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VPN・遠隔接続
(VPN・えんかくせつぞく)
VPN・遠隔接続とは、インターネットや移動通信網を経由して、離れた場所から工場設備、PLC、タッチパネル、産業用コンピュータ、IoTゲートウェイなどへ安全に接続する仕組みです。VPNはVirtual Private Networkの略で、外部回線上に暗号化された専用通信経路を構築します。
遠隔接続を利用すると、設備異常の確認、画面監視、ログ取得、設定確認、ソフトウェア保守などを現地へ移動せずに行える場合があります。一方、外部から設備ネットワークへ接続するため、認証、権限、操作履歴、接続時間を厳格に管理する必要があります。
ハカルプラスでは、遠隔で行う作業範囲、設備の安全性、ネットワーク構成を確認し、VPNルーター、利用者認証、アクセス制限を含む遠隔接続を検討します。
VPN・遠隔接続の主な用途
- PLCプログラムや状態の確認
- タッチパネル画面の遠隔監視
- 設備異常履歴・ログの取得
- 産業用コンピュータの保守
- IoTゲートウェイやルーターの設定確認
- 現地担当者への復旧支援
VPNの基本
VPNでは、通信内容を暗号化し、認証された機器や利用者だけがネットワークへ接続できるようにします。
外部端末から設備ネットワークまでを一つの閉じた通信経路として扱えますが、VPNを使用すれば無条件に安全になるわけではありません。接続先と権限を必要最小限に制限します。
拠点間VPN
本社と工場、工場と遠隔監視センターなど、固定されたネットワーク同士をVPNで接続する方法です。
両拠点のルーターが常時VPN接続を維持し、設備データの収集や監視に利用します。ネットワークアドレスの重複がないように設計します。
リモートアクセスVPN
保守担当者のパソコンなどから、必要なときだけ設備ネットワークへ接続する方法です。
利用者ごとにアカウントを発行し、接続可能な設備、時間、通信先を制限します。共通アカウントの使い回しは避けます。
クラウド中継型遠隔接続
設備側機器と保守端末がクラウド上の中継サービスへ接続し、両者を安全に結ぶ方式があります。
設備側が外向き通信を開始するため、固定グローバルIPを必要としない場合があります。サービス提供期間、認証方式、データ保管場所を確認します。
固定IPと動的IP
設備へ外部から直接接続する場合、固定IPアドレスを利用する構成があります。
ただし、固定IPを持つだけでは安全ではありません。VPN、ファイアウォール、接続元制限を組み合わせます。動的IP回線では、クラウド中継や設備側発信方式が利用されます。
VPNルーター
工場側へVPN対応ルーターを設置し、設備ネットワークと外部回線を分離します。
対応VPN方式、同時接続数、暗号性能、ログ、LTE対応、使用温度、電源冗長などを確認します。
認証
ユーザーIDとパスワードだけでなく、証明書、ワンタイムパスワード、多要素認証などを利用できます。
遠隔から設備へ接続する場合は、パスワード漏えいだけで侵入されないよう、多要素認証を検討します。
利用者ごとのアカウント
利用者を個人単位で識別し、接続開始・終了時刻を記録します。
退職、異動、協力会社の作業終了時には、該当アカウントを速やかに無効化します。共通IDでは誰が操作したか追跡できません。
アクセス先の制限
VPNへ接続した利用者が、設備ネットワーク内のすべての機器へアクセスできる状態は避けます。
対象PLC、タッチパネル、保守サーバーなど、作業に必要なIPアドレスとポートだけを許可します。
閲覧と変更の分離
監視だけを行う利用者と、プログラム変更や設定変更を行える利用者を分けます。
遠隔画面の閲覧は許可しても、運転指令や設定変更は現地確認後だけ許可するなど、操作の重要度に応じて権限を設定します。
接続時間の制限
遠隔接続を常時有効にせず、必要な保守時間帯だけ許可する方法があります。
現地担当者がスイッチや画面操作で遠隔保守を許可し、一定時間後に自動解除する構成も有効です。
現地承認
設備へ影響する操作を行う場合、現地担当者が安全を確認してから遠隔接続を許可します。
遠隔担当者だけでは、設備周囲に人がいるか、機械が保守中かを確認できません。現地との連絡手順を定めます。
遠隔監視
設備状態、計測値、異常履歴を閲覧するだけであれば、直接PLCへ接続せず、監視サーバーやWeb画面を介する方法があります。
設備制御ネットワークへの接続範囲を狭くでき、保守端末側の影響を抑えられます。
遠隔操作
遠隔から設備を起動・停止する場合は、現地安全確認、操作権限、通信断時動作が必要です。
非常停止、安全扉などの安全機能は現地ハードウェアで構成し、VPN通信を安全回路の代わりにしません。
PLC保守
PLCプログラムの読出し、モニタ、診断、変更を遠隔で行える場合があります。
変更前に現在プログラムをバックアップし、対象設備とCPUを確認します。書込み中の通信断や誤った設備への転送を防ぐ手順が必要です。
タッチパネルの遠隔表示
タッチパネルの画面をパソコンやタブレットへ表示し、現場と同じ状態を確認できる機能があります。
遠隔操作を許可する場合は、現地操作との競合を防ぎます。現在誰が操作権を持つかを画面へ表示します。
操作競合
現地作業者と遠隔担当者が同時に異なる操作を行うと、意図しない設備動作につながる可能性があります。
遠隔操作中は現地画面へ表示する、操作権を一方だけに限定する、重要操作には再確認を求めるなどの対策を行います。
通信断時の動作
遠隔操作中にVPNや回線が切れる可能性があります。
通信断時に設備が運転を継続するか、安全停止するかを操作内容ごとに決めます。押している間だけ動作する手動操作では、通信断で停止する構成が望まれます。
設備ネットワークの分離
制御ネットワーク、監視ネットワーク、事務系ネットワークを分け、必要な場所だけをルーターやファイアウォールで接続します。
遠隔端末から事務系システムや他設備へ移動できないよう、通信経路を制限します。
保守端末の管理
VPNへ接続するパソコン側も、OS更新、ウイルス対策、ディスク暗号化、画面ロックなどを行います。
個人所有端末や管理外端末から設備へ接続させないようにします。
操作ログ
接続者、接続元、開始・終了時刻、接続先、設定変更などを記録します。
PLCやタッチパネル側の操作履歴と合わせて確認できると、障害調査や監査に役立ちます。
接続通知
遠隔接続が開始された際に、現地画面や管理者へ通知する方法があります。
予定外の接続を早期に発見できるよう、接続失敗の繰返しや時間外接続も監視します。
ソフトウェア更新
遠隔から機器のファームウェアやアプリケーションを更新する場合は、更新中の通信断と停電を考慮します。
更新前のバックアップ、対象確認、更新後の動作確認、失敗時の復旧方法を準備します。
異常時の確認
VPNへ接続できない場合は、回線、ルーター、認証情報、証明書、時刻、ファイアウォールを確認します。
VPN接続後にPLCへ到達できない場合は、IPアドレス、ルーティング、アクセス権限、対象ポートを点検します。頻繁に切れる場合は回線品質とタイムアウトを確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、遠隔で行う監視・保守内容と、設備の安全条件を整理します。
VPNルーター、LTE・5G、利用者認証、現地許可、操作ログを組み合わせ、必要な設備だけへ限定して接続できる遠隔保守構成を検討します。
よくある質問
Q. VPNを使えば設備へ安全に接続できますか?
A. 暗号化には有効ですが、認証、アクセス制限、端末管理、操作履歴も必要です。
Q. 遠隔からPLCプログラムを変更できますか?
A. 可能な場合がありますが、対象確認、バックアップ、現地承認、通信断対策が必要です。
Q. 固定グローバルIPは必ず必要ですか?
A. クラウド中継型や設備側から接続を開始する方式では、不要な場合があります。
Q. 遠隔操作中に通信が切れたらどうなりますか?
A. 設備側で通信断を検出し、操作内容に応じて停止・保持などの安全動作へ移行します。
Q. 既設設備へ遠隔保守を追加できますか?
A. PLC通信、ネットワーク、ルーター設置場所、社内セキュリティ方針を確認し、追加できる場合があります。