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絶縁入力回路
(ぜつえんにゅうりょくかいろ)
絶縁入力回路とは、外部のセンサ、スイッチ、計測器、設備などから受け取る信号と、PLC、マイコン、内部回路との間を電気的に分離する入力回路です。フォトカプラ、絶縁アンプ、デジタルアイソレータなどを用い、接地電位差、サージ、ノイズが内部回路へ直接伝わることを抑えます。
複数設備を接続する制御盤や、長距離配線、屋外センサ、高電圧機器の近くでは、設備間の電位差や外来ノイズが問題になることがあります。絶縁入力回路は、計測誤差、通信異常、回路破損の防止に有効です。
ハカルプラスでは、入力信号、電圧、応答速度、必要な絶縁耐圧を確認し、接点入力、4~20mA入力、パルス入力などに適した絶縁方式を検討します。
電気的絶縁とは
電気的絶縁とは、入力側と内部回路側の間に直流的な電流経路を持たせず、信号だけを伝える構成です。
入力側で発生した異常電圧や接地電位差が、そのまま内部回路へ流れ込むことを防ぎます。絶縁部分を越えて信号を伝える方法には、光、磁気、容量結合などがあります。
絶縁が必要になる主な場面
- 異なる電源系統の設備間で信号を接続する
- 長距離配線された屋外センサを接続する
- インバーターやモーター付近の信号を取り込む
- 高電圧回路と低電圧制御回路を分離する
- 複数点のアナログ信号でグランドループを防ぐ
グランドループ
複数の機器を信号線と接地線で接続すると、接地電位差によって意図しない循環電流が流れることがあります。これをグランドループと呼びます。
アナログ計測では、グランドループ電流が入力信号へ重なり、測定値のずれや変動を引き起こします。絶縁入力を使用すると、信号経路を分離して影響を抑えられます。
フォトカプラ
フォトカプラは、入力側のLEDを点灯させ、その光を出力側の受光素子で検出します。接点入力、パルス入力、デジタル信号の絶縁に広く使用されます。
構成が比較的簡単ですが、LEDの経年劣化、温度特性、応答速度を考慮します。高速信号には高速型フォトカプラを選定します。
デジタルアイソレータ
デジタルアイソレータは、磁気結合や容量結合を利用してデジタル信号を絶縁します。
フォトカプラより高速で、経年変化が小さい製品があります。一方、電源ノイズ、コモンモード過渡耐性、EMC特性を確認する必要があります。
絶縁アンプ
絶縁アンプは、連続的に変化するアナログ信号を絶縁して伝える回路です。電圧、電流、温度、圧力などの計測に使用されます。
絶縁精度、オフセット、ゲイン誤差、温度ドリフト、帯域幅を確認します。高精度計測では、絶縁回路自体の誤差も校正対象となります。
絶縁型A/D変換
入力側でアナログ信号をA/D変換し、デジタル化した後に絶縁して内部へ伝える方法があります。
アナログ信号を絶縁するよりノイズの影響を受けにくく、高精度化しやすい場合があります。ただし、入力側へ絶縁電源が必要です。
絶縁電源
信号だけを絶縁しても、入力側と内部側が同じ非絶縁電源を共有していると、完全な電気的分離にはなりません。
入力側回路には、絶縁DC-DCコンバータなどを使用します。絶縁耐圧、漏れ容量、出力ノイズ、電源容量を確認します。
絶縁耐圧
絶縁耐圧は、入力側と内部側の間にどの程度の電圧を一定時間加えても絶縁破壊しないかを示します。
動作中に連続して許容できる電圧とは異なる場合があります。機器規格、設置環境、過電圧カテゴリなどに応じて必要値を決めます。
沿面距離と空間距離
絶縁性能は部品仕様だけでなく、基板上の沿面距離と空間距離にも影響されます。
- 空間距離:空気中を直線的に測った最短距離
- 沿面距離:絶縁物表面に沿った最短距離
使用電圧、汚損度、材料グループ、規格要求に合わせて基板パターン間隔を確保します。
接点入力の絶縁
DC24Vの接点入力では、入力抵抗で電流を制限し、フォトカプラのLEDを点灯させます。
入力電圧範囲、ON・OFFしきい値、漏れ電流、逆接続、サージを考慮します。チャタリングやノイズを除去するフィルタも設けます。
4~20mA入力の絶縁
4~20mA信号では、入力抵抗で電圧へ変換した後に絶縁アンプや絶縁型ADCを使用します。
入力抵抗の電圧降下、ループ電源、絶縁誤差を確認します。多点入力では、チャンネル間絶縁が必要か、共通絶縁でよいかを決めます。
パルス入力の絶縁
パルス入力では、入力周波数と最小パルス幅に対して十分に速い絶縁素子を使用します。
低速用フォトカプラでは、高速パルスの幅が変わったり、取りこぼしたりする場合があります。伝達遅延と立上り・立下り時間を確認します。
コモンモード過渡耐性
インバーターや高電圧スイッチング回路の近くでは、入力側と内部側の間の電圧が急激に変化することがあります。
絶縁素子がこの変化を誤信号として出力しない性能をコモンモード過渡耐性と呼びます。高速スイッチング環境では重要な選定項目です。
サージ保護との組み合わせ
絶縁回路は、すべてのサージを無制限に耐えられるわけではありません。入力端子側へバリスタ、TVSダイオード、放電管などを設けます。
サージ電流を適切な接地へ逃がし、絶縁部へ加わる電圧を抑えます。
絶縁による応答遅れ
絶縁素子には信号伝達の遅れがあります。通常の接点入力では問題にならない場合でも、高速カウンタや制御タイミングでは影響します。
入力信号の最大周波数と必要な時間精度を確認し、絶縁方式を選定します。
異常検出
絶縁入力では、入力側電源喪失、配線断線、絶縁素子故障がすべて入力OFFとして見える場合があります。
重要信号では、正常時通電方式、断線監視、入力電源監視を組み合わせます。アナログ信号では、測定範囲外の値を異常として扱います。
異常時の確認
入力が変化しない場合は、入力側電源、端子電圧、絶縁電源、フォトカプラ出力を確認します。
入力が不安定な場合は、サージ、配線経路、接地、入力フィルタ、絶縁素子の応答を点検します。絶縁耐圧試験後に回路が故障していないかも確認します。
保守と更新
端子の緩み、腐食、シールド接地、絶縁電源の出力を点検します。旧機器から更新する場合は、入力電圧、応答速度、共通端子構成が変わっていないか確認します。
絶縁方式を変更した場合は、図面上でも絶縁境界を明確にします。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、接点、4~20mA、パルス、センサ信号の電気仕様を確認し、フォトカプラ、絶縁アンプ、デジタルアイソレータを選定します。
絶縁電源、サージ保護、フィルタ、異常検出を組み合わせ、制御盤や組込機器に適した絶縁入力回路を検討します。
よくある質問
Q. 絶縁入力を使えばすべてのノイズを防げますか?
A. 接地電位差や一部のノイズには有効ですが、配線、シールド、フィルタ、サージ保護も必要です。
Q. フォトカプラだけで完全に絶縁できますか?
A. 信号だけでなく、入力側電源も絶縁されていることを確認する必要があります。
Q. 4~20mA信号も絶縁できますか?
A. 絶縁アンプや絶縁型A/D変換器を使用して絶縁できます。
Q. 高速パルスにもフォトカプラを使えますか?
A. 高速対応品を使用し、伝達遅延と最小パルス幅を確認すれば対応できます。
Q. 既設入力を絶縁化できますか?
A. 外付け絶縁変換器や入力回路の改造により対応できる場合があります。