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ATEX・IECEx
(ATEX・IECEx)
ATEX・IECExとは、可燃性ガス、蒸気、ミスト、粉じんなどによって爆発性雰囲気が形成される場所で使用する機器について、安全性を評価する制度・規格体系です。化学工場、塗装設備、石油・ガス設備、粉体設備、サイロ、集じん設備などで関係します。
ATEXは主にEU市場で適用される法令体系、IECExはIEC規格に基づく国際的な認証制度です。両者は共通する技術規格を利用することがありますが、表示、証明書、法的責任、対象地域は同一ではありません。
ハカルプラスでは、対象物質、危険場所の区分、温度、設置方法を確認し、防爆構造、機器選定、配線、接地、技術文書を含む構成を検討します。
爆発性雰囲気
可燃性物質と空気が一定の割合で混合し、着火源があると爆発的に燃焼する可能性がある雰囲気です。
通常運転中だけでなく、充填、排出、清掃、故障、漏えい時に形成される可能性も確認します。
主な対象物質
- 可燃性ガス
- 可燃性蒸気
- 可燃性ミスト
- 可燃性粉じん
- 繊維・飛散物
物質ごとに着火温度、爆発範囲、最小着火エネルギーなどが異なります。
爆発の三要素
可燃性物質、酸素、着火源がそろうと爆発が発生する可能性があります。
防爆設計では、爆発性雰囲気の形成防止、着火源の除去、爆発影響の抑制を組み合わせます。
着火源
電気火花、高温表面、静電気、機械的摩擦、アーク、電磁波などが着火源となる可能性があります。
通常動作だけでなく、部品故障、短絡、軸受異常、粉じん堆積による温度上昇も確認します。
危険場所区分
爆発性雰囲気が存在する頻度と継続時間に応じて、危険場所を区分します。
ガス・蒸気と粉じんでは区分名称が異なります。設備利用者や専門担当者が、物質と工程に基づいて区域を決定します。
ガス雰囲気のゾーン
- Zone 0:爆発性雰囲気が連続的、長時間または頻繁に存在する場所
- Zone 1:通常運転中に爆発性雰囲気が発生する可能性がある場所
- Zone 2:通常運転中には発生しにくく、発生しても短時間の場所
粉じん雰囲気のゾーン
- Zone 20:可燃性粉じん雲が連続的、長時間または頻繁に存在する場所
- Zone 21:通常運転中に可燃性粉じん雲が発生する可能性がある場所
- Zone 22:通常運転中には発生しにくく、発生しても短時間の場所
機器グループ
使用場所や対象物質に応じて、機器グループが区分されます。
鉱山用途と、それ以外のガス・粉じん用途では要求が異なります。一般産業設備では、対象ガス・粉じんに合ったグループを確認します。
機器カテゴリ・保護レベル
危険場所の区分に応じて、機器へ求められる保護レベルが変わります。
高い危険度の区域では、通常動作だけでなく複数故障を考慮した高い安全性が必要です。
ガスグループ
可燃性ガスは、着火しやすさや火炎伝ぱ特性に応じてグループ分けされます。
機器が対応するガスグループを確認し、対象物質より低い要求の機器を使用しないようにします。
粉じんグループ
可燃性粉じんは、導電性粉じん、非導電性粉じん、可燃性繊維などの特性に応じて分類されます。
導電性粉じんでは、筐体内部への侵入や短絡に対して、より厳しい対策が必要になる場合があります。
温度等級
ガス雰囲気では、機器表面の最高温度を温度等級で示します。
対象物質の発火温度より十分低い表面温度となる機器を選定します。周囲温度条件も確認します。
粉じんの表面温度
粉じん雰囲気では、粉じん雲と堆積粉じんの発火温度を考慮します。
機器表面へ粉じんが堆積すると断熱され、内部温度が上昇する可能性があります。堆積厚さと清掃条件を確認します。
周囲温度
防爆機器の認証には、使用可能な周囲温度範囲が定められています。
屋外、炉周辺、寒冷地などで範囲を外れる場合は、対応機器や追加評価が必要です。
耐圧防爆構造
筐体内部で爆発が発生しても、筐体が圧力に耐え、火炎が外部へ伝わらないようにする構造です。
接合面、ねじ、ケーブル引込部などが重要で、現地での穴あけや加工は認証条件を損なう可能性があります。
本質安全防爆構造
電気回路のエネルギーを制限し、通常時や想定故障時にも爆発性雰囲気へ着火しないようにする構造です。
センサ、計測回路、通信回路などの低電力機器で利用されます。機器単体だけでなく、バリア、配線、ケーブル容量を含むシステムとして確認します。
安全増防爆構造
通常動作で火花や高温を生じない機器について、絶縁、端子、温度、機械強度を高めて着火を防止する構造です。
モーター、端子箱、照明機器などで利用される場合があります。
内圧防爆構造
筐体内部へ保護ガスを供給し、外部の爆発性ガスや粉じんが侵入しないようにする構造です。
運転開始前のパージ、圧力監視、圧力低下時の電源遮断などが必要です。
樹脂充填・油入・非点火など
用途に応じて、回路を樹脂で封止する、油へ浸す、Zone 2向けの非点火構造を使用するなど、複数の防爆構造があります。
機器機能、保守性、発熱、危険場所区分から選定します。
防じん防爆
粉じんが筐体内部へ侵入し、電気火花や高温部へ接触することを防ぎます。
筐体の防塵性能、表面温度、パッキン、ケーブル引込部を確認します。一般的なIP等級だけで防爆適合を判断しないようにします。
粉じん堆積
機器表面やモーターの冷却部へ粉じんが堆積すると、放熱が妨げられ、表面温度が上昇します。
清掃周期、堆積しにくい形状、取付姿勢を検討します。
静電気
粉体の流動、ベルト搬送、樹脂ホース、作業者の動作によって静電気が発生します。
導電化、接地、流速制限、帯電防止材料を使用し、放電による着火を防ぎます。
接地・等電位化
金属製サイロ、配管、ホース、筐体などを適切に接地し、電位差を抑えます。
塗装、ガスケット、可とう継手によって導通が途切れる場合は、ボンディング線を設けます。
ケーブルグランド
防爆機器には、対象防爆構造とケーブルに適合した認証済みグランドを使用します。
ねじ規格、ケーブル外径、シール方式、アーマー有無を確認します。未使用口には認証済み閉止プラグを使用します。
配線
本質安全回路と非本質安全回路を分離し、識別します。
ケーブルの静電容量・インダクタンス、接地、シールドを確認します。端子台や配線ダクト内でも必要な分離を行います。
本質安全バリア
安全区域側から危険場所側へ供給される電圧・電流を制限する機器です。
ツェナーバリアや絶縁バリアがあり、接地条件、絶縁、入出力仕様を確認します。
ループ計算
本質安全回路では、電源側機器と危険場所側機器、ケーブルの電気的条件が適合することを確認します。
許容電圧、電流、電力、静電容量、インダクタンスを比較し、組み合わせ可能か判断します。
ATEX
ATEXでは、EUで爆発性雰囲気に使用する機器・保護システムについて、法令要求への適合を確認します。
機器カテゴリ、適合性評価、CE表示、防爆表示、EU適合宣言などを整備します。
IECEx
IECExは、IEC防爆規格に基づき、機器、サービス、要員能力などを国際的に評価する制度です。
IECEx証明書が、そのまますべての国で販売許可になるとは限らず、各国の法令・認証制度を確認します。
ATEXとIECExの違い
技術的に共通する規格を利用することがありますが、ATEXはEU法令への適合、IECExは国際認証制度としての性格を持ちます。
同じ試験結果を活用できる場合でも、証明書、表示、製造者責任は別途確認します。
マーキング
防爆機器には、機器グループ、カテゴリ・保護レベル、防爆構造、ガス・粉じんグループ、温度、周囲温度などを表示します。
設置者はマーキングを確認し、危険場所区分と対象物質に適合する機器を選定します。
認証範囲
認証は、機器型式、部品、筐体、ケーブルグランド、ソフトウェア、使用条件などの特定構成に対して行われます。
認証品へ現地で穴を追加する、異なる電源を使用する、部品を代替する場合は、認証への影響を確認します。
設置
認証機器であっても、設置方法が不適切であれば安全性を維持できません。
ケーブル引込、接地、締付トルク、取付方向、周囲温度を取扱説明書に従って施工します。
点検・保守
筐体の腐食、パッキン、ねじ、ケーブルグランド、接地、粉じん堆積を点検します。
耐圧接合面を傷つける、指定外ボルトを使用するなどの保守は、防爆性能を損なう可能性があります。
修理
防爆機器の修理には、規格に基づく知識と手順が必要です。
コイル巻替え、接合面加工、樹脂封止部の修理などは、認証や修理資格への影響を確認します。
非防爆機器の設置
一般機器を危険場所へそのまま設置することはできません。
安全区域へ移設する、内圧容器へ収容する、本質安全回路を介するなどの方法を検討します。
異常時の確認
筐体温度が高い場合は、周囲温度、負荷、粉じん堆積、冷却を確認します。
内圧低下では、ガス供給、漏れ、圧力スイッチを点検します。本質安全回路の異常では、バリア、接地、配線分離、ループ条件を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、対象物質、危険場所区分、設備構成を確認し、防爆対応機器と制御盤構成を検討します。
本質安全回路、バリア、配線、接地、防爆表示、技術文書を含め、粉体・液体・ガス設備の計測制御に対応できる場合があります。
よくある質問
Q. IP65の機器なら粉じん防爆区域で使用できますか?
A. IP等級だけでは防爆適合を示さないため、対象区域と粉じんに対応した防爆認証が必要です。
Q. ATEX認証があればIECEx対応国でも使えますか?
A. 技術要件が共通する場合はありますが、各国の法令と必要認証を個別に確認します。
Q. 認証済み防爆筐体へ現地で穴を追加できますか?
A. 認証条件を損なう可能性が高いため、認証図面と製造者の許可を確認する必要があります。
Q. 本質安全回路は機器だけ認証されていればよいですか?
A. バリア、危険場所側機器、ケーブルを含むループ全体の適合確認が必要です。
Q. 既設設備を防爆対応へ改造できますか?
A. 危険場所区分、着火源、機器認証、配線を確認し、改造可能な範囲を検討します。
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