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インバーター回路設計
(インバーターかいろせっけい)
インバーター回路
インバータ回路設計とは、インバータを用いてモーターの回転速度やトルクを制御するために、主回路、保護機器、制御信号、周辺機器、配線方法などを設計することです。
インバータは、入力された交流電源を一度直流へ変換し、任意の周波数・電圧の交流としてモーターへ出力します。出力周波数を変えることで、コンベヤ、ポンプ、ファン、スクリューフィーダーなどの速度を調整できます。
ハカルプラスでは、計量・供給設備や搬送設備を中心に、モーター容量、負荷特性、速度範囲、加減速時間、設置環境を踏まえたインバータ回路を設計しています。
インバータを使用する目的
- 供給機・コンベヤの速度調整
- ポンプ・ファンの流量調整
- 起動・停止時の機械的衝撃の軽減
- 急加速・急減速の抑制
- 設備条件に応じたトルク制御
- 必要量に応じた省エネルギー運転
商用電源へ直接接続した誘導モーターは、基本的に電源周波数に応じた速度で回転します。インバータを使用すると、工程や計量状態に応じて速度を変更できます。
周波数とモーター回転速度
誘導モーターの同期速度Nsは、電源周波数fと極数Pから、次の式で求められます。
Ns=120f÷P
例えば、4極モーターを60Hzで運転する場合、同期速度は1,800min-1です。
実際の誘導モーターは同期速度よりわずかに遅く回転します。この差をすべりと呼びます。インバータの出力周波数を30Hzにすると、同期速度はおおむね半分になります。
ただし、周波数と実際の設備速度が完全に比例するとは限りません。モーターのすべり、減速機、ベルト径、負荷変動なども影響します。
計量設備でのインバータ制御
粉体や粒体の計量設備では、供給時間と計量精度を両立するため、高速・低速を切り替える二段速制御が用いられます。
計量開始時はスクリューフィーダーを高速運転し、目標重量へ近づくと低速へ切り替えます。最後は少量ずつ供給し、停止後に落下する原料を含めて目標重量へ近づけます。
インバータ回路では、運転指令、高速・低速指令、周波数指令、運転中、周波数到達、異常などの信号をPLCや計量コントローラと接続します。
主回路と制御回路
主回路
主回路は、電源からインバータを通してモーターへ電力を供給する回路です。
モーターの定格電圧・定格電流、インバータ容量、電源容量、配線距離などに応じて、配線用遮断器、電磁接触器、電線、接地線を選定します。
制御回路
制御回路では、PLCやスイッチからインバータへ運転・停止・正転・逆転・速度指令を送ります。
速度指令には、接点による多段速、0~10Vや4~20mAのアナログ信号、産業用ネットワーク通信などを使用します。
モーターとインバータの選定
インバータは、モーターの定格出力だけでなく、負荷の特性と運転条件を考慮して選定します。
- モーターの定格電圧・定格電流
- 必要な最低・最高速度
- 始動時と低速時に必要なトルク
- 加速時間・減速時間
- 連続運転・間欠運転の別
- 周囲温度、粉じん、湿気などの環境
- 停止頻度と回生エネルギー
低速で長時間運転すると、モーターに取り付けられた自己冷却ファンの風量が低下し、温度が上昇する場合があります。必要に応じて、インバータ駆動用モーターや強制冷却ファンを使用します。
モーター容量と電流
三相モーターの入力電力Pは、概略的に次の関係で表せます。
P=√3×V×I×cosφ×η
Vは線間電圧、Iは線電流、cosφは力率、ηは効率です。
実際のインバータ選定では、計算値だけでなく、モーターの定格電流とインバータの定格出力電流を比較します。始動トルクが大きい設備や加減速が頻繁な設備では、余裕を持たせる場合があります。
加速・減速時間
加速時間を短くしすぎると、モーターに大きな電流が流れ、過電流異常が発生することがあります。
減速時間を短くしすぎると、モーターと機械の慣性エネルギーがインバータへ戻り、直流回路の電圧が上昇して過電圧異常となる場合があります。
搬送物の重量、回転体の慣性、停止距離、必要なサイクルタイムを考慮して加減速時間を設定します。
リアクトル・制動抵抗器
AC・DCリアクトル
電源側の高調波電流や急激な電流変化を抑え、インバータや電源設備への影響を軽減します。電源容量、配線条件、設備の高調波対策方針に応じて選定します。
制動抵抗器
減速時に発生した回生エネルギーを熱として消費します。慣性の大きい搬送設備や、短時間で停止する必要がある設備で使用します。
抵抗値だけでなく、1回当たりの制動エネルギー、運転頻度、放熱条件を確認します。
ノイズ対策と配線
インバータは高速なスイッチング動作を行うため、計測器、ロードセル、アナログ信号、通信機器へノイズの影響を与えることがあります。
- インバータ出力線と信号線を分離する
- 動力線とロードセル線を平行に長く配線しない
- シールド線を使用し、接地方法を統一する
- インバータとモーター間の配線を必要以上に長くしない
- 必要に応じてノイズフィルタやリアクトルを使用する
- 盤内の機器配置と接地経路を適切に設計する
ノイズ対策は回路図だけで完結せず、制御盤内の配置、端子台、ケーブル経路、現地接地まで含めて検討します。
保護・安全回路
インバータには過電流、過電圧、過熱、過負荷などの保護機能があります。異常時は運転を停止し、PLCへ異常信号を返して、タッチパネルや表示灯へ内容を表示します。
ただし、インバータの停止信号だけで人の安全を確保できるとは限りません。設備のリスクに応じて、非常停止回路、安全リレー、STO機能、主回路遮断などを組み合わせます。
インバータ出力側の電磁接触器は、原則として運転中に頻繁に開閉しません。使用方法はインバータメーカーの仕様に従います。
ハカルプラスのインバータ回路設計
ハカルプラスでは、計量・供給・搬送設備におけるインバータ回路を、モーター、機械負荷、PLC、計量コントローラ、制御盤を含めて設計します。
モーター・インバータ容量の選定、主回路と制御回路、多段速制御、アナログ速度指令、ネットワーク通信、リアクトル、制動抵抗器、ノイズ対策、異常監視、安全回路まで対応します。
インバータ単体ではなく、必要な供給能力、計量精度、停止性能、保守性を満たす設備全体の回路として構築します。
よくある質問
Q. モーター容量と同じ容量のインバータを選べばよいですか?
A. 定格出力だけでなく、モーターの定格電流、負荷トルク、加減速時間、運転頻度を確認します。重負荷用途では容量に余裕が必要な場合があります。
Q. 低い周波数で長時間運転しても問題ありませんか?
A. モーターの冷却能力が低下し、温度上昇やトルク不足が発生する場合があります。最低速度、必要トルク、冷却方法を確認します。
Q. 減速時に過電圧異常が出る原因は何ですか?
A. 減速時間が短く、モーターから戻る回生エネルギーを処理できていない可能性があります。減速時間の延長や制動抵抗器を検討します。
Q. インバータを追加すると計量値が不安定になることがありますか?
A. スイッチングノイズがロードセル線やアナログ信号へ重なる場合があります。配線分離、シールド、接地、フィルタ、盤内配置を確認します。
Q. 既設モーターへインバータを追加できますか?
A. モーターの絶縁、定格電流、冷却、負荷特性、モーターまでの配線距離を確認して判断します。古いモーターでは追加対策が必要になる場合があります。