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LPWA
(LPWA)
LPWAは、少ない消費電力で広い範囲へ少量のデータを送信する無線通信技術の総称です。
LPWAは「Low Power Wide Area」の略で、温度、湿度、電流、電力量、設備の運転状態、警報、位置情報などを、一定時間ごと、または状態が変化したときに送信する用途に適しています。
Wi-Fiや携帯電話回線のような高速・大容量通信を目的とするのではなく、通信速度や送信データ量を抑えることで、長距離通信、低消費電力、通信配線の削減を実現しやすいことが特長です。
LPWAがIoTに適している理由
IoTでは、離れた場所に設置したセンサや設備から、継続的にデータを収集します。しかし、温度を1時間ごとに送る、設備異常が発生したときだけ接点状態を送るといった用途では、映像や大容量ファイルを送るほどの通信性能は必要ありません。
その代わり、次のような条件が重視されます。
- 離れた場所までデータを送信できること
- 電池で長期間動作できること
- 通信配線を敷設せずに導入できること
- 多数のセンサを配置しやすいこと
- 通信費や設備費を抑えられること
LPWAは、通信速度とデータ量を限定する代わりに、こうしたIoT機器に必要な条件を満たしやすくした通信技術です。
LPWAの主な特長
低消費電力
LPWA端末は常時通信するのではなく、通常は待機状態とし、決められた時刻や状態変化があったときだけ起動して送信することで消費電力を抑えます。
ただし、実際の電池寿命は、送信周期、データ量、再送回数、受信待機時間、電波状態、接続するセンサの消費電力、使用温度などによって変わります。LPWAを採用するだけで長期間運用できるわけではなく、機器全体の省電力設計が必要です。
広域・長距離通信
LPWAは、Wi-FiやBluetoothなどの近距離無線と比べて長距離通信に適しています。
ただし、通信距離は方式だけで決まるものではありません。建物、地形、金属設備、アンテナの高さ、設置位置、送信出力、通信設定、周囲の電波環境などによって大きく変化します。
少量データの送信
LPWAは、次のようなデータの遠隔収集に適しています。
- 温度、湿度、圧力
- 電流、電圧、電力、電力量
- 水位、流量、サイロやタンクの残量
- 設備の運転・停止状態
- 警報や満杯・空などの接点状態
- カウンタ値や検針値
- 車両や設備の位置情報
一方、カメラ映像、音声、大容量ファイル、高速で連続する制御データなどの送信には適していません。
通信配線の削減
屋外設備、建屋間、高所、道路や構内通路を横断する場所では、信号線の敷設に配管、掘削、高所作業などが必要になることがあります。
LPWAを利用すると、設備側の信号を無線で送信できるため、新たな通信配線を敷設しにくい場所でも導入しやすくなります。ただし、無線機器やセンサを動作させるための電池、AC電源、DC電源などは別途必要です。
非セルラー系とセルラー系
LPWAは、通信網の構成によって、非セルラー系とセルラー系に大きく分けられます。
非セルラー系LPWA
携帯電話事業者の通信網を使わず、主に免許不要の周波数帯を利用する方式です。代表例としてLoRaなどがあります。
工場や事業所の敷地内に送信機と受信機を設置し、独自の通信網を構築できます。携帯回線の通信エリアに依存せず、月額通信料を必要としない構成にできる場合があります。
一方、受信機やゲートウェイの設置、通信範囲の確認、機器管理は利用者側で行う必要があります。
セルラー系LPWA
携帯電話事業者の基地局や通信網を利用する方式で、LTE-MやNB-IoTなどがあります。
通信エリア内であれば、自社で受信基地局を設置せずに、遠隔地や複数地域へ分散した設備からデータを収集できます。
一方、SIMや通信契約、月額料金、通信エリア、サービス提供期間などを確認する必要があります。
LPWA方式を選定する条件
LPWAの方式は、単純な通信距離だけでは選定できません。次の条件を整理して比較します。
- 設置場所と必要な通信範囲
- 送信するデータ量と送信周期
- 双方向通信の必要性
- 固定設備か移動体か
- 電池駆動か外部電源か
- 端末数と将来の追加予定
- 自社で受信設備を設置できるか
- 通信料金と保守費用
- 通信不能時に許容できる時間
- データの保存先と表示方法
例えば、工場敷地内の複数設備を監視し、自社内で通信網を構築したい場合は、LoRaなどの非セルラー系LPWAが適することがあります。
全国に分散した設備や移動体を監視し、自社で受信設備を設置したくない場合は、セルラー系LPWAが候補になります。
通信できない場合の設計
無線通信では、障害物、周囲の電波環境、電池切れ、アンテナの破損、通信網の障害などにより、一時的にデータを受信できないことがあります。
最後に受信した値を表示し続ける場合は、現在値と誤認されないよう、最終受信時刻や通信状態を併せて表示します。一定時間更新されない値を無効として扱う方法もあります。
送信側でデータを一時保存し、通信復旧後に再送する場合は、保存容量、再送順序、重複登録の防止、時刻情報の扱いなどを設計します。
非常停止や安全装置、高速な位置決めなど、安全性や即時性が重要な制御は、LPWAだけに依存させず、有線回路や設備側の安全機能を組み合わせます。
通信試験とアンテナ設置
LPWAは長距離通信に適していますが、カタログ上の通信距離だけで導入可否を判断することはできません。実際の設置場所で、アンテナの位置や高さを変えながら通信状態を確認します。
工場では、鉄筋コンクリートの壁、金属製タンク、サイロ、制御盤、機械設備などが電波を遮蔽・反射します。設備の稼働状況、車両の通過、扉の開閉によって通信状態が変わる場合もあります。
一度受信できることだけでなく、一定期間の受信率、再送回数、通信途絶の継続時間などを確認することが重要です。
電池駆動時の設計
電池駆動端末では、無線通信だけでなく、センサ、演算回路、表示器なども電力を消費します。
送信周期を短くするほどデータの更新は早くなりますが、消費電力が増えます。電波状態が悪く再送が増えた場合も、想定より早く電池が消耗することがあります。
電池容量の計算だけでなく、低温環境での容量低下、自然放電、交換作業のしやすさ、電池残量の監視方法まで検討します。
法令とセキュリティ
日本国内で無線機器を使用する場合は、電波法に適合した機器を使用し、周波数、送信出力、アンテナ、送信時間などの条件を守る必要があります。
技術基準適合証明を取得した無線モジュールであっても、指定外のアンテナへの変更や無線回路の改造によって、認証条件から外れる可能性があります。
設備データを無線で送信する場合は、用途に応じて暗号化、端末認証、端末識別、改ざん検知、アクセス制限などを検討します。
ハカルプラスにおけるLPWAの活用
ハカルプラスでは、LPWAの一つであるLoRa無線を利用し、アナログ信号、接点信号、RS-485信号などを離れた場所へ送信する無線機器を開発しています。
既設設備へ後付けし、受信したデータを事務所や監視場所で保存・表示することで、現場確認作業の削減や設備状態の継続的な把握に活用できます。
無線機器だけでなく、既設設備から取り出す信号、アンテナ位置、電源、通信試験、受信装置、データ保存、履歴グラフ、警報、上位システムとの連携まで、実際の運用に合わせて構成を検討します。
LoRa無線機器の詳細
よくある質問
Q. 工場内と屋外で同じLPWA方式を使用できますか?
A. 使用できる場合がありますが、工場内では壁や金属設備、屋外では地形や建物など、通信に影響する条件が異なります。それぞれの設置場所で通信試験を行い、アンテナ位置や受信設備の構成を検討します。
Q. 電波が届かない場所には中継器を設置できますか?
A. 通信方式や製品構成によっては、中継器や受信機の追加、アンテナ位置の変更で対応できる場合があります。ただし、中継による遅延、電源、保守対象の増加も考慮する必要があります。
Q. LPWA端末を後から追加できますか?
A. 追加できる場合がありますが、受信機の収容台数、端末識別、送信周期、無線の混雑、データ保存項目などを確認する必要があります。将来の増設予定を初期設計に反映することが重要です。
Q. 通信事業者のサービスが終了した場合はどうなりますか?
A. セルラー系や通信サービス型のLPWAでは、サービス終了や通信規格の変更を考慮する必要があります。設備の使用予定期間に合わせて、通信モジュールの交換や別方式への移行可能性を確認します。
Q. 通信料金が不要なLPWA構成はありますか?
A. 自社敷地内にLoRaなどの送信機と受信機を設置する構成では、携帯回線の月額通信料を必要としない場合があります。ただし、受信設備、ネットワーク、保守にかかる費用は別途検討が必要です。
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