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アナログ回路

(アナログかいろ)

アナログ回路とは、電圧や電流が連続的に変化するアナログ信号を、増幅、変換、ろ過、演算するための電子回路です。

温度、圧力、光、音、振動、重量など、実際の物理量の多くは連続的に変化します。これらをセンサで電気信号へ変換し、マイコンやA/Dコンバータで扱える状態へ整えることが、アナログ回路の主な役割です。

ハカルプラスでは、ロードセルなどから出力される微小信号の増幅、ノイズ除去、絶縁、基準電圧の生成、A/D変換前の信号調整など、計測・計量機器に必要なアナログ回路を設計しています。

アナログ回路の主な役割

センサから出力される信号は、そのままではマイコンや計測器へ入力できない場合があります。信号が小さい、オフセットを含む、ノイズが重なっている、入力可能な電圧範囲と合わないなど、センサごとに条件が異なるためです。

  • 微小な電圧・電流の増幅
  • 不要な周波数成分の除去
  • A/Dコンバータの入力範囲への変換
  • センサへの安定した電源・励起電圧の供給
  • オフセットや感度の補正
  • 外部回路との電気的な絶縁
  • 過電圧・静電気などからの入力保護

センサ信号を後段の回路で扱いやすい状態へ整える部分は、アナログフロントエンドとも呼ばれます。

微小信号の増幅

ロードセルや熱電対などのセンサでは、数mV以下の微小な信号を扱うことがあります。この信号をA/Dコンバータの入力範囲まで拡大するため、オペアンプ、計装アンプ、差動増幅回路などを使用します。

入力電圧をVin、出力電圧をVoutとすると、電圧増幅率Avは次の式で表せます。

Av=Vout÷Vin

例えば、10mVの信号を2Vまで増幅する場合、必要な増幅率は200倍です。

ただし、増幅率を高くすると、測定信号だけでなく、ノイズ、入力オフセット、温度変化なども拡大されます。必要な信号範囲と精度を確認し、増幅率を複数段に分けることもあります。

差動入力と同相信号の除去

センサの両端に現れる電圧差だけを測定したい場合は、差動増幅回路を使用します。

差動入力は、2本の信号線へ共通して重なったノイズを除去しやすいため、ロードセルなどの微小信号計測に適しています。

ただし、配線や抵抗値のバランスが崩れると、共通ノイズを十分に除去できません。増幅器の同相信号除去性能だけでなく、基板パターン、入力抵抗、配線方法も重要です。

アナログ回路で問題となるノイズ

熱雑音

抵抗や半導体内部の電子運動によって発生するノイズです。抵抗値、温度、回路が扱う周波数帯域が大きくなるほど増加します。

抵抗の熱雑音電圧の実効値Vnは、概念的には次の式で表せます。

Vn=√(4kTRB)

kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Rは抵抗値、Bは周波数帯域です。不要な帯域を制限することが、ノイズ低減に有効であることを示しています。

フリッカノイズ

主に半導体で発生する低周波領域のノイズです。重量や温度のように、直流またはゆっくり変化する信号を高精度で測定する場合に影響します。

外来ノイズ

モーター、インバーター、電磁接触器、無線機器、スイッチング電源などから発生し、電源、配線、空間を通じて計測信号へ重なるノイズです。

必要な信号とノイズの比率をS/N比と呼びます。一般に、S/N比が高いほど信号を安定して識別できます。

ノイズを抑える設計

  • 低ノイズ・低オフセットの増幅器を選定する
  • 必要以上に広い周波数帯域を持たせない
  • 差動入力やシールド線を使用する
  • アナログ回路とデジタル回路を適切に分離する
  • 電源とグラウンドの配線経路を管理する
  • インバーターやリレーなどのノイズ源から離す
  • 基板、配線、筐体、接地を含めてEMC対策を行う

回路図上で正しく動作していても、基板上の部品配置や配線によってノイズ性能が変わります。微小信号の配線を短くし、大電流が流れる経路と共有しないことが重要です。

フィルタ回路

センサ信号に含まれる不要な高周波成分を除去するため、ローパスフィルタなどを使用します。

抵抗RとコンデンサCで構成する一次RCローパスフィルタの遮断周波数fcは、次の式で求められます。

fc=1÷(2πRC)

遮断周波数を低くすると高周波ノイズを抑えやすくなりますが、測定値の変化に対する応答も遅くなります。

重量計測では、表示のふらつきを抑えるだけでなく、原料投入時の重量変化や計量停止後の安定判定に追従できるよう、応答速度とのバランスを取ります。

A/D変換との関係

アナログ信号をマイコンで演算・表示・保存するには、A/Dコンバータによってデジタル値へ変換します。

入力範囲をVFS、分解能をnビットとすると、1段階当たりの理論的な電圧は次のように表せます。

1段階当たりの電圧=VFS÷(2n-1)

例えば、入力範囲5V、16ビットの場合、理論上の1段階は約76μVです。

ただし、A/Dコンバータのビット数が高くても、入力回路のノイズ、増幅器のオフセット、基準電圧の変動、基板設計などが不十分であれば、実際に利用できる分解能や測定精度は向上しません。

誤差と温度変化

アナログ回路の測定値には、複数の誤差要因が含まれます。

  • 増幅器の入力オフセット
  • 抵抗値や増幅率のばらつき
  • 基準電圧の誤差
  • 部品の温度特性
  • A/Dコンバータの直線性誤差
  • 電源電圧やセンサ出力の変動

使用温度範囲が広い製品では、常温での調整だけでなく、高温・低温での変化も確認します。必要に応じて、製造時の校正値や温度センサの値を利用し、組込みソフトウェアで補正します。

入力保護と絶縁

産業設備では、誤配線、静電気、雷サージ、誘導ノイズなどによって、想定範囲を超える電圧が入力されることがあります。

保護抵抗、ダイオード、サージ吸収素子、フィルタなどを使用し、後段の増幅器やA/Dコンバータを保護します。

また、接地電位差や外部回路からの回り込みを防ぐ必要がある場合は、絶縁アンプ、絶縁型A/Dコンバータ、絶縁電源などを利用します。

計測・計量機器での活用

  • ロードセルによる重量・荷重計測
  • 電圧・電流・電力の計測
  • 温度・湿度・圧力の計測
  • 静電容量・水分量の測定
  • 光・音・振動・地磁気の検出
  • 4~20mA・0~10Vのアナログ入出力

センサごとに信号レベル、出力抵抗、周波数帯域、使用温度、必要精度が異なります。センサ単体ではなく、配線、電源、アナログ回路、A/D変換、ソフトウェア処理までを一つの測定系として設計します。

ハカルプラスのアナログ回路設計

ハカルプラスでは、計測・計量機器の開発を通じて、微小な電圧・電流を安定して取り扱うアナログ回路技術を蓄積しています。

センサインターフェース、差動増幅、アナログフィルタ、基準電圧、A/D・D/A変換、絶縁、入力保護、電流・電圧入出力などを、製品の測定範囲や使用環境に合わせて設計します。

回路単体だけでなく、基板パターン、電源、筐体、接地、組込みソフトウェアによる校正・補正まで含め、必要な精度、応答性、耐ノイズ性を確保します。

よくある質問

Q. 増幅率を高くすれば微小な信号を正確に測定できますか?

A. 信号を大きくできますが、ノイズやオフセットも同時に増幅されます。必要な帯域、増幅器の性能、基板設計を含めて検討する必要があります。

Q. 高分解能のA/Dコンバータを使えば測定精度も高くなりますか?

A. 分解能と精度は異なります。入力回路、基準電圧、ノイズ、温度特性などが十分でなければ、A/Dコンバータの性能を活かせません。

Q. フィルタを強くすれば表示のふらつきをなくせますか?

A. ふらつきを抑えられますが、信号変化への応答が遅くなります。計量時間や制御周期に必要な応答性を考慮して設定します。

Q. 基板上では正常でも設備へ設置すると値が不安定になるのはなぜですか?

A. モーターやインバーターからのノイズ、長いセンサ配線、接地電位差、電源変動などが考えられます。設備全体の配線と接地を確認します。

Q. 温度によって測定値が変化する場合は補正できますか?

A. 温度特性を測定し、部品選定、回路設計、製造時の校正、ソフトウェア補正を組み合わせることで変化を抑えられます。

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