Technology
RoHS指令
(RoHSしれい)
RoHS指令とは、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限するEUの法令です。鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、一部の臭素系難燃剤、フタル酸エステル類などが対象となります。
RoHS対応では、完成品を分析するだけでなく、部品、はんだ、電線、樹脂、塗装、めっきなどの均質材料ごとに規制物質の含有状況を確認します。サプライヤーからの証明書や材料データを収集し、適合根拠を維持することが重要です。
ハカルプラスでは、製品構成、輸出先、使用部品、適用除外を確認し、部品調査、証明書管理、設計変更時の確認を含むRoHS対応を検討します。
RoHS指令の目的
- 電気電子機器に含まれる有害物質を削減する
- 廃棄・リサイクル時の環境と健康への影響を抑える
- サプライチェーン全体で材料情報を管理する
- EU市場へ出荷する製品の適合根拠を整備する
対象となる製品
電気・電子機器を広く対象としますが、用途、製品区分、固定設備への組込み、適用除外などにより判断が異なる場合があります。
制御盤、計測機器、センサ、通信機器、付属ケーブルなど、それぞれの位置付けを確認します。
規制対象物質
代表的な規制物質には、次のようなものがあります。
- 鉛
- 水銀
- カドミウム
- 六価クロム
- ポリ臭化ビフェニル
- ポリ臭化ジフェニルエーテル
- 特定のフタル酸エステル類
対象物質と最大許容濃度は、最新の法令と適用条件を確認します。
均質材料
RoHSの濃度基準は、製品全体の平均ではなく、機械的に分離できる均質材料単位で評価します。
例えば、電線の導体、被覆、端子めっき、コネクタ樹脂は別々の均質材料として考えます。
鉛
鉛は、はんだ、合金、ガラス、セラミックなどに使用されることがあります。
鉛フリーはんだを使用していても、電子部品内部やめっき、合金へ含まれる場合があるため、部品全体の材料情報を確認します。
カドミウム
カドミウムは、めっき、顔料、接点材料などに含まれる可能性があります。
他の対象物質より厳しい最大濃度が設定されることがあるため、材料証明を確認します。
六価クロム
六価クロムは、防錆処理、クロメート処理などに使用されてきました。
ねじ、板金、筐体部品の表面処理仕様を確認し、三価クロム処理などの代替技術を使用します。
臭素系難燃剤
樹脂や基板材料の難燃化に使用される物質のうち、特定のものが規制対象です。
難燃材料であることだけで判断せず、対象物質の含有情報を確認します。
フタル酸エステル類
軟質樹脂の可塑剤として、電線被覆、ケーブル、樹脂部品などに使用される場合があります。
古い部品や長期継続品では、追加された規制物質への対応状況を再確認します。
適用除外
技術的に代替が困難な用途では、特定条件で適用除外が設定される場合があります。
除外には対象用途と期限があり、永久に使用できるとは限りません。適用根拠、期限、代替状況を管理します。
除外期限の管理
使用している部品が適用除外へ依存する場合、除外の更新、終了、条件変更を確認します。
期限終了直前に代替部品を探すのではなく、早期に置換計画を検討します。
部品調査
部品メーカーや商社から、RoHS適合証明、含有化学物質情報、分析報告書などを入手します。
型式、製造場所、材料変更によって適合状態が異なる場合があるため、対象部品を明確にします。
適合証明書
サプライヤーの適合証明書には、対象法令、対象物質、部品型式、発行日などが記載されます。
単に「環境対応品」と書かれた資料ではなく、必要な規制物質と版に対応しているかを確認します。
材料宣言
部品に含まれる化学物質や材料構成を所定様式で回答する仕組みがあります。
顧客指定様式や業界共通の情報伝達様式を利用し、部品表と関連付けて管理します。
分析試験
証明書が得られない、情報の信頼性が不足する、リスクが高い部品では分析試験を行う場合があります。
蛍光X線分析によるスクリーニングや、詳細な化学分析を利用します。測定方法と検出限界を確認します。
蛍光X線分析
部品を大きく破壊せず、鉛、カドミウム、臭素、クロムなどの元素を測定できます。
元素の存在は確認できますが、六価クロムか三価クロムか、対象臭素化合物かを直接区別できない場合があります。必要に応じて追加分析を行います。
部品表との連携
製品の部品表へ、各部品のRoHS適合状態、証明書、除外番号を関連付けます。
未確認部品が含まれる製品を抽出し、出荷前に確認できるようにします。
購入品の管理
同じ仕様に見える代替品でも、材料や表面処理が異なる場合があります。
RoHS確認済みのメーカー・型式を指定し、無断代替を防止します。
はんだと実装
鉛フリーはんだは、従来の鉛入りはんだより融点が高くなる傾向があります。
部品耐熱、基板設計、こて温度、リフロー条件、接合信頼性を確認します。
修理・保守部品
量産時はRoHS対応でも、修理時に古い非対応部品や鉛入りはんだを使用すると、製品状態が変わります。
保守部品、修理材料、作業手順も含めて管理します。
梱包材と付属品
RoHSの直接対象範囲は製品区分によりますが、付属ケーブル、ACアダプタ、リモコンなども別の電気電子機器として対象になる場合があります。
完成品に同梱するすべての電気部品を確認します。
CEマーキングとの関係
EU向け電気電子機器では、RoHS指令への適合がCEマーキングの対象となる場合があります。
EU適合宣言、技術文書へRoHSの適合根拠を含めます。
技術文書
適用判断、部品表、サプライヤー証明、分析結果、除外根拠などを保存します。
製品型式と使用部品の版を対応付け、どの出荷品にどの部品が使用されたかを追跡できるようにします。
変更管理
部品メーカーの製造場所、材料、めっき、樹脂が変更されると、適合状態が変わる可能性があります。
部品変更申請時にRoHS情報を確認し、必要な証明書を更新します。
サプライヤー管理
新規取引先や部品採用時に、環境規制への対応体制を確認します。
証明書の発行方法、変更通知、調査回答の期間を購買条件へ含めることがあります。
在庫管理
対応品と非対応品が同じ倉庫に混在すると、誤使用の可能性があります。
型式、ラベル、保管場所を分け、切替時には旧在庫の扱いを決めます。
顧客への回答
顧客からRoHS適合証明や含有調査を求められる場合があります。
製品型式、対象法令、適用除外を明確にし、部品情報と整合する回答を作成します。
法令改正への対応
規制物質、適用範囲、除外条件は変更される可能性があります。
最新情報を定期確認し、既存製品の部品調査と設計変更を計画します。
不適合時の対応
規制物質の超過や証明不備が判明した場合は、対象部品、製品、製造期間、出荷先を特定します。
出荷停止、代替部品への切替、顧客連絡、技術文書更新を行います。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、製品の部品表と輸出先を確認し、RoHS調査が必要な部品・材料を整理します。
部品メーカーへの調査、証明書管理、適用除外、代替部品、設計変更を含めた対応を検討します。
よくある質問
Q. 完成品全体の含有量が基準以下なら適合しますか?
A. 製品全体の平均ではなく、均質材料ごとの含有濃度で評価します。
Q. RoHS対応部品だけを使えば製品も適合しますか?
A. はんだ、電線、塗装、付属品などを含むすべての構成材料を確認する必要があります。
Q. 適用除外を使えば継続して同じ部品を使えますか?
A. 除外には用途と期限があるため、最新条件と終了時期を管理します。
Q. 分析試験はすべての部品に必要ですか?
A. 通常はサプライヤー資料を基礎とし、情報不足や高リスク部品で分析を検討します。
Q. 修理時のはんだや交換部品も管理が必要ですか?
A. 修理後も適合状態を維持するため、保守材料と交換部品も管理します。
関連ワード
同じカテゴリの『ハカル技術辞典』を見る