Technology
モーター保護回路
(モーターほごかいろ)
モーター保護回路とは、過負荷、短絡、欠相、拘束、過熱などからモーターと配線を保護し、異常時に電源を遮断または運転を停止させる回路です。コンベヤ、ポンプ、ファン、スクリュー、ミキサーなどの駆動設備に使用されます。
モーター異常は、巻線焼損だけでなく、搬送物の詰まり、原料流出、設備停止につながります。モーター容量、始動方式、負荷特性、使用環境に合わせて保護機器を選定します。
ハカルプラスでは、モーター、遮断器、電磁接触器、過負荷継電器、インバーターを含む動力回路と、PLCによる異常監視を検討します。
保護する主な異常
- 短絡や地絡による大電流
- 過負荷による継続的な過電流
- 欠相や電圧不平衡
- 機械拘束や詰まり
- モーター巻線や軸受の過熱
- 頻繁な始動・停止による温度上昇
一つの保護機器ですべての異常へ対応できるとは限らないため、複数の保護機能を組み合わせます。
短絡保護
配線やモーター内部で短絡が発生すると、非常に大きな電流が流れます。配線用遮断器、モーターブレーカ、ヒューズなどで速やかに遮断します。
遮断容量は、設置場所で想定される短絡電流以上とする必要があります。モーター始動電流で誤動作しない特性も確認します。
過負荷保護
モーターへ定格を超える負荷が継続すると、巻線温度が上昇します。サーマルリレーや電子式モーター保護継電器で電流と時間を監視し、過負荷時に接触器をOFFします。
設定電流は、モーター定格電流、使用係数、周囲温度、運転条件を確認して設定します。
サーマルリレー
サーマルリレーは、モーター電流による発熱を利用して過負荷を検出します。短時間の始動電流では動作せず、過負荷が継続した場合に動作する特性を持ちます。
周囲温度、盤内温度、取付状態の影響を受けるため、適切な設定と点検が必要です。
電子式モーター保護継電器
電子式機器では、過負荷だけでなく、欠相、逆相、不平衡、拘束、始動時間超過などを監視できる場合があります。
電流値、動作原因、負荷率を表示・通信できる機種では、予防保全にも利用できます。
欠相保護
三相モーターで一相が失われると、残りの相へ大きな電流が流れ、モーターが過熱します。運転中の欠相では回転を継続する場合があるため、外見だけでは気付きにくいことがあります。
欠相保護機能付き継電器や電流不平衡監視を使用し、異常時に停止します。
機械拘束と詰まり
コンベヤ、スクリュー、ポンプなどが詰まると、モーター電流が上昇します。過負荷保護で停止できますが、機械損傷を防ぐため、より短い時間で拘束を検出する場合があります。
電流だけでなく、回転センサ、速度、トルク、圧力などを併用すると、空転や連結部破損も検出できます。
温度保護
モーター巻線へサーミスタ、測温抵抗体、温度スイッチを組み込み、実温度を監視する方法があります。
低速運転、周囲温度上昇、冷却ファン故障など、電流値だけでは把握しにくい過熱を検出できます。
インバーター駆動時の保護
インバーターには電子サーマル、過電流、過電圧、欠相などの保護機能があります。モーター定格、運転周波数、冷却方式を正しく設定します。
低速連続運転では、モーター自身の冷却ファン能力が低下するため、電流が定格以下でも過熱する場合があります。外部ファンや温度監視を検討します。
始動時間監視
モーターが所定時間内に定常速度へ達しない場合、過負荷、機械拘束、電源電圧低下が考えられます。
始動時間超過を監視し、長時間の始動電流による過熱を防ぎます。負荷慣性が大きい設備では正常始動時間を確認して設定します。
保護協調
上位遮断器、分岐遮断器、サーマルリレーなどが適切な順序で動作するよう、保護協調を確認します。
一台のモーター異常で設備全体の主遮断器が動作すると、停止範囲が広がります。異常箇所に近い保護機器が先に動作する構成を検討します。
PLCへの異常入力
サーマルリレー、インバーター、保護継電器の異常接点をPLCへ入力し、画面表示、警報、設備停止へ利用します。
単に「モーター異常」と表示するだけでなく、過負荷、欠相、インバーター異常などを分けると復旧しやすくなります。
異常復帰
保護機器が動作した場合は、原因を除去してからリセットします。詰まりや機械拘束が残った状態で再起動すると、再度異常となり設備を損傷する可能性があります。
自動復帰は原則として避け、作業者による確認後に再起動する構成が一般的です。
定期点検
端子の緩み、接触器接点の摩耗、遮断器の変色、盤内温度、モーター電流を確認します。
保護設定値がモーター定格と一致しているか、設備改造やモーター交換後に再確認します。
異常時の確認
過負荷が頻発する場合は、機械詰まり、軸受摩耗、供給量増加、電圧不平衡を確認します。始動時だけ異常となる場合は、始動時間、加速設定、電源容量を点検します。
一相だけ電流が異なる場合は、欠相、端子接触不良、巻線異常を疑います。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、モーター容量、負荷特性、始動方式、使用頻度を確認し、遮断器、接触器、サーマルリレー、保護継電器を選定します。
制御盤、PLC、タッチパネルを組み合わせ、過負荷、欠相、拘束、温度異常の表示と履歴管理まで含む構成を検討します。
よくある質問
Q. 遮断器だけでモーターを保護できますか?
A. 短絡保護には有効ですが、継続的な過負荷にはサーマルリレーなどが必要です。
Q. インバーターがあればサーマルリレーは不要ですか?
A. インバーターの保護機能と回路構成によって異なります。モーター定格と保護範囲を確認します。
Q. モーター電流が定格以下でも過熱しますか?
A. 低速運転、周囲温度上昇、冷却不良などにより過熱する場合があります。
Q. 欠相するとモーターは必ず停止しますか?
A. 運転中は回転を続ける場合があり、残りの相へ過大電流が流れて過熱します。
Q. モーター異常を遠隔監視できますか?
A. 保護機器の接点や通信データをPLCへ取り込み、警報、電流値、履歴を遠隔監視できます。