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IP保護等級
(IPほごとうきゅう)
IP保護等級とは、電気機器や筐体について、人体や工具などの固形物が内部へ触れることを防ぐ性能と、水の浸入を防ぐ性能を数字で示す等級です。IPコード、IP等級、防塵・防水等級などと呼ばれます。
制御盤、計測器、センサ、表示器、屋外機器では、粉じん、水滴、雨、洗浄水などの環境に応じて必要なIP保護等級を選定します。ただし、IP等級が高ければすべての環境へ対応できるわけではなく、油、薬品、結露、腐食、高圧蒸気などは別途評価が必要です。
ハカルプラスでは、設置場所、粉じん、水のかかり方、扉開閉、配線引込方法を確認し、筐体、パッキン、ケーブルグランド、通気構造を含む保護設計を検討します。
IPコードの基本
IPの後ろには、通常二つの数字が続きます。最初の数字は固形物に対する保護、二つ目の数字は水に対する保護を示します。
例えばIP54では、最初の「5」が防じん性能、二つ目の「4」が水の飛まつに対する保護性能を表します。
第一特性数字
第一特性数字は、人体の接触や固形異物の侵入に対する保護を示します。
- 0:保護なし
- 1:大きな物体や手の甲などに対する保護
- 2:指などに対する保護
- 3:工具や太い電線などに対する保護
- 4:細い電線や小さな固形物に対する保護
- 5:機能を損なう量の粉じん侵入を防ぐ
- 6:粉じんの侵入を防ぐ
第二特性数字
第二特性数字は、水の浸入に対する保護を示します。
- 0:保護なし
- 1:垂直に落ちる水滴に対する保護
- 2:傾けた状態での水滴に対する保護
- 3:散水に対する保護
- 4:あらゆる方向からの飛まつに対する保護
- 5:噴流水に対する保護
- 6:強い噴流水に対する保護
- 7:一時的な水中浸せきに対する保護
- 8:継続的な水中使用に対する保護
高圧・高温の噴流水などについては、追加の表示や別条件で評価される場合があります。
IP54
IP54は、機能を損なう量の粉じん侵入を抑え、あらゆる方向からの水の飛まつに対する保護を示します。
屋内の一般的な工場設備や、軽い粉じん・水滴が想定される制御盤で採用されることがあります。ただし、直接洗浄水がかかる場所には不足する場合があります。
IP65
IP65は、粉じんの侵入を防ぎ、噴流水に対する保護を示します。
屋外機器や水洗いされる設備で採用されることがありますが、水没を保証する等級ではありません。ケーブル引込部や扉の締付状態を含めて性能を維持します。
IP66
IP66は、粉じんの侵入を防ぎ、強い噴流水に対する保護を示します。
強い雨風や比較的強い洗浄水が想定される場所で検討されます。高圧洗浄機を近距離から使用する条件とは一致しない場合があります。
IP67・IP68
IP67は一時的な水中浸せき、IP68は製造者と利用者で定めた条件による継続的な水中使用に対する保護を示します。
IP68では、水深、時間、温度などの条件を製品仕様で確認します。IP68だからといって、すべての水深・時間で使用できるわけではありません。
複数等級の関係
IP67の機器が自動的にIP65やIP66の噴流水試験にも適合するとは限りません。
水中浸せきと噴流水では試験条件が異なるため、必要な用途ではIP66・IP67のように複数条件への適合を確認します。
防水と結露の違い
IP試験は、外部から水が浸入する条件を評価します。温度変化によって筐体内部で発生する結露は、別の問題です。
密閉度を高めても、内部へ湿った空気が入った状態で温度が下がると結露する場合があります。ヒーター、除湿、通気膜などを検討します。
パッキン
扉、カバー、表示器の取付部では、ゴムや発泡材のパッキンを使用します。
材質、圧縮率、継ぎ目、経年劣化、薬品耐性を確認します。締付不足や過大圧縮は、密封性能低下の原因になります。
扉とカバー
筐体本体が高いIP等級でも、扉の変形、蝶番、ロック、開口部によって性能が低下します。
扉全周で均一にパッキンを圧縮し、ロック数と配置を検討します。大きな扉では、筐体のたわみにも注意します。
ケーブルグランド
電線を筐体へ引き込む部分には、必要なIP等級へ対応したケーブルグランドを使用します。
ケーブル外径とグランドの適合範囲を確認し、未使用穴には同等性能の閉止プラグを取り付けます。
コネクタ
外部コネクタは、嵌合した状態と、キャップを閉じた状態で保護性能が異なる場合があります。
未接続時、保守時、相手側コネクタを含む状態で必要等級を満たすかを確認します。
表示器・スイッチの取付け
タッチパネル、押しボタン、表示灯などを盤面へ取り付ける場合、部品単体の正面保護等級だけでなく、取付穴とパッキンを含めて評価します。
裏面側は同じ等級を持たない場合があるため、盤内環境も確認します。
通気孔とファン
放熱のために通気孔やファンを設けると、防塵・防水性能は低下しやすくなります。
フィルタ、ルーバー、熱交換器、盤用クーラーなどを使用し、必要な保護性能と放熱性能を両立させます。
通気膜
水や粉じんの侵入を抑えながら、筐体内外の圧力差を緩和する通気膜を使用する場合があります。
急激な温度変化による負圧で、水がパッキン部から吸い込まれることを抑える効果があります。流量と取付位置を確認します。
屋外設置
屋外では、雨だけでなく、直射日光、紫外線、温度変化、風、塩害も考慮します。
ひさし、二重屋根、日射遮蔽、耐候塗装を組み合わせます。水が滞留しない取付方向と排水構造も重要です。
洗浄環境
食品・薬品工場などでは、洗浄剤、高温水、高圧水が使用される場合があります。
IP等級だけでなく、洗浄圧力、距離、温度、薬品濃度、洗浄頻度を確認し、材質と構造を選定します。
粉じん環境
粉体設備では、粉じんがパッキン面、ヒンジ、フィルタへ堆積します。
扉開放時に粉じんが内部へ落下しない構造や、清掃しやすい形状を検討します。可燃性粉じんがある場合は、防爆要求も別途確認します。
試験時の構成
IP試験は、量産品と同じ筐体、パッキン、コネクタ、ケーブル引込部で行います。
試験用に穴を塞いだ構成と、実際の製品構成が異ならないようにします。取付姿勢も使用状態に合わせます。
設計変更
筐体、パッキン、コネクタ、扉ロック、ケーブルグランドを変更した場合は、保護性能への影響を確認します。
部品単体が同じIP等級でも、形状や取付方法が変われば完成品性能が変化する場合があります。
保守
パッキンのひび割れ、硬化、剥がれ、扉の変形、グランドの緩みを定期点検します。
保守後に扉を完全に閉め忘れたり、閉止プラグを戻さなかったりすると、設計上のIP等級を維持できません。
異常時の確認
内部へ水が入った場合は、扉上部、ケーブル引込部、表示器取付部、結露を切り分けます。
粉じん侵入では、フィルタ目詰まり、負圧、パッキン圧縮、未使用穴を確認します。侵入経路を推定するため、水跡や堆積方向も観察します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、設置環境と必要な保護等級を確認し、筐体、扉、表示器、配線引込部を含む構造を検討します。
防塵・防水だけでなく、結露、放熱、腐食、保守性とのバランスを考慮し、既設制御盤の更新や屋外機器の構成に対応できる場合があります。
よくある質問
Q. IP65なら水中でも使用できますか?
A. IP65は噴流水に対する保護であり、水中浸せきへの適合を示すものではありません。
Q. IP67ならIP66にも適合しますか?
A. 浸せきと強い噴流水は別試験のため、必要な場合は両方への適合を確認します。
Q. IP等級が高ければ結露しませんか?
A. 内部の湿気と温度変化による結露は発生する可能性があり、別途対策が必要です。
Q. ケーブルグランドもIP等級へ影響しますか?
A. 引込部は主要な浸入経路となるため、ケーブル径と必要等級に適合した部品を使用します。
Q. 既設制御盤の防水性能を高められますか?
A. パッキン、扉、引込部、開口部を確認し、改善できる場合があります。
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