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無線機器設計/技術基準適合証明(技適)

(むせんききせっけい/ぎじゅつきじゅんてきごうしょうめい(ぎてき))

無線機器設計/技術基準適合証明(技適)

無線モジュール

無線機器設計/技術基準適合証明(技適)とは、無線通信に必要な回路、アンテナ、基板、筐体、組み込みソフトウェアを設計し、日本国内で使用するために必要な電波法上の技術基準への適合を確認することです。

一般に「技適」と呼ばれる制度には、個々の無線設備を対象とする「技術基準適合証明」と、同一設計で量産する無線設備を対象とする「工事設計認証」があります。工事設計認証では、無線設備の設計だけでなく、製造した製品が認証済みの設計へ合致することを確認する方法も審査対象となります。

すべての無線機器に一律で同じ手続きが必要なわけではありません。使用する周波数、無線局の種類、送信出力、用途などによって、免許、登録、技術基準適合証明などの要否が異なります。特定小電力無線など、免許を受けずに使用できる無線設備では、対象となる技術基準に適合した機器を使用する必要があります。

無線機器設計の主な構成

無線機器は、無線モジュールや高周波回路だけで成立するものではありません。一般に、次の要素を組み合わせて設計します。

  • 送受信を行う無線回路または無線モジュール
  • 電波を送受信するアンテナ
  • マイコンと組み込みソフトウェア
  • センサ入力、接点入出力、通信インターフェース
  • 電源回路、電池、充電回路
  • プリント基板と樹脂・金属ケース

必要な通信距離だけでなく、送信するデータ量、通信頻度、応答時間、電源方式、設置環境を確認し、適した周波数帯と通信方式を選定します。

技術基準適合証明と工事設計認証

技術基準適合証明

個々の特定無線設備について、登録証明機関が技術基準への適合性を審査し、証明する制度です。証明を受けた無線設備には、定められた技適表示と証明番号を表示します。

工事設計認証

同じ設計に基づいて継続的に製造する無線設備について、その工事設計と製造時の確認方法を認証する制度です。認証を受けた者は、製造する無線設備を認証済みの工事設計へ合致させ、定めた方法で検査し、その記録を保存する必要があります。

工事設計認証は、無線機器を製造する事業者に与えられる免許ではありません。認証された設計と確認方法に基づき、適合する製品を製造・管理するための制度です。

技適で確認される主な項目

審査内容は無線方式によって異なりますが、一般に使用周波数、空中線電力、占有周波数帯幅、不要発射、周波数の安定度などが確認されます。

  • 規定された周波数を使用していること
  • 送信電力が許容範囲内であること
  • 不要な周波数成分を過度に放射しないこと
  • 通信時間や休止時間などの条件を満たすこと
  • 認証条件に適合したアンテナを使用すること
  • 周波数や出力を容易に不正変更できないこと

無線回路が単体で基準を満たしていても、基板、電源、アンテナ、筐体へ組み込むことで電波特性が変化する場合があります。最終製品に近い状態で評価することが重要です。

認証済み無線モジュールを使う設計

技適を取得した無線モジュールを使用すると、無線回路を一から開発する場合に比べ、開発期間や認証負担を抑えられることがあります。

ただし、認証済みモジュールであれば、自由にアンテナや出力条件を変更できるわけではありません。認証時に登録されたアンテナ、給電線、電源条件、出力設定などを守る必要があります。

指定外のアンテナへの変更、アンテナ利得の増加、無線回路の改造、送信出力を変えるソフトウェア変更などを行うと、既存の認証範囲から外れる可能性があります。

アンテナ設計

アンテナは、通信距離と通信品質を左右する重要な部分です。使用周波数、筐体寸法、基板のGND形状、アンテナの向き、周囲の金属部品などを考慮して設計します。

樹脂ケースへ収納する場合でも、電池、表示器、配線、基板などによってアンテナ特性が変化します。金属製制御盤の内部では電波が遮られるため、外部アンテナやアンテナ設置位置の検討が必要になることがあります。

アンテナ設計後は、実際の基板と筐体へ組み込んだ状態で、通信距離、方向による受信状態、周波数特性を確認します。

400MHz帯特定小電力無線

400MHz帯の特定小電力無線は、工場、ビル、屋外設備などにおける計測データや警報信号の伝送に利用されます。比較的障害物を回り込みやすく、設置環境によっては長距離通信に適しています。

一方、使用できる周波数、送信出力、連続送信時間、休止時間などの条件があります。通信失敗時の再送を含め、規定された条件を守るように組み込みソフトウェアを設計します。

高周波回路と基板設計

無線信号は、基板配線の長さ、幅、曲がり、基板材質、GND配置などの影響を受けます。アンテナへ接続する高周波配線は短くし、必要な特性インピーダンスとなるよう設計します。

電源回路、マイコン、表示回路などから発生するノイズが無線部へ混入すると、通信距離の低下や不要放射の増加につながることがあります。部品配置、電源の分離、フィルタ、シールドなどを検討します。

組み込みソフトウェア

組み込みソフトウェアでは、送受信タイミング、機器番号、通信データ、再送、誤り検出、通信異常の判定などを処理します。

複数台の機器を同じ場所で使用する場合は、同時送信による衝突を避けるため、送信タイミングの分散や再送間隔を設定します。

受信データには機器番号や連番を付け、異なる機器のデータ、古いデータ、重複したデータを誤って処理しないようにします。

通信異常とフェイルセーフ

無線通信は、壁、金属設備、他の無線機器、電気ノイズなどの影響を受けます。そのため、一時的な通信失敗が起こることを前提に設計します。

一定時間データを受信できない場合は通信異常とし、前回値を保持する、無効値として扱う、警報を出す、設備を安全側へ停止するなど、用途に応じて処理します。

監視用途では一時的な再送が可能でも、安全に直接関わる制御では、無線通信だけに依存しない構成が必要になる場合があります。

認証取得後の設計変更

認証取得後に無線回路、アンテナ、基板、部品、筐体、ソフトウェアを変更する場合は、認証内容への影響を確認します。

部品の生産終了に伴う置換でも、送信出力、周波数特性、不要放射が変化する可能性があります。変更内容によっては、確認試験、認証内容の変更、新たな認証が必要です。

量産中は、認証済みの設計と異なる部品や設定が混入しないよう、部品表、製造手順、検査記録、ソフトウェアの版数を管理します。

無線機器の評価

開発時には、電波法令に関する測定だけでなく、使用環境を想定した通信評価も行います。

  • 屋内・屋外での通信距離
  • 壁や金属設備による電波の減衰
  • アンテナ方向による受信状態の変化
  • 複数台を使用した場合の通信成功率
  • 低温・高温時や電池電圧低下時の動作
  • 通信断後の再送・復旧動作

試作基板では通信できても、量産ケースへ収納した後や、実際の設備へ取り付けた後に性能が変化することがあります。最終的な取付状態に近い条件で確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、用途、通信距離、データ量、応答時間、設置環境、電源条件を確認し、適した無線方式と機器構成を検討します。

技適取得済みの無線モジュールを使用する機器設計に加え、400MHz帯特定小電力無線について、アンテナ、無線回路、プリント基板、筐体、組み込みソフトウェアを含めて製品化した実績があります。

工事設計認証を取得した製品については、認証された工事設計と確認方法に従って製造・検査します。部品変更や機能追加についても、認証への影響を確認したうえで対応を検討します。

無線機器単体だけでなく、計測センサ、表示器、接点入出力、通信中継器、データ保存、上位監視システムまで含めた構成についても、仕様を確認して設計します。

よくある質問

Q. 日本国内で使う無線機器には、すべて技適が必要ですか?

A. 無線局の種類、周波数、出力、使用方法によって必要な手続きが異なります。対象となる制度を確認したうえで設計する必要があります。

Q. 技適取得済みの無線モジュールを使えば、製品側の確認は不要ですか?

A. いいえ。指定されたアンテナ、電源、出力設定などの認証条件を守る必要があります。組み込み方法によって追加の確認が必要になる場合もあります。

Q. 工事設計認証は無線機器を製造するための免許ですか?

A. 製造事業者に対する免許ではありません。認証された工事設計と確認方法に基づき、適合する無線設備を製造・管理するための制度です。

Q. 認証取得後にアンテナや部品を変更できますか?

A. 変更内容によっては可能ですが、電波特性と認証への影響確認が必要です。認証条件外となる場合は変更手続きや再認証を検討します。

Q. 既存の有線式計測機器を無線化できますか?

A. 通信距離、データ量、更新周期、電源、設置環境を確認し、認証済みモジュールなどを使って無線化できる場合があります。

Q. 日本で技適を取得した無線機器は、海外でもそのまま使用できますか?

A. 原則として、日本の技適だけでは海外での使用や販売に必要な条件を満たしたことにはなりません。国・地域ごとに使用可能な周波数、送信出力、通信方式、認証制度が異なるため、使用国の法令や認証要件を確認する必要があります。例えば、EUでは無線機器指令への適合とCE表示、米国では対象機器に応じたFCC認証などが必要です。また、日本と海外で同じ周波数帯を使用できない場合は、回路、アンテナ、無線モジュール、組み込みソフトウェアの変更が必要になることがあります。

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