または直流電源を供給する装置です。産業用コンピュータ、ネットワーク機器、PLC盤などのバックアップに使用されます。
負荷容量、出力波形、切替時間、周囲温度、電池交換周期を確認します。設備停止信号や残容量信号をPLCへ取り込む構成も有効です。
主電源と予備電源の切替
主電源が正常な間は主電源を使用し、電圧低下時に予備電源へ切り替えます。
ダイオードOR回路、理想ダイオードIC、リレー、MOSFETなどを利用します。切替時の電圧低下が制御機器の許容範囲内であることを確認します。
ダイオードOR回路
主電源と予備電源のそれぞれへダイオードを接続し、電圧の高い側から負荷へ電流を供給する方式です。
構成は簡単ですが、ダイオードの順方向電圧による電圧降下と発熱があります。低電圧・大電流用途ではMOSFET方式を検討します。
逆流防止
主電源からバックアップ電池へ意図しない電流が流れたり、予備電源から主電源系統へ逆流したりしないようにします。
充電経路と負荷供給経路を分け、ダイオード、MOSFET、電源切替ICなどで逆流を防止します。
充電回路
充電式電池を使用する場合は、定電流、定電圧、温度監視など、電池種類に合った充電制御が必要です。
誤った充電方式は、容量低下、発熱、膨張、発火につながる可能性があります。セル数、最大電圧、充電電流を確認します。
過充電・過放電保護
電池を充電しすぎると劣化や安全上の問題が生じ、放電しすぎると再充電できなくなる場合があります。
保護IC、バッテリーマネジメント回路、電圧監視を使用し、上限・下限電圧で充放電を停止します。
停電検出との連携
停電検出回路から信号を受けると、バックアップ運転へ移行し、不要な負荷を停止します。
タッチパネルのバックライト、無線通信、外部出力などを停止し、データ保存に必要な回路だけへ電力を供給すると保持時間を延ばせます。
負荷遮断
バックアップ電源の容量を有効に使うため、停電時に優先度の低い負荷を切り離します。
MOSFET、リレー、ロードスイッチICなどを使用し、制御回路、通信、記録機能の順に優先度を設定します。
残容量の監視
電池電圧、電流、温度、充放電量から残容量を推定します。
一定以下になった場合は警報を出し、保持可能時間が不足する前に計画交換を行います。単純な電圧監視だけでは、負荷や温度による影響を受ける場合があります。
電池劣化
電池は、使用年数、充放電回数、温度によって容量が低下します。停電が少なくても、常時充電状態での経年劣化が進みます。
定期的な容量試験、交換時期管理、内部抵抗監視を行います。高温の制御盤内では寿命が短くなる傾向があります。
低温時の性能
電池は低温時に使用可能容量や出力能力が低下する場合があります。屋外盤、冷凍倉庫などでは、最低使用温度で必要時間を確保できるか確認します。
必要に応じてヒーター、断熱、低温対応電池を選定します。
復電時の動作
主電源が復帰した場合は、電圧が安定したことを確認して主電源へ戻します。
負荷運転と電池充電を同時に開始すると電源容量を超える場合があるため、負荷起動と充電開始の順序を制御します。
停電中の通信
停電情報を遠隔へ通知する場合は、通信機器とルーターなどもバックアップ対象とする必要があります。
機器側だけが動作しても、上位ネットワーク設備が停止していれば通知できません。通信経路全体を確認します。
データ保存
バックアップ時間中に、不揮発性メモリやSDカードへ必要なデータを保存します。
書込み完了後は、制御回路を低消費電力状態へ移行するか、電源を安全に遮断します。
自己診断
バックアップ電源電圧、充電状態、電池接続、温度を定期的に監視します。
模擬的に主電源を遮断し、実際にバックアップへ切り替わるかを試験する機能を設ける場合もあります。
異常時の確認
停電時にすぐ停止する場合は、電池容量、接続、切替回路、負荷電流を確認します。充電されない場合は、充電電圧、保護回路、電池温度を点検します。
主電源復帰後も予備電源のままの場合は、復電判定、切替素子、逆流防止回路を確認します。
保守と交換
電池端子の緩み、腐食、膨張、液漏れ、温度を点検します。交換年月と次回交換予定を記録します。
交換時には、電圧、容量、化学方式、コネクタ極性が適合することを確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、停電時に必要な機能と保持時間を整理し、電池、スーパーキャパシタ、UPSなどを選定します。
停電検出、電源切替、充電、残量監視、データ保存、復電処理を組み合わせたバックアップ電源回路を検討します。
よくある質問
Q. 設備全体をバックアップする必要がありますか?
A. 安全停止とデータ保存が目的であれば、PLCや通信機器など必要な負荷だけに限定できます。
Q. 電池とスーパーキャパシタはどちらがよいですか?
A. 長時間保持には電池、短時間で頻繁な充放電にはスーパーキャパシタが適する場合があります。
Q. バックアップ電池の交換時期を検出できますか?
A. 電圧、内部抵抗、容量試験、使用期間から交換時期を管理できます。
Q. 停電時に遠隔通知できますか?
A. 通信機器と通信経路がバックアップされていれば通知できます。
Q. 既設装置へバックアップ電源を追加できますか?
A. 負荷容量、電源電圧、盤内スペース、必要保持時間を確認し、追加できる場合があります。