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インバーター速度制御
(インバーターそくどせいぎょ)
インバーター
インバーター速度制御とは、インバーターからモーターへ供給する交流電源の周波数を変化させ、モーターの回転速度を調整する制御です。
コンベヤ、ポンプ、ファン、スクリューフィーダー、攪拌機など、工程や負荷に応じて運転速度を変更する設備で使用されます。
ハカルプラスでは、PLC、タッチパネル、アナログ信号、産業用ネットワークなどを用いて、モーターの速度設定、加減速、異常監視、前後設備との連動まで含めた制御を設計します。
周波数とモーター回転速度の関係
交流モーターの同期速度は、供給する周波数とモーターの極数によって決まります。
同期速度をNs、周波数をf、極数をpとすると、次の式で表されます。
Ns=120f÷p
Nsの単位はmin−1、fはHzです。
例えば、4極モーターを60Hzで運転する場合は、次のようになります。
Ns=120×60÷4=1,800min−1
同じモーターを30Hzで運転すると、同期速度は900min−1です。このように、極数が一定であれば、同期速度は周波数に比例します。
実際の回転速度とすべり
誘導モーターの実際の回転速度は、同期速度よりわずかに低くなります。この差をすべりと呼びます。
実際の回転速度をN、すべりをsとすると、次の関係になります。
s=(Ns-N)÷Ns
N=Ns×(1-s)
すべりは負荷によって変化するため、同じ周波数指令でも、搬送物の重量や機械抵抗によって実際の速度が変わる場合があります。
高い速度精度が必要な場合は、エンコーダなどで実速度を検出し、指令値との差を補正するフィードバック制御を行います。
インバーター速度制御の基本構成
インバーターは、入力された交流電源を内部で直流へ変換し、その後、必要な周波数と電圧の交流へ変換してモーターへ供給します。
PLCやタッチパネルから、次のような指令を与えます。
- 運転・停止
- 正転・逆転
- 周波数・速度指令
- 加速時間・減速時間
- 異常リセット
インバーターからは、運転中、周波数到達、異常、出力電流などの状態をPLCへ返し、設備全体の連動制御に利用します。
速度指令の方法
多段速制御
複数の接点入力を組み合わせ、あらかじめ登録した周波数を選択する方法です。高速、低速、清掃運転など、使用する速度が限定されている設備に適しています。
アナログ信号による指令
0~10Vや4~20mAをインバーターへ入力し、信号の大きさに応じて周波数を連続的に変更します。
入力信号をX、入力範囲をXmin~Xmax、周波数範囲をfmin~fmaxとすると、指令周波数fは次の式で求められます。
f=fmin+(X-Xmin)×(fmax-fmin)÷(Xmax-Xmin)
例えば、4~20mAを0~60Hzに対応させ、入力が12mAの場合、指令周波数は30Hzです。
通信による指令
PLCとインバーターを産業用ネットワークやシリアル通信で接続し、周波数設定、運転指令、電流値、異常コードなどを数値データとして送受信します。
配線を減らし、多くの情報を取得できますが、通信停止時の動作や再接続方法を設計しておく必要があります。
加速・減速制御
インバーターでは、停止状態から目標周波数まで徐々に上げる加速時間と、運転周波数から停止まで下げる減速時間を設定できます。
開始周波数をf1、目標周波数をf2、加速時間をtaとすると、一定割合で加速する場合の周波数変化率は次のようになります。
周波数変化率=(f2-f1)÷ta
0Hzから60Hzまで10秒で加速する場合、周波数は1秒当たり6Hzの割合で上昇します。
加速時間が短すぎると過電流が発生しやすくなり、減速時間が短すぎると回生エネルギーによって過電圧異常が発生する場合があります。
計量・供給設備での活用
粉体や粒体の計量設備では、供給時間と計量精度を両立するため、高速・低速を切り替える二段速制御が使用されます。
計量開始時はスクリューフィーダーなどを高速で運転し、目標重量へ近づいた段階で低速へ切り替えます。最後は少量ずつ供給し、停止後に落下する原料を含めて目標重量へ近づけます。
切替重量、低速周波数、停止タイミングは、粉体特性、供給能力、落差量、必要精度に応じて調整します。
コンベヤ・攪拌機での活用
コンベヤでは、前後設備の処理能力に合わせて搬送速度を変更します。複数のコンベヤを連動させる場合は、速度比と搬送物の滞留を考慮します。
攪拌機では、原料をほぐす運転、混合する運転、洗浄時の低速運転など、工程によって速度を切り替えることがあります。
急激な速度変更は、搬送物のこぼれ、機械への衝撃、粉体の締め固めなどにつながるため、加減速時間を設定します。
ポンプ・ファンでの活用
ポンプやファンでは、必要な流量や圧力に応じて回転速度を変更します。バルブやダンパーで流量を絞る方法と比べ、運転条件によっては消費電力を抑えられます。
ただし、必要流量、最低回転速度、冷却、設備特性を確認し、速度を下げすぎないようにします。
低速運転時の注意点
低速運転では、モーターに取り付けられた自己冷却ファンの回転も遅くなり、冷却能力が低下します。また、負荷によっては必要なトルクを確保できません。
- 連続運転できる最低周波数を設定する
- 低速時に必要なトルクを確認する
- モーター温度を監視する
- 必要に応じて強制冷却ファンを使用する
- インバーター駆動用モーターを選定する
異常時の制御
過電流、過電圧、過負荷、モーター過熱、通信異常などが発生した場合は、インバーターを停止し、PLCやタッチパネルへ異常内容を表示します。
設備によっては、対象モーターだけでなく、原料の滞留や詰まりを防ぐために前後設備も連動して停止します。
通信指令を使用する場合は、通信が途切れたときに停止する、一定速度を維持するなど、異常時の動作をあらかじめ設定します。
ノイズ対策
インバーターは高速なスイッチング動作を行うため、ロードセル、アナログ信号、通信機器などへノイズの影響を与えることがあります。
- インバーター出力線と信号線を分離する
- 動力線とロードセル線を平行に配線しない
- シールド線を使用する
- 盤内機器と接地経路を適切に配置する
- 必要に応じてノイズフィルターやリアクトルを設ける
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、モーター容量、極数、負荷特性、速度範囲、加減速時間を確認し、設備に適したインバーター速度制御を設計します。
PLCやタッチパネルからの周波数設定、多段速、アナログ指令、通信指令、正転・逆転、異常監視などを運転条件に合わせて構成します。
インバーター単体ではなく、動力回路、PLCソフトウェア、タッチパネル画面、計量コントローラ、前後設備とのインターロックまで含めたシステムとして設計します。
よくある質問
Q. 周波数を半分にすると実際のモーター速度も半分になりますか?
A. 同期速度はおおむね半分になります。ただし、誘導モーターでは負荷によるすべりがあるため、実際の回転速度は同期速度より低くなります。
Q. 周波数を0Hzにすればモーターは完全に停止しますか?
A. 回転指令は停止しますが、設備の慣性、外力、傾斜などによって動く可能性があります。確実な保持が必要な場合は、機械ブレーキなどを併用します。
Q. 低速でモーターが回らない原因は何ですか?
A. 起動トルク不足、最低周波数設定、モーター定格設定、機械負荷の増加などが考えられます。制御方式やトルク補償の設定も確認します。
Q. 減速時に過電圧異常が発生する場合はどうしますか?
A. 減速時間を長くする、制動抵抗器を使用する、停止方法を変更するなどの対策を検討します。
Q. 実速度を一定に保つことはできますか?
A. 周波数指令だけでは負荷による速度変化が生じます。高い精度が必要な場合は、エンコーダなどによるフィードバック制御を行います。
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