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周波数
(しゅうはすう)
周波数とは、1秒間に同じ波形や動作を繰り返す回数を表す物理量です。単位にはHz(ヘルツ)を用い、1秒間に1回繰り返す場合を1Hz、50回繰り返す場合を50Hzと表します。
周波数は、交流電源、音、電波、機械振動、通信信号、パルス入力、CPUやマイコンのクロックなど、周期的に変化する現象を表すために使用されます。対象によって周波数の範囲は大きく異なり、商用電源では50Hz・60Hz、通信ではkHz、MHz、GHzなどの単位が用いられます。
周波数と周期の関係
波形や動作が1回繰り返すために必要な時間を周期と呼びます。周波数をf(Hz)、周期をT(s)とすると、次の関係があります。
f=1/T
T=1/f
例えば、50Hzの波形では、周期は次のようになります。
T=1/50=0.02s=20ms
60Hzの場合は、次のようになります。
T=1/60≒0.0167s=約16.7ms
つまり、50Hzの交流波形は20msごと、60Hzの交流波形は約16.7msごとに同じ状態へ戻ります。反対に、1秒間に20回繰り返す波形の周波数は20Hzです。
角周波数と位相
正弦波を数式で扱う場合は、周波数fに加えて角周波数ω(rad/s)が使用されます。両者の関係は次の式で表されます。
ω=2πf
振幅をA、時間をt、初期位相をθとすると、正弦波は次のように表せます。
x(t)=A sin(ωt+θ)
1周期で位相は2πrad、角度では360°進みます。50Hzの角周波数は100πrad/s、60Hzでは120πrad/sです。
周波数が使われる主な分野
商用電源
交流電源では、電圧と電流の向きが一定周期で変化します。日本の商用電源周波数は、主に東日本で50Hz、西日本で60Hzです。
電力系統の周波数は、発電量と電力使用量のバランスに関係します。需要が発電量を上回ると周波数が低下し、発電量が多すぎると上昇する方向に変化するため、基準周波数付近に保つよう調整されています。
モーターとインバーター
交流モーターの回転速度は、電源周波数や極数に関係します。同期速度Ns(min−1)は、周波数f(Hz)と極数pを用いて次の式で表せます。
Ns=120f/p
例えば、4極モーターを50Hzで運転した場合の同期速度は1,500min−1、60Hzでは1,800min−1です。誘導モーターの実際の回転速度は、すべりによって同期速度より少し低くなります。
インバーターは出力周波数を変更し、コンベア、ポンプ、ファン、フィーダーなどの速度や供給量を調整します。
音・振動
音の周波数は空気などを伝わる振動の速さを表します。一般に、周波数が低いほど低い音、高いほど高い音として聞こえます。
機械設備では、モーター回転、軸受、歯車などに対応した振動周波数を分析することで、アンバランス、緩み、摩耗などの兆候を調べることがあります。
電波・通信
無線通信では、情報を載せる電磁波の周波数をkHz、MHz、GHzなどで表します。
- 1kHz=1,000Hz
- 1MHz=1,000,000Hz
- 1GHz=1,000,000,000Hz
使用周波数によって、電波の回り込みやすさ、到達距離、アンテナ寸法、利用できる通信帯域などが変わります。
CPU・マイコンのクロック
CPUやマイコンでは、処理動作の基準となるクロック信号の周波数をHzで表します。100MHzであれば、基準信号が1秒間に1億回繰り返されます。
ただし、処理性能はクロック周波数だけで決まるものではなく、CPUの構造、1命令に必要なクロック数、メモリ、ソフトウェアなどにも影響されます。
周波数の計測方法
周期測定方式
波形の同じ基準点から、次の同じ基準点までの時間を測り、その逆数から周波数を求めます。交流電圧では、正方向へゼロを通過する点から次の正方向ゼロクロスまでを1周期として測定する方法があります。
周期が20msであれば、周波数は次のようになります。
f=1/0.020=50Hz
低周波でも比較的短時間で更新できますが、基準点の検出誤差が測定値へ影響します。
パルス計数方式
一定時間内に入力されたパルス数を数える方式です。計測時間をTm(s)、その間のパルス数をNとすると、周波数fは次の式で求められます。
f=N/Tm
例えば、0.5秒間に500パルスを数えた場合は1,000Hzです。計測時間を長くすると細かな周波数差を測りやすくなりますが、表示更新は遅くなります。
計測設計上のポイント
入力信号に合う回路を設ける
測定対象には、交流電圧、接点、オープンコレクタ、電圧パルスなどがあります。入力電圧、信号振幅、絶縁、応答速度に応じて、分圧、波形整形、フォトカプラ、コンパレータなどを構成します。
ノイズとチャタリングを除去する
入力波形へノイズが重なると、1回の変化を複数回のパルスとして数える場合があります。接点入力ではチャタリングによって誤計数することもあります。
ハードウェアフィルター、ヒステリシス、デジタルフィルター、最小パルス幅判定などを用いて、不要な変化を除去します。ただし、フィルターを強くしすぎると高い周波数を測定できなくなります。
測定範囲・分解能・更新速度を決める
低周波を高精度に測る場合と、高周波を高速に測る場合では適した方式が異なります。タイマーの分解能、マイコンのクロック、カウンタ上限、サンプリング周期を確認します。
測定時間を長くすると分解能は上がりますが、急な周波数変化への追従が遅くなります。表示、警報、制御の目的に応じてバランスを取ります。
波形ひずみを考慮する
インバーター出力やスイッチング波形は、きれいな正弦波ではありません。複数の立上りや高周波成分を含むため、単純なゼロクロス方式では基本周波数を安定して測れない場合があります。
測定対象に応じて、基本波成分の抽出、しきい値調整、専用の測定器を検討します。
異常値の確認と復旧
周波数表示がゼロになる場合は、入力信号の断線、入力電圧不足、絶縁回路の故障、設定範囲外を確認します。値が実際の2倍や半分になる場合は、立上りと立下りの両方を数えている、1回転当たりのパルス数設定が違うなどの可能性があります。
表示がふらつく場合は、入力ノイズ、波形ひずみ、接点チャタリング、計測時間の短さを確認します。元波形と計測後のパルスをオシロスコープなどで比較すると、原因を切り分けやすくなります。
周波数を運転条件や異常判定に使用する場合は、瞬間的な外れ値だけで設備を停止させず、継続時間や復帰条件を設けます。一方、発電設備など即時対応が必要な用途では、応答時間も重視します。
設備更新時の注意点
周波数計、PLC高速カウンタ、マイコンを更新する場合は、入力信号形式、最大周波数、最小パルス幅、絶縁方式、計測精度、更新周期を確認します。
旧機器と新機器で測定方式や平均化時間が異なると、同じ信号でも表示の安定性や応答速度が変わります。警報値や制御条件をそのまま移行できるか確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、交流電圧やパルス信号の周期を測定し、周波数を演算・表示する電力計測機器や組み込み製品を開発しています。
入力信号の検出・絶縁・波形整形回路、マイコンによる周期測定・パルス計数、ノイズ除去、周波数演算、表示、通信出力まで、測定対象と必要精度に応じて構成します。
商用電源周波数、発電機出力、回転センサなどの値を上位システムへ送信し、状態監視、警報、データ保存へ利用する構成も検討します。既存製品の部品やマイコン更新では、測定範囲、応答時間、従来データとの互換性を確認します。
よくある質問
Q. 周波数表示が実際の2倍になる場合は何を確認しますか?
A. 立上りと立下りを両方数えていないか、1周期内に複数のゼロクロスやノイズが発生していないかを確認します。入力フィルターやカウント条件の見直しが必要です。
Q. 周波数の表示が安定しない場合はどうしますか?
A. 入力ノイズ、波形ひずみ、計測時間、平均化処理を確認します。測定時間を長くすると安定しやすくなりますが、応答は遅くなります。
Q. インバーター出力の周波数を直接測定できますか?
A. 測定器がインバーターのPWM波形と電圧へ対応していれば可能な場合があります。一般的な商用電源用周波数計では正しく測れないことがあります。
Q. パルスセンサからモーター回転数を求められますか?
A. 求められます。周波数と1回転当たりのパルス数から回転数へ換算します。歯数や検出点数の設定を正しく登録する必要があります。
Q. 周波数計を更新すると表示値が変わることはありますか?
A. 測定方式、平均化時間、入力しきい値、ノイズフィルターの違いにより変わる場合があります。既設機器の仕様と実波形を確認して設定します。
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