GNSS時刻同期とは、GPSをはじめとする衛星測位システムから受信した正確な時刻情報を利用し、PLC、産業用コンピュータ、データロガー、計測器、ネットワーク機器などの時計を合わせる仕組みです。

複数設備で異常履歴、電力データ、製造実績を記録する場合、機器ごとの時計がずれていると、出来事の発生順序や同時性を正しく判断できません。GNSSを基準に時刻をそろえることで、拠点間や設備間の記録を比較しやすくなります。

ハカルプラスでは、必要な時刻精度、設置場所、同期対象機器を確認し、GNSS受信機、アンテナ、NTP、パルス信号を組み合わせた時刻同期を検討します。

GNSS時刻同期の主な用途

  • 複数計測器のデータ時刻を一致させる
  • 異常履歴の発生順序を確認する
  • 電力・エネルギーデータを同じ時間区分で集計する
  • 遠隔拠点の時計を共通基準へ合わせる
  • 通信ログ・監査証跡の時刻信頼性を高める
  • 高精度計測のサンプリング基準を供給する

GNSSとは

GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略で、衛星から送られる信号を利用して位置と時刻を求める仕組みです。

GPSのほか、複数の衛星測位システムをまとめた呼び方として使用されます。受信機が複数システムへ対応すると、利用可能な衛星数を増やせる場合があります。

衛星から得られる時刻

測位衛星には高精度な時計が搭載され、衛星信号には送信時刻情報が含まれています。

GNSS受信機は複数衛星の信号を受信し、内部時計を補正します。位置情報を利用しない場合でも、時刻同期用として使用できます。

時刻同期が必要な理由

一般的な機器内蔵時計は、温度や部品誤差によって徐々にずれます。

一台だけで使用する場合は問題にならなくても、複数機器のデータを比較する場合、数秒・数分のずれが原因分析へ影響します。

RTCとの違い

RTCは、機器内で日時を保持する時計回路です。停電中も電池で動作できますが、長期間では少しずつ誤差が累積します。

GNSS時刻同期では、外部の正確な時刻を基準にRTCを定期補正します。GNSSを受信できない間はRTCで時刻を保持します。

1PPS信号

GNSS受信機から、1秒ごとに高精度なパルスを出力する機能があります。これを1PPS信号と呼びます。

パルスの立上りを秒境界として使用し、マイコン、計測器、時刻サーバーの内部時計を高精度に同期させます。

時刻データと1PPSの組み合わせ

1PPS信号だけでは、何年何月何日の何時何分何秒かを判別できません。

シリアル通信などで受信した日時情報と1PPSを組み合わせ、秒境界と日付・時刻を対応させます。

NTP

NTPは、ネットワーク経由で機器の時計を同期するプロトコルです。

GNSS受信機を備えた時刻サーバーから、工場内のPLC、パソコン、ネットワーク機器へ時刻を配信できます。

GNSS時刻サーバー

屋外アンテナで衛星信号を受信し、NTPなどを利用してネットワーク内へ正確な時刻を配信する装置です。

複数機器をまとめて同期でき、各設備へ個別のGNSSアンテナを設置する必要を減らせます。

PTP

より高い時刻精度が必要な場合は、ネットワーク上で高精度同期を行うPTPが利用されることがあります。

対応するスイッチ、端末、ネットワーク設計が必要です。一般的なNTP同期より構成が複雑になります。

必要な時刻精度

日報や製造実績では秒単位、設備異常の順序確認ではミリ秒単位、高速計測ではさらに高い精度が必要になる場合があります。

目的以上に高精度な構成とすると、機器費用と設計が増えるため、必要精度を明確にします。

アンテナの設置

GNSSアンテナは、できるだけ空が広く見える屋外や窓付近へ設置します。

金属屋根の下、建物中央、制御盤内では衛星信号を受信しにくい場合があります。アンテナケーブル長と雷保護も考慮します。

空の見通し

高い建物、タンク、山などで空が遮られると、受信できる衛星数が減ります。

複数方向が開けた場所を選び、設備増設後にも遮蔽されない位置へ設置します。

屋内設置

窓際で受信できる場合もありますが、ガラスの種類や建物構造によって信号が大きく減衰します。

安定性が必要な場合は、屋外アンテナを設けて同軸ケーブルで受信機へ接続します。

アンテナケーブル

アンテナケーブルが長いと、衛星信号が減衰します。

受信機の許容長を確認し、必要に応じて低損失ケーブルや増幅器を使用します。余分なケーブルを小さく巻きすぎないようにします。

雷・サージ対策

屋外アンテナは雷サージの侵入経路になる可能性があります。

同軸避雷器、接地、建物への引込位置を検討し、受信機と内部ネットワークを保護します。

受信開始までの時間

電源投入後、衛星情報を取得して時刻が確定するまで一定時間かかる場合があります。

前回情報を保持している場合と、長期間停止後では開始時間が異なります。時刻確定前のデータをどのように扱うかを決めます。

同期状態

単に日時を表示するだけでなく、現在GNSSへ同期しているか、RTCで自走しているかを管理します。

最終同期時刻、受信衛星数、アンテナ異常などを表示すると保守しやすくなります。

受信不能時の動作

アンテナ故障や遮蔽によりGNSS信号を受信できなくなった場合は、内部RTCや高安定発振器で時刻を継続します。

受信不能時間が長くなるほど誤差が増えるため、一定時間を超えたら時刻精度低下の警報を出します。

急な時刻補正

機器の時計が大きくずれている状態で、一度に正しい時刻へ変更すると、ログ時刻が逆戻りしたり重複したりする可能性があります。

少しずつ時計を速める・遅らせる方法や、運転停止時に補正する方法を検討します。

日付またぎ

時刻補正によって日付が変わると、日報、積算値、製造実績の集計へ影響する場合があります。

日次締め時刻と同期処理の関係を確認し、重複・欠落を防ぎます。

タイムゾーン

GNSSから得られる基準時刻と、画面へ表示する日本標準時などを区別します。

海外設備やクラウド連携では、内部保存は共通基準時刻、画面表示は現地時間とする構成が有効です。

うるう秒

時刻システムでは、うるう秒の扱いが機器によって異なる場合があります。

高精度な記録や複数システム連携では、GNSS受信機、NTPサーバー、データベースの対応を確認します。

複数機器への配信

一台のGNSS時刻サーバーから、複数のPLC、パソコン、計測器へ時刻を配信できます。

ネットワーク機器がNTPへ対応しているか、同期周期と通信経路を確認します。

異常履歴との連携

設備異常、停電、通信断などの履歴へ正確な時刻を付けることで、複数設備の出来事を時系列で比較できます。

電力系統の瞬低と設備停止、上流設備と下流設備の異常発生順などを確認しやすくなります。

データロギングとの連携

複数のデータロガーや計測器を同じ時刻基準へ同期すると、異なる場所の波形や計測値を重ねて分析できます。

各機器のサンプリング周期と時刻付与方法も確認します。

異常時の確認

同期しない場合は、アンテナ位置、ケーブル、受信衛星数、時刻サーバー設定を確認します。

時刻がずれる場合は、タイムゾーン、同期周期、RTC誤差、ネットワーク遅延を点検します。時刻が飛ぶ場合は、補正方式と再起動時処理を確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、必要な時刻精度、同期対象機器、ネットワーク構成を確認します。

GNSS受信機、1PPS、NTP、RTCを組み合わせ、計測データ、異常履歴、製造実績の時刻を設備間でそろえる構成を検討します。

よくある質問

Q. GNSSは位置情報を使わなくても時刻同期できますか?

A. 位置表示を行わない用途でも、衛星信号の時刻情報を利用できます。

Q. 屋内でもGNSS時刻を受信できますか?

A. 窓際で受信できる場合もありますが、安定性を重視する場合は屋外アンテナを使用します。

Q. GNSSを受信できない間は時計が止まりますか?

A. 内部RTCで時刻を継続できますが、受信不能時間に応じて誤差が増えます。

Q. 一台の受信機で複数設備を同期できますか?

A. GNSS時刻サーバーからNTPなどで複数機器へ時刻を配信できます。

Q. 既設PLCもGNSS時刻へ同期できますか?

A. NTP、通信書込み、接点・パルス入力など、PLCの対応機能に応じて同期できる場合があります。

関連ワード

GNSS測位精度とは、GPSをはじめとする衛星測位システムで求めた位置が、実際の位置にどの程度近いかを示す指標です。車両、農業機械、移動体、屋外センサ、設備管理端末などの位置把握に利用されます。

GNSS受信機の仕様に「測位精度数m」と記載されていても、実際の精度は、受信衛星数、空の見通し、周辺建物、アンテナ、天候、補正方式などによって変化します。用途に必要な精度と、設置環境で得られる精度を分けて考えることが重要です。

ハカルプラスでは、必要な位置精度、移動速度、設置場所、通信環境を確認し、単独測位、補強情報、RTKなどを含むGNSS構成を検討します。

GNSS測位の基本

GNSS受信機は、複数の衛星から送られる信号の到達時間を測定し、各衛星までの距離を推定します。複数衛星との距離関係から、緯度、経度、高度、時刻を求めます。

位置と受信機内部時計のずれを同時に求めるため、一般には4機以上の衛星信号が必要です。利用できる衛星数が多いほど、安定した測位を行いやすくなります。

測位精度の表し方

測位誤差は、実際の位置と測定位置の差として表します。

水平方向の誤差と、高さ方向の誤差は分けて評価します。一般に、高さ方向は水平方向より誤差が大きくなりやすい傾向があります。

絶対精度と相対精度

地図上の真の座標に対してどれだけ正確かを絶対精度として考えます。

二つの地点間の距離や、同じ経路を繰り返した際の位置の再現性を重視する場合は、相対精度も重要です。用途によって必要な評価方法が異なります。

単独測位

単独測位は、一台のGNSS受信機だけで衛星信号を受信し、位置を求める方式です。

車両位置、設備所在地、作業者端末など、数m程度の誤差を許容できる用途に利用されます。周囲環境が良好であれば安定しますが、建物や樹木の影響を受けます。

利用する衛星システム

GNSS受信機には、複数の衛星測位システムへ対応する製品があります。

複数システムを同時利用すると、受信可能な衛星数が増え、建物などで一部の空が遮られる環境でも測位を継続しやすくなります。

衛星配置

受信できる衛星数が多くても、衛星が同じ方向へ偏っていると測位精度が低下する場合があります。

空の広い範囲へ衛星が分散している状態の方が、位置を安定して求めやすくなります。

DOP

DOPは、衛星配置が測位精度へ与える影響を示す指標です。数値が小さいほど衛星配置が良好であることを示します。

水平方向、高さ方向、三次元位置などに対応する複数の指標があります。位置データとともにDOPを保存すると、精度が悪化したデータを判別しやすくなります。

空の見通し

GNSSアンテナから空が広く見えるほど、衛星信号を受信しやすくなります。

建物の谷間、屋根の下、サイロやタンクの近く、樹木の下では、利用できる衛星数が減り、位置が不安定になる場合があります。

マルチパス

衛星信号が建物、地面、金属設備などで反射し、直接波とは異なる経路でアンテナへ届く現象をマルチパスと呼びます。

反射した信号は到達時間が長くなるため、受信機が衛星までの距離を誤って推定し、位置誤差につながります。

アンテナの設置位置

アンテナは、周囲に高い障害物が少なく、反射面から離れた位置へ設置します。

車両や移動体では、屋根などの高い位置へ水平に取り付けます。金属面を利用する前提のアンテナと、金属から離して設置するアンテナがあるため、製品仕様を確認します。

アンテナ性能

受信感度、周波数対応、マルチパス抑制、耐候性などが測位性能へ影響します。

複数周波数を利用する高精度受信機では、対応するアンテナとケーブルを使用します。受信機だけ高性能でも、アンテナが対応していなければ十分な性能を得られません。

アンテナケーブル

アンテナケーブルが長いと衛星信号が減衰します。受信機の許容長を確認し、必要に応じて低損失ケーブルや増幅機能付きアンテナを使用します。

コネクタの緩み、水の浸入、ケーブル損傷も受信状態悪化の原因になります。

電離層・対流圏の影響

衛星信号は大気中を通過する際に遅延します。電離層や対流圏の状態によって遅延量が変化し、測位誤差の原因となります。

複数周波数の信号や補正情報を利用すると、影響を低減できる場合があります。

衛星軌道・時計誤差

衛星の位置情報や搭載時計にもわずかな誤差があります。

GNSSから配信される軌道・時計情報や、外部の補正サービスを利用して誤差を補正します。

補強情報

基準局や衛星から送られる補正情報を利用し、単独測位より精度を高める方式があります。

利用可能な地域、受信方法、通信回線、補正情報の有効時間を確認します。補正情報が途絶えた場合は単独測位へ戻る構成もあります。

DGPS・DGNSS

位置が分かっている基準局で測定した誤差を、移動局へ送って補正する方式です。

単独測位より誤差を低減できますが、基準局との距離や補正データの遅延によって性能が変わります。

RTK測位

RTKは、基準局と移動局で受信した搬送波位相を利用し、数cm級の高精度測位を行う方式です。

農業機械の自動走行、測量、建設機械、精密な位置決めなどに利用されます。安定した補正通信と良好な衛星受信環境が必要です。

固定解とフロート解

RTKでは、整数値の不確定性を解決できた高精度な状態を固定解、解決途中の状態をフロート解と呼びます。

位置データだけでなく、現在の測位状態を確認し、固定解でない場合は高精度位置として使用しないようにします。

ネットワーク型RTK

複数の基準局と通信ネットワークを利用し、移動局周辺の補正情報を配信する方式です。

自前で基準局を設置せず利用できる場合がありますが、サービスエリア、通信契約、回線品質を確認します。

PPP

精密な衛星軌道・時計情報などを利用し、一台の受信機で高精度測位を行う方式があります。

高精度へ収束するまで時間が必要な場合があり、RTKとは応答特性や利用条件が異なります。

移動体での測位

車両や機械では、GNSS位置に加えて、速度、進行方向、加速度、ジャイロなどを組み合わせることがあります。

建物の陰やトンネルでGNSSが一時的に受信できない場合も、慣性センサや車速情報から位置を補間できます。

更新周期

位置を出力する周期は、用途によって異なります。設備所在地の記録では低い周期でも十分ですが、車両制御や軌跡記録では高い更新周期が必要です。

更新周期を高くすると、通信量と演算負荷が増えます。移動速度と必要な位置分解能から選定します。

初期測位時間

電源投入後、必要な衛星情報を取得して位置を求めるまで時間がかかります。

長期間停止後、受信環境が悪い場合、補正方式を使用する場合は、測位開始や高精度化までの時間が長くなることがあります。

測位状態の監視

位置情報だけでなく、受信衛星数、DOP、補正情報の有無、RTK固定状態、最終更新時刻を監視します。

必要な品質を満たさない位置は、警告表示または無効データとして扱います。

位置の飛び

反射波や衛星配置の変化により、停止中でも位置が突然移動して見えることがあります。

移動速度、前回位置との差、測位品質を確認し、異常な変化を除外します。単純な平均だけでは実際の移動を遅らせるため、用途に合ったフィルタを使用します。

高さ情報

GNSSが出力する高さと、地図や測量で用いる標高は基準が異なる場合があります。

高さを設備管理や測量へ使用する場合は、出力基準と補正値を確認します。

地図座標との整合

緯度・経度の測地系と、地図や既存システムが使用する座標系を一致させます。

座標変換を誤ると、測位自体が正しくても地図上で位置がずれます。

異常時の確認

測位できない場合は、アンテナ位置、ケーブル、電源、受信衛星数を確認します。

位置が大きくずれる場合は、マルチパス、衛星配置、補正情報、アンテナ周辺の金属を点検します。RTK精度が得られない場合は、補正通信と固定解状態を確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、車両、設備、センサなどの利用目的と必要精度を確認し、GNSS受信機とアンテナを選定します。

単独測位、補強情報、RTK、慣性センサ、通信回線を組み合わせ、位置品質の監視と異常判定を含む構成を検討します。

よくある質問

Q. GNSSを使えば必ず仕様書どおりの精度が得られますか?

A. 衛星配置、建物、アンテナ、反射波などの影響を受けるため、実際の設置場所で確認する必要があります。

Q. 建物の中でも測位できますか?

A. 窓際などで受信できる場合もありますが、安定した測位には空が見える屋外設置が適しています。

Q. 数cm単位の測位は可能ですか?

A. RTKなどの高精度方式と良好な衛星・通信環境を使用すれば可能な場合があります。

Q. RTKの固定解とフロート解は何が違いますか?

A. 固定解は整数不確定性を解決した高精度状態で、フロート解は解決途中のため精度が低下します。

Q. 測位品質が悪いデータを判別できますか?

A. 衛星数、DOP、補正状態、RTK解の種類などを利用して判定できます。

関連ワード

GPS/GNSSは、人工衛星から送信される電波を受信し、地球上における現在位置、移動速度、進行方向、正確な時刻などを求める衛星測位技術です。

GPSは「Global Positioning System」の略で、米国が運用する衛星測位システムを指します。GNSSは「Global Navigation Satellite System」の略で、GPS、Galileo、BeiDou、QZSSなど、複数の衛星測位システムを含む総称です。

GPSとGNSSの違い

GPSはGNSSを構成する一つの衛星測位システムです。複数の衛星システムに対応した受信機では、受信可能な衛星数を増やせるため、建物や地形によって一部の衛星が遮られる環境でも、測位を継続しやすくなります。

ただし、対応する衛星システムが多ければ必ず高精度になるとは限りません。アンテナの設置場所、受信信号の品質、衛星配置、補正情報の有無などを含めて評価する必要があります。

GPS/GNSSで位置を求める仕組み

各衛星は、衛星自身の位置情報と送信時刻を含む信号を送信しています。受信機は、信号が衛星から到達するまでの時間差をもとに、各衛星との見かけ上の距離を求めます。

電波の伝搬速度をc、信号の到達時間をtとすると、衛星までの距離ρは概ね次の関係で表されます。

ρ=c×t

実際には、受信機内部の時計誤差、大気中での遅延、衛星軌道や衛星時計の誤差などが含まれるため、単純な距離計算だけでは位置を確定できません。複数衛星の既知の位置と測定距離を組み合わせ、受信機の緯度、経度、高度、時計誤差を同時に求めます。

三次元位置と受信機時計の誤差を求めるため、通常は4機以上の衛星信号を使用します。受信衛星数が多くても、衛星が同じ方向へ偏っている場合は位置計算の条件が悪くなることがあります。

GPS/GNSSで取得できる情報

  • 緯度・経度
  • 高度
  • 移動速度
  • 進行方向
  • UTCを基準とした時刻情報
  • 受信衛星数
  • 測位状態
  • 測位精度の目安となる指標
  • 補正情報の適用状態

位置情報だけでなく、衛星から得られる時刻情報を、遠隔地に設置された計測機器や通信機器の時刻同期に利用することもできます。

測位精度に影響する要因

衛星配置

受信可能な衛星数だけでなく、空全体にどのように配置されているかが重要です。衛星が一方向へ集中していると、距離の測定誤差が位置計算結果へ大きく反映される場合があります。

建物・樹木・地形による遮蔽

建物内部、地下、トンネル、金属屋根の下、高い建物に囲まれた場所などでは、衛星信号を直接受信しにくくなります。受信衛星数が不足すると、測位できない、または測位結果が不安定になることがあります。

マルチパス

衛星からの電波が建物、地面、車体、金属構造物などで反射してからアンテナへ到達する現象をマルチパスと呼びます。直接波より長い経路を通るため、衛星までの距離を実際より長く推定し、位置誤差の原因になります。

大気による遅延

衛星信号は電離層や対流圏を通過するときに遅延します。受信機内部の補正モデルや、外部から配信される補正情報によって影響を低減します。

アンテナと受信回路

アンテナの指向性、設置方向、ケーブル損失、周辺金属、受信機の感度なども測位性能に影響します。受信機の仕様値だけでなく、実際の設置条件で評価する必要があります。

測位結果の信頼性を判断する

計測・制御システムへ組み込む場合は、緯度や経度の数値だけを利用せず、測位状態、受信衛星数、精度指標、補正情報の状態なども確認します。

代表的な精度指標にはDOPがあります。DOPは衛星配置による誤差の増幅度合いを示す指標で、値が小さいほど衛星配置の条件が良いことを表します。ただし、DOPが良好でも、反射波やアンテナ設置不良による誤差を完全に判定できるわけではありません。

制御や判定に位置情報を使用する場合は、測位方式、精度指標、連続性、前回値からの変化量などを組み合わせ、信頼性の低い値を除外する処理が必要です。

携帯電話基地局やWi-Fiを利用する補助測位

スマートフォンや通信端末では、GNSSに加えて携帯電話基地局やWi-Fiアクセスポイントの情報を利用し、おおよその位置を求めることがあります。

通信網から衛星軌道情報や時刻情報などを取得し、衛星信号を捕捉するまでの時間を短縮する仕組みはA-GNSSと呼ばれます。A-GNSSは測位開始を支援する技術であり、衛星信号を受信できない場所で高精度なGNSS測位を可能にするものではありません。

高精度測位の主な方式

DGNSS

位置が正確に分かっている基準局で測位誤差を求め、その補正情報を移動局へ送信する方式です。受信機単独の測位より誤差を低減できます。

RTK-GNSS

基準局と移動局で受信した搬送波位相を利用し、高精度な位置をリアルタイムに求めます。初期化状態、基準局との距離、通信状態、衛星配置、遮蔽物などが精度と安定性に影響します。

衛星測位補強サービス

地上の監視局で作成した補正情報を衛星や通信網から配信する方式です。利用できる地域、対応受信機、補正方式、収束時間などを確認して選定します。

アンテナ設置の注意点

アンテナは、可能な限り上空を広く見渡せる場所へ設置します。建物の陰、金属屋根の下、制御盤内、壁際などでは、衛星信号の遮蔽や反射が起こりやすくなります。

アンテナの周囲に大きな金属構造物がある場合は、反射波の影響を受けることがあります。アンテナケーブルが長い場合は信号損失も増えるため、使用可能なケーブル長や増幅器の有無を確認します。

アクティブアンテナを使用する場合は、受信機側からの電源供給条件、電圧、消費電流、断線・短絡検出の有無なども確認します。

計測・制御機器へ組み込む際の注意点

測位できない場合の動作

衛星信号を受信できない場合に、最後に取得した位置を表示し続けるのか、測位不能として扱うのかを決めます。最後の位置を使用する場合は、現在値ではないことを識別できる表示や状態情報が必要です。

異常値の判定

受信環境の急変によって、実際には移動していない機器の位置が大きく変化する場合があります。前回位置からの移動距離、経過時間、速度、測位状態などを比較し、現実的でない位置変化を除外します。

通信との組み合わせ

位置情報をLoRa、LPWA、携帯通信、無線LANなどで送信する場合は、送信周期、通信量、通信圏外時の一時保存、再送、重複データの扱いを設計します。

時刻の扱い

GNSSから得られる時刻をシステム時刻へ反映する場合は、UTCと日本標準時の変換、うるう秒、受信不能時の内部時計による継続、復帰時の時刻補正方法などを整理します。

消費電力

電池駆動機器では、GNSS受信機を常時動作させると消費電力が増加します。一定時間ごとに起動する、移動を検出したときだけ測位する、前回の衛星情報を利用して測位開始時間を短縮するなどの方法を検討します。

他のセンサとの組み合わせ

加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサなどを組み合わせることで、衛星信号が一時的に受信できない間の移動推定や、車体・機器の向き、姿勢変化を検出できます。

ただし、これらのセンサによる移動推定は、時間の経過とともに誤差が蓄積します。GNSSで得られる絶対位置と、慣性センサによる相対的な移動情報を適切に補正しながら利用します。

ハカルプラスのGPS/GNSS技術

ハカルプラスでは、GPS/GNSSモジュールを使用した製品やシステムを開発しています。

受信モジュールだけでなく、アンテナ、電源回路、通信、筐体、組込みソフトウェア、データ保存まで含めて構成を検討します。測位状態、衛星数、精度指標を確認し、信頼性の低い測位値をそのまま使用しない処理も重要です。

位置情報を遠隔送信するシステムでは、通信圏外時の一時保存、復帰後の再送、位置情報と時刻情報の対応、消費電力などを、実際の運用条件に合わせて設計します。

よくある質問

Q. 停止している機器の位置が少しずつ変化するのはなぜですか?

A. 衛星配置、大気による遅延、反射波、受信信号の変動などにより、静止中でも測位結果が一定範囲で変動します。停止判定には位置だけでなく、速度や時間、複数回の測位結果を組み合わせます。

Q. 最後に取得した位置を測位不能時にも使用できますか?

A. 使用できますが、現在位置ではないため、最終測位時刻や測位状態を併せて管理する必要があります。用途によっては、一定時間を超えた位置情報を無効として扱います。

Q. RTK-GNSSで固定解にならない原因は何ですか?

A. 衛星信号の遮蔽や反射、基準局との距離、補正情報の通信断、アンテナ設置、衛星配置などが考えられます。受信衛星数だけでなく、補正情報の状態や測位品質を確認します。

Q. GNSS時刻をPLCや計測機器の時刻合わせに使用できますか?

A. 使用できます。必要な時刻精度に応じて、通信データとして時刻を取得する方法や、1PPS信号を利用する方法を検討します。

Q. 通信圏外になった場合でも位置履歴を残せますか?

A. 機器内部に位置情報と時刻を一時保存し、通信復帰後に送信する構成を検討できます。保存容量、記録周期、再送順序、重複防止などの設計が必要です。

関連ワード

お問い合わせ