光電センサとは、投光部から光を照射し、対象物によって生じる受光量の変化を利用して、物体の有無や通過を非接触で検出するセンサです。搬送ライン、包装機、充填設備、自動倉庫などで広く使用されます。
金属だけでなく、樹脂、紙、ガラス、液体容器なども検出でき、近接センサより長い距離を検出できる場合があります。一方、対象物の色、表面状態、透明度、周囲光、粉じんなどの影響を受けるため、用途に合った方式を選定します。
ハカルプラスでは、光電センサを搬送制御や計量・充填設備へ組み込み、ワーク確認、通過検出、詰まり監視、誤投入防止に利用する構成を検討します。
主な検出方式
光電センサは、投光器と受光器の配置によって、透過形、回帰反射形、拡散反射形などに分類されます。
- 透過形:投光器と受光器を向かい合わせ、光の遮断を検出
- 回帰反射形:反射板で光を戻し、往復光の遮断を検出
- 拡散反射形:対象物から反射した光をセンサで受光
検出距離や安定性を重視する場合は透過形、配線を片側にまとめたい場合は回帰反射形、反射板を設置できない場合は拡散反射形が候補になります。
透過形の特長
透過形は、投光器と受光器の間に対象物が入って光を遮ることで検出します。対象物の色や表面状態の影響を受けにくく、長距離検出に適しています。
一方、投光器と受光器の両方へ配線が必要で、光軸を正確に合わせる必要があります。機械の振動や取付けのずれで受光量が低下しないよう、剛性のある取付構造とします。
回帰反射形の特長
回帰反射形は、センサから出た光を反射板で戻し、その途中を対象物が遮ることで検出します。投光・受光が一体化されているため、配線を片側へまとめられます。
鏡面体や光沢のある対象物では、対象物自身の反射光によって誤検出することがあります。偏光フィルタを用いた回帰反射形を使用すると、反射板と鏡面反射を区別しやすくなります。
拡散反射形の特長
拡散反射形は、対象物へ光を当て、対象物から戻る反射光を検出します。センサだけで構成できるため設置が簡単ですが、対象物の色、材質、表面の光沢によって検出距離が変わります。
白色物体は反射光が多く、黒色物体は少ない傾向があります。背景の壁や機械部品を誤検出する場合は、背景抑制機能を持つセンサを検討します。
透明体の検出
透明なボトル、フィルム、ガラスなどは光を完全には遮らないため、一般的な光電センサでは検出が不安定になる場合があります。
透明体検出対応の回帰反射形センサは、わずかな受光量変化を高感度で検出します。汚れや結露でも受光量が変わるため、安定動作する余裕を確認します。
主な用途
- コンベヤ上のワーク有無確認
- 容器の通過数カウント
- 袋、箱、パレットの位置確認
- 搬送物の詰まりや滞留検知
- 充填前の容器確認
- 扉やシャッター周辺の物体検知
搬送設備では、複数の光電センサを配置し、ワークの進行、間隔、滞留を監視することがあります。
応答時間と検出速度
高速で移動する小さなワークを検出する場合は、センサの応答時間とPLC入力の応答時間を確認します。対象物が光軸を遮る時間よりも処理が遅いと、信号を取りこぼす可能性があります。
高速カウントでは、高速入力ユニットやパルス入力を使用する場合があります。PLCプログラムのスキャン時間も考慮します。
周囲光と相互干渉
直射日光、照明、溶接光などが受光部へ入ると、誤動作する場合があります。外乱光に強い変調方式のセンサを使用し、必要に応じて遮光板を設けます。
複数の光電センサを近接して設置すると、隣のセンサの投光を受光する相互干渉が起こる場合があります。取付角度、距離、投光周波数切替機能などを確認します。
粉じん・汚れへの対策
粉じんや油分がレンズや反射板へ付着すると、受光量が低下します。正常時の受光余裕が小さいと、少しの汚れで誤動作する可能性があります。
エアパージ、保護カバー、清掃しやすい取付構造を採用し、受光量表示や安定表示を点検に活用します。
制御への利用
光電センサの信号をPLCへ入力し、対象物があることを確認してから搬送、充填、計量、印字などの工程を開始します。
一定時間内に次のセンサへ到達しない場合は、詰まりや搬送異常として設備を停止できます。複数センサの順序を監視することで、逆流や誤搬送も検出できます。
異常時の確認
検出しない場合は、光軸ずれ、レンズ汚れ、検出距離、感度設定、配線、電源を確認します。対象物がないのにONする場合は、背景反射、外乱光、反射板の位置、相互干渉を点検します。
時々信号が途切れる場合は、対象物の振動、透明度のばらつき、レンズの結露、ケーブル断線、コネクタの接触不良を確認します。
保守と点検
レンズと反射板を定期的に清掃し、取付けの緩みや光軸ずれがないか確認します。清掃にはレンズを傷つけない材質を使用します。
センサ交換後は、対象物あり・なしの両方で入力状態を確認し、搬送停止や警報が正しく動作することを点検します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、対象物の材質、色、透明度、検出距離、搬送速度、設置環境を確認し、適切な光電センサと入力機器を選定します。
搬送制御、容器確認、誤投入防止、詰まり検知、数量カウント、異常履歴保存などをPLCやタッチパネルへ組み込む構成を検討します。
よくある質問
Q. 黒い対象物も検出できますか?
A. 検出できますが、拡散反射形では反射光が少なくなるため、方式や検出距離を確認する必要があります。
Q. 透明な容器も検出できますか?
A. 透明体検出対応のセンサを使用し、受光量や取付条件を調整することで検出できる場合があります。
Q. 屋外でも使用できますか?
A. 保護構造、使用温度、直射日光、雨水の影響を確認し、屋外対応機種や遮光対策を選定します。
Q. 高速で通過する製品を数えられますか?
A. センサの応答時間、対象物が光を遮る時間、PLC入力速度を確認すればカウントできます。
Q. 粉じんの多い場所で使用できますか?
A. 受光余裕を確保し、エアパージや定期清掃を行うことで使用できる場合があります。
関連ワード
レベルセンサとは、タンク、ホッパー、サイロなどに貯蔵された液体や粉粒体の高さ、残量、満空状態を検出するセンサです。液面センサ、レベル計、残量センサなどと呼ばれる場合もあります。
レベルセンサには、上限・下限など特定位置への到達を検出する方式と、貯蔵量の変化を連続的に測定する方式があります。対象物の性質、容器形状、必要な測定範囲、粉じん、泡、付着などを考慮して方式を選定します。
ハカルプラスでは、液体タンクや粉体サイロの残量監視について、センサ選定、表示、警報、PLC制御、無線通信、履歴保存まで含めた構成を検討します。
ポイント式と連続式
ポイント式レベルセンサは、設定した高さに原料や液体が到達したかを検出します。満杯、空、供給開始、供給停止などの判定に適しています。
連続式レベルセンサは、容器内の高さを連続値として測定します。残量表示、消費量の把握、補充時期の予測、遠隔監視などに利用できます。
- ポイント式:上限、下限、満空、オーバーフロー検知
- 連続式:高さ、残量率、容積、質量換算
主な測定方式
レベルセンサには、対象物や環境に応じたさまざまな方式があります。
- フロート式:液面に浮くフロートの位置を検出
- 静電容量式:対象物の有無による静電容量変化を検出
- 超音波式:超音波の往復時間から距離を測定
- レーダー式:電波の反射時間から距離を測定
- 圧力式:液体の静水圧から液位を算出
- 回転式:羽根の回転停止から粉体の到達を検出
- 振動式:振動体の状態変化から対象物の有無を検出
一つの方式がすべての用途に適するわけではありません。対象物の誘電率、粒径、かさ密度、粘度、温度、圧力などを確認します。
液体を測定する場合
液体タンクでは、フロート式、圧力式、静電容量式、超音波式、レーダー式などが使用されます。水や油だけでなく、薬液、粘性液体、泡立つ液体などでは、接液材質や測定方式に注意が必要です。
圧力式では、タンク底部にかかる静水圧から液位を求めます。液体密度が変化すると換算値に影響するため、温度や液種が変わる設備では補正を検討します。
粉体・粒体を測定する場合
粉体サイロやホッパーでは、表面が水平にならず、投入位置を中心に山形となることがあります。排出時には逆円すい状のくぼみができるため、一点の高さだけでは正確な残量を表せない場合があります。
また、粉じん、付着、ブリッジ、ラットホールが測定へ影響します。非接触式センサを使用しても、センサ面への付着や内部構造物からの反射に注意します。
高さから残量へ換算する方法
連続式センサが直接測定するのは、センサから対象物表面までの距離です。タンクの基準高さから測定距離を差し引き、対象物の高さへ換算します。
円筒タンクで断面積が一定なら、高さと容積は比例します。しかし、底部が円すい形や角すい形の場合、高さと容積は単純比例しません。容器形状に合わせた換算テーブルや演算式を使用します。
粉体重量へ換算する場合は、容積にかさ密度を掛けます。ただし、かさ密度は締まり方や含水率によって変動するため、概算値として扱う場合があります。
センサの取付位置
非接触式レベルセンサは、投入流や槽内構造物を避けて設置します。投入原料が直接センサへ当たる位置や、補強材、はしご、配管が測定範囲に入る位置では誤検出が起こる場合があります。
粉体表面が傾斜する場合は、代表的な高さを測定できる位置を選びます。大型サイロでは複数点を測定し、平均値や最小値を用いる場合もあります。
出力と制御への利用
ポイント式では、接点出力やトランジスタ出力をPLCへ入力し、供給機やポンプの起動・停止に使用します。連続式では、4~20mA、電圧出力、デジタル通信などを利用して残量を取り込みます。
上限到達時に供給を停止し、下限到達時に補充を開始する制御では、チャタリングを防ぐために上限と下限を分けたり、判定時間を設けたりします。
異常検出とフェールセーフ
レベルセンサが故障すると、満杯にもかかわらず供給を続けたり、空の状態でポンプやフィーダーを運転したりする危険があります。
重要設備では、上限センサと連続式センサを併用するなど、異なる検出手段を組み合わせます。信号断線、測定範囲外、応答停止を異常として判定し、安全側へ設備を停止する構成を検討します。
異常値が表示された場合の確認
値が急に変化する場合は、投入中の原料、泡、粉じん、撹拌、波立ちなどの影響を確認します。値が固定された場合は、センサ面への付着、導圧管の詰まり、フロートの固着、信号断線を点検します。
実際の残量と表示が合わない場合は、基準高さ、空点・満点、容器形状、かさ密度、PLC側のスケーリング設定を確認します。
保守と点検
センサ面や検出部への付着を定期的に確認し、対象物に応じた方法で清掃します。分解清掃が必要な場合は、設備を停止し、安全を確保して作業します。
満杯・空の模擬試験や、実測値との比較を行い、警報、表示、通信、制御出力まで正常に動作することを確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、対象物、容器形状、測定範囲、粉じん、泡、付着、温度などを確認し、適切なレベルセンサを選定します。
残量表示、上限・下限警報、供給機やポンプとの連動、無線通信、遠隔監視、データ保存まで含めた構成を検討します。
よくある質問
Q. 液体用と粉体用のレベルセンサは共用できますか?
A. 共用できる方式もありますが、誘電率、粉じん、付着、泡などの条件が異なるため、対象物に合わせた選定が必要です。
Q. レベルセンサで重量を測定できますか?
A. 高さから容積を求め、かさ密度を掛けて重量を推定できますが、直接計量するロードセルより誤差が大きくなる場合があります。
Q. サイロ内の粉じんが多くても測定できますか?
A. 粉じん環境に適した方式を選び、取付位置やセンサ面への付着対策を行うことで測定できる場合があります。
Q. 満杯時だけ検出したい場合もレベルセンサを使いますか?
A. 上限位置を検出するポイント式レベルセンサが適しています。
Q. 既設タンクの残量を遠隔監視できますか?
A. センサ、表示器、通信機器を組み合わせ、既設タンクの残量を遠隔監視する構成を検討できます。
関連ワード
圧力センサとは、気体や液体が物体を押す力を検出し、電気信号へ変換するセンサです。配管、タンク、ポンプ、空気圧機器、油圧装置などの圧力監視に使用されます。設備の運転状態を把握するだけでなく、定圧制御、異常警報、詰まり検知、空運転防止などにも利用できます。
圧力は、単位面積あたりに加わる力であり、Pa(パスカル)、kPa、MPaなどで表します。産業設備では、用途によってbar、mbar、kgf/cm2などが使用される場合もあります。センサを選定するときは、単位だけでなく、基準となる圧力の考え方も確認する必要があります。
圧力センサの測定原理
圧力センサは、圧力によって変形するダイヤフラムなどの受圧部を持ち、その微小な変形を電気信号として検出します。代表的な方式には、ひずみゲージ式、圧電式、静電容量式、半導体式などがあります。
ひずみゲージ式や半導体式では、受圧部の変形に伴う電気抵抗の変化を検出します。静電容量式では、圧力によって変化する電極間の距離を静電容量の変化として測定します。圧電式は、圧力変化によって生じる電荷を利用するため、急激に変化する圧力や脈動の測定に適しています。
絶対圧・ゲージ圧・差圧
圧力センサは、何を基準に圧力を測るかによって分類されます。
- 絶対圧:真空を基準として測定する圧力
- ゲージ圧:大気圧を基準として測定する圧力
- 差圧:二つの測定点の圧力差
一般的な配管やタンクの圧力監視ではゲージ圧が多く使われます。真空設備や大気圧変動の影響を避けたい用途では絶対圧、フィルタの詰まりや流量の推定には差圧が用いられます。
主な用途
- ポンプ吐出圧や吸込圧の監視
- 空気圧・油圧装置の圧力確認
- タンク内圧や配管圧力の監視
- フィルタ前後の差圧による目詰まり検知
- 液体供給設備の定圧制御
- エア漏れや配管破損の異常検出
圧力値を表示するだけでなく、設定値を下回った場合にポンプ空運転を疑ったり、上限を超えた場合にバルブ閉塞や配管詰まりを検出したりできます。
出力信号の種類
産業用圧力センサでは、4~20mA、0~10V、1~5Vなどのアナログ出力がよく使用されます。PLCや計測器へ接続し、圧力値を連続的に取り込むことができます。
上限・下限の判定だけが必要な場合は、接点出力やトランジスタ出力を持つ圧力スイッチを使用することもあります。デジタル通信に対応する機種では、測定値だけでなく設定値や診断情報を取得できる場合があります。
測定範囲の選定
圧力センサは、通常運転時の圧力だけでなく、起動時の急上昇、脈動、ウォーターハンマー、異常時の最大圧力を考慮して選定します。定常圧力が測定範囲の端に近いと、過圧による故障や測定精度の低下につながります。
一方、測定範囲を必要以上に大きくすると、実際に使用する圧力範囲に対する分解能が低くなります。通常圧力と最大圧力の両方を確認し、適切な余裕を持たせます。
接液部材質と使用流体
圧力センサの受圧部は、測定する液体や気体に直接触れる場合があります。水、油、薬液、食品、粉じんを含む空気など、使用流体に適した材質を選ぶ必要があります。
腐食性のある液体では、ステンレス材質の種類やシール材を確認します。粘度が高い液体や固形分を含む流体では、圧力導入口が詰まりにくいフラッシュダイヤフラム形を使用する場合があります。
温度と設置条件の影響
圧力センサは、周囲温度や流体温度によってゼロ点や感度が変化する場合があります。高温流体を測定する場合は、サイフォン管、冷却部、隔膜シールなどを介してセンサへ熱が直接伝わらない構成を検討します。
ポンプやコンプレッサの近くでは振動や脈動の影響を受けるため、取付位置や配管方法を見直します。急激な圧力変動がある場合は、ダンパーや絞りを使用して変動を緩和することがあります。
圧力制御への利用
圧力センサの測定値をPLCやコントローラへ入力し、ポンプ回転速度やバルブ開度を調整することで、圧力を一定に保つ制御ができます。
インバーターでポンプ速度を変える場合、圧力の現在値と目標値の偏差をもとにPID制御を行います。負荷変動が大きい場合は、制御応答を速くしすぎると圧力が振動するため、調整が必要です。
異常値が表示された場合の確認
圧力値が変化しない場合は、センサ故障だけでなく、導圧口の詰まり、元弁の閉鎖、配線断線、電源異常を確認します。値が大きく変動する場合は、ポンプ脈動、エア混入、配管振動、接地・ノイズの影響を点検します。
実際の圧力と表示値が合わない場合は、基準圧力計との比較、ゼロ点確認、レンジ設定、PLC側のスケーリングを確認します。4~20mA入力では、入力抵抗や断線検出設定も点検します。
保守と定期点検
定期点検では、基準圧力を加えて表示値と出力信号を確認します。圧力導入口の付着物、漏れ、コネクタの緩み、ケーブルの損傷も点検します。
重要設備では、圧力センサの異常を検出できるよう、断線時の出力、上限・下限警報、他センサとの相互監視を設けます。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、測定範囲、使用流体、温度、配管条件、必要精度を確認し、圧力センサと入力機器を組み合わせた計測・制御構成を検討します。
4~20mAなどの信号をPLC、計測器、タッチパネルへ取り込み、圧力表示、上限・下限警報、ポンプ制御、通信、データ保存に利用できます。
よくある質問
Q. 圧力センサと圧力スイッチは同じですか?
A. 圧力センサは連続的な圧力値を出力し、圧力スイッチは設定圧力を超えたかどうかを接点などで出力する機器です。
Q. 水用の圧力センサを薬液にも使用できますか?
A. 接液部やシール材が薬液に耐えられるかを確認する必要があります。使用流体に適した材質を選定します。
Q. 4~20mA出力の圧力センサをPLCへ接続できますか?
A. 対応するアナログ入力ユニットを使用し、測定範囲に合わせてスケーリングすれば接続できます。
Q. ポンプの空運転を圧力で検出できますか?
A. 吐出圧や吸込圧の低下を監視することで検出できる場合があります。流量や液面との組み合わせも有効です。
Q. 既設設備へ圧力監視を追加できますか?
A.取付口、配管条件、電源、信号配線を確認し、既設設備へ追加できる構成を検討します。
関連ワード
零相変流器(ZCT)とは、複数の電線をまとめて通し、回路から大地へ漏れた電流を検出するための変流器です。ZCTはZero-phase Current Transformerの略で、漏電リレー、絶縁監視装置、漏電警報器などと組み合わせて使用します。
正常な回路では、負荷へ流れる電流と戻ってくる電流の合計はほぼゼロです。絶縁劣化や配線損傷によって一部の電流が大地へ流れると、ZCTを通る電流の合計に差が生じます。ZCTはこの差分となる零相電流を検出します。
ハカルプラスでは、ZCTを用いた漏電・絶縁監視について、対象回路、電流範囲、配線方式、警報条件を確認し、表示、警報、通信、履歴保存まで含む構成を検討します。
ZCTの検出原理
単相2線式回路では、往路と復路の電線を同じZCTへ通します。正常時は二つの電流による磁束が打ち消し合い、ZCTの出力はほぼゼロになります。
漏電が発生すると、負荷へ流れた電流の一部が接地線や大地を通って戻るため、往路と復路の電流が一致しません。この差分による磁束をZCTが検出し、二次側へ信号を出力します。
三相3線式では三相すべての電線を、三相4線式では三相と中性線をまとめてZCTへ通します。
一般的なCTとの違い
一般的なCTは、一つの相に流れる負荷電流を計測します。一方、ZCTは複数の電線をまとめて通し、各電流の合計となる零相電流を検出します。
- CT:負荷電流、電力、設備運転状態の計測
- ZCT:漏電電流、地絡電流、絶縁劣化の監視
外形が似ていても、出力特性や目的が異なるため、通常のCTをZCTの代わりに使用することはできません。
ZCTへ通す電線
ZCTには、その回路の電流が流れるすべての活線をまとめて通します。接地線は通常、ZCTの中へ通しません。
例えば単相3線式では、二本の電圧線と中性線をまとめて通します。一部の線だけを通すと、正常な負荷電流を漏電として検出してしまいます。
複数回路の電線を一つのZCTへ通すと、漏電が発生した回路を特定しにくくなります。監視単位に合わせて設置場所を決めます。
主な用途
- 受配電設備や分岐回路の漏電監視
- モーター、ヒーター、ポンプなどの絶縁劣化監視
- 設備停止前の微小な漏電傾向の把握
- 漏電発生時の警報・遮断
- 遠隔監視システムへの漏電状態送信
漏電遮断器のように直ちに電源を遮断する用途だけでなく、警報を出して保全担当者へ通知する予防保全にも利用されます。
ZCTの選定
ZCTを選定する際は、貫通させるケーブル本数と外径、検出したい漏電電流、接続する監視装置の入力仕様を確認します。
既設設備へ追加する場合は、電線を取り外さずに設置できる分割形ZCTを使用できることがあります。ただし、分割面の密着不良や異物の挟み込みは計測誤差の原因になります。
大電流回路では、負荷電流そのものが大きくても打ち消し合うため、理論上ZCTの出力には現れません。ただし、導体位置の偏りや外部磁界が微小電流の検出へ影響する場合があります。
感度と警報設定
警報設定を低くすると小さな漏電を早期に検出できますが、インバーターやノイズフィルタ、長いケーブルから流れる対地漏れ電流によって警報が発生しやすくなります。
一時的な変動で警報を出さないよう、しきい値だけでなく判定時間やヒステリシスを設定します。正常時の漏電電流を測定し、設備特性に合わせて警報値を決めることが重要です。
インバーター設備での注意点
インバーターやサーボアンプでは、高周波成分を含む漏れ電流が発生することがあります。モーターケーブルが長い場合やノイズフィルタを使用する場合は、正常運転時でも対地漏れ電流が増えることがあります。
ZCTと監視装置が対象周波数に対応していないと、表示値や警報動作が不安定になる場合があります。インバーター対応の監視機器を選定し、設置場所と配線条件を確認します。
誤検出を防ぐ取付方法
ZCTの近くに大電流配線、電磁接触器、変圧器などがあると、外部磁界の影響を受ける場合があります。必要な距離を確保し、電線をZCTの中心付近へまとめて通します。
ZCTを通過した電線の一部が別経路で戻る構成や、接地線を誤って通した構成では正しく測定できません。回路図と現地配線を照合します。
異常値が表示された場合の確認
漏電値が高い場合は、負荷設備を分岐ごとに停止し、値の変化を確認します。モーター、ヒーター、配線、端子箱などの絶縁状態を点検します。
設備運転時だけ増加する場合は、インバーター、フィルタ、ケーブルの対地容量なども確認します。常に一定値が表示される場合は、ZCTへの電線の通し方、接地線、配線、外部磁界の影響を点検します。
保守と定期確認
ZCT本体だけでなく、監視装置、警報出力、通信、遮断回路が正常に動作することを定期的に確認します。試験機能や模擬漏電電流を利用し、検出から警報までの一連の動作を点検します。
分割形ZCTでは、固定部の緩み、分割面の汚れ、ケーブルとの干渉を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、低圧設備を中心に、回路方式、ケーブル寸法、正常時の漏れ電流、警報条件に合わせてZCTと監視機器を選定します。
現在値表示、上限警報、接点出力、通信、履歴保存を組み合わせ、漏電の早期発見や絶縁劣化の傾向監視に利用できる構成を検討します。
よくある質問
Q. ZCTと通常のCTは同じものですか?
A. 同じではありません。通常のCTは負荷電流を測定し、ZCTは複数線の電流差から漏電電流を検出します。
Q. 接地線もZCTへ通しますか?
A. 通常は通しません。接地線を通すと漏電電流が打ち消され、正しく検出できない場合があります。
Q. 分割形ZCTを既設設備へ取り付けられますか?
A. ケーブル寸法、設置スペース、監視装置との適合を確認し、取り付けられる場合があります。
Q. インバーター設備では漏電値が高くなりますか?
A. 高周波漏れ電流やケーブルの対地容量によって、正常時でも値が増える場合があります。
Q. 漏電値を遠隔監視できますか?
A. ZCTと通信対応の監視機器を組み合わせ、現在値、警報、履歴を遠隔確認する構成を検討できます。
関連ワード
近接センサとは、対象物に接触することなく、物体の有無や接近を検出するセンサです。機械設備では、金属部品の位置確認、シリンダの動作端検出、搬送物の通過確認、回転体の速度検出などに使用されます。
機械式リミットスイッチと異なり、対象物との接触がないため、摩耗が少なく、高速で繰り返し検出できる点が特長です。一方、検出できる対象物、距離、周囲金属、温度などによって動作が変わるため、使用条件に合わせた選定が必要です。
ハカルプラスでは、近接センサをPLCや制御盤へ接続し、位置確認、動作順序の判定、インターロック、異常監視に利用する構成を検討します。
代表的な検出方式
近接センサとして広く使用されるのは、誘導形、静電容量形、磁気形などです。
- 誘導形:金属による電磁界の変化を検出
- 静電容量形:物体の接近による静電容量変化を検出
- 磁気形:磁石や磁界を検出
一般に「近接センサ」と呼ぶ場合は、金属を検出する誘導形を指すことが多くあります。
誘導形近接センサの原理
誘導形近接センサは、検出面の近くに高周波磁界を発生させます。金属が接近すると、金属内部に渦電流が流れ、発振状態が変化します。この変化を検出して出力を切り替えます。
鉄、ステンレス、アルミニウム、銅などを検出できますが、材質によって検出距離が異なります。カタログに記載された検出距離は、指定された標準検出物体を使った値であるため、実際の対象物で確認します。
静電容量形近接センサ
静電容量形は、対象物が近づいた際の静電容量変化を利用します。金属だけでなく、樹脂、ガラス、液体、粉体なども検出できる場合があります。
容器の外側から内部の液体や粉体を検出する用途にも利用できますが、水分、付着物、周囲温度、容器厚さの影響を受けやすいため、感度調整が必要です。
主な用途
- シリンダやアクチュエータの前進・後退端検出
- 移動台車やトラバーサの停止位置確認
- 回転ラックの位置決め
- 歯車や金属突起を利用した回転数検出
- ワークや容器の有無確認
- ゲート、扉、カバーの開閉確認
設備の動作完了を近接センサで確認してから次工程へ進むことで、機械同士の干渉や誤動作を防止できます。
検出距離と取付余裕
近接センサには定格検出距離がありますが、実際の設計では温度、電源電圧、材質、個体差などを考慮し、定格距離ぎりぎりで使用しないようにします。
対象物が振動したり位置ずれしたりしても確実に検出でき、同時にセンサへ衝突しない距離を確保します。機械の停止精度とセンサの応差も確認します。
シールド形と非シールド形
誘導形近接センサには、金属へ埋め込んで取り付けられるシールド形と、検出距離を長く取りやすい非シールド形があります。
非シールド形は側面にも磁界が広がるため、周囲金属から距離を取る必要があります。取付金具や機械フレームの影響を考慮し、メーカー指定の取付間隔を守ります。
出力方式
直流3線式では、NPN出力またはPNP出力が一般的です。接続するPLC入力の方式と一致させる必要があります。
- NPN出力:出力ON時に負荷電流を0V側へ流す
- PNP出力:出力ON時に負荷へプラス側電圧を供給する
直流2線式や交流2線式では、OFF時漏れ電流やON時残留電圧があるため、PLC入力やリレーとの適合を確認します。
配線時の注意点
動力線やインバーター出力線とセンサ配線を近接させると、ノイズによる誤動作が起こる場合があります。配線経路を分離し、必要に応じてシールド線やノイズ対策を行います。
コネクタ式センサでは、振動や水分による緩み・腐食を防ぎます。ケーブルを可動部で使用する場合は、屈曲耐久性のあるケーブルを選定します。
インターロックへの利用
近接センサは、設備が所定位置にあることを確認するインターロックに利用されます。例えば、リフターが上昇端へ到達していない場合は搬送を開始しない、台車が停止位置にない場合はゲートを開かない、といった制御です。
重要な安全機能では、一般的な近接センサだけに依存せず、安全規格に対応したセンサや安全回路を使用します。
異常時の確認
常時ONまたは常時OFFになる場合は、検出物体の位置、センサ面への金属粉付着、取付金具の影響、配線、電源電圧を確認します。
動作が不安定な場合は、検出距離不足、対象物の振動、周囲温度、近接する別センサとの相互干渉、インバーターノイズなどを点検します。
保守と交換
定期的に取付けの緩み、検出面の損傷、ケーブルの断線、対象物との距離を確認します。交換時に同じ形式を使用しても、感度や検出距離に差がある場合があるため、実機で動作確認を行います。
センサ交換後は、入力モニタだけでなく、設備が正しい順序で停止・起動することを確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、対象物の材質、検出距離、取付環境、出力方式を確認し、近接センサとPLC入力回路を組み合わせます。
搬送設備、移動台車、リフター、回転ラックなどの位置確認、インターロック、異常履歴、タッチパネル表示に利用する制御構成を検討します。
よくある質問
Q. 近接センサは樹脂も検出できますか?
A. 一般的な誘導形は金属を検出します。樹脂を検出する場合は静電容量形などを検討します。
Q. NPN出力とPNP出力はどちらを選べばよいですか?
A. 接続するPLCや入力機器の回路方式に合わせて選定します。
Q. 検出距離ぎりぎりで取り付けてもよいですか?
A. 位置ずれや温度変化を考慮し、安定検出できる余裕を持たせる必要があります。
Q. 金属粉が付着すると誤動作しますか?
A. 誘導形では検出面への金属粉付着によって常時ONになる場合があります。定期的な清掃が必要です。
Q. 近接センサを安全装置として使用できますか?
A. 一般的な近接センサだけでは安全機能を満たさない場合があります。必要な安全性能に対応した機器と回路を選定します。
関連ワード
ロードセルとは、力や荷重によって生じるわずかな変形を電気信号へ変換し、重量を検出するセンサです。電子台秤の内部だけでなく、ホッパー、タンク、容器、搬送台車などへ組み込み、設備そのものを計量機として構成できます。
ロードセルから出力される信号は非常に小さいため、計量コントローラやロードセルアンプで増幅・演算し、重量値へ変換します。圧縮型、引張型、ビーム型などがあり、荷重方向、設置構造、必要精度に応じて使い分けます。
ハカルプラスでは、計量対象、最大荷重、設備形状、要求精度を確認し、ロードセル、荷重受け機構、計量コントローラ、制御盤、PLCを含む計量装置を設計します。
ロードセルの検出原理
一般的なひずみゲージ式ロードセルでは、金属製の起歪体にひずみゲージを貼り付けています。荷重によって起歪体がわずかに変形すると、ひずみゲージの電気抵抗が変化します。
複数のひずみゲージをブリッジ回路として接続し、その出力電圧を測定することで荷重を求めます。信号は定格荷重時でも数mV程度と小さいため、安定した電源、増幅回路、ノイズ対策が必要です。
主な種類
ロードセルは、荷重のかかり方と機械構造に合わせて選定します。
- 圧縮型:上から押し込む荷重を測定し、タンクやホッパーに使用
- 引張型:吊り下げ方向の荷重を測定し、吊り秤などに使用
- ビーム型:曲げによる変形を利用し、台秤や小型ホッパーに使用
- S字型:引張・圧縮の両方向に対応し、吊り下げや試験装置に使用
- シングルポイント型:一台で偏荷重に対応し、小型の台秤に使用
同じ定格容量でも、取付方法や許容される横荷重、温度範囲、防水性能などが異なります。
定格容量の選定
ロードセルの定格容量は、計量物の最大重量だけで決めません。ホッパーやタンク本体、架台、付属機器、配管など、ロードセルへ常時加わる重量も含めます。
複数台のロードセルで支える場合は、総荷重を台数で割った値だけでなく、重心の偏りや投入時の衝撃を考慮します。例えば四点支持でも、荷重が均等に四分割されるとは限りません。
容量に余裕を持たせすぎると、使用範囲に対する信号変化が小さくなり、分解能を得にくくなることがあります。過荷重への安全率と必要精度のバランスを考えて選定します。
荷重受け機構の設計
ロードセルの性能を引き出すには、荷重を正しい方向へ伝える機械構造が重要です。斜め方向の力、ねじれ、横荷重が加わると、表示値の誤差やロードセルの損傷につながります。
タンクやホッパーでは、ロードセル用の取付金具、揺れ止め、浮き上がり防止機構などを設けます。ただし、揺れ止めを強く拘束しすぎると、荷重の一部がロードセル以外へ逃げ、正しい重量を測定できません。
温度変化によるタンクの膨張や収縮も考慮し、必要な方向には動ける構造としながら、転倒や過大な移動を防ぎます。
配管やケーブルの影響
計量タンクに固定配管が接続されていると、配管の硬さや熱伸縮による力がロードセルへ加わります。重量が変わっていないのに表示値が変化したり、ゼロへ戻らなくなったりする原因になります。
計量部と固定側の接続には、フレキシブルホースや伸縮継手を用い、できるだけ荷重を伝えない構造とします。電線やエア配管についても、短く張った状態にせず、十分なたるみを持たせます。
計量コントローラとの接続
ロードセルの信号は、計量コントローラやロードセルアンプへ入力します。コントローラでは信号を増幅し、ゼロ点と基準荷重から重量値へ換算します。
複数のロードセルを使用する場合は、和算箱で信号をまとめる構成があります。各ロードセルの出力差を調整し、偏った位置へ荷重を載せても同じ重量となるようにします。
計量コントローラからPLCへは、通信、アナログ出力、デジタル信号などで重量値や計量状態を伝えます。
校正とゼロ調整
設置後は、荷重がない状態をゼロとして登録し、基準分銅や既知重量を載せてスパン調整を行います。大型タンクなど、基準分銅を載せにくい設備では、校正方法を設計段階で検討します。
使用中に原料の付着や機械部品の追加があると、ゼロ点が変化します。自動ゼロ追従を使用する場合もありますが、原料が残った状態をゼロとして処理しないよう、適用範囲を設定します。
精度へ影響する要因
ロードセル自体が高精度でも、設備全体の精度は機械構造や設置環境によって変わります。主な影響要因には次のものがあります。
- 配管やケーブルから加わる力
- 機械振動や攪拌機の動作
- 原料の偏りや偏荷重
- 温度変化による架台・タンクの変形
- 粉体付着や異物の噛み込み
- インバーターなどから発生する電気ノイズ
必要精度が高い場合は、ロードセルの仕様だけでなく、設備を実際に運転した状態で重量の安定性を確認します。
断線・異常の検出
重量値が急に最大値や最小値へ振り切れた場合は、ロードセルケーブルの断線、端子の緩み、アンプ電源の異常などが考えられます。値が徐々にずれる場合は、原料付着、機械接触、温度変化を点検します。
複数台構成では、一台だけが故障しても合計重量が表示されることがあります。四隅へ既知重量を載せて表示差を確認すると、不良ロードセルや荷重伝達不良を特定しやすくなります。
過荷重と保護
ロードセルへ定格を超える荷重や強い衝撃が加わると、ゼロ点が戻らなくなったり、内部が損傷したりすることがあります。投入物の落下衝撃や、保守作業時に人が設備へ乗る場合も考慮します。
必要に応じて、機械式ストッパーや過荷重保護機構を設けます。ただし、通常計量範囲でストッパーへ接触すると誤差になるため、隙間の調整と定期点検が必要です。
ロードセルを使用するメリット
ロードセルを設備へ組み込む方式では、タンク、ホッパー、台車、架台など、計量対象に合わせて形状を自由に設計できます。原料を別の秤へ移さず、その工程内で重量を測定できます。
一方で、電子台秤のような完成品と比べ、荷重受け構造、配管、振動、校正方法を個別に検討する必要があります。精度はロードセル単体ではなく、計量装置全体で評価します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、圧縮型、引張型、ビーム型などから用途に適したロードセルを選定し、ホッパー、タンク、台車、計量架台へ組み込む構造を設計します。
荷重受け機構、揺れ止め、配管接続、過荷重保護、和算箱、計量コントローラ、制御盤を含め、設備全体で必要な精度を得られる構成を検討します。
PLCによる粗供給・微供給、落差補正、重量安定判定、実績保存、上位システム連携についても、要求仕様に合わせて対応します。
よくある質問
Q. ロードセルの容量は計量物の最大重量と同じでよいですか?
A. 設備本体の重量、偏荷重、衝撃、ロードセル台数も考慮して選定する必要があります。
Q. ロードセルを取り付ければ高精度に計量できますか?
A. ロードセルだけでなく、荷重受け構造、配管、振動、温度、校正方法が精度へ大きく影響します。
Q. タンクに接続した配管は計量値へ影響しますか?
A. 配管の硬さや熱伸縮による力が加わるため、フレキシブル継手などで影響を抑えます。
Q. 複数のロードセルを使用できますか?
A. 大型タンクなどでは複数台で支持します。和算箱や調整機構を用いて各ロードセルの出力をそろえます。
Q. 既設タンクへロードセルを追加できますか?
A. 架台構造、配管、設備重量、据付スペースを確認し、改造できる場合があります。
関連ワード
流量計とは、配管や水路を流れる液体、気体、蒸気などの量を測定する機器です。一定時間当たりに流れる量を示す瞬時流量と、一定期間に流れた総量を示す積算流量を測定できます。
流量は、ポンプやバルブの制御、原料の定量供給、使用量の管理、異常監視などに利用されます。計量設備では、液体原料を設定量だけ供給するための計測機器として使用されるほか、生産実績や原料使用量の記録にも活用されます。
流量計には、電磁式、超音波式、コリオリ式、渦式、容積式、差圧式など多くの方式があります。測定対象の導電率、粘度、温度、圧力、気泡、固形物の有無、必要精度を確認し、適切な方式を選定することが重要です。
流量の基本
流量には、体積流量と質量流量があります。
体積流量は、単位時間当たりに流れる体積を表し、L/min、m3/hなどの単位を使用します。質量流量は、単位時間当たりに流れる質量を表し、kg/min、t/hなどで表します。
体積流量をQ、流速をv、配管の断面積をAとすると、流れが均一な場合の基本的な関係は次のとおりです。
Q=A×v
例えば、配管断面積が0.01m2、平均流速が2m/sの場合、体積流量は0.02m3/sです。
ただし、実際の配管内では流速分布が均一でないことがあります。曲がり管、バルブ、ポンプなどの影響を受けるため、流量計の前後に必要な直管長を確保します。
瞬時流量と積算流量
瞬時流量
現在どれだけの量が流れているかを示します。ポンプ速度やバルブ開度を調整し、一定流量を維持する制御に使用します。
流量が設定範囲を外れた場合は、原料切れ、配管閉塞、ポンプ異常、バルブ未開などの異常として監視できます。
積算流量
流れた量を時間とともに加算した値です。原料の使用量、給水量、生産バッチごとの投入量などを管理します。
流量をQ、計測時間をt、積算量をVとすると、流量が一定の場合は次の関係になります。
V=Q×t
流量が10L/minで3分間流した場合、積算量は30Lです。実際の流量が変動する場合は、一定周期ごとに流量を積算します。
主な流量計の方式
電磁流量計
導電性のある液体が磁界中を流れるときに発生する電圧を測定し、流速と流量を求めます。配管内に大きな可動部や絞りがなく、圧力損失を抑えやすい方式です。
水、薬液、スラリーなどの測定に利用されます。一方、油や空気など導電性のない流体は一般に測定できません。
超音波流量計
配管内を伝わる超音波の伝搬時間や周波数変化から流量を求めます。配管外側へセンサを取り付けるクランプオン方式では、配管を切断せずに設置できる場合があります。
既設設備への追加に適していますが、気泡、固形物、配管材質、内面状態などの影響を受けることがあります。
コリオリ式流量計
流体が流れる測定管を振動させ、流れによって生じる変形から質量流量を直接測定します。密度も測定できる製品があります。
高精度な質量計測に適していますが、機器価格、圧力損失、設置重量などを考慮する必要があります。
渦流量計
流れの中に設けた障害物の後方で発生する渦の周波数を測定し、流量を求めます。液体、気体、蒸気の測定に使用できます。
流量が小さすぎると安定した渦が発生しにくいため、測定可能な流量範囲を確認します。振動の影響にも注意が必要です。
容積式流量計
一定体積の流体を機械的に区切り、その通過回数から流量を測定します。粘度のある液体や油の計測に適する方式があります。
可動部を持つため、異物の噛み込み、摩耗、圧力損失、定期的な保守を考慮します。
差圧式流量計
配管にオリフィスなどの絞りを設け、その前後に発生する圧力差から流量を求めます。広く利用されている方式ですが、圧力損失が生じます。
流量は差圧の平方根に比例するため、低流量域では測定誤差が大きくなりやすい点に注意します。
測定対象による選定
水や導電性液体
電磁流量計が利用しやすい対象です。薬液やスラリーを扱う場合は、接液部の材質、耐薬品性、摩耗性を確認します。
油や高粘度液体
容積式やコリオリ式などが候補になります。粘度が温度によって変化すると流れ方や圧力損失も変化するため、使用温度を確認します。
空気やガス
熱式、渦式、差圧式などを使用します。気体は圧力と温度によって体積が変化するため、標準状態への換算が必要になる場合があります。
蒸気
渦式や差圧式などを使用します。温度、圧力、飽和蒸気か過熱蒸気かを確認し、必要に応じて密度補正を行います。
流量計の選定ポイント
流量範囲
通常流量だけでなく、最小流量と最大流量を確認します。流量計の測定範囲外では、表示が不安定になったり、十分な精度が得られなかったりします。
配管口径だけで選定せず、実際に必要な流量範囲と流速を確認します。
測定精度
監視だけに使用する場合と、原料の定量供給や取引用途に使用する場合では、必要精度が異なります。
精度表示が指示値に対する割合なのか、フルスケールに対する割合なのかも確認します。低流量域での実際の誤差に差が生じます。
圧力損失
流量計内部の絞りや可動部によって圧力が低下すると、下流側で必要な流量を確保できない場合があります。
ポンプ能力、配管長、バルブ、フィルターなどを含め、配管系全体の圧力損失を確認します。
接液部の材質
流体に接触するライニング、電極、測定管、シールなどは、薬品、温度、腐食性に適した材質を選定します。
食品や衛生用途では、洗浄性、液だまり、分解方法なども確認します。
流体の状態
気泡、固形物、脈動、流体温度、粘度変化などは測定値へ影響します。ポンプ直後では脈動や気泡が発生しやすいため、設置位置を検討します。
設置上の注意点
直管長を確保する
エルボ、分岐、バルブ、ポンプの直後では、流れが偏ったり旋回したりします。流量計の上流側と下流側に、機器仕様で定められた直管部を確保します。
必要な直管長を確保できない場合は、整流器の使用や測定方式の変更を検討します。
配管を満水状態にする
液体用流量計では、測定管内が液体で満たされていることが基本です。配管上部に空気がたまる位置や、液体が抜ける縦配管には注意します。
電磁流量計では、電極が液体に接触していないと正しく測定できません。
流れ方向を確認する
流量計本体には流れ方向が指定されている場合があります。逆向きに取り付けると、正しく測定できない、符号が反転するなどの問題が発生します。
振動と配管応力を抑える
ポンプや周辺機械の振動が流量計へ伝わると、測定値が不安定になる場合があります。配管支持を設け、流量計本体へ配管の重量や無理な力が加わらないようにします。
流量制御との組み合わせ
流量計の測定値をPLCや流量調節計へ取り込み、ポンプの回転速度やバルブ開度を調整することで、一定流量を維持できます。
目標流量と実流量の差を基に、インバーターや調節弁へ出力します。応答を速くしすぎると、流量が上下に変動するハンチングが発生するため、ポンプや配管の応答に合わせて調整します。
バッチ供給では、流量を積算し、目標量の手前でポンプを減速します。停止指令後に配管内から流れ込む量を考慮して停止点を設定します。
アナログ・パルス・通信出力
流量計からPLCや表示器へ測定値を送る方法には、アナログ出力、パルス出力、通信出力などがあります。
4~20mAなどのアナログ信号は、瞬時流量の伝送に使用されます。パルス出力は、一定量が流れるごとに信号を出し、積算量の管理に利用します。
通信出力では、瞬時流量、積算値、温度、異常情報など複数のデータを取得できる場合があります。通信断時の処理や更新周期も確認します。
積算パルスの注意点
パルス出力では、1パルス当たりの流量を設定します。例えば、1パルスを1Lと設定し、100パルス受信した場合の積算量は100Lです。
流量が大きいのに1パルス当たりの量を小さく設定すると、パルス周波数が高くなり、PLC入力が取りこぼす可能性があります。
反対に1パルス当たりの量が大きすぎると、少量計測での分解能が不足します。最大流量、PLC入力の応答速度、必要な積算分解能から設定します。
異常監視
主な異常には、流量なし、流量不足、過大流量、逆流、空配管、センサ異常、通信異常などがあります。
ポンプ運転中にもかかわらず流量がない場合は、原料切れ、バルブ未開、配管閉塞、ポンプ空運転、流量計異常を確認します。
流量が急激に増加した場合は、バルブ故障、配管破損、設定変更などが考えられます。設定範囲を超えた場合は、ポンプ停止やバルブ閉止を行うインターロックを検討します。
異常時の復旧
流量異常が発生した場合は、ポンプやバルブの状態、配管内の液体、流量計の表示、PLCへの入力値を確認します。
流量計の表示が正常でもPLC側の値が異なる場合は、アナログ信号のスケーリング、断線、通信設定を確認します。
バッチ供給の途中で異常停止した場合は、停止までに流れた積算量と容器内の実量を確認します。最初から供給をやり直すと過量になるため、残量供給、手動確定、排出のいずれを行うか判断します。
校正と保守
流量計は、使用期間、摩耗、付着、流体条件の変化によって指示値がずれる場合があります。必要な精度に応じて定期的に校正します。
容積式流量計では可動部の摩耗や異物の噛み込み、電磁流量計では電極への付着、超音波式ではセンサ取付状態などを確認します。
実量を容器へ受けて重量または体積を測定し、流量計の積算値と比較する方法もあります。基準器や校正設備を使用する場合は、必要な精度とトレーサビリティを確認します。
既設設備への追加・更新
既設配管へ流量計を追加する場合は、流体、配管口径、材質、流量範囲、設置スペース、直管長、停止可能時間を確認します。
配管を切断できない場合は、クランプオン式超音波流量計を使用できる場合があります。ただし、配管状態や流体条件によって測定精度が変わるため、事前確認が必要です。
流量計を更新する場合は、取付寸法、フランジ規格、出力信号、電源、スケーリング、積算パルス設定を確認します。新旧機器で信号範囲が異なる場合は、PLCソフトの変更も必要です。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、測定する液体・気体の種類、流量範囲、温度、圧力、粘度、必要精度を確認し、用途に適した流量計を検討します。
流量計、ポンプ、バルブ、配管、計量器などを組み合わせ、定流量制御、バッチ供給、積算管理、異常監視を構成します。
制御盤、PLC、インバーター、タッチパネルを含め、瞬時流量の表示、目標量での停止、供給実績の保存、上位システムとの連携についても仕様を確認して設計します。
既設設備への追加や流量計の更新についても、配管条件、既存信号、運転方法を確認し、対応可能な構成を検討します。
よくある質問
Q. ポンプが動いているのに流量が表示されない場合は何を確認しますか?
A. 配管内の液体、バルブの開閉、ポンプの回転方向、空気噛み、流量計の電源と出力を確認します。
Q. 流量計の値が大きく変動する場合はどうしますか?
A. 気泡、ポンプの脈動、配管振動、直管長不足、流量計の設置位置を確認します。必要に応じてフィルターや平均化処理を調整します。
Q. 既設配管を切断せずに流量を測定できますか?
A. 配管外側へ取り付けるクランプオン式超音波流量計を使用できる場合があります。配管材質、厚さ、流体条件の確認が必要です。
Q. 流量計で液体を設定量だけ自動供給できますか?
A. 積算流量をPLCで監視し、目標量の手前でポンプやバルブを停止する制御を構成できます。停止後の流れ込み量も調整します。
Q. 流量計を更新するときにPLCの変更は必要ですか?
A. 出力信号、測定範囲、パルス単位、通信仕様が変わる場合は、スケーリングや制御ソフトの変更が必要です。
関連ワード
地磁気センサとは、地球がつくる磁界の強さと向きを電子的に検出するセンサです。方位磁石の針が地磁気に沿って北を指す仕組みを、電子回路で利用できるようにしたもので、電子コンパスとも呼ばれます。
地磁気センサは、X・Y方向を測定する2軸タイプと、X・Y・Z方向を測定する3軸タイプに分けられます。取得した磁気データをマイコンで演算することで、機器が向いている方角、姿勢の変化、回転動作などを判定できます。
ただし、地磁気はモーター、磁石、鉄製部品、電源配線などの影響を受けやすいため、センサを搭載するだけでは正確な方位を求められない場合があります。取付位置、傾き補正、磁気補正、周辺環境を含めた設計が重要です。
地磁気の仕組み
地球の周囲には磁界があり、地表付近では一定の方向と強さを持つ磁力が観測されます。方位磁石は、自由に回転できる磁針がこの磁界に沿って向きを変えることで、おおよその南北方向を示します。
地磁気センサは、磁界の方向と大きさを電気信号として測定します。3軸タイプでは、直交するX・Y・Z軸ごとに磁束密度を取得します。磁束密度の単位にはT(テスラ)やμT(マイクロテスラ)が使用されます。
X軸方向の磁気をMx、Y軸方向をMyとすると、水平な状態での方位角θは、概念的には次の式から求められます。
θ=atan2(My, Mx)
atan2は、X・Y両方の符号を考慮して角度を求める関数です。演算結果を0~360°へ変換し、北、東、南、西などの方位として扱います。
2軸と3軸の違い
2軸地磁気センサ
X・Y方向の磁気を測定します。機器を水平な場所へ一定の向きで設置し、使用中も傾かないことを前提とする用途に適しています。
機器が傾くと、地磁気の水平成分が各軸へ正しく投影されなくなり、算出する方位に誤差が生じます。
3軸地磁気センサ
X・Y・Z方向の磁気を測定します。端末の傾きを考慮する必要がある携帯機器、ウェアラブル機器、見守り機器などに使用されます。
ただし、3軸地磁気センサだけでは、磁気データが端末の傾きによるものか、方位変化によるものかを正確に分離できません。加速度センサで重力方向を求め、その結果を使って磁気データを水平面へ補正します。
傾き補正とセンサフュージョン
端末が水平でない場合は、地磁気センサと加速度センサを組み合わせて傾き補正を行います。加速度センサから重力方向を求め、地磁気のX・Y・Z成分を水平面上の成分へ変換してから方位を演算します。
端末が動いている最中は、加速度センサに重力だけでなく運動による加速度も加わります。このため、回転速度を測るジャイロセンサを組み合わせることがあります。
地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロセンサの情報を統合する処理をセンサフュージョンと呼びます。それぞれの長所を利用し、動作中でも方位や姿勢を安定して推定します。
主な用途
- 電子コンパスや方位表示
- 機器や端末が向いている方向の判定
- 回転、旋回、姿勢変化の検出
- 介護支援機器や見守り機器の状態判定
- ロボットや移動機器の方向推定
- 加速度・ジャイロセンサと組み合わせた姿勢推定
介護支援機器では、機器の設置方向や向きの変化を検出し、加速度データなどと組み合わせて使用状態を判定する用途が考えられます。
磁気補正の必要性
地磁気センサの出力には、センサ自体の誤差だけでなく、製品内部や周辺に存在する磁性体の影響が加わります。このため、実際の製品へ組み込んだ状態で補正する必要があります。
ハードアイアン誤差
永久磁石や磁化した鉄部品などが、地磁気へ一定の磁界を加えることで発生する誤差です。測定値全体が特定方向へずれるため、軸ごとのオフセットとして補正します。
ソフトアイアン誤差
鉄製筐体や磁性材料が磁界を変形させることで発生する誤差です。方向によって感度が変わるため、軸ごとの倍率や軸間の影響を補正します。
補正では、製品を複数方向へ回転させて磁気データを収集し、測定値の偏りを求めます。理想的には、3軸データを立体的に表示した際に原点を中心とする球状になりますが、誤差があると中心がずれた楕円体状になります。
設計上のポイント
磁気を発生する部品から離す
モーター、スピーカー、電磁弁、リレー、磁石、トランス、大電流配線などは磁界を発生します。地磁気センサはこれらの部品から可能な限り離して配置します。
製品の動作によって電流が変化すると、磁気の影響も変化します。静止状態で補正できても、モーター運転中だけ方位がずれる場合があるため、実際の運転条件で確認します。
鉄製部品と筐体の影響を確認する
センサ付近に鉄製のねじ、金具、電池、シールド板などがあると、地磁気の分布が変化します。試作段階から実際の筐体と部品配置で評価します。
部品や材質を変更した場合は磁気特性も変化するため、補正値をそのまま流用できるとは限りません。
取付方向と座標軸を統一する
センサのX・Y・Z軸と、製品上の前後・左右・上下方向を一致させます。基板の向きや実装面が変わった場合は、ソフトウェアで軸の入れ替えや符号反転が必要です。
加速度センサやジャイロセンサと組み合わせる場合は、各センサの座標系を同一にそろえてから演算します。
地域による磁気偏角を考慮する
地磁気センサが求める北は、地球の磁界に基づく磁北です。地理上の北である真北とは一致せず、地域によって角度差があります。この差を磁気偏角と呼びます。
真北を必要とする用途では、使用地域に応じた磁気偏角を補正します。移動を伴う製品では、位置情報に応じて補正値を変更する方法があります。
異常値の確認と対策
方位が一定方向へずれる場合は、磁石や鉄製部品によるオフセット、補正値、軸定義を確認します。特定の向きだけ誤差が大きい場合は、ソフトアイアン誤差や傾き補正の不備が考えられます。
モーターやリレーの動作時だけ値が変化する場合は、部品が発生する磁界や電源配線の電流が影響しています。センサ位置や配線経路の変更、動作中データの除外などを検討します。
周囲の磁気が強すぎて地磁気を正しく測定できない場合は、方位値を更新せず、磁気異常として扱います。異常なデータを姿勢演算へ使用すると、推定方位が急変する可能性があります。
校正と製品更新
製品の使用開始時に、利用者が端末を複数方向へ動かして校正する方法があります。また、通常動作中の磁気データを蓄積し、補正値を自動更新する方式もあります。
ただし、強い磁石の近くで取得した値を補正に利用すると、通常環境での方位がずれる可能性があります。補正へ採用するデータの範囲や更新条件を設定することが重要です。
地磁気センサを後継品へ変更する場合は、測定レンジ、感度、ノイズ、出力周期、通信方式、軸方向、内蔵補正機能を確認します。新旧センサで特性が異なるため、筐体へ組み込んだ状態で補正と動作試験をやり直します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、介護支援機器や見守り機器への活用を想定し、地磁気センサを利用した製品の研究・開発に取り組んでいます。
地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、マイコンを組み合わせ、3軸磁気データの取得、傾き補正、方位演算、磁気異常判定、データ保存、通信などを組み込みソフトウェアで処理します。
製品の使用姿勢、周辺部品、検出したい動作、必要な方位精度を確認し、センサの配置、サンプリング周期、フィルター、補正方法を検討します。
センサやマイコンの生産終了に伴う部品変更についても、回路、通信仕様、座標軸、補正値、既存データとの互換性を確認し、対応を検討します。
よくある質問
Q. 地磁気センサの方位が大きくずれる場合は何を確認しますか?
A. センサ付近の磁石、モーター、鉄製部品、大電流配線を確認します。取付方向、軸設定、ハードアイアン・ソフトアイアン補正も見直します。
Q. 端末を傾けると方位が変わるのはなぜですか?
A. 地磁気の各軸への現れ方が傾きによって変わるためです。3軸地磁気センサと加速度センサを組み合わせ、水平面へ補正してから方位を求めます。
Q. モーターの運転中だけ方位が不安定になる場合はどうしますか?
A. モーターや電源配線が発生する磁界の影響が考えられます。センサを離す、配線経路を変更する、運転中の値を方位演算へ使用しないなどの対策を検討します。
Q. 地磁気センサだけで正確な姿勢を求められますか?
A. 方位の検出には利用できますが、傾きや動作中の姿勢を安定して求めるには、加速度センサやジャイロセンサとの組み合わせが適しています。
Q. 地磁気センサを別機種へ交換できますか?
A. 電源、通信方式、測定レンジ、軸方向、取付条件が適合すれば交換できる場合があります。ただし、補正処理や方位演算の再調整が必要です。
関連ワード
加速度センサとは、物体の速度や移動方向が、時間とともにどの程度変化したかを検出するセンサです。静止状態から動き始めた、速度が上がった、減速した、向きが変わった、衝撃を受けたといった運動の変化を電気信号として取得します。
測定方向により、1方向を測る1軸、直交する2方向を測る2軸、X・Y・Zの3方向を測る3軸加速度センサがあります。3軸タイプでは前後・左右・上下の動きを同時に取得できるため、姿勢判定、転倒・落下検出、活動量計測、機械振動の監視などに利用されます。
加速度の基本
加速度は、単位時間当たりの速度変化を表す物理量です。速度の変化量をΔv、変化に要した時間をΔtとすると、平均加速度aは次の式で表せます。
a=Δv/Δt
単位にはm/s2を使用します。例えば、静止していた物体が2秒間で10m/sまで加速した場合は、次のようになります。
a=(10-0)/2=5m/s2
速度には大きさと方向があるため、速さが一定でも進行方向が変われば加速度が発生します。円運動をしている物体がその例です。
加速度センサの仕組み
加速度センサの内部には、外力によってわずかに変位する質量体があります。センサ本体が動くと、質量体には慣性力が働きます。その変位や力を電気信号へ変換し、加速度として出力します。
小型機器には、半導体製造技術を利用したMEMS方式が広く使われています。MEMS加速度センサでは、微細な質量体と固定電極の間に生じる静電容量の変化などを検出します。
出力方式には、加速度に応じた電圧を出すアナログ方式と、I2CやSPIなどで数値データを送るデジタル方式があります。マイコンは各軸の値を一定周期で読み取り、フィルター処理、しきい値判定、合成値演算などを行います。
1軸・2軸・3軸の違い
1軸加速度センサ
一方向の加速度を検出します。上下振動や機械の特定方向の衝撃など、測定方向が明確な用途に適しています。
2軸加速度センサ
X・Yなど、直交する2方向を検出します。平面内の動きや傾きを把握する用途に使われます。
3軸加速度センサ
X・Y・Zの3方向を同時に検出します。機器の向きが変化する場合や、人の動作、姿勢、転倒などを立体的に判定する用途に適しています。
重力加速度と姿勢判定
加速度センサは、物体の運動による加速度だけでなく、重力の影響も検出します。地表付近の重力加速度は約9.8m/s2で、一般に1Gと表します。
静止した3軸センサでは、重力方向と一致する軸におおむね1G、重力と直交する軸におおむね0Gが現れます。X・Y・Z軸の加速度をax、ay、azとすると、合成加速度Aは次の式で求められます。
A=√(ax2+ay2+az2)
静止時には、合成値がおおむね1Gになります。各軸の値から重力の向きを求めることで、機器の傾きや表裏、立位・横倒しなどを判定できます。
ただし、動作中は重力成分と運動成分が重なります。素早く動いている間の姿勢を正確に推定する場合は、ジャイロセンサと組み合わせて補正します。
主な用途
- 機器の傾き、向き、姿勢の検出
- 歩行、体動、活動量の計測
- 転倒、落下、衝撃の検出
- モーターや回転機械の振動監視
- 操作機器の動作やジェスチャー判定
- 介護支援機器や見守り機器の状態検出
一定周期で加速度を記録すれば、動いていた時間、動きの強さ、姿勢変化の回数などを分析できます。機械設備では、通常時の振動傾向と比較して、アンバランス、緩み、軸受劣化などの兆候を捉える用途にも利用されます。
活動量・転倒判定の考え方
活動量を求める場合は、瞬間値だけでなく、一定時間内の加速度変動を継続的に処理します。重力成分を除いた動的加速度を積算する方法や、合成加速度がしきい値を超えた回数を数える方法があります。
転倒判定では、大きな衝撃だけでなく、その前後の姿勢変化、落下中に近い低加速度状態、衝撃後の静止時間などを組み合わせます。衝撃だけで判断すると、機器を机へ置いた動作や激しい日常動作を誤って転倒と判定する可能性があります。
判定条件は、装着位置、使用者の動き、製品の用途によって変わります。実際の使用環境でデータを収集し、検出率と誤報率の両方を確認して調整することが重要です。
設計・計測上のポイント
測定レンジを選定する
加速度センサには、±2G、±4G、±8G、±16Gなどの測定範囲があります。狭いレンジは小さな変化を細かく測りやすい一方、大きな衝撃では測定上限を超えて飽和します。
姿勢や体動の検出では比較的狭いレンジ、落下や衝撃の検出では広いレンジが必要になる場合があります。通常動作と想定最大衝撃の両方を確認します。
サンプリング周期を設定する
データ取得間隔が長すぎると、短時間の衝撃や高い周波数の振動を捉えられません。一方、高速に取得しすぎると、データ量、演算負荷、通信量、消費電力が増えます。
歩行や姿勢変化、転倒衝撃、機械振動では必要なサンプリング周波数が異なります。検出対象の周波数成分を確認して設定します。
フィルターを用途別に使い分ける
センサ出力には、電気的ノイズ、取付部の微振動、不要な衝撃が含まれます。移動平均やローパスフィルターを使用すると、細かな変動を抑えられます。
姿勢判定では低周波成分を重視し、衝撃検出では急激な変化を残す必要があります。フィルターを強くしすぎると、検出したい信号が小さくなったり、判定が遅れたりします。
取付方向と固定方法を管理する
センサのX・Y・Z軸が、製品や設備のどの方向に対応するかを明確にします。基板の向きを変更した場合は、ソフトウェア上の軸変換も必要です。
基板や筐体が緩んでいると、それ自体の共振やがたつきが測定値へ加わります。機械振動を測る場合は、測定対象の動きを正しく伝えられるよう、十分な剛性で固定します。
オフセットと感度を補正する
加速度センサには、入力がない状態でもゼロ以外を出力するオフセット誤差があります。また、軸ごとの感度差、軸の直交誤差、温度変化によるずれもあります。
必要な精度に応じて、複数の姿勢で静止値を測定し、ゼロ点と感度を補正します。製品ごとに補正値を不揮発性メモリへ保存する方法もあります。
省電力動作を検討する
電池で動作する見守り機器では、常時高速サンプリングすると電池寿命が短くなります。センサ内蔵の動作検出機能で待機し、一定以上の動きを検出したときだけマイコンを起動する構成があります。
測定周期、通信頻度、保存間隔を用途に合わせ、必要な検出性能と電池寿命のバランスを取ります。
異常値とトラブルの確認
静止しているのに値が大きく変動する場合は、基板の固定、周辺機器の振動、電源ノイズ、通信エラー、フィルター設定を確認します。特定軸だけ異常な場合は、取付方向の誤認、センサ故障、はんだ接合不良も考えられます。
合成加速度が静止時に1Gから大きく外れる場合は、オフセットや感度設定、単位換算、測定レンジの設定を確認します。デジタルセンサでは、レジスタ設定とデータの符号・ビット配置の誤りも原因になります。
衝撃を検出できない場合は、サンプリング周期が遅い、測定レンジが飽和している、フィルターで信号を除去している可能性があります。実波形を記録し、判定前の元データから切り分けます。
ジャイロセンサとの違い
加速度センサは、直線方向の速度変化と重力方向を検出します。静止時の傾き判定に適していますが、動作中は運動加速度の影響を受けます。
ジャイロセンサは、物体が回転する速さである角速度を測ります。短時間の回転変化を捉えやすい一方、角速度を積分して角度を求めると誤差が蓄積します。
両者のデータを組み合わせるセンサフュージョンにより、加速度センサの動作中の乱れと、ジャイロセンサの累積誤差を互いに補い、姿勢を安定して推定できます。
保守・製品更新時の注意点
加速度センサを後継品へ変更する場合は、測定レンジ、分解能、ノイズ特性、サンプリング周波数、軸方向、通信方式、レジスタ構成を確認します。同じ設定値でも、フィルター特性や割り込み条件が異なる場合があります。
センサ変更後は、静止姿勢、通常動作、最大衝撃、温度変化などで比較試験を行い、しきい値と補正値を再調整します。過去データとの連続性が必要な製品では、新旧センサの出力差も評価します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、加速度センサを利用した介護支援機器や見守り機器の研究・開発に取り組んでいます。
センサの選定、基板回路、マイコン、組み込みソフトウェアを組み合わせ、3軸加速度の取得、合成値演算、姿勢・動作判定、異常検出、データ保存、通信まで構成します。
検出したい動作と使用環境に応じて、測定レンジ、サンプリング周期、フィルター、しきい値、省電力動作を検討します。実際の動作データを確認しながら、誤検出を抑える判定条件を設計します。
センサやマイコンの生産終了に伴う更新についても、新旧部品の特性、通信仕様、補正値、既存データとの互換性を確認し、回路・ソフトウェアの変更を検討します。
よくある質問
Q. 静止しているのに3軸の値がすべて0にならないのはなぜですか?
A. 重力加速度が各軸へ分配されるためです。静止時の3軸合成値はおおむね1Gとなります。オフセット誤差によるずれも含まれます。
Q. 転倒を誤検出する場合はどう調整しますか?
A. 衝撃しきい値だけでなく、衝撃前後の姿勢、低加速度状態、静止時間を確認します。装着位置や実際の生活動作に合わせて条件を調整します。
Q. 小さな振動を検出できない場合は何を確認しますか?
A. 測定レンジ、分解能、サンプリング周期、フィルター設定、取付方法を確認します。広すぎるレンジや強いフィルターでは小さな変化を捉えにくくなります。
Q. 加速度センサを別機種へ交換できますか?
A. 電源、通信方式、測定レンジ、軸方向、取付寸法が適合すれば交換できる場合があります。ただし、ソフトウェアと判定しきい値の再調整が必要です。
Q. 加速度センサだけで正確な移動距離を測れますか?
A. 加速度を積分して速度と距離を推定できますが、わずかな誤差が時間とともに蓄積します。長時間の正確な距離計測には、他のセンサや位置情報による補正が必要です。
関連ワード
ジャイロセンサとは、物体が回転する速さである角速度を検出するセンサです。機器がどの軸を中心に、どの方向へ、どの程度の速さで回転しているかを測定できます。
姿勢制御、旋回検出、手ぶれ補正、ロボット制御、移動体の動作判定などに利用されます。3軸タイプでは、X・Y・Zの各軸回りの角速度を同時に測定できます。
ハカルプラスでは、ジャイロセンサや加速度センサから取得したデータをマイコンで処理し、角度演算、姿勢推定、動作判定、記録、通信まで含めた組み込みシステムを検討します。
角速度とは
角速度とは、単位時間当たりに回転した角度を表す物理量です。回転角度の変化量をΔθ、経過時間をΔt、平均角速度をωとすると、次の式で表されます。
ω=Δθ÷Δt
単位にはrad/sまたは°/sが使用されます。
例えば、物体が2秒間で90°回転した場合、平均角速度は45°/sです。
角速度の正負によって回転方向を区別します。ただし、軸の向きと正回転の定義はセンサごとに異なるため、基板への取付方向とデータシートの軸表示を確認する必要があります。
角速度から角度を求める方法
ジャイロセンサが直接測定するのは角度ではなく角速度です。回転角度は、角速度を時間について積分して求めます。
θ=∫ωdt
マイコンで一定周期ごとに演算する場合は、次のように前回の角度へ変化量を加算します。
θn=θn-1+ωn×Δt
θnは今回の推定角度、θn-1は前回の推定角度、ωnは今回の角速度、Δtはサンプリング周期です。
例えば、30°/sの回転が0.5秒間続いた場合、角度の変化量は15°です。
MEMSジャイロセンサの仕組み
小型機器では、半導体製造技術を用いたMEMSジャイロセンサが広く使用されています。
センサ内部には微細な振動体があり、機器が回転するとコリオリ力によって振動方向に変化が生じます。この変化を静電容量などで検出し、角速度へ換算します。
出力方式には、角速度に応じた電圧を出力するアナログ方式と、SPIやI2Cなどで数値データを送信するデジタル方式があります。
1軸・2軸・3軸の違い
1軸ジャイロセンサ
特定の1軸回りの回転を検出します。回転方向が限定される装置や、旋回だけを監視する用途に適しています。
2軸ジャイロセンサ
互いに直交する2軸回りの回転を検出します。2方向の姿勢変化や傾き動作を扱う機器に使用されます。
3軸ジャイロセンサ
X・Y・Zの3軸回りの角速度を同時に測定します。一般に、前後軸回りをロール、左右軸回りをピッチ、上下軸回りをヨーと呼びます。
ゼロ点誤差とドリフト
ジャイロセンサは静止していても、出力が完全に0にならないことがあります。この誤差をゼロ点誤差またはバイアスと呼びます。
小さな角速度誤差でも積分を続けると、推定角度が徐々にずれます。この現象がドリフトです。
一定の角速度誤差をωe、経過時間をt、角度誤差をθeとすると、概略的に次の式で表せます。
θe=ωe×t
例えば、ゼロ点誤差が0.1°/sの場合、60秒後には約6°の角度誤差になります。
長時間の姿勢推定では、起動時のゼロ点補正だけでなく、加速度センサや地磁気センサなどによる補正が必要です。
加速度センサとの組み合わせ
加速度センサは、静止時には重力方向から傾きを推定できます。しかし、機器が移動していると、重力以外の加速度も加わるため、一時的に姿勢推定が乱れることがあります。
ジャイロセンサは短時間の回転変化を滑らかに検出できますが、長時間ではドリフトが蓄積します。両者を組み合わせることで、それぞれの弱点を補えます。
簡易的な補完フィルターでは、次のように角度を求めます。
θ=α×θgyro+(1-α)×θacc
θgyroはジャイロセンサから求めた角度、θaccは加速度センサから求めた角度、αは両者の比率を決める係数です。
より高度な姿勢推定では、カルマンフィルターなどを使用する場合もあります。
測定レンジと分解能
ジャイロセンサには、±250°/s、±500°/s、±2,000°/sなどの測定レンジがあります。
狭いレンジでは小さな回転を細かく測定しやすくなりますが、範囲を超えた高速回転は正しく測定できません。広いレンジでは高速回転に対応できますが、同じ出力分解能では小さな角速度の変化を捉えにくくなります。
対象動作の最大角速度に余裕を持たせつつ、必要な分解能を確保できるレンジを選定します。
サンプリング周期とフィルター
角度演算では、角速度だけでなくサンプリング周期の精度も重要です。周期が変動すると、同じ角速度でも計算される角度が変わります。
マイコンのタイマーを使用して一定周期で取得し、実際の経過時間を演算へ反映します。
また、機械振動や電気的ノイズによって角速度データが細かく変動する場合は、移動平均やローパスフィルターを使用します。ただし、フィルターを強くすると応答が遅れるため、検出したい動作速度とのバランスが必要です。
温度変化への対応
ジャイロセンサのゼロ点や感度は、周囲温度によって変化することがあります。
使用温度範囲が広い場合は、センサ内蔵の温度データを取得し、温度ごとに補正値を持たせる方法があります。起動直後と温度安定後で出力が異なる場合もあるため、ウォームアップ時間を設けることも有効です。
姿勢推定での注意点
3軸の角速度を単純に軸ごとに積分するだけでは、機器が大きく回転した場合に姿勢を正しく表現できないことがあります。
姿勢を三次元で扱う場合は、回転行列やクォータニオンを使用して各軸の回転を統合します。オイラー角だけで演算すると、姿勢によってはジンバルロックが発生するためです。
必要な精度や演算能力に応じて、角度の表現方法と姿勢更新アルゴリズムを選定します。
主な用途
- ロボットや搬送装置の旋回・姿勢検出
- カメラや計測機器の手ぶれ検出
- 車両や移動体の方向変化の把握
- 介護支援機器や見守り機器の動作判定
- 傾きや回転を利用した操作入力
- 加速度センサと組み合わせた姿勢推定
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、ジャイロセンサや加速度センサを利用した機器の研究・開発に取り組んでいます。
マイコンを使用して、センサ初期設定、各軸データの取得、ゼロ点補正、温度補正、フィルター処理、角度演算、姿勢や動作の判定を行います。
さらに、測定データの本体保存、SDカードへの記録、有線・無線通信、異常判定などを組み合わせ、用途に応じた組み込みシステムとして構成します。
よくある質問
Q. 静止しているのに角速度が0にならないのは異常ですか?
A. センサ固有のゼロ点誤差やノイズにより、完全な0にならないことがあります。静止状態で平均値を求め、補正値として差し引きます。
Q. ジャイロセンサだけで長時間の角度を測定できますか?
A. 角速度を積分すれば角度を求められますが、ゼロ点誤差が蓄積します。長時間の姿勢推定では、加速度センサや地磁気センサとの組み合わせが必要です。
Q. 測定値が振動して安定しない場合はどうしますか?
A. 取付部の振動、測定レンジ、サンプリング周期を確認し、必要に応じてローパスフィルターや移動平均処理を行います。
Q. センサの取付方向を変更しても使用できますか?
A. 使用できますが、軸の入れ替えや符号の反転が必要になる場合があります。取付姿勢と座標系をソフトウェア上で一致させます。
Q. 加速度センサと一体になった製品はありますか?
A. ジャイロセンサと加速度センサを一体化したIMUがあります。製品によっては地磁気センサも内蔵し、姿勢推定機能を備えています。