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添加率補正
(てんかりつほせい)
添加率補正とは、主原料の実計量値に応じて、添加剤や副原料の目標量を自動的に計算し直す制御です。主原料の重量が計画値から変動した場合でも、あらかじめ設定した添加率を維持できるように、添加剤の計量設定値を補正します。
例えば、主原料に対して添加剤を1%加える配合では、主原料を100kg使用する場合の添加量は1kgです。主原料の実計量値が98kgとなった場合、添加剤を固定値の1kgで供給すると、実際の添加率は約1.02%になります。添加率補正を行えば、添加剤の目標量を0.98kgへ変更し、設定した1%を維持できます。
添加率補正は、粉体、液体、混和剤、着色剤、香料などを扱う配合設備で利用されます。正しく運用するには、何を基準重量とするか、どの時点の実績値を使うか、端数をどのように処理するかを明確にする必要があります。
添加率補正の基本的な計算
基準となる主原料の実計量値をWm、設定した添加率をR、補正後の添加剤目標量をWaとすると、基本的な関係は次のように表せます。
Wa=Wm×R/100
主原料の実計量値が250kg、添加率が0.8%の場合、添加剤の目標量は次のとおりです。
Wa=250×0.8/100=2kg
実際の設備では、補正値をそのまま計量設定値にするだけでなく、計量器の最小表示、供給装置の最小供給量、配合上の上下限などを考慮して決定します。
添加率の基準となる重量
添加率補正では、どの重量に対する割合なのかを明確にすることが重要です。代表的な基準には、次のようなものがあります。
- 特定の主原料1種類の実計量値
- 複数の主原料を合計した実計量値
- 水分補正後の乾燥重量
- 製品1バッチ全体の計画重量
- 前工程から受け取った実績重量
例えば、骨材に対する添加率と、セメント量に対する添加率では計算結果が異なります。配合表、製造指示、PLC、上位システムの間で、基準重量の定義を一致させます。
計画値基準と実績値基準
計画値を基準にする方法
配合表に登録された主原料の設定値から添加量を計算します。主原料の計量が多少変動しても添加量は変わらないため、制御が単純で、先に添加剤を計量できる利点があります。
一方、主原料の実量が設定値から外れた場合は、実際の添加率も変化します。
実計量値を基準にする方法
主原料の計量確定値を使用して添加量を再計算します。主原料の過不足に合わせて添加剤量を変えられるため、実際の配合比率を維持しやすくなります。
ただし、主原料の計量完了後に補正値が確定するため、工程順序によっては添加剤の計量開始が遅れます。処理能力を確保するには、計量機の構成や並行動作を検討します。
複数原料を基準とする補正
複数の主原料の合計重量に対して添加率を設定する場合は、各原料の実計量値を合計してから添加量を計算します。
主原料A、B、Cの実計量値をそれぞれWA、WB、WCとすると、基準重量Wmは次のようになります。
Wm=WA+WB+WC
一部の原料が計量NGになった場合や、製造指示によって使用されない場合は、その原料を合計へ含めるかを決めておきます。単純に全計量器の値を加算すると、対象外原料や残量を含める可能性があります。
水分を含む原料の補正
砂、骨材、粉体などに水分が含まれる場合、湿潤重量と乾燥重量では添加率の基準が変わります。添加率が乾燥原料重量に対して定められている場合は、水分率を使用して乾燥重量へ換算します。
湿量基準の水分率をM%、湿潤重量をWw、乾燥重量をWdとすると、概算では次のように表せます。
Wd=Ww×(100-M)/100
湿潤重量が500kg、水分率が4%の場合、乾燥重量は480kgです。添加率が乾燥重量に対して1%であれば、添加量は4.8kgとなります。
水分率には湿量基準と乾量基準があるため、水分計、配合管理システム、添加率補正で同じ定義を使用します。
補正を行うタイミング
添加剤の目標値を決定するタイミングは、設備の工程順序に影響します。主な方法には、製造指示を受信した時点で計算する方法と、主原料の計量確定後に再計算する方法があります。
主原料と添加剤を同時に計量する場合は、当初は計画値を使って添加剤計量を開始し、主原料の実績が確定した後に目標値を修正する方法も考えられます。ただし、補正後の目標値が現在の添加量より小さくなると、すでに過量となっている可能性があります。
高い精度が必要な場合は、主原料計量の確定後に添加剤を計量するか、補正量の変動範囲を見込んで粗供給から微供給へ切り替える構成を検討します。
計量確定値の扱い
計量停止直後は、落差や液だれによって重量が増加することがあります。また、振動や液面の揺れが残っている状態では、表示値が安定しません。
添加率補正には、供給停止指令時の値ではなく、落差を含めて重量が安定した後の計量確定値を使用することが基本です。
一定時間内の重量変化が許容範囲内であることを確認し、計量OK判定を行った後に実績値として登録します。計量NGの場合は、その値で補正を続行するか、作業者の確認を求めるかを決めます。
端数処理と最小計量量
計算上の添加量が細かな小数になる場合でも、計量器や供給装置には分解能と最小供給量があります。
例えば、計算結果が0.037kgであっても、計量器の最小表示が0.01kg、1回の安定した供給量が0.02kgであれば、設定値どおりの計量が難しい場合があります。
PLCや計量コントローラでは、四捨五入、切上げ、切捨てなどの端数処理を設定します。配合全体への影響と品質基準を確認し、統一した方法を使用します。
上限・下限の設定
主原料の計量異常や設定ミスによって、添加剤の補正値が極端に大きくなったり小さくなったりすることを防ぐため、添加量に上下限を設けます。
補正後の設定値が上限を超えた場合は上限値へ制限する方法もありますが、そのまま製造すると設定した添加率を維持できません。品質へ影響する場合は、計量を開始せず異常として停止します。
添加率そのものについても、品種ごとに入力可能範囲を設け、桁間違いや単位間違いを防止します。
粉体添加剤の供給制御
粉体添加剤では、スクリューフィーダー、振動フィーダー、オーガフィーダーなどを使用して計量器へ供給します。
補正後の目標値に対して、粗供給と微供給を切り替え、停止後に落下する原料量を見込んで供給を停止します。少量添加では、フィーダー停止後の落差が目標値に占める割合が大きくなるため、供給装置の選定が重要です。
粉体の付着、固結、かさ密度変化によって供給量が変動する場合は、アジテータや付着防止機器を組み合わせます。
液体添加剤の供給制御
液体添加剤では、ポンプ、バルブ、流量計、ロードセルなどを使用します。目標量の大部分を大供給し、目標値付近で小供給やショット制御へ切り替えます。
供給停止後の液だれ、配管内残液、バルブ閉止時間によって過量になる場合があります。補正後の目標値が小さい場合ほど、1回の液だれ量が計量精度へ大きく影響します。
粘度や温度が変化する液体では、供給時間や停止後の流れ込み量も変わるため、実液を使用して調整します。
累積計量での添加率補正
1台の計量器へ複数の添加剤を順番に供給する累積計量では、各添加剤の補正量を累積目標値へ変換します。
最初の添加剤が1.0kg、次の添加剤が0.5kgの場合、2番目の供給終了目標は累積1.5kgです。最初の添加剤が実際には1.02kgとなった場合、2番目の供給を0.5kg追加するのか、累積目標1.5kgまでの0.48kgとするのかで、各添加率が異なります。
各原料の配合比率を重視する場合は、原料ごとの増加重量を個別に管理します。計量器全体の総量だけでなく、各供給開始時と終了時の差分を実績として保存します。
計量NG時の処理
添加剤が許容範囲を外れた場合は、過量か不足かによって処理を分けます。
不足の場合は、追加供給によって許容範囲へ入れられる可能性があります。過量の場合は取り除くことが難しいため、バッチ停止、排出、手動確認などの処理が必要です。
主原料が計量NGとなった場合も、その実績値を基準に添加量を補正して製造を続けてよいとは限りません。主原料と添加剤がそれぞれ許容範囲内であり、最終的な配合比率も適合することを確認します。
異常監視とフェイルセーフ
添加率補正では、基準重量の未確定、計量信号の異常、通信断、補正値の範囲外などを監視します。
- 主原料の実績値が確定していない
- 添加率が未設定または許容範囲外である
- 補正後の添加量が計量器の能力を超えている
- 上位システムから受信した単位や小数点位置が異なる
- 同一バッチの補正計算が重複して実行されている
異常時に前回バッチの補正値を誤って使用しないよう、バッチ開始時にデータを初期化し、製造番号やバッチ番号と関連付けて管理します。
実績保存とトレーサビリティ
品質確認のためには、設定した添加率だけでなく、補正に使用した基準重量、補正後の目標量、実計量値、計量判定を保存することが重要です。
上位システムへ送信する実績には、品種、ロット、バッチ番号、原料名、添加率、計画値、補正値、実績値、異常履歴などを含める場合があります。
計算値を後から変更できる設備では、変更前後の値、変更日時、作業者も記録すると、原因調査を行いやすくなります。
既設設備への追加・更新
既設設備へ添加率補正を追加する場合は、主原料の実計量値を取得できるか、添加剤の目標値を外部から変更できるかを確認します。
PLCソフトの変更だけで対応できる場合もありますが、計量コントローラの通信機能、メモリー容量、タッチパネル画面、上位システムのデータ形式などの変更が必要になることもあります。
更新時は、従来の配合計算、端数処理、単位、計量順序を確認します。新旧システムで計算結果が一致しない場合は、どの段階で丸め処理を行っているかを比較します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、主原料と添加剤の関係、添加率の基準、必要な計量精度、製造順序を確認し、設備に適した添加率補正を検討します。
粉体・液体の供給装置、ロードセル、計量コントローラ、制御盤、PLC、タッチパネルを組み合わせ、補正値の演算、計量、過不足判定、異常復旧まで構成します。
複数原料を基準とした補正、水分補正後の重量を使用する計算、複数添加剤の累積計量などについても、配合仕様に合わせてソフトウェアを設計します。
配合管理システムや基幹システムとの連携、補正前後の設定値と計量実績の保存についても、既存設備と通信仕様を確認して対応を検討します。
よくある質問
Q. 添加率は計画重量と実計量値のどちらを基準にすべきですか?
A. 実際の配合比率を重視する場合は実計量値が適します。ただし、工程順序や処理能力への影響があるため、設備全体の運転方法に合わせて決定します。
Q. 主原料が計量NGでも添加量を自動補正できますか?
A. 計算自体は可能ですが、主原料と最終配合が品質上の許容範囲に入るかを確認する必要があります。範囲外では製造を停止する構成が基本です。
Q. 少量の添加剤で計量値が安定しない場合はどうしますか?
A. 計量器の容量、最小表示、供給装置の最小供給量、落差や液だれを確認します。小容量計量器や微供給装置への変更が必要な場合があります。
Q. 水分を含む原料に対して添加率を補正できますか?
A. 水分率から乾燥重量を計算し、その重量に対して添加量を求められます。水分率の定義と異常時の代替値を明確にする必要があります。
Q. 既設の計量設備へ添加率補正を追加できますか?
A. 主原料の実績値と添加剤の設定値をPLCなどで扱える場合は追加できることがあります。既存コントローラ、通信、計量順序を確認して構成します。