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Sigfox

(Sigfox)

Sigfox

Sigfoxモジュール

Sigfox(シグフォックス)は、少量のデータを低消費電力で遠距離へ送信することを目的としたLPWA(Low Power Wide Area)の一つです。

センサ端末から温度、接点状態、位置情報、メーター値などを間欠的に送信する用途に適しており、電池で長期間動作する小型IoT端末や、多数の端末を広い範囲へ設置するシステムで利用されます。

Sigfoxは、免許不要の周波数帯を使用するアンライセンス系LPWAです。端末が基地局を通じてSigfoxクラウドへデータを送信し、利用者のサーバーやアプリケーションへ連携するネットワーク型のサービスとして提供されています。

Sigfoxの現在の運営体制

Sigfoxは、フランスで開発されたLPWA技術です。現在は、シンガポールに本社を置くUnaBizの下で「Sigfox 0G technology」として展開されています。

各国では、地域ごとのネットワーク事業者が基地局や通信サービスを運営します。日本国内では、京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)がSigfoxネットワークを提供しています。

端末を利用する際は、対応する通信モジュールやデバイスを用意し、回線契約とデバイス登録を行います。携帯電話回線のようにSIMカードを端末へ挿入する方式ではありません。

Sigfoxの通信の仕組み

Sigfox端末から送信されたデータは、周辺のSigfox基地局で受信され、ネットワークを経由してSigfoxクラウドへ送られます。

クラウドへ保存されたデータは、コールバック機能やAPIなどを利用して、利用者のサーバー、クラウドサービス、監視システムへ受け渡します。

一般的なデータの流れは次のとおりです。

  1. センサや入力回路で計測値・状態を取得する
  2. 端末側で送信用データへ変換する
  3. Sigfox無線でメッセージを送信する
  4. 基地局がメッセージを受信する
  5. Sigfoxクラウドへデータを蓄積する
  6. 利用者側のシステムへデータを連携する

端末と基地局が常時接続する方式ではなく、必要なタイミングで小さなデータを送ることで、消費電力を抑えています。

Sigfoxの主な特長

低消費電力

送信するデータ量と通信回数を抑えることで、端末の消費電力を小さくできます。

通信頻度、電池容量、センサの消費電力、設置温度などの条件によっては、電池交換を長期間行わずに運用できる端末を設計できます。

ただし、実際の電池寿命は、送信回数、再送回数、センサの測定周期、電波環境などによって変化します。

長距離通信

Sigfoxは、狭い帯域幅で信号を送信するウルトラナローバンド方式を採用し、比較的長距離の通信を可能にしています。

ただし、通信できる距離は、基地局との位置関係、建物、地形、地下・屋内環境、アンテナの設置状態などによって異なります。

通信設備を自社で設置しなくても利用できる

公衆ネットワークのサービスエリア内であれば、利用者が親機や基地局を自ら設置せずに通信できることが特長です。

一方で、利用予定場所がサービスエリア内にあるか、屋内や地下でも電波を受信できるかを、導入前に確認する必要があります。

多数の端末を展開しやすい

端末構成を簡素化しやすく、通信料金も小容量通信を前提とした体系になっているため、多数のセンサ端末や追跡対象を管理する用途に適しています。

設備監視、環境計測、物流資材管理、メーター読取りなど、広範囲へ多数の端末を設置するシステムで活用できます。

送信できるデータ量と回数

Sigfoxは、大容量データを高速に送る通信ではなく、小さなデータを少ない頻度で送信することに特化しています。

代表的な通信仕様では、上り通信1メッセージあたり最大12バイト、1日最大140回までの送信が基本的な上限とされています。

12バイトの中に、例えば次のようなデータを格納します。

  • 温度や湿度
  • 電力・流量などの計測値
  • 接点のON・OFF状態
  • 警報コード
  • 電池残量
  • 機器状態
  • 簡易的な位置情報

複数の数値を効率よく送信するため、データを整数化する、ビット単位で状態をまとめる、必要な桁数だけを送るといった設計を行います。

契約内容やサービス仕様によって利用条件が異なる場合があるため、実際のシステム設計では最新の料金プランと通信条件を確認します。

下り通信

Sigfoxは、端末からクラウドへデータを送る上り通信を中心に設計されていますが、クラウド側から端末へデータを返す下り通信にも対応しています。

ただし、携帯電話や常時接続型ネットワークのように、クラウド側から任意のタイミングで端末へ即座に命令を送る用途には適していません。

下り通信は、端末が上りメッセージを送信した後に受信待機する仕組みであり、通信回数やデータ量にも制限があります。

そのため、Sigfoxは次のような用途に適しています。

  • 設定値をまれに変更する
  • 測定周期を変更する
  • 簡単な動作モードを切り替える
  • 端末へ短い指示を返す

設備をリアルタイムに遠隔操作する用途には、別の通信方式を検討する必要があります。

Sigfoxに適した用途

Sigfoxは、小容量データを低頻度で送信し、端末を長期間運用する用途に適しています。

主な活用例には、次のものがあります。

  • 温度・湿度などの環境計測
  • 河川・浸水・水位の監視
  • 電気・ガス・水道メーターの読取り
  • 設備の運転・停止状態の監視
  • 扉や蓋の開閉検知
  • パレット・コンテナ・カゴ車の所在管理
  • 農地や屋外設備の遠隔監視
  • 電池残量や故障状態の通知

常時通信する必要がなく、「一定時間ごとの計測値」や「状態が変化した際の通知」を送る用途で特長を発揮します。

Sigfoxに適さない用途

Sigfoxは、通信速度やメッセージ容量、送信回数に制限があるため、すべてのIoT用途に適しているわけではありません。

次のような用途には、他の通信方式が適する場合があります。

  • 画像や音声を送信する
  • 大量のログデータを転送する
  • 秒単位で連続して計測値を送る
  • 遠隔からリアルタイムに機器を操作する
  • 遅延を厳密に保証する
  • 確実な双方向通信を頻繁に行う

必要な通信量、送信頻度、応答時間、制御内容を整理したうえで、Sigfoxが適しているかを判断します。

SigfoxとLoRaの違い

SigfoxとLoRaはいずれもLPWAに分類されますが、ネットワークの構築方法や運用形態が異なります。

項目 Sigfox LoRa Private
ネットワーク 通信事業者の公衆ネットワークを利用 利用者が親機を設置して構築
基地局・親機 原則として利用者側で設置不要 利用場所に親機が必要
通信料金 端末ごとの回線契約が必要 自営網では月額回線契約が不要な場合が多い
サービスエリア 公衆ネットワークの提供範囲に依存 親機を設置した範囲で利用
データ量 少量・低頻度の通信に特化 システム構成によって柔軟に設計可能

広範囲に点在する端末を既存ネットワークへ接続する場合はSigfox、工場や施設内に独自の無線ネットワークを構築する場合はLoRa Privateが適することがあります。

携帯電話系LPWAとの違い

LTE-MやNB-IoTは、携帯電話事業者の周波数帯と基地局を利用するライセンス系LPWAです。

Sigfoxと比較すると、通信容量や双方向性に優れる場合がありますが、通信モジュールの消費電力、端末価格、料金体系などが異なります。

通信方式を選ぶ際は、次の項目を比較します。

  • 送信するデータ量
  • 通信頻度
  • 双方向通信の必要性
  • リアルタイム性
  • 端末の電池寿命
  • 設置場所の電波状況
  • 端末数と通信費用
  • 国内外での利用範囲

データ連携の方法

Sigfoxクラウドへ届いたデータは、利用者のアプリケーションやクラウドサービスへ連携して利用します。

端末が送信したデータには、センサ値のほか、端末識別情報、受信時刻、基地局の受信情報などが付加されます。

利用者側のシステムでは、受信したデータに対して次のような処理を行います。

  • 端末番号と設置場所の照合
  • バイト列から計測値への変換
  • 単位換算・補正
  • データベースへの保存
  • グラフや一覧画面への表示
  • しきい値を超えた際の警報通知
  • 通信が途絶えた端末の検出

無線端末だけでなく、クラウド側の受信処理、データ変換、監視画面まで含めてシステムを設計する必要があります。

通信できなかった場合の考え方

無線通信は、建物、地形、電波干渉、アンテナ状態などの影響を受けるため、すべてのメッセージが必ず届くとは限りません。

Sigfoxでは、同じメッセージを複数回送信し、複数の基地局で受信できる仕組みによって、通信の確率を高めています。

それでも、システム側では次のような対策を検討します。

  • 端末側に未送信データを一時保存する
  • 次回通信時に再送する
  • 一定時間データが届かない場合に警報を出す
  • 通信状態や電池残量を監視する
  • 重要な制御を通信結果だけに依存させない

設備の安全停止やリアルタイム制御など、確実性が求められる処理をSigfox通信だけで成立させることは避けます。

端末を設計する際の注意点

通信エリアの確認

導入予定場所がSigfoxのサービスエリア内にあるか確認します。

エリア内であっても、地下、建物の中心部、金属製の盤内などでは通信しにくい場合があるため、実際の設置場所で通信試験を行うことが重要です。

アンテナの設計

アンテナの種類、向き、取付位置、周囲の金属や配線によって通信性能が大きく変化します。

制御盤や金属筐体へ組み込む場合は、外部アンテナの使用や設置位置の変更を検討します。

送信データの設計

1メッセージあたりのデータ量が限られるため、送る情報の優先順位を決め、効率よく格納します。

例えば、温度を小数の文字列として送るのではなく、一定倍率を掛けた整数として送ることで、データ量を削減できます。

送信周期の設計

送信回数を増やすと、より細かな監視が可能になりますが、消費電力と通信回数も増加します。

通常時は低頻度で送信し、状態変化や異常発生時に追加送信するなど、用途に応じた設計を行います。

電池寿命の評価

無線通信だけでなく、センサ、CPU、待機電流、低温環境による電池性能低下などを含めて消費電力を計算します。

試作機による実測を行い、想定する交換周期を満たすか確認します。

技術基準適合認定

日本国内で無線機器を使用する場合は、電波法に基づく技術基準に適合した無線モジュールや端末を使用する必要があります。

認証済みの無線モジュールを採用する場合でも、アンテナの変更や実装条件によっては、追加の確認が必要になることがあります。

料金と運用コスト

Sigfoxは、小容量通信を前提とした低価格な回線プランが用意されていることが特長です。

ただし、利用料金は、契約回線数、送信回数、契約期間、サービス内容などによって異なります。「年間数百円」と一律に表現できるものではないため、導入時点の料金プランを確認する必要があります。

システム全体の費用には、通信料金だけでなく、端末、センサ、電池交換、クラウド、アプリケーション、保守なども含まれます。

ハカルプラスにおけるSigfoxへの対応

ハカルプラスでは、電力計測、設備監視、無線通信、IoTゲートウェイなどの技術を通じて、現場データを遠隔で収集・活用するシステムに取り組んでいます。

Sigfoxを利用する場合も、無線通信部分だけでなく、センサ入力、電源、データ形式、クラウド連携、監視画面などを含めた検討が必要です。

主な検討項目には、次のものがあります。

  • 計測対象・監視項目の整理
  • Sigfox対応通信モジュールの選定
  • センサ入力・接点入力回路の設計
  • 送信データと通信周期の設計
  • 省電力制御と電池寿命の評価
  • アンテナ・筐体の設計
  • Sigfoxクラウドからのデータ連携
  • データベースへの保存
  • 監視画面・警報通知の構築

実際の対応可否や開発内容については、利用目的、設置場所、端末数、通信頻度などを確認したうえで個別に検討します。

よくある質問

Q. Sigfoxとは何ですか?

A. 小容量のデータを低消費電力で遠距離へ送信する、IoT向けのLPWA通信技術です。

Q. 日本ではどの会社がSigfoxを提供していますか?

A. 日本国内では、京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)がSigfoxネットワークサービスを提供しています。

Q. Sigfoxは現在も利用できますか?

A. 利用できます。現在はUnaBizの下でSigfox 0G technologyとして展開され、日本国内でもKCCSがサービスを提供しています。

Q. 1回にどのくらいのデータを送信できますか?

A. 代表的な上り通信では、1メッセージあたり最大12バイトです。契約やサービス仕様を確認したうえで設計します。

Q. 1日に何回送信できますか?

A. 代表的な上り通信の上限は1日140回です。利用するプランや仕様によって条件を確認する必要があります。

Q. Sigfoxで画像を送信できますか?

A. 1回あたりのデータ量が小さいため、画像や音声などの大容量データ送信には適していません。

Q. Sigfoxから機器を遠隔操作できますか?

A. 限定的な下り通信は可能ですが、頻繁な操作や即時性が必要な遠隔制御には適していません。

Q. SigfoxとLoRaは何が違いますか?

A. Sigfoxは通信事業者の公衆ネットワークを利用します。LoRa Privateは、利用者が親機を設置して独自のネットワークを構築する方式です。

Q. Sigfoxを利用するには基地局の設置が必要ですか?

A. 通常は既存の公衆ネットワークを利用するため、利用者が基地局を設置する必要はありません。ただし、サービスエリアと設置場所の電波状況を確認する必要があります。

Q. Sigfoxは電池で長期間動作できますか?

A. 低頻度・小容量の通信にすることで長期間動作させられますが、実際の電池寿命は送信回数、センサ、電波環境、温度などによって異なります。

Q. Sigfox端末には技術基準適合認定が必要ですか?

A. 日本国内で使用する無線機器には、電波法に適合した無線モジュールや端末を使用する必要があります。

関連ワード

・LPWA
・LoRa無線
・産業用無線通信(429MHz/920MHz/ANT/FOMA)
・無線・技術適合認定
・GPS/GNSS
・TCP/IP系アプリケーションプロトコル(HTTP/SMTP/FTP/TFTP/NTP)

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