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板金設計
(ばんきんせっけい)
制御盤
板金設計とは、制御盤、動力盤、操作盤などに使用する金属製ケースや内部取付部品を設計することです。盤内へ収納する電気機器の構成、設置環境、配線方法、放熱、安全性、保守性を確認し、板金加工に必要な図面を作成します。
制御盤のケースは、単に電気機器を囲う箱ではありません。内部機器を粉じんや水分、衝撃から保護するとともに、作業者が安全に操作・点検できる構造とする必要があります。
板金加工図に基づいて鋼板の切断、穴あけ、曲げ、溶接などを行い、必要に応じて塗装、研磨、表面仕上げを施します。材質、板厚、外形、扉構造、ケーブル引込位置などは、設備仕様に合わせて決定します。
板金設計の主な対象
- 制御盤・動力盤の箱体
- 操作盤や中継端子盤のケース
- 盤内機器を取り付ける中板
- 扉、底板、天板、ケーブル引込板
- 機器取付用のブラケットや補強材
- 表示器、スイッチ、換気機器の取付開口
床置き形、壁掛け形、自立形、屋外形など、設置方法によって必要な構造は異なります。大型の動力盤では、分割搬入や現地連結を前提とする場合もあります。
板金設計の基本的な流れ
盤内機器の整理
最初に、遮断器、電磁接触器、インバーター、PLC、電源、リレー、端子台などの収納機器を整理します。各機器の外形寸法だけでなく、配線方向、放熱距離、交換時に必要な作業空間も確認します。
盤内へ機器を詰め込みすぎると、配線や点検が難しくなり、温度上昇の原因にもなります。将来の機器追加や部品更新を考慮して、予備スペースを設けることがあります。
盤の外形と構造の決定
収納機器の配置を基に、盤の幅、高さ、奥行きを決定します。設置場所の天井高さ、壁との距離、搬入口、通路幅も確認します。
扉の枚数や開閉方向は、操作性と保守性に影響します。周囲の設備や壁と干渉せず、扉を十分に開けられる構造とします。
板金加工図の作成
板金加工図には、外形寸法、板厚、材質、穴位置、曲げ方向、溶接箇所、補強、表面処理などを記載します。
表示灯、押しボタン、タッチパネル、電流計などを取り付ける扉面には、各機器に合わせた穴や角穴を設けます。盤内の中板には、機器取付穴、配線ダクト、DINレールなどの位置を設定します。
製缶・表面処理
加工図を基に、板金製缶業者が材料を切断・曲げ・溶接し、箱体を製作します。製缶後は、溶接部の処理、研磨、塗装などを行います。
完成した箱体へ電気機器を取り付け、配線、検査を行って制御盤または動力盤として仕上げます。
主な材質
鋼板
一般的な屋内用制御盤や動力盤で使用されます。加工しやすく、強度を確保しやすいことが特長です。
鋼板はそのままでは腐食するため、塗装やめっきなどの表面処理を行います。使用環境に応じて塗装仕様や膜厚を設定します。
ステンレス鋼板
水分、薬品、塩分、洗浄水などによる腐食が懸念される環境で使用します。食品工場、屋外設備、沿岸地域などで採用されることがあります。
ステンレスは耐食性に優れますが、鋼板より材料費と加工費が高くなる傾向があります。設置環境と必要な耐久性を考慮して選定します。
板厚と強度の考え方
板厚は、盤の大きさ、収納機器の重量、設置方法、扉の大きさなどから決定します。
板厚が薄すぎると、扉や側板がたわみ、振動や騒音が発生する場合があります。重い機器を取り付けた中板が変形すると、配線や端子へ負荷が加わることもあります。
必要に応じて、折り返し、リブ、補強材、チャンネルベースなどを設けます。板厚だけを増やすのではなく、形状によって剛性を確保することも重要です。
盤内機器配置との関係
板金設計は、電気設計や機器配置と切り離して考えることはできません。発熱の大きいインバーターや電源は、熱に弱いPLCや通信機器から離して配置します。
動力回路と制御回路の配線経路を分け、ノイズの影響を抑えます。端子台は、外部配線を接続しやすい位置に配置し、電線の曲げや工具の使用に必要な空間を確保します。
重量のある機器を扉へ取り付ける場合は、扉の補強、ヒンジ、ストッパーを確認します。機器重量によって扉が傾いたり、閉まりにくくなったりしないようにします。
扉・操作面の設計
扉面には、押しボタン、表示灯、計器、タッチパネル、非常停止ボタンなどを配置します。作業者が見やすく、操作しやすい高さとします。
扉裏面には機器本体や配線が突出するため、盤内機器と干渉しない奥行きが必要です。扉を開閉した際に配線が引っ張られないよう、可動配線の長さと固定方法も検討します。
大型扉では、自重による変形や風による急な開閉を防ぐため、補強材や扉ストッパーを設ける場合があります。
ケーブル引込部の設計
外部ケーブルを盤へ引き込む位置は、現地配線の方向と盤内端子台の配置を考慮して決定します。
底面、天井面、側面などにケーブル引込板を設け、現地で穴加工できる構造とすることがあります。防水・防じんが必要な場合は、ケーブルグランドやコネクタを使用します。
動力線、制御線、通信線が密集すると、配線作業が難しくなり、ノイズの影響も受けやすくなります。必要に応じて引込位置や配線経路を分けます。
放熱と換気
盤内には、インバーター、電源、変圧器、電磁接触器などの発熱機器が収納されます。盤内温度が機器の許容温度を超えると、誤動作や寿命低下につながります。
自然放熱で対応できない場合は、換気扇、フィルター、熱交換器、クーラーなどを設けます。吸気口と排気口の位置を調整し、盤内に空気が流れる構造とします。
換気口を設けると粉じんや水分が侵入しやすくなるため、設置環境と必要な保護性能を考慮して方式を選定します。
防水・防じん構造
屋外や粉じんの多い工場では、扉やカバーの隙間から異物が侵入しない構造が必要です。
扉の周囲にはパッキンを設け、盤のゆがみによって隙間が生じないようにします。屋外盤では、雨水がたまりにくい天井形状、水切り、二重屋根などを採用する場合があります。
防水性を高めるだけでなく、結露にも注意が必要です。盤内ヒーターや通気部品を設け、内部温度と湿度を管理することがあります。
塗装仕様
鋼板製の盤では、防食と外観のために塗装を行います。色、艶、膜厚、塗装方法は、設置場所やお客様の仕様に合わせて決定します。
全艶、半艶などの仕上げのほか、焼付け塗装、メラミン樹脂塗装などを使用する場合があります。屋外や腐食環境では、下地処理や塗膜の仕様も重要です。
接地端子や電気的導通が必要な部分は、塗装を除去する、マスキングするなどして金属面を確保します。塗膜が間に入ると、十分な接地が得られない場合があります。
ステンレスの表面仕上げ
ステンレス製の盤では、塗装せずに素材表面を仕上げることがあります。代表的な仕上げには、ヘアライン、鏡面などがあります。
ヘアライン仕上げは、一定方向の研磨目を付けた仕上げです。外観を整えながら、小さな傷が目立ちにくい特徴があります。
鏡面仕上げは、表面を細かく研磨して光沢を持たせます。外観性や清掃性が求められる設備で使用されることがあります。
使用環境、清掃方法、外観要求を確認し、適切な仕上げを選定します。
製造上の注意点
板金は、曲げや溶接によって寸法が変化することがあります。溶接熱によるひずみが大きいと、扉が閉まりにくくなったり、中板が正しく取り付かなかったりします。
穴や開口部を曲げ位置へ近づけすぎると、加工時に変形する場合があります。板厚、曲げ半径、加工順序を考慮して配置します。
加工公差を必要以上に厳しくすると、製作費が高くなります。機器取付や盤組立に必要な精度を整理し、重要な部分へ適切な公差を設定します。
保守性を考慮した設計
盤内機器は、将来交換や点検を行います。遮断器、ヒューズ、リレー、フィルターなどの保守対象部品は、手が届きやすく確認しやすい位置へ配置します。
中板を取り外さなければ機器を交換できない構造や、多数の配線を外さなければ作業できない構造は避けます。
盤内照明、コンセント、図面収納部などを追加すると、現地での点検作業を行いやすくなる場合があります。
既設盤の改造・更新
既設の制御盤へ機器を追加する場合は、盤内スペース、扉面の空き、発熱、重量、配線経路を確認します。
新しいタッチパネルや表示器の寸法が既設開口と異なる場合は、変換パネルや追加板金を設計します。既設穴を覆いながら、新しい機器を固定できる構造とします。
盤の腐食、変形、パッキン劣化が進んでいる場合は、部分的な改造よりも箱体ごと更新した方が適することがあります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、制御盤・動力盤の用途、収納機器、設置場所、電源仕様、保護性能を確認し、必要な板金構造を検討します。
鋼板製、ステンレス製の盤に対応し、外形、板厚、扉、中板、ケーブル引込部、換気構造などを設計します。
板金設計だけでなく、動力回路、制御回路、PLC、タッチパネル、盤内機器配置、配線まで含めて制御盤全体を構成します。
塗装色、艶、膜厚、焼付け塗装などの仕様や、ステンレスのヘアライン・鏡面仕上げについても、使用環境と要求内容を確認して対応を検討します。
よくある質問
Q. 制御盤の大きさはどのように決めますか?
A. 収納機器の寸法、配線スペース、放熱距離、将来の増設、設置場所を確認して決定します。機器が収納できるだけでなく、配線・保守できる余裕が必要です。
Q. 鋼板製とステンレス製はどのように使い分けますか?
A. 一般的な屋内設備では鋼板製、水分、薬品、塩分、洗浄水などによる腐食が懸念される環境ではステンレス製を検討します。
Q. 既設盤へ新しい機器を追加できますか?
A. 盤内スペース、発熱、電源容量、扉や中板の強度を確認し、追加できる場合があります。変換板や補強板が必要になることもあります。
Q. 屋外用の制御盤も設計できますか?
A. 雨水、粉じん、直射日光、結露、腐食を考慮し、パッキン、二重屋根、ステンレス材、盤内ヒーターなどを組み合わせて検討します。
Q. 指定色や特殊な表面仕上げに対応できますか?
A. 塗装色、艶、膜厚、塗装方式や、ステンレスのヘアライン・鏡面仕上げなどについて、製作条件を確認して対応を検討します。