LTEカメラ監視とは、携帯電話のLTE通信を搭載したカメラを現場へ設置し、撮影した静止画像を遠隔地から確認する仕組みです。工場、ビル、屋外設備、離れた事業所などの巡回点検を支援する用途に利用されます。
ハカルプラスの「巡回点検楽スルー」は、設備や計器を定期的に静止画で撮影し、画像をクラウドへ送信するシステムです。動画を常時配信する監視カメラではなく、設定した時刻や必要なタイミングに画像を取得する巡回点検支援システムです。
LTEカメラ監視の基本構成
一般的な構成は、次のとおりです。
- LTE通信機能を備えたカメラ
- カメラを固定する取付金具
- LTE通信回線
- 画像を保存するクラウド
- 画像を確認するパソコンやタブレット
- 必要に応じてオンデマンド撮影用の通信機器
カメラが撮影した画像をLTE通信でクラウドへ送信し、利用者はブラウザから確認します。
静止画による巡回点検
現場巡回では、アナログメータ、液面計、設備外観などを目視確認し、点検表へ記録する作業があります。
LTEカメラを使用すると、定期的に撮影された画像を離れた場所から確認できます。危険場所、屋外、遠隔地などへの巡回回数を減らせる場合があります。
ただし、画像に写らない異音、臭い、振動、漏れなどは確認できません。カメラ点検と現場巡回を使い分けます。
定刻撮影
あらかじめ設定した時刻にカメラが静止画を撮影し、クラウドへ送信します。
毎日または一定の時間間隔で同じ設備を撮影することで、設備状態の変化を比較できます。
点検対象の変化速度に合わせて、撮影時刻や撮影回数を設定します。
オンデマンド撮影
必要なときに遠隔から撮影を要求するオンデマンド撮影にも対応できる構成があります。
ハカルプラスのシステムでは、オンデマンド撮影時にBLEとLTEルータを使用する構成があり、カメラの常時待受け状態や通信条件によって、撮影画像の取得まで時間がかかる場合があります。
リアルタイム動画や瞬時のライブ映像を確認する機能とは異なるため、用途を確認して導入します。
クラウドでの画像確認
撮影画像はハカルプラスクラウドへ保存し、パソコンなどから確認します。
設備ごと、撮影日時ごとに画像を管理することで、前回画像との比較や点検記録として利用できます。
保存期間、閲覧権限、通信回線、利用者アカウントなどを運用前に決めます。
計器値の記録
撮影したアナログメータや表示器の数値を利用者が確認し、クラウド画面へ手入力することで点検値を記録できます。
入力した値をグラフ表示したり、CSV形式で出力したりすることで、変化傾向を確認できます。
巡回点検楽スルーにおける数値入力は、画像からAIが自動的に数値を読み取る機能ではありません。画像を確認した人が値を入力する運用です。
しきい値とメール通知
手入力した点検値に上限値や下限値を設定し、範囲を外れた場合にメール通知を行う構成があります。
画像が撮影された時点で自動的に異常値を判定するのではなく、数値入力後に設定値と比較します。
通知を受けた後の現場確認、設備停止、担当者連絡などの手順を決めておきます。
操作履歴の管理
画像確認、数値入力、対応内容などの操作履歴を残すことで、誰がいつ点検し、どのような対応を行ったか確認できます。
巡回点検の記録を紙から電子化し、点検漏れや転記ミスを抑える用途に活用できます。
点検画像と数値履歴を同じシステムで管理することで、異常発生時の振り返りにも利用できます。
カメラの設置位置
カメラは、点検対象が画像の中央に入り、数字や針を判別できる位置へ設置します。
次の点を確認します。
- カメラと対象物の距離
- 表示文字や目盛りの大きさ
- 撮影角度
- 照明や逆光
- ガラス面への映り込み
- 設備振動
- 人や物による遮蔽
設置後は実際の撮影画像を確認し、取付角度や露出を調整します。
暗所での撮影
カメラには、撮影時の明るさを補正する機能や、暗所でフラッシュを自動的に使用する機能があります。
ただし、反射の強いガラス面、金属面、近距離撮影などでは、フラッシュ光によって表示が見えにくくなる場合があります。
現場の照明条件に合わせて撮影試験を行います。
屋外・粉じん環境
屋外や工場内へ設置する場合は、防じん・防水性能、使用温度、直射日光、結露などを確認します。
レンズへ粉じん、水滴、虫などが付着すると画像を確認しにくくなります。定期的な清掃が必要です。
取付金具の緩みやカメラ角度のずれも点検します。
電源とバッテリー
LTEカメラは充電式バッテリーを備え、電源配線が難しい場所へ設置できる場合があります。
撮影回数、通信状態、温度などによってバッテリー消費量が変化します。定期的な充電や交換の運用を決めます。
オンデマンド撮影に必要なLTEルータなど、周辺機器にはAC100V電源が必要になる構成があります。
LTE通信の確認
LTE通信が利用できる場所であることを確認します。建物内部、地下、金属製盤内などでは電波が弱くなる場合があります。
通信状態が悪いと、画像送信に時間がかかったり、送信できなかったりする可能性があります。
導入前に実際の設置場所で通信確認を行います。
ライブカメラとの違い
一般的なライブカメラは、動画を連続的に配信し、現在の様子をリアルタイムで確認します。
巡回点検楽スルーは静止画を一定の時刻や要求時に撮影し、点検記録として利用するシステムです。
人の侵入監視や瞬時の設備動作確認など、常時動画が必要な用途には、別のカメラシステムを検討します。
保守点検
定期的にカメラのレンズ、取付状態、バッテリー、通信状態、撮影画像を確認します。
設備改修や計器交換によって表示位置が変わった場合は、カメラの向きを再調整します。
クラウドへ画像が届いていない場合は、カメラ電源、バッテリー、LTE通信、設定時刻を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、LTEカメラとハカルプラスクラウドを組み合わせた「巡回点検楽スルー」により、設備の静止画確認、点検値の手入力、グラフ表示、CSV出力、しきい値通知などを行う構成を提供しています。
撮影対象、設置環境、撮影回数、オンデマンド撮影の必要性、通信状態などを確認して構成します。
よくある質問
Q. LTEカメラで動画を確認できますか?
A. 巡回点検楽スルーは、静止画を利用する点検支援システムです。ライブ動画を常時配信するものではありません。
Q. カメラがメータの数値を自動で読み取りますか?
A. 数値のAI自動読取りではありません。撮影画像を確認し、利用者がクラウド画面へ数値を入力します。
Q. 設定値を超えたらメール通知できますか?
A. 手入力した点検値と設定したしきい値を比較し、範囲外の場合にメール通知する構成があります。
Q. 電源のない場所へ設置できますか?
A. 充電式カメラを使用できる場合があります。ただし、撮影回数や温度に応じた充電管理が必要です。
Q. 撮影したいときにすぐ画像を確認できますか?
A. オンデマンド撮影に対応できる構成がありますが、通信条件により取得まで時間がかかる場合があります。
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IoTゲートウェイとは、離れた場所に設置された無線機や計測機器からデータを集約し、パソコンや上位システムで閲覧・利用できるようにする装置です。ハカルプラスのIoTゲートウェイ HLR-GW-Lは、ハカルプラス製LoRa無線機から計測値や接点状態を収集し、Webブラウザによるモニタリング、CSV形式でのデータ保存、外部システムへのデータ提供を行います。
HLR-GW-LにはWebサーバーとモニタリングソフトが標準搭載されています。Ethernetで接続したローカルパソコンからHLR-GW-LのIPアドレスへアクセスすることで、専用の監視ソフトをパソコンへインストールせずに、現在値やグラフ、警報履歴などを確認できます。
ハカルプラスでは、監視する設備、計測信号、LoRa無線機の台数、必要な更新周期を確認し、HLR-GW-Lを中心とした遠隔監視システムを検討します。
HLR-GW-Lの役割
HLR-GW-Lは、ハカルプラス製LoRa無線機の親機として動作します。各所に設置されたLoRa無線機から無線でデータを受信し、受信したデータを内部へ保存するとともに、Ethernetで接続されたパソコンや上位機器へ提供します。
- ハカルプラス製LoRa無線機からのデータ収集
- Webブラウザによる状態監視
- 計測データのグラフ表示
- CSV形式でのデータ保存
- USBメモリへのデータ出力
- FTPによるデータ取得
- Modbus TCPによるデータ読出し
- 警報表示・メール通知
LoRa無線機からのデータ収集
HLR-GW-Lは、920MHz帯のLoRa通信を使用して、ハカルプラス製LoRa無線機からデータを収集します。LoRaは、少量の計測データを比較的長距離へ送る用途に適したLPWAの一つです。
最大通信距離は見通し約5kmですが、実際の通信距離は建物、壁、金属設備、地形、アンテナ位置などによって変化します。そのため、導入前には実際の設置候補場所で通信状態を確認することが重要です。
通信にはグループIDとネットワークキーを設定します。同じ無線システム内では設定を統一し、同一現場で複数のシステムを使用する場合は異なる設定とすることで、他のグループとの混信を防ぎます。
接続できるLoRa無線機
HLR-GW-Lは、アナログ入力、接点入力、パルス入力、各種計測機器との通信に対応したハカルプラス製LoRa無線機と組み合わせて使用します。
温度、湿度、圧力、流量、水位、電力、漏電電流、設備運転状態、警報接点など、LoRa無線機へ入力できる信号を遠隔で収集できます。
一部のLoRa無線機では、RS-485通信を利用してハカルプラス指定の有線通信機器からデータを取得し、そのデータをHLR-GW-Lへ無線送信できます。
子機台数とデータ更新周期
HLR-GW-Lでは、一つのグループに最大50台までのLoRa無線機を接続できます。最大グループ数は12グループです。
データ更新周期は接続する子機台数によって異なり、目安として1台では10秒、5台では1分、50台では10分となります。
子機が順番に通信するため、接続台数が多いほど各子機の更新間隔は長くなります。異常を早く検出したい設備と、数分ごとの記録でよい設備を整理し、必要な更新周期を満たすようにグループと台数を検討します。
Webブラウザによるモニタリング
HLR-GW-LにはWebサーバー機能が搭載されています。Ethernetで接続したパソコンのWebブラウザから設定されたIPアドレスへアクセスすると、収集したデータを確認できます。
対応ブラウザはGoogle Chromeです。HLR-GW-LはDHCPによる自動取得ではなく、固定したIPアドレスを手動で設定して使用します。
既存のLAN通信網へ接続する場合は、社内ネットワークのIPアドレス体系、サブネットマスク、他機器とのアドレス重複を確認します。
状態モニターとグラフ表示
標準搭載のモニタリング機能では、各LoRa無線機から取得した現在値や状態を一覧で確認できます。
計測値はグラフとして表示でき、時間による変化や異常傾向を確認できます。また、複数項目を同じグラフで表示する複合グラフや、複数データを比較する比較グラフにも対応しています。
電力、温度、圧力、流量などの変化を並べて確認することで、設備運転とエネルギー使用量の関係や、異常発生前の傾向を把握しやすくなります。
回数カウントと差分表示
接点信号やパルス信号について、積算回数や差分回数を表示できます。
設備の運転回数、生産回数、警報発生回数などを数える用途に利用できます。一定期間の増加量を差分として確認することで、日ごと・時間ごとの稼働状況を把握できます。
電力量表示
対応する電力計測機器と組み合わせることで、電力や電力量の監視に利用できます。
取得した電力量の表示、CSV出力、差分表示、CO2換算などに対応しています。設備単位や部門単位でデータを収集し、省エネルギー活動や使用量の記録に活用できます。
電力量補正係数や係数演算機能を使用し、計測構成に応じた表示値へ換算することもできます。
警報設定
アナログ信号では、上限値・下限値などの警報値を設定できます。接点信号では、接点の状態変化や異常状態を警報として扱えます。
温度上昇、圧力低下、水位上昇、漏電電流増加、設備異常接点など、監視対象に応じた警報条件を設定します。
一時的な変動で警報が頻発しないように、一定時間異常状態が継続した場合に警報とする警報遅延機能も利用できます。
メール通知
LoRa無線機で警報が発生した場合、HLR-GW-Lからメールを送信できます。パソコン画面を常時確認していなくても、担当者へ異常を知らせることが可能です。
メール送信には、HLR-GW-Lをメールサーバーへ接続できるネットワーク環境が必要です。メールアドレス、SMTP設定、ネットワークの通信許可などを確認します。
通信異常が短時間だけ発生した場合にメールが頻発しないよう、通信異常メールのマスク時間を設定することもできます。
外部接点出力
外部接点入出力拡張仕様では、警報発生時にHLR-GW-Lから接点を出力できます。
接点出力をランプ、回転灯、ブザーなどへ接続することで、パソコン画面やメールだけでなく、現場で光や音によって異常を知らせられます。
接点出力はオプション機能であるため、必要な出力点数、接点容量、警報のまとめ方を確認して構成します。
CSV形式でのデータ保存
HLR-GW-Lが収集した計測値は、本体内部の不揮発性メモリへCSV形式で逐次保存されます。
CSVファイルには、計測日時、無線機や項目を識別する情報、計測値、状態などが記録されます。表計算ソフトやデータベースへ取り込み、独自の集計表や報告書を作成できます。
保存容量には上限があるため、長期間のデータを残す場合は、定期的にパソコンやサーバーへ取り出します。ストレージ容量が所定値へ達した場合に、古いデータを自動削除する機能も備えています。
USBメモリへのデータ出力
パソコンを接続しなくても、本体のUSB端子へUSBメモリを挿入し、押しボタンスイッチを操作することで、保存されたCSVデータを出力できます。
USBメモリへの書込み中はLEDで状態を確認します。書込み中にUSBメモリを抜いたり、本体電源を切ったりすると、データやUSBメモリが破損する可能性があるため、所定の操作手順を守ります。
動作保証されたUSBメモリを使用し、USB端子へ他の種類の機器を接続しないようにします。
FTPによるデータ取得
HLR-GW-LはFTPサーバー機能を備えており、Ethernet経由で内部のCSVファイルを取得できます。
上位ソフトウェアから定期的にFTP接続し、新しく作成されたCSVファイルを回収することで、社内サーバーや独自の監視システムへデータを集約できます。
FTP接続用のアカウント情報とパスワードを適切に管理し、必要なパソコンやサーバーだけがアクセスできるネットワーク構成とします。
Modbus TCPによるデータ読出し
HLR-GW-Lが収集したデータは、Modbus TCP通信によって上位機器から読み出すこともできます。
PLC、監視システム、産業用コンピュータなどをModbus TCPクライアントとして接続し、HLR-GW-Lのレジスタへ割り付けられた計測値や状態を取得します。
使用するレジスタ、データ型、倍率、読出し可能な項目は、HLR-GW-Lの通信仕様書に従って設定します。接続前にはHLR-GW-Lと上位機器のIPアドレス、ポート、通信周期を確認します。
時計と時刻同期
HLR-GW-Lにはリアルタイムクロックが搭載され、収集データへ日時を付けて保存します。時計は本体電源が切れている間、ボタン型電池によってバックアップされます。
NTPサーバー同期機能を利用すると、ネットワーク上の時刻サーバーへ接続し、HLR-GW-Lの時計を補正できます。
複数の監視装置や設備履歴を比較する場合は、正確な時刻を維持することが重要です。NTPサーバーへ接続できない環境では、定期的に本体時刻を確認します。
停電時のデータ保持
収集した計測値と各種設定値は、不揮発性メモリへ保存されます。そのため、本体の電源が切れても保存済みデータや設定値は保持されます。
停電後に復電した場合は、本体とLoRa無線機の動作状態、時刻、通信状態を確認します。停電中の計測データは収集できないため、重要設備ではHLR-GW-Lや接続機器へのバックアップ電源も検討します。
バックアップとリストア
HLR-GW-Lには、設定内容をバックアップし、必要時にリストアする機能があります。
機器交換、設定変更、保守作業の前にバックアップを取得しておくことで、元の設定へ復旧しやすくなります。
バックアップデータは製品型式やソフトウェア版との対応を管理し、異なる機器へ誤って適用しないようにします。
LoRa無線中継器
直接通信が難しい場所では、対応するLoRa無線中継器 HLR-RPTを使用して中継通信を行える場合があります。
中継器は、建物や設備によって電波が遮られる場所や、通信距離を補いたい場所へ設置します。中継可能な構成、本体バージョン、設置位置を確認します。
設置環境
HLR-GW-Lは屋内用です。直射日光が当たらず、塵埃が少なく、結露や腐食性ガスがない場所へ設置します。
使用温度範囲は-10~60℃で、24時間の平均温度は35℃以下です。使用湿度範囲は15~85%RHで、結露しないことが条件です。
本体は無線LANやモバイル通信を内蔵していないため、上位ネットワークとの接続にはEthernetを使用します。
アンテナの設置
LoRa通信を安定させるため、アンテナ周囲に金属板、制御盤、配管などが近接しない位置へ設置します。
送信側と受信側のアンテナは、できるだけ高い位置へ垂直に設置し、間にある壁や設備を少なくします。
制御盤内に本体を設置する場合は、金属扉による電波遮蔽を考慮し、アンテナを盤外へ設置する方法を検討します。
通信異常時の確認
LoRa無線機のデータが更新されない場合は、無線機の電源、グループID、ネットワークキー、アンテナ、通信距離を確認します。
Web画面を表示できない場合は、HLR-GW-LとパソコンのIPアドレス、サブネットマスク、LANケーブル、EthernetのLED状態を確認します。
メールが送信されない場合は、ネットワーク接続、メールサーバー設定、送信先アドレスを確認します。CSVファイルを取得できない場合は、保存設定、FTPアカウント、USBメモリの状態を点検します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、温度、圧力、流量、電力、漏電、設備異常など、遠隔監視したい信号を確認します。
HLR-GW-Lと各種LoRa無線機を組み合わせ、Webモニタリング、グラフ、CSV保存、メール通知、外部接点出力、FTP・Modbus TCP連携を含む構成を検討します。
既設設備への後付けでは、信号の種類、無線通信環境、LAN環境を確認し、必要に応じて現地通信試験や上位システムとの連携方法を検討します。
よくある質問
Q. HLR-GW-LだけでLoRa無線機のデータを確認できますか?
A. Ethernetで接続したパソコンのGoogle ChromeからHLR-GW-Lへアクセスし、標準搭載のWebモニタリング画面で確認できます。
Q. パソコンを接続しなくてもデータを取り出せますか?
A. 本体へUSBメモリを接続し、押しボタンスイッチを操作することで、保存されたCSVデータを出力できます。
Q. 上位のPLCへ計測値を取り込めますか?
A. Modbus TCP通信を利用し、通信仕様書で定められたレジスタから計測値や状態を読み出せます。
Q. 異常が発生した場合にメールで通知できますか?
A. 警報条件を設定し、ネットワークとメールサーバーの設定を行うことで、登録したメールアドレスへ通知できます。
Q. LoRa無線機を50台接続した場合も10秒ごとに更新されますか?
A. 接続台数によって更新周期が変わり、50台接続時は10分周期が目安です。必要な更新周期に合わせてグループ構成を検討します。
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LPWAとはLow Power Wide Areaの略で、低消費電力で遠距離通信を実現する通信方式です。 LoRa(Long Range)はこのLPWAの一つで、アンライセンス系と呼ばれる免許不要の通信方式です。 LoRaWANと呼ばれる場合、通信の物理層からアプリケーション層まで規格化されており、LoRa Allianceが策定しています。 物理層の規格のみ利用するLoRaもあり、その場合、単純なデータ通信用無線機として利用できます。 LoRa無線の通信距離に関しては低速ではありますが非常に長距離通信可能です。 LoRa変調方式による無線特性は920MHzの特定小電力無線に対しても通信距離の点で明らかに勝り凌駕しています。 当社製品としてアナログ信号、接点信号、RS-485信号をLoRa無線で通信させるLoRa無線機器がございます。配線工事レスで簡単後付でモニタリングできる機器としてご使用いただけます。 この製品は 当社検証では琵琶湖大橋、梅田スカイビルの他に大阪城天守閣からあべのハルカス展望台にて 見通し4.65kmの通信を確認しました。LoRa無線は-134dbmを下回ると安定して通信できません。それに対して大阪城天守閣からあべのハルカス展望台間では平均-108dbmで安定通信を確認しました。 当社製品は非常によく飛ぶ無線機機として様々な場所で使用できます。関連ワード
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LPWAは、少ない消費電力で広い範囲へ少量のデータを送信する無線通信技術の総称です。
LPWAは「Low Power Wide Area」の略で、温度、湿度、電流、電力量、設備の運転状態、警報、位置情報などを、一定時間ごと、または状態が変化したときに送信する用途に適しています。
Wi-Fiや携帯電話回線のような高速・大容量通信を目的とするのではなく、通信速度や送信データ量を抑えることで、長距離通信、低消費電力、通信配線の削減を実現しやすいことが特長です。
LPWAがIoTに適している理由
IoTでは、離れた場所に設置したセンサや設備から、継続的にデータを収集します。しかし、温度を1時間ごとに送る、設備異常が発生したときだけ接点状態を送るといった用途では、映像や大容量ファイルを送るほどの通信性能は必要ありません。
その代わり、次のような条件が重視されます。
- 離れた場所までデータを送信できること
- 電池で長期間動作できること
- 通信配線を敷設せずに導入できること
- 多数のセンサを配置しやすいこと
- 通信費や設備費を抑えられること
LPWAは、通信速度とデータ量を限定する代わりに、こうしたIoT機器に必要な条件を満たしやすくした通信技術です。
LPWAの主な特長
低消費電力
LPWA端末は常時通信するのではなく、通常は待機状態とし、決められた時刻や状態変化があったときだけ起動して送信することで消費電力を抑えます。
ただし、実際の電池寿命は、送信周期、データ量、再送回数、受信待機時間、電波状態、接続するセンサの消費電力、使用温度などによって変わります。LPWAを採用するだけで長期間運用できるわけではなく、機器全体の省電力設計が必要です。
広域・長距離通信
LPWAは、Wi-FiやBluetoothなどの近距離無線と比べて長距離通信に適しています。
ただし、通信距離は方式だけで決まるものではありません。建物、地形、金属設備、アンテナの高さ、設置位置、送信出力、通信設定、周囲の電波環境などによって大きく変化します。
少量データの送信
LPWAは、次のようなデータの遠隔収集に適しています。
- 温度、湿度、圧力
- 電流、電圧、電力、電力量
- 水位、流量、サイロやタンクの残量
- 設備の運転・停止状態
- 警報や満杯・空などの接点状態
- カウンタ値や検針値
- 車両や設備の位置情報
一方、カメラ映像、音声、大容量ファイル、高速で連続する制御データなどの送信には適していません。
通信配線の削減
屋外設備、建屋間、高所、道路や構内通路を横断する場所では、信号線の敷設に配管、掘削、高所作業などが必要になることがあります。
LPWAを利用すると、設備側の信号を無線で送信できるため、新たな通信配線を敷設しにくい場所でも導入しやすくなります。ただし、無線機器やセンサを動作させるための電池、AC電源、DC電源などは別途必要です。
非セルラー系とセルラー系
LPWAは、通信網の構成によって、非セルラー系とセルラー系に大きく分けられます。
非セルラー系LPWA
携帯電話事業者の通信網を使わず、主に免許不要の周波数帯を利用する方式です。代表例としてLoRaなどがあります。
工場や事業所の敷地内に送信機と受信機を設置し、独自の通信網を構築できます。携帯回線の通信エリアに依存せず、月額通信料を必要としない構成にできる場合があります。
一方、受信機やゲートウェイの設置、通信範囲の確認、機器管理は利用者側で行う必要があります。
セルラー系LPWA
携帯電話事業者の基地局や通信網を利用する方式で、LTE-MやNB-IoTなどがあります。
通信エリア内であれば、自社で受信基地局を設置せずに、遠隔地や複数地域へ分散した設備からデータを収集できます。
一方、SIMや通信契約、月額料金、通信エリア、サービス提供期間などを確認する必要があります。
LPWA方式を選定する条件
LPWAの方式は、単純な通信距離だけでは選定できません。次の条件を整理して比較します。
- 設置場所と必要な通信範囲
- 送信するデータ量と送信周期
- 双方向通信の必要性
- 固定設備か移動体か
- 電池駆動か外部電源か
- 端末数と将来の追加予定
- 自社で受信設備を設置できるか
- 通信料金と保守費用
- 通信不能時に許容できる時間
- データの保存先と表示方法
例えば、工場敷地内の複数設備を監視し、自社内で通信網を構築したい場合は、LoRaなどの非セルラー系LPWAが適することがあります。
全国に分散した設備や移動体を監視し、自社で受信設備を設置したくない場合は、セルラー系LPWAが候補になります。
通信できない場合の設計
無線通信では、障害物、周囲の電波環境、電池切れ、アンテナの破損、通信網の障害などにより、一時的にデータを受信できないことがあります。
最後に受信した値を表示し続ける場合は、現在値と誤認されないよう、最終受信時刻や通信状態を併せて表示します。一定時間更新されない値を無効として扱う方法もあります。
送信側でデータを一時保存し、通信復旧後に再送する場合は、保存容量、再送順序、重複登録の防止、時刻情報の扱いなどを設計します。
非常停止や安全装置、高速な位置決めなど、安全性や即時性が重要な制御は、LPWAだけに依存させず、有線回路や設備側の安全機能を組み合わせます。
通信試験とアンテナ設置
LPWAは長距離通信に適していますが、カタログ上の通信距離だけで導入可否を判断することはできません。実際の設置場所で、アンテナの位置や高さを変えながら通信状態を確認します。
工場では、鉄筋コンクリートの壁、金属製タンク、サイロ、制御盤、機械設備などが電波を遮蔽・反射します。設備の稼働状況、車両の通過、扉の開閉によって通信状態が変わる場合もあります。
一度受信できることだけでなく、一定期間の受信率、再送回数、通信途絶の継続時間などを確認することが重要です。
電池駆動時の設計
電池駆動端末では、無線通信だけでなく、センサ、演算回路、表示器なども電力を消費します。
送信周期を短くするほどデータの更新は早くなりますが、消費電力が増えます。電波状態が悪く再送が増えた場合も、想定より早く電池が消耗することがあります。
電池容量の計算だけでなく、低温環境での容量低下、自然放電、交換作業のしやすさ、電池残量の監視方法まで検討します。
法令とセキュリティ
日本国内で無線機器を使用する場合は、電波法に適合した機器を使用し、周波数、送信出力、アンテナ、送信時間などの条件を守る必要があります。
技術基準適合証明を取得した無線モジュールであっても、指定外のアンテナへの変更や無線回路の改造によって、認証条件から外れる可能性があります。
設備データを無線で送信する場合は、用途に応じて暗号化、端末認証、端末識別、改ざん検知、アクセス制限などを検討します。
ハカルプラスにおけるLPWAの活用
ハカルプラスでは、LPWAの一つであるLoRa無線を利用し、アナログ信号、接点信号、RS-485信号などを離れた場所へ送信する無線機器を開発しています。
既設設備へ後付けし、受信したデータを事務所や監視場所で保存・表示することで、現場確認作業の削減や設備状態の継続的な把握に活用できます。
無線機器だけでなく、既設設備から取り出す信号、アンテナ位置、電源、通信試験、受信装置、データ保存、履歴グラフ、警報、上位システムとの連携まで、実際の運用に合わせて構成を検討します。
LoRa無線機器の詳細
よくある質問
Q. 工場内と屋外で同じLPWA方式を使用できますか?
A. 使用できる場合がありますが、工場内では壁や金属設備、屋外では地形や建物など、通信に影響する条件が異なります。それぞれの設置場所で通信試験を行い、アンテナ位置や受信設備の構成を検討します。
Q. 電波が届かない場所には中継器を設置できますか?
A. 通信方式や製品構成によっては、中継器や受信機の追加、アンテナ位置の変更で対応できる場合があります。ただし、中継による遅延、電源、保守対象の増加も考慮する必要があります。
Q. LPWA端末を後から追加できますか?
A. 追加できる場合がありますが、受信機の収容台数、端末識別、送信周期、無線の混雑、データ保存項目などを確認する必要があります。将来の増設予定を初期設計に反映することが重要です。
Q. 通信事業者のサービスが終了した場合はどうなりますか?
A. セルラー系や通信サービス型のLPWAでは、サービス終了や通信規格の変更を考慮する必要があります。設備の使用予定期間に合わせて、通信モジュールの交換や別方式への移行可能性を確認します。
Q. 通信料金が不要なLPWA構成はありますか?
A. 自社敷地内にLoRaなどの送信機と受信機を設置する構成では、携帯回線の月額通信料を必要としない場合があります。ただし、受信設備、ネットワーク、保守にかかる費用は別途検討が必要です。
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Sigfox(シグフォックス)は、少量のデータを低消費電力で遠距離へ送信する、IoT向けのLPWA(Low Power Wide Area)通信技術です。
温度、接点状態、メーター値、電池残量などを間欠的に送信する用途に適しており、電池で長期間動作する小型端末や、広い範囲に多数の端末を設置するシステムで利用されます。
Sigfoxは、免許不要の周波数帯を利用する公衆ネットワーク型のLPWAです。端末が送信したデータは基地局を経由してSigfoxクラウドへ集約され、利用者のサーバーや監視システムへ連携されます。日本国内では、京セラコミュニケーションシステム株式会社がネットワークサービスを提供しています。
Sigfoxの通信の仕組み
Sigfox端末は、携帯電話のように基地局と常時接続するのではなく、必要なタイミングで短いメッセージを送信します。
- センサや接点から計測値・状態を取得する
- 端末内で送信用データへ変換する
- Sigfox無線でメッセージを送信する
- 周辺の基地局がメッセージを受信する
- Sigfoxクラウドへデータを集約する
- 利用者のサーバーやアプリケーションへ連携する
利用者側では、コールバックやAPIなどを利用してデータを受け取り、データベースへの保存、グラフ表示、警報通知などを行います。
Sigfoxの主な特長
低消費電力
送信するデータ量と通信回数を抑えることで、端末の消費電力を小さくできます。電源を確保しにくい屋外設備や、頻繁な電池交換が難しい場所に適しています。
実際の電池寿命は、送信周期、センサの測定回数、再送回数、待機電流、温度、電波状況などによって変わります。
広範囲で利用できる
Sigfoxは、狭い帯域幅を利用するウルトラナローバンド方式によって、比較的長距離の通信を実現します。
公衆ネットワークの提供エリア内であれば、利用者が親機や基地局を設置せずに利用できます。ただし、エリア内でも地下、建物内部、金属製制御盤内などでは通信できないことがあるため、実際の設置位置で確認します。
多数の端末を展開しやすい
多数のセンサ端末や管理対象を広い範囲へ分散して設置する用途に適しています。設備監視、環境計測、物流資材管理、メーター値の収集などに利用できます。
送信できるデータ量
Sigfoxは大容量データを高速に送る通信ではなく、小さなデータを低頻度で送ることに特化しています。
代表的な上り通信では、1メッセージのアプリケーションデータは最大12バイトです。送信回数などの利用条件は、契約プランやサービス仕様を確認する必要があります。
限られたデータ量へ複数の情報を格納するため、次のような処理を行います。
- 温度や流量を一定倍率の整数へ変換する
- 複数の接点状態をビット単位でまとめる
- 警報内容を短いコードで表す
- 必要な測定範囲と分解能に合わせてデータ長を決める
文字列のまま送信するのではなく、端末側でデータを圧縮し、受信側で元の単位や状態へ復元します。
下り通信の制約
Sigfoxは端末からクラウドへ送信する上り通信を中心とした方式ですが、限定的な下り通信にも対応します。
ただし、クラウド側から任意のタイミングで端末へ即座に命令を送る常時接続型の通信ではありません。端末が上り送信した後に、下りデータを受信する仕組みです。
測定周期や動作モードをまれに変更する用途には利用できますが、設備のリアルタイム操作や、即時応答が必要な制御には適していません。
Sigfoxに適した用途
- 温度・湿度などの環境計測
- 河川、水位、浸水の監視
- 電気・ガス・水道メーターの読取り
- 設備の運転・停止状態の監視
- 扉や蓋の開閉検知
- パレット、コンテナ、カゴ車などの所在管理
- 農地や屋外設備の遠隔監視
- 電池残量や機器異常の通知
「一定時間ごとの計測値」や「状態が変化したときの通知」を送り、端末を長期間運用する用途で特長を発揮します。
Sigfoxに適さない用途
- 画像や音声を送信する
- 大量のログをまとめて転送する
- 秒単位で連続して計測値を送る
- 機器をリアルタイムに遠隔操作する
- 通信遅延や到達時間を厳密に保証する
- 頻繁な双方向通信を行う
必要なデータ量、送信周期、応答時間、双方向通信の必要性を整理し、Sigfox、LoRa、LTE-M、NB-IoTなどから適切な方式を選定します。
SigfoxとLoRa Privateの違い
| 項目 | Sigfox | LoRa Private |
|---|---|---|
| ネットワーク | 通信事業者の公衆ネットワーク | 利用者が構築する自営ネットワーク |
| 基地局・親機 | 原則として利用者側で設置不要 | 利用場所へ親機を設置する |
| 利用範囲 | サービス提供エリアに依存 | 親機の通信範囲内 |
| 通信費用 | 端末ごとの回線契約が必要 | 自営網では回線契約が不要な場合がある |
| 設計の自由度 | サービス仕様の範囲で利用 | 通信周期やシステム構成を設計しやすい |
広い地域に点在する端末を既存ネットワークへ接続する場合はSigfox、工場や施設内に独自の無線網を構築する場合はLoRa Privateが適することがあります。
通信できなかった場合の設計
無線通信では、建物、地形、電波干渉、アンテナ状態などによってメッセージが届かない可能性があります。
Sigfoxでは、同じメッセージを時間や周波数を変えて複数回送信し、通信の到達性を高める仕組みがあります。ただし、すべてのデータ到達を保証するものではありません。
- 端末内へ未送信データを一時保存する
- 次回通信時に過去データを送信する
- 一定時間受信できない端末を警報として検出する
- 電池残量や通信状態を監視する
- データ番号によって欠損や重複を判定する
設備の安全停止やリアルタイム制御など、確実性が求められる処理をSigfox通信だけに依存させないことが重要です。
端末設計で重要な項目
アンテナと設置位置
アンテナの種類、向き、筐体、周囲の金属や配線によって通信性能が変化します。金属製の制御盤へ組み込む場合は、外部アンテナの使用などを検討します。
送信周期と電池寿命
送信回数を増やすと細かな監視ができますが、消費電力も増加します。通常時は低頻度で送信し、状態変化や異常時だけ追加送信する方法があります。
電池寿命は、無線モジュールだけでなく、センサ、CPU、電源回路、待機電流、低温時の電池性能を含めて評価します。
技術基準への適合
日本国内で使用する端末には、電波法に適合した無線モジュールや機器を使用します。認証済みモジュールであっても、指定外アンテナへの変更や実装条件によっては追加確認が必要です。
ハカルプラスにおけるSigfoxへの対応
Sigfoxを利用したシステムでは、無線端末だけでなく、センサ入力、電源、アンテナ、送信データ、クラウド連携、データベース、監視画面まで含めた設計が必要です。
ハカルプラスでは、電力計測、設備監視、IoTゲートウェイ、無線通信で培った技術を基に、利用目的や設置環境に応じた構成を検討します。
対応にあたっては、設置場所の通信環境、端末数、送信周期、必要な電池寿命、データ連携先などを確認し、Sigfoxが適しているかを含めて判断します。
よくある質問
Q. サービスエリア内であれば必ず通信できますか?
A. エリア内でも、地下、建物内部、金属製筐体内などでは通信できない場合があります。実際の設置位置とアンテナで通信試験を行うことが重要です。
Q. 通信できなかったデータを後から送信できますか?
A. 端末に保存領域を設け、データ番号や測定時刻とともに次回以降へ送信する構成を検討できます。ただし、保存容量と通信回数の制限を考慮する必要があります。
Q. Sigfoxで設備を緊急停止できますか?
A. 即時性や到達保証が必要な緊急停止には使用しません。安全制御は設備側で完結させ、Sigfoxは状態監視や警報通知に使用します。
Q. 電池交換なしで長期間使用できますか?
A. 送信頻度を抑えれば長期間運用できる場合がありますが、センサの消費電力、温度、電波環境、電池の自己放電を含めて実測評価します。
Q. SigfoxとLoRaのどちらを選べばよいですか?
A. 広域の公衆ネットワークを利用したい場合はSigfox、工場や施設内に自営網を構築したい場合はLoRa Privateが候補になります。端末数、通信量、設置範囲、運用費用を比較して選定します。
関連ワード
LoRa無線は、少ない消費電力で比較的長距離のデータ通信を行う無線技術です。
LoRaは「Long Range」に由来する名称で、LPWA(Low Power Wide Area)に分類されます。LPWAとは、センサ値、接点状態、メーター値などの比較的小さなデータを、低消費電力で広い範囲へ送信することを目的とした通信方式の総称です。
LoRa無線は、携帯電話回線や無線LANのように大量のデータを高速で送る用途ではなく、温度、電流、電力量、設備の運転状態、警報などを一定間隔で送信するIoT・遠隔監視に適しています。通信速度を抑える代わりに、長距離通信、省電力、通信配線工事の削減といった効果を得やすいことが特長です。
LoRaとLoRaWANの違い
LoRaとLoRaWANは関連する技術ですが、同じものではありません。
LoRaは、無線信号をどのような方式で送受信するかを定める物理層の通信技術です。弱い信号を検出しやすい変調方式を利用することで、比較的長距離の通信を実現します。
LoRaWANは、LoRaを物理層として使用し、端末、ゲートウェイ、ネットワークサーバーなどの通信方法を定めたネットワーク規格です。多数のセンサを広い範囲へ配置し、クラウドなどで一元管理する用途に適しています。
一方、LoRaの物理層を利用し、メーカーやシステムごとに独自の通信方式を構築することもできます。ハカルプラスでは、既設設備のアナログ信号、接点信号、RS-485通信などを離れた場所へ伝送する専用無線としてLoRaを活用しています。
LoRa無線の主な特長
長距離通信に適している
LoRa無線は、無線LANやBluetoothなどと比べて長距離通信に適しています。ただし、通信できる距離は一定ではありません。
見通しのよい屋外と、鉄筋コンクリートの壁や金属設備が多い工場内では、通信可能距離が大きく異なります。アンテナの高さや向き、障害物、地形、周囲の電波環境、通信設定などによって通信品質が変化するため、導入前に実際の設置場所で通信試験を行うことが重要です。
低消費電力で運用しやすい
少量のデータを一定時間ごと、または状態変化時だけ送信することで、消費電力を抑えやすくなります。
ただし、実際の電池寿命は、送信周期、再送回数、受信待機時間、接続センサの消費電力、使用温度などによって変わります。LoRaを採用するだけで長期間運用できるわけではなく、機器全体としての省電力設計が必要です。
配線工事を減らせる
建屋間、屋外設備、高所、道路や構内通路を横断する場所などでは、新たな通信配線の敷設が難しいことがあります。LoRa無線を利用すると、既設設備の信号を無線へ変換して送信できるため、大規模な配管、掘削、高所作業などを減らせる場合があります。
ただし、センサや無線機器への電源供給は別途必要です。電池、AC電源、DC電源など、設置条件に合わせて構成します。
LoRa無線に適するデータ
- 温度、湿度、圧力
- 電流、電圧、電力、電力量
- 水位、流量、サイロやタンクの残量
- 設備の運転・停止状態
- 警報や満杯・空などの接点状態
- カウンタ値
- RS-485接続機器の計測値
一方、監視カメラの映像、音声、大容量ファイル、高速で連続する制御データなどの送信には適していません。
通信距離と安定性に影響する要因
障害物と見通し
鉄筋コンクリートの壁、金属製タンク、サイロ、制御盤、機械設備などが送受信機の間にあると、電波が遮られたり反射したりします。
アンテナの設置
アンテナを床面や地面の近くへ設置すると、人、車両、設備などの影響を受けやすくなります。可能な範囲で高い位置へ設置し、金属面への密着を避けます。
無線機本体を金属製制御盤内へ設置する場合は、アンテナを盤外へ取り出すなどの検討が必要です。
電磁ノイズ
インバーター、モーター、溶接機、大電流設備などがある環境では、無線機本体だけでなく、接続する電源線や信号線からノイズが侵入する場合があります。設置位置、配線、接地、電源回路まで含めて確認します。
通信の集中
免許不要の周波数帯は他の無線機器と共用するため、端末数が多い場合や短い周期で一斉送信する場合は、通信が重なる可能性があります。送信タイミング、チャンネル、再送回数などを調整します。
通信設定の考え方
LoRa無線では、拡散率、帯域幅、符号化率、送信出力などの設定によって、通信距離、通信速度、送信時間、消費電力のバランスが変わります。
一般に、弱い電波を受信しやすい設定にすると通信距離を伸ばしやすくなりますが、1回の送信時間が長くなります。送信時間が長くなると、消費電力や通信衝突の可能性も増加します。
設定値を最大にすればよいわけではなく、必要な通信距離、データ量、送信周期、端末数、電源条件を踏まえて調整します。
RS-485通信の無線化
工場設備では、計測器やセンサとの通信にRS-485が広く利用されています。RS-485通信をLoRa無線へ変換することで、離れた場所にある機器からデータを収集できる場合があります。
ただし、RS-485は電気的な通信方式であり、実際のデータ内容や通信手順はModbusなどの上位プロトコルによって決まります。無線化する際は、通信速度、通信周期、親局と子局の関係、応答待ち時間、タイムアウト、再試行方法などを確認します。
有線通信と比べて無線区間には遅延や再送が発生するため、既設機器のタイムアウト設定によっては、そのまま置き換えられない場合があります。
アナログ信号・接点信号の無線化
アナログ信号
4~20mAや0~10Vなどのアナログ信号を無線機へ入力し、デジタル値へ変換して送信します。入力範囲、分解能、精度、更新周期、断線時の扱いなどを確認します。
接点信号
設備の運転、停止、異常、満杯、空、扉の開閉などの状態を送信します。状態変化時だけ送信する方式では通信異常を判別しにくいため、一定時間ごとの定期送信を組み合わせることがあります。
通信できない場合の設計
無線通信では、障害物の増加、周囲の電波環境の変化、電池切れ、アンテナの破損、機器故障などにより、一時的にデータを受信できないことがあります。
最後に受信した値をそのまま表示すると、現在値と誤認される可能性があります。そのため、最終受信時刻、通信状態、データの有効期限などを管理し、一定時間受信できない場合は通信異常として表示します。
送信側にデータを一時保存し、通信復旧後に再送する構成では、保存容量、再送順序、重複登録の防止なども検討します。
非常停止、安全装置、高速な位置決めなど、安全性や即時性が重要な制御を無線だけに依存させることは避け、有線回路や設備側の安全機能を組み合わせます。
データ保存と可視化
LoRa無線で受信したデータは、現在値を表示するだけでなく、継続的に保存することで設備管理に活用できます。
- 日・週・月単位の履歴グラフ
- 上限値・下限値を超えたときの警報
- 設備の稼働時間の集計
- 電力量や使用量の傾向確認
- 異常発生前後の履歴確認
- 複数地点の一括監視
- CSVなどへのデータ出力
継続的な変化を確認することで、設備の異常兆候、エネルギー使用量の増加、運転状態の変化などを把握しやすくなります。
法令とセキュリティ
日本国内で使用する場合は、国内の技術基準に適合した無線機器を使用し、周波数、送信出力、アンテナなどの条件を守る必要があります。
認証済みの無線モジュールであっても、指定外のアンテナへの変更や無線回路の変更によって、認証条件から外れる可能性があります。
設備データを無線で送信する場合は、用途に応じて端末認証、暗号化、改ざん検知、端末識別などを検討します。独自のLoRa通信を使用する場合は、通信方式だけでなく、セキュリティの設計も必要です。
ハカルプラスのLoRa無線機器
ハカルプラスでは、アナログ信号、接点信号、RS-485信号などをLoRa無線で送信し、離れた事務所や監視場所でデータを確認できる無線機器を開発しています。
既設設備へ後付けし、受信したデータを保存・グラフ化することで、現場へ確認に行く作業の削減や、設備状態の継続的な把握に活用できます。
無線機器だけでなく、既設信号の確認、アンテナ設置、通信試験、電源、受信装置、データ保存、グラフ表示、警報、上位システム連携まで、現場の運用に合わせて構成を検討します。
LoRa無線機器の詳細
よくある質問
Q. 設置後に通信が不安定になった場合、何を確認しますか?
A. アンテナの向きや固定状態、周囲に追加された金属設備や障害物、受信電波の状態、電源、通信エラーの発生頻度などを確認します。設備の稼働状況によって通信状態が変化する場合は、インバーターなどのノイズ源との関係も調査します。
Q. 通信試験では一度受信できれば問題ありませんか?
A. 一度の受信確認だけでは十分ではありません。設備稼働中、車両通過時、扉の開閉時、天候や設置条件が異なる状態でも確認し、一定期間の受信率や再送回数を評価します。
Q. 通信が途絶えたときも最後の値を表示できますか?
A. 表示できますが、現在値と誤認しないよう、最終受信時刻や通信異常を併せて表示する必要があります。一定時間更新されないデータを無効として扱う方法もあります。
Q. 既設のRS-485配線の一部だけをLoRa無線へ置き換えられますか?
A. 通信プロトコル、親局・子局の構成、応答時間、タイムアウトなどが適合すれば可能な場合があります。無線区間の遅延を含め、実機での通信確認が必要です。
Q. 将来、監視する設備を追加できますか?
A. 追加できる場合がありますが、受信機の収容台数、通信周期、データ保存項目、電波の混雑などを確認する必要があります。将来の追加台数を考慮して初期構成を設計することが重要です。