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GNSS測位精度
(GNSSそくいせいど)
GNSS測位精度とは、GPSをはじめとする衛星測位システムで求めた位置が、実際の位置にどの程度近いかを示す指標です。車両、農業機械、移動体、屋外センサ、設備管理端末などの位置把握に利用されます。
GNSS受信機の仕様に「測位精度数m」と記載されていても、実際の精度は、受信衛星数、空の見通し、周辺建物、アンテナ、天候、補正方式などによって変化します。用途に必要な精度と、設置環境で得られる精度を分けて考えることが重要です。
ハカルプラスでは、必要な位置精度、移動速度、設置場所、通信環境を確認し、単独測位、補強情報、RTKなどを含むGNSS構成を検討します。
GNSS測位の基本
GNSS受信機は、複数の衛星から送られる信号の到達時間を測定し、各衛星までの距離を推定します。複数衛星との距離関係から、緯度、経度、高度、時刻を求めます。
位置と受信機内部時計のずれを同時に求めるため、一般には4機以上の衛星信号が必要です。利用できる衛星数が多いほど、安定した測位を行いやすくなります。
測位精度の表し方
測位誤差は、実際の位置と測定位置の差として表します。
水平方向の誤差と、高さ方向の誤差は分けて評価します。一般に、高さ方向は水平方向より誤差が大きくなりやすい傾向があります。
絶対精度と相対精度
地図上の真の座標に対してどれだけ正確かを絶対精度として考えます。
二つの地点間の距離や、同じ経路を繰り返した際の位置の再現性を重視する場合は、相対精度も重要です。用途によって必要な評価方法が異なります。
単独測位
単独測位は、一台のGNSS受信機だけで衛星信号を受信し、位置を求める方式です。
車両位置、設備所在地、作業者端末など、数m程度の誤差を許容できる用途に利用されます。周囲環境が良好であれば安定しますが、建物や樹木の影響を受けます。
利用する衛星システム
GNSS受信機には、複数の衛星測位システムへ対応する製品があります。
複数システムを同時利用すると、受信可能な衛星数が増え、建物などで一部の空が遮られる環境でも測位を継続しやすくなります。
衛星配置
受信できる衛星数が多くても、衛星が同じ方向へ偏っていると測位精度が低下する場合があります。
空の広い範囲へ衛星が分散している状態の方が、位置を安定して求めやすくなります。
DOP
DOPは、衛星配置が測位精度へ与える影響を示す指標です。数値が小さいほど衛星配置が良好であることを示します。
水平方向、高さ方向、三次元位置などに対応する複数の指標があります。位置データとともにDOPを保存すると、精度が悪化したデータを判別しやすくなります。
空の見通し
GNSSアンテナから空が広く見えるほど、衛星信号を受信しやすくなります。
建物の谷間、屋根の下、サイロやタンクの近く、樹木の下では、利用できる衛星数が減り、位置が不安定になる場合があります。
マルチパス
衛星信号が建物、地面、金属設備などで反射し、直接波とは異なる経路でアンテナへ届く現象をマルチパスと呼びます。
反射した信号は到達時間が長くなるため、受信機が衛星までの距離を誤って推定し、位置誤差につながります。
アンテナの設置位置
アンテナは、周囲に高い障害物が少なく、反射面から離れた位置へ設置します。
車両や移動体では、屋根などの高い位置へ水平に取り付けます。金属面を利用する前提のアンテナと、金属から離して設置するアンテナがあるため、製品仕様を確認します。
アンテナ性能
受信感度、周波数対応、マルチパス抑制、耐候性などが測位性能へ影響します。
複数周波数を利用する高精度受信機では、対応するアンテナとケーブルを使用します。受信機だけ高性能でも、アンテナが対応していなければ十分な性能を得られません。
アンテナケーブル
アンテナケーブルが長いと衛星信号が減衰します。受信機の許容長を確認し、必要に応じて低損失ケーブルや増幅機能付きアンテナを使用します。
コネクタの緩み、水の浸入、ケーブル損傷も受信状態悪化の原因になります。
電離層・対流圏の影響
衛星信号は大気中を通過する際に遅延します。電離層や対流圏の状態によって遅延量が変化し、測位誤差の原因となります。
複数周波数の信号や補正情報を利用すると、影響を低減できる場合があります。
衛星軌道・時計誤差
衛星の位置情報や搭載時計にもわずかな誤差があります。
GNSSから配信される軌道・時計情報や、外部の補正サービスを利用して誤差を補正します。
補強情報
基準局や衛星から送られる補正情報を利用し、単独測位より精度を高める方式があります。
利用可能な地域、受信方法、通信回線、補正情報の有効時間を確認します。補正情報が途絶えた場合は単独測位へ戻る構成もあります。
DGPS・DGNSS
位置が分かっている基準局で測定した誤差を、移動局へ送って補正する方式です。
単独測位より誤差を低減できますが、基準局との距離や補正データの遅延によって性能が変わります。
RTK測位
RTKは、基準局と移動局で受信した搬送波位相を利用し、数cm級の高精度測位を行う方式です。
農業機械の自動走行、測量、建設機械、精密な位置決めなどに利用されます。安定した補正通信と良好な衛星受信環境が必要です。
固定解とフロート解
RTKでは、整数値の不確定性を解決できた高精度な状態を固定解、解決途中の状態をフロート解と呼びます。
位置データだけでなく、現在の測位状態を確認し、固定解でない場合は高精度位置として使用しないようにします。
ネットワーク型RTK
複数の基準局と通信ネットワークを利用し、移動局周辺の補正情報を配信する方式です。
自前で基準局を設置せず利用できる場合がありますが、サービスエリア、通信契約、回線品質を確認します。
PPP
精密な衛星軌道・時計情報などを利用し、一台の受信機で高精度測位を行う方式があります。
高精度へ収束するまで時間が必要な場合があり、RTKとは応答特性や利用条件が異なります。
移動体での測位
車両や機械では、GNSS位置に加えて、速度、進行方向、加速度、ジャイロなどを組み合わせることがあります。
建物の陰やトンネルでGNSSが一時的に受信できない場合も、慣性センサや車速情報から位置を補間できます。
更新周期
位置を出力する周期は、用途によって異なります。設備所在地の記録では低い周期でも十分ですが、車両制御や軌跡記録では高い更新周期が必要です。
更新周期を高くすると、通信量と演算負荷が増えます。移動速度と必要な位置分解能から選定します。
初期測位時間
電源投入後、必要な衛星情報を取得して位置を求めるまで時間がかかります。
長期間停止後、受信環境が悪い場合、補正方式を使用する場合は、測位開始や高精度化までの時間が長くなることがあります。
測位状態の監視
位置情報だけでなく、受信衛星数、DOP、補正情報の有無、RTK固定状態、最終更新時刻を監視します。
必要な品質を満たさない位置は、警告表示または無効データとして扱います。
位置の飛び
反射波や衛星配置の変化により、停止中でも位置が突然移動して見えることがあります。
移動速度、前回位置との差、測位品質を確認し、異常な変化を除外します。単純な平均だけでは実際の移動を遅らせるため、用途に合ったフィルタを使用します。
高さ情報
GNSSが出力する高さと、地図や測量で用いる標高は基準が異なる場合があります。
高さを設備管理や測量へ使用する場合は、出力基準と補正値を確認します。
地図座標との整合
緯度・経度の測地系と、地図や既存システムが使用する座標系を一致させます。
座標変換を誤ると、測位自体が正しくても地図上で位置がずれます。
異常時の確認
測位できない場合は、アンテナ位置、ケーブル、電源、受信衛星数を確認します。
位置が大きくずれる場合は、マルチパス、衛星配置、補正情報、アンテナ周辺の金属を点検します。RTK精度が得られない場合は、補正通信と固定解状態を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、車両、設備、センサなどの利用目的と必要精度を確認し、GNSS受信機とアンテナを選定します。
単独測位、補強情報、RTK、慣性センサ、通信回線を組み合わせ、位置品質の監視と異常判定を含む構成を検討します。
よくある質問
Q. GNSSを使えば必ず仕様書どおりの精度が得られますか?
A. 衛星配置、建物、アンテナ、反射波などの影響を受けるため、実際の設置場所で確認する必要があります。
Q. 建物の中でも測位できますか?
A. 窓際などで受信できる場合もありますが、安定した測位には空が見える屋外設置が適しています。
Q. 数cm単位の測位は可能ですか?
A. RTKなどの高精度方式と良好な衛星・通信環境を使用すれば可能な場合があります。
Q. RTKの固定解とフロート解は何が違いますか?
A. 固定解は整数不確定性を解決した高精度状態で、フロート解は解決途中のため精度が低下します。
Q. 測位品質が悪いデータを判別できますか?
A. 衛星数、DOP、補正状態、RTK解の種類などを利用して判定できます。