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サージ保護回路
(サージほごかいろ)
サージ保護回路とは、雷、電磁接触器、モーター、リレーなどによって発生する一時的な高電圧や大電流から、電子回路や制御機器を保護する回路です。サージは継続時間が短くても、半導体、電源回路、通信回路、センサ入力を破損させる可能性があります。
サージの発生源、電圧、エネルギー、極性、伝わる経路によって必要な対策は異なります。保護素子を一つ追加するだけでは十分でない場合があり、配線、接地、絶縁、筐体を含めた設計が必要です。
ハカルプラスでは、電源入力、接点入力、アナログ入力、通信線などの条件を確認し、保護素子と回路構成を組み合わせたサージ対策を検討します。
サージが発生する主な原因
産業設備で発生するサージには、外来サージと内部サージがあります。
- 落雷による雷サージ
- 電磁接触器やリレーコイルの遮断
- モーターやソレノイドなど誘導負荷の開閉
- 電源系統の切替えや遮断器動作
- 静電気放電
- 長い配線に誘導される過渡電圧
雷が設備へ直接落ちなくても、近傍への落雷による誘導や、接地電位の上昇によって機器へサージが侵入する場合があります。
誘導負荷で発生するサージ
リレー、接触器、ソレノイド、モーターなどのコイルへ流れる電流を急に遮断すると、電流を維持しようとする作用によって高い逆起電力が発生します。
この電圧は、接点のアーク、半導体出力の破損、周辺回路の誤動作を引き起こします。そのため、負荷の種類と電源方式に合わせてサージ吸収素子を接続します。
主な保護素子
- バリスタ:一定電圧を超えると抵抗が低下し、サージを吸収
- TVSダイオード:高速に動作し、電圧を一定範囲へ制限
- ツェナーダイオード:低エネルギーの電圧制限に使用
- ガス放電管:大きなサージ電流を放電
- RCスナバ回路:接点開閉時の電圧変化やアークを抑制
- フライホイールダイオード:直流コイルの逆起電力を吸収
各素子は、応答速度、制限電圧、吸収エネルギー、繰返し耐量が異なります。複数段で組み合わせる場合もあります。
直流コイルの保護
直流リレーやソレノイドでは、コイルと並列にフライホイールダイオードを接続する方法が一般的です。通常通電時には電流が流れず、遮断時の逆起電力をコイル内で循環させます。
ただし、コイル電流がゆっくり減少するため、リレーやソレノイドの復帰時間が長くなる場合があります。高速復帰が必要な場合は、TVSダイオードやツェナーダイオードを組み合わせます。
交流コイル・接点の保護
交流コイルでは、極性のある一般的なダイオードは使用できません。バリスタやRCスナバを使用します。
接点と並列にRCスナバを接続すると、開閉時の電圧上昇とアークを抑えられます。ただし、OFF時にも微小な漏れ電流が流れるため、小容量負荷やPLC入力では誤動作しないか確認します。
電源入力のサージ対策
交流電源入力では、SPD、バリスタ、ガス放電管、ヒューズ、ノイズフィルタなどを組み合わせます。サージ電流を安全に逃がすには、保護素子から接地までの配線を短くすることが重要です。
保護素子の制限電圧が高すぎると下流回路を守れず、低すぎると通常の電源変動で動作する可能性があります。定格電圧、最大連続使用電圧、絶縁耐圧を確認します。
信号線・通信線の保護
屋外センサや離れた建屋間の信号線には、雷サージが侵入する可能性があります。4~20mA、接点信号、RS-485、Ethernetなど、信号方式に対応した保護素子を使用します。
信号電圧や通信周波数に対して保護素子の静電容量が大きすぎると、信号波形が劣化します。通信速度と回路インピーダンスを考慮して選定します。
絶縁との組み合わせ
サージを一定電圧へ制限するだけでなく、フォトカプラ、絶縁アンプ、絶縁型DC-DCコンバータなどを用いて、外部回路から内部回路への侵入経路を分離する方法があります。
ただし、絶縁部品にも耐圧や沿面距離の限界があります。基板パターン、コネクタ、筐体、接地を含めて必要な絶縁性能を確保します。
基板設計上の注意点
サージ保護素子は、外部端子の近くへ配置し、サージ電流が内部回路を通らないようにします。保護素子から接地やリターンまでの配線が長いと、配線インダクタンスによって制限電圧が上昇します。
保護対象の信号線と、サージ電流が流れるパターンを分離します。大電流が流れる経路には必要なパターン幅を確保し、発熱や焼損を防止します。
保護素子の劣化
バリスタなどの保護素子は、サージを繰り返し吸収することで劣化します。外観に異常がなくても、動作電圧や漏れ電流が変化する場合があります。
大きなサージを受けた可能性がある場合や、定期交換が指定されている場合は、保護素子やSPDを点検・交換します。劣化表示接点を持つSPDでは、警報として監視できます。
異常発生時の確認
電子機器が突然故障した場合は、故障部品だけでなく、電源系統、接地、屋外配線、誘導負荷、雷発生時刻を確認します。
リレーやソレノイドの動作時だけPLCがリセットする場合は、コイルのサージ対策、電源分離、配線経路を点検します。同じ故障が繰り返される場合は、サージの侵入経路が残っている可能性があります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、電源電圧、負荷の種類、配線長、設置環境、信号方式を確認し、バリスタ、TVSダイオード、スナバ回路、絶縁回路などを選定します。
回路設計、基板設計、制御盤設計、配線、接地を含め、サージによる故障や誤動作を低減する構成を検討します。
よくある質問
Q. サージとノイズは同じですか?
A. サージは一時的な高電圧・大電流を指し、ノイズはより広い周波数成分を持つ不要信号を含みます。対策方法は一部異なります。
Q. バリスタを付ければ雷対策は十分ですか?
A. サージの大きさや侵入経路によっては不十分です。SPD、接地、絶縁、配線を含めた対策が必要です。
Q. 直流リレーにはどの保護素子を使いますか?
A. フライホイールダイオードが一般的ですが、復帰速度が必要な場合はTVSダイオードなども検討します。
Q. サージ保護素子は交換が必要ですか?
A. サージを繰り返し受けると劣化するため、点検や交換が必要になる場合があります。
Q. 既設制御盤へサージ対策を追加できますか?
A. 電源、信号線、接地、設置スペースを確認し、SPDや保護回路を追加できる場合があります。