特定小電力無線とは、日本国内で定められた条件の範囲内で、無線局免許を個別に取得せず利用できる小電力の無線通信です。工場、倉庫、農業施設、介護施設などで、センサ信号、接点状態、警報、簡単な計測データを送る用途に利用されます。
送信電力や使用周波数、通信方法に制限がありますが、配線工事が難しい場所へ比較的導入しやすい点が特長です。通信距離は、周囲の建物、金属設備、アンテナ、取付高さによって大きく変化します。
ハカルプラスでは、送信するデータ量、設置距離、電源条件、障害物を確認し、無線機、アンテナ、中継器、通信異常時の処理を含む構成を検討します。
主な用途
- 接点入力・警報信号の無線伝送
- 温度、湿度、電力、レベルなどの計測値送信
- 離れた建屋・設備間の状態共有
- 屋外設備や仮設設備の監視
- 電池駆動センサのデータ収集
- 有線工事が難しい既設設備への後付け
免許不要で利用できる条件
特定小電力無線は、定められた技術基準に適合する無線機を、規定の用途・条件で使用する場合に免許不要で利用できます。
利用者が自由に送信電力を上げたり、未認証の無線回路へ変更したりすることはできません。適合表示と使用条件を確認します。
技術基準適合
国内で無線機器を使用する場合は、対象機器が日本の技術基準へ適合していることを確認します。
海外向け無線機をそのまま国内で使用できるとは限りません。アンテナ交換や回路改造によって適合条件を外れる場合もあります。
通信距離
見通しの良い屋外では比較的長い距離を通信できても、工場内では金属設備や壁によって大きく低下します。
仕様書の最大通信距離だけで判断せず、実際の設置場所で通信試験を行います。送信側と受信側の高さを上げると改善する場合があります。
見通し
送受信アンテナの間に障害物が少ないほど、通信は安定しやすくなります。
設備、車両、原料、扉の開閉など、時間によって障害物が変化する場合があります。通常運用時に最も厳しい状態で確認します。
周波数帯
特定小電力無線には、用途に応じた複数の周波数帯・方式があります。
周波数によって電波の回り込み、アンテナ寸法、通信速度、利用できるチャンネルなどが異なります。対象製品の仕様と法令条件を確認します。
通信速度とデータ量
特定小電力無線は、大容量動画や高速制御より、少量データの周期送信に適しています。
接点状態、温度、重量、電池残量などを数秒・数分ごとに送る用途で利用されます。データ量と送信頻度を増やすと、通信時間と電池消費が増えます。
送信時間の制限
使用方式によっては、連続送信時間や送信間隔に制限がある場合があります。
常時連続でデータを送り続ける用途ではなく、必要なデータを短時間で送信する設計が必要です。
チャンネル
複数の無線システムが近くで動作する場合、同じチャンネルを使用すると通信が混雑する可能性があります。
設置時に周辺利用状況を確認し、チャンネルを分けます。無線機が自動的に空きチャンネルを選択する機能を持つ場合もあります。
キャリアセンス
送信前に、他の無線機が同じ周波数を使用していないか確認する仕組みをキャリアセンスと呼びます。
使用中の場合は送信を待つため、混雑時には遅延が増えます。重要警報では再送や別経路を検討します。
接点信号の伝送
スイッチやリレー接点のON・OFFを無線で送る製品があります。
有線接点と同じように見えても、送信周期、通信遅延、通信断時の出力状態が異なります。非常停止や安全回路へ無線だけを使用しないようにします。
アナログ値の伝送
4~20mA、0~10V、温度、重量などを無線機でデジタル化し、受信側で再出力する構成があります。
分解能、精度、更新周期、通信断時の保持値を確認します。変換器自身の誤差も計測系へ加わります。
電池駆動
低消費電力の無線機を使用し、電池で長期間動作させる構成があります。
測定周期、送信回数、送信出力、温度によって電池寿命が変化します。電池低下警報と交換時期管理を行います。
スリープ動作
送信していない間は無線機とセンサを休止させ、消費電力を抑えます。
周期を長くすると電池寿命を延ばせますが、異常検出や表示更新が遅れます。必要な監視応答とのバランスを取ります。
アンテナ
アンテナの種類、取付方向、周辺金属によって通信性能が変わります。
制御盤内へ無線機を設置する場合は、外部アンテナや樹脂窓を検討します。アンテナを金属面へ密着させないよう、取付条件を確認します。
中継器
直接通信できない場所では、中継器を設置して通信範囲を広げる方法があります。
中継段数が増えると遅延や障害点も増えるため、通信経路、電源、異常監視を確認します。中継器の故障で複数端末が通信できなくなる場合があります。
一対一と一対多
一台の送信機と一台の受信機を接続する構成と、複数の送信機を一台の親機で収集する構成があります。
一対多では、端末ID、送信周期、同時送信の回避、最大接続台数を確認します。
再送
受信確認が得られない場合に、同じデータを再送する方式があります。
再送回数を増やすと成功率は高まりますが、電池消費と通信混雑が増えます。重要度に応じて設定します。
データの重複
再送によって同じデータが複数回届く場合があります。
通し番号や時刻を付け、受信側で重複を除外します。積算値や生産実績を単純加算すると二重登録になるため注意します。
通信断時の動作
一定時間データを受信できない場合は、通信異常として表示します。
受信側出力をOFF、保持、事前設定値へ移行するなどの動作を用途に応じて決めます。古い計測値には通信正常フラグと最終更新時刻を付けます。
安全用途への注意
一般的な特定小電力無線は、非常停止、安全扉、人体保護などの安全機能を単独で担うものではありません。
安全規格へ対応した専用無線システムを除き、安全回路は有線や認証された安全機器で構成します。
異常時の確認
通信できない場合は、電源、電池、チャンネル、端末ID、アンテナを確認します。
特定時間だけ不安定な場合は、周辺無線、設備稼働、扉・車両の影響を点検します。距離不足では、アンテナ位置や中継器を検討します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、接点、計測値、警報などの送信内容と必要周期を確認し、無線機とアンテナを選定します。
電池駆動、中継器、受信異常監視、PLC連携を組み合わせ、有線工事が難しい既設設備への無線追加を検討します。
よくある質問
Q. 特定小電力無線は免許なしで使えますか?
A. 技術基準に適合した機器を定められた条件で使用する場合は、個別免許なしで利用できます。
Q. 工場内でどの程度の距離を通信できますか?
A. 金属設備や壁の影響が大きいため、仕様値だけでなく現地試験が必要です。
Q. 電池で長期間動作できますか?
A. 測定・送信周期を抑えた低消費電力設計により、長期動作できる場合があります。
Q. 接点信号をそのまま無線化できますか?
A. 接点入出力対応機器を使用できますが、遅延と通信断時の出力状態を確認します。
Q. 通信距離が足りない場合はどうしますか?
A. アンテナ位置の変更、中継器の追加、別の無線方式を検討します。
関連ワード
VPN・遠隔接続とは、インターネットや移動通信網を経由して、離れた場所から工場設備、PLC、タッチパネル、産業用コンピュータ、IoTゲートウェイなどへ安全に接続する仕組みです。VPNはVirtual Private Networkの略で、外部回線上に暗号化された専用通信経路を構築します。
遠隔接続を利用すると、設備異常の確認、画面監視、ログ取得、設定確認、ソフトウェア保守などを現地へ移動せずに行える場合があります。一方、外部から設備ネットワークへ接続するため、認証、権限、操作履歴、接続時間を厳格に管理する必要があります。
ハカルプラスでは、遠隔で行う作業範囲、設備の安全性、ネットワーク構成を確認し、VPNルーター、利用者認証、アクセス制限を含む遠隔接続を検討します。
VPN・遠隔接続の主な用途
- PLCプログラムや状態の確認
- タッチパネル画面の遠隔監視
- 設備異常履歴・ログの取得
- 産業用コンピュータの保守
- IoTゲートウェイやルーターの設定確認
- 現地担当者への復旧支援
VPNの基本
VPNでは、通信内容を暗号化し、認証された機器や利用者だけがネットワークへ接続できるようにします。
外部端末から設備ネットワークまでを一つの閉じた通信経路として扱えますが、VPNを使用すれば無条件に安全になるわけではありません。接続先と権限を必要最小限に制限します。
拠点間VPN
本社と工場、工場と遠隔監視センターなど、固定されたネットワーク同士をVPNで接続する方法です。
両拠点のルーターが常時VPN接続を維持し、設備データの収集や監視に利用します。ネットワークアドレスの重複がないように設計します。
リモートアクセスVPN
保守担当者のパソコンなどから、必要なときだけ設備ネットワークへ接続する方法です。
利用者ごとにアカウントを発行し、接続可能な設備、時間、通信先を制限します。共通アカウントの使い回しは避けます。
クラウド中継型遠隔接続
設備側機器と保守端末がクラウド上の中継サービスへ接続し、両者を安全に結ぶ方式があります。
設備側が外向き通信を開始するため、固定グローバルIPを必要としない場合があります。サービス提供期間、認証方式、データ保管場所を確認します。
固定IPと動的IP
設備へ外部から直接接続する場合、固定IPアドレスを利用する構成があります。
ただし、固定IPを持つだけでは安全ではありません。VPN、ファイアウォール、接続元制限を組み合わせます。動的IP回線では、クラウド中継や設備側発信方式が利用されます。
VPNルーター
工場側へVPN対応ルーターを設置し、設備ネットワークと外部回線を分離します。
対応VPN方式、同時接続数、暗号性能、ログ、LTE対応、使用温度、電源冗長などを確認します。
認証
ユーザーIDとパスワードだけでなく、証明書、ワンタイムパスワード、多要素認証などを利用できます。
遠隔から設備へ接続する場合は、パスワード漏えいだけで侵入されないよう、多要素認証を検討します。
利用者ごとのアカウント
利用者を個人単位で識別し、接続開始・終了時刻を記録します。
退職、異動、協力会社の作業終了時には、該当アカウントを速やかに無効化します。共通IDでは誰が操作したか追跡できません。
アクセス先の制限
VPNへ接続した利用者が、設備ネットワーク内のすべての機器へアクセスできる状態は避けます。
対象PLC、タッチパネル、保守サーバーなど、作業に必要なIPアドレスとポートだけを許可します。
閲覧と変更の分離
監視だけを行う利用者と、プログラム変更や設定変更を行える利用者を分けます。
遠隔画面の閲覧は許可しても、運転指令や設定変更は現地確認後だけ許可するなど、操作の重要度に応じて権限を設定します。
接続時間の制限
遠隔接続を常時有効にせず、必要な保守時間帯だけ許可する方法があります。
現地担当者がスイッチや画面操作で遠隔保守を許可し、一定時間後に自動解除する構成も有効です。
現地承認
設備へ影響する操作を行う場合、現地担当者が安全を確認してから遠隔接続を許可します。
遠隔担当者だけでは、設備周囲に人がいるか、機械が保守中かを確認できません。現地との連絡手順を定めます。
遠隔監視
設備状態、計測値、異常履歴を閲覧するだけであれば、直接PLCへ接続せず、監視サーバーやWeb画面を介する方法があります。
設備制御ネットワークへの接続範囲を狭くでき、保守端末側の影響を抑えられます。
遠隔操作
遠隔から設備を起動・停止する場合は、現地安全確認、操作権限、通信断時動作が必要です。
非常停止、安全扉などの安全機能は現地ハードウェアで構成し、VPN通信を安全回路の代わりにしません。
PLC保守
PLCプログラムの読出し、モニタ、診断、変更を遠隔で行える場合があります。
変更前に現在プログラムをバックアップし、対象設備とCPUを確認します。書込み中の通信断や誤った設備への転送を防ぐ手順が必要です。
タッチパネルの遠隔表示
タッチパネルの画面をパソコンやタブレットへ表示し、現場と同じ状態を確認できる機能があります。
遠隔操作を許可する場合は、現地操作との競合を防ぎます。現在誰が操作権を持つかを画面へ表示します。
操作競合
現地作業者と遠隔担当者が同時に異なる操作を行うと、意図しない設備動作につながる可能性があります。
遠隔操作中は現地画面へ表示する、操作権を一方だけに限定する、重要操作には再確認を求めるなどの対策を行います。
通信断時の動作
遠隔操作中にVPNや回線が切れる可能性があります。
通信断時に設備が運転を継続するか、安全停止するかを操作内容ごとに決めます。押している間だけ動作する手動操作では、通信断で停止する構成が望まれます。
設備ネットワークの分離
制御ネットワーク、監視ネットワーク、事務系ネットワークを分け、必要な場所だけをルーターやファイアウォールで接続します。
遠隔端末から事務系システムや他設備へ移動できないよう、通信経路を制限します。
保守端末の管理
VPNへ接続するパソコン側も、OS更新、ウイルス対策、ディスク暗号化、画面ロックなどを行います。
個人所有端末や管理外端末から設備へ接続させないようにします。
操作ログ
接続者、接続元、開始・終了時刻、接続先、設定変更などを記録します。
PLCやタッチパネル側の操作履歴と合わせて確認できると、障害調査や監査に役立ちます。
接続通知
遠隔接続が開始された際に、現地画面や管理者へ通知する方法があります。
予定外の接続を早期に発見できるよう、接続失敗の繰返しや時間外接続も監視します。
ソフトウェア更新
遠隔から機器のファームウェアやアプリケーションを更新する場合は、更新中の通信断と停電を考慮します。
更新前のバックアップ、対象確認、更新後の動作確認、失敗時の復旧方法を準備します。
異常時の確認
VPNへ接続できない場合は、回線、ルーター、認証情報、証明書、時刻、ファイアウォールを確認します。
VPN接続後にPLCへ到達できない場合は、IPアドレス、ルーティング、アクセス権限、対象ポートを点検します。頻繁に切れる場合は回線品質とタイムアウトを確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、遠隔で行う監視・保守内容と、設備の安全条件を整理します。
VPNルーター、LTE・5G、利用者認証、現地許可、操作ログを組み合わせ、必要な設備だけへ限定して接続できる遠隔保守構成を検討します。
よくある質問
Q. VPNを使えば設備へ安全に接続できますか?
A. 暗号化には有効ですが、認証、アクセス制限、端末管理、操作履歴も必要です。
Q. 遠隔からPLCプログラムを変更できますか?
A. 可能な場合がありますが、対象確認、バックアップ、現地承認、通信断対策が必要です。
Q. 固定グローバルIPは必ず必要ですか?
A. クラウド中継型や設備側から接続を開始する方式では、不要な場合があります。
Q. 遠隔操作中に通信が切れたらどうなりますか?
A. 設備側で通信断を検出し、操作内容に応じて停止・保持などの安全動作へ移行します。
Q. 既設設備へ遠隔保守を追加できますか?
A. PLC通信、ネットワーク、ルーター設置場所、社内セキュリティ方針を確認し、追加できる場合があります。
関連ワード
Wi-Fiとは、無線LAN規格を利用して、パソコン、タブレット、産業用端末、PLC、センサ、IoTゲートウェイなどをネットワークへ接続する通信方式です。工場や倉庫では、設備データの収集、タッチパネルの遠隔確認、ハンディターミナルの通信、保守用パソコンの接続などに利用されます。
配線が難しい場所へ通信を導入しやすく、機器の移動や増設にも対応しやすい点が特長です。一方、電波干渉、遮蔽物、セキュリティ、通信切断を考慮した設計が必要です。
ハカルプラスでは、通信距離、設備配置、金属構造、必要な通信量を確認し、アクセスポイント、アンテナ、ネットワーク分離、通信異常時の処理を含むWi-Fi構成を検討します。
Wi-Fiの主な用途
- ハンディターミナルやタブレットの業務通信
- 設備データの収集と上位システム連携
- 保守用パソコンからのPLC・表示器接続
- 無線対応センサやIoTゲートウェイの接続
- 監視カメラや画像機器の通信
- 移動体・搬送台車とのデータ交換
アクセスポイントと端末
Wi-Fiでは、アクセスポイントを中心に複数の端末を接続する構成が一般的です。アクセスポイントは有線LANと無線端末の間を中継します。
工場内へ複数のアクセスポイントを設置する場合は、電波範囲が適度に重なるように配置します。重なりが少なすぎると移動時に通信が切れ、多すぎると干渉が増える場合があります。
2.4GHz帯
2.4GHz帯は、壁や障害物を比較的回り込みやすく、対応機器が多い周波数帯です。
一方、Bluetooth、電子レンジ、他の無線LANなども同じ周波数帯を使用するため、混雑や干渉が起こりやすい傾向があります。利用可能なチャンネル数も限られます。
5GHz帯
5GHz帯は、利用できるチャンネルが多く、高速通信に適しています。2.4GHz帯より周辺機器の干渉を受けにくい場合があります。
ただし、壁や設備による減衰が大きく、遮蔽物の多い工場では通信距離が短くなることがあります。屋外利用では、使用できるチャンネルと法令上の条件を確認します。
6GHz帯
対応機器では、6GHz帯を利用できる場合があります。広い周波数帯域を利用しやすく、混雑回避や高速化に有効です。
既設端末が対応しているとは限らず、電波の到達性や利用条件も確認が必要です。設備ネットワークへ導入する場合は、アクセスポイントと端末双方の対応状況を確認します。
通信速度
規格上の最大速度と、実際の通信速度は一致しません。端末数、電波強度、干渉、通信距離、再送、アクセスポイント性能などによって変化します。
計測データや指図情報では大容量通信を必要としない場合が多い一方、画像や動画を扱う場合は帯域と遅延を確認します。
電波強度
受信電波が弱いと、通信速度低下、再送増加、切断が発生しやすくなります。
設置前に電波調査を行い、アクセスポイント候補位置での受信状態を確認します。設備稼働時と停止時で電波環境が変化する場合もあります。
金属設備の影響
制御盤、タンク、サイロ、棚、機械フレームなどの金属は、電波を反射・遮蔽します。
アクセスポイントを盤内へ設置すると、扉を閉めた際に通信できなくなることがあります。外部アンテナ、樹脂窓、盤外設置などを検討します。
反射とマルチパス
工場内では、電波が金属へ反射し、複数経路から端末へ届きます。これをマルチパスと呼びます。
同じ場所でもアンテナ位置を少し変えるだけで通信状態が改善・悪化する場合があります。実際の設備配置で確認することが重要です。
アンテナの選定
アンテナには、周囲へ広く電波を出す無指向性アンテナと、特定方向へ集中させる指向性アンテナがあります。
広い作業エリアでは無指向性、建屋間や長い通路では指向性が適する場合があります。アンテナ利得だけでなく、取付高さと方向を確認します。
アクセスポイントの配置
アクセスポイントを高い位置へ設置すると、設備による遮蔽を減らせる場合があります。
ただし、保守しにくい場所や高温・粉じん環境は避けます。電源、LAN配線、アンテナケーブル、雷保護も含めて設置場所を決めます。
ローミング
移動するハンディターミナルや搬送台車は、移動先に応じて接続するアクセスポイントを切り替えます。これをローミングと呼びます。
切替時間が長いと、通信アプリケーションがタイムアウトする場合があります。端末、アクセスポイント、認証方式を含めて実機確認します。
SSID
SSIDは、無線ネットワークを識別する名称です。
設備用、業務端末用、来客用などを分けることで、用途ごとにアクセス範囲を制限できます。SSIDを隠すだけでは十分なセキュリティ対策にはなりません。
暗号化と認証
Wi-Fi通信では、適切な暗号化と認証を使用します。古い方式や共有パスワードの長期利用は避けます。
複数利用者が同じパスワードを共有する方式より、利用者・端末ごとの認証を行う方式の方が、端末紛失や退職時に管理しやすくなります。
設備ネットワークの分離
Wi-Fi端末を設備制御ネットワークへ直接接続すると、不要な通信や不正アクセスが設備へ影響する可能性があります。
VLAN、ファイアウォール、ルーターなどを使用し、設備用ネットワーク、事務用ネットワーク、来客用ネットワークを分離します。
固定IPと自動割当
設備機器では、通信先を明確にするため固定IPアドレスを使用する場合があります。ハンディターミナルやタブレットでは、自動割当を利用することが一般的です。
IPアドレス重複や割当範囲の不足がないよう、ネットワーク管理ルールを整備します。
通信断時の処理
Wi-Fiは有線通信より接続状態が変化しやすいため、通信断を前提に設計します。
設備側へデータを一時保存し、復旧後に再送します。遠隔からの運転指令が途絶えた場合は、設備を安全側へ移行するか、ローカル制御を継続するかを決めます。
リアルタイム制御への利用
一般的なWi-Fiでは、遅延や通信周期が一定にならない場合があります。
高速モーション制御や非常停止など、確実な応答が必要な機能をWi-Fiだけに依存させず、有線通信や安全回路を使用します。監視、実績収集、保守用途に適しています。
端末数と通信負荷
一つのアクセスポイントへ多数の端末が接続すると、端末ごとの通信時間が増えます。
常時通信する端末、短時間だけ接続する端末、画像機器を分け、必要に応じてアクセスポイントを増設します。
干渉対策
隣接アクセスポイントへ同じチャンネルを設定すると、相互に待ち時間が増える場合があります。
利用状況を調査し、チャンネルと送信出力を調整します。送信出力を最大にすれば必ず改善するわけではなく、端末側の送信能力との釣合いも重要です。
屋外・建屋間通信
屋外では、防水、防雷、温度、紫外線、アンテナ固定を考慮します。
建屋間を無線接続する場合は、指向性アンテナを向かい合わせ、途中に樹木や車両などの遮蔽物が入らないようにします。重要通信では有線や別経路との冗長化も検討します。
保守と監視
アクセスポイントの接続端末数、電波強度、再送率、通信量を監視します。
通信不良が発生した時刻と場所を記録すると、端末移動、設備稼働、周辺無線との関係を調査しやすくなります。
異常時の確認
接続できない場合は、SSID、パスワード、認証、IPアドレス、電波強度を確認します。
特定場所だけ切れる場合は、遮蔽物、アクセスポイント配置、ローミングを点検します。速度が遅い場合は、干渉、端末数、チャンネル、再送率を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、設備配置、通信範囲、利用端末、必要データ量を確認し、アクセスポイントとアンテナを選定します。
電波調査、ネットワーク分離、端末認証、通信断時の一時保存を組み合わせ、設備監視やハンディターミナルに適したWi-Fi構成を検討します。
よくある質問
Q. 制御盤の中にアクセスポイントを設置できますか?
A. 金属扉によって電波が遮られる場合があるため、盤外アンテナや盤外設置を検討します。
Q. Wi-Fiで設備をリアルタイム制御できますか?
A. 遅延や切断が変動するため、監視やデータ収集には適しますが、高速・安全制御は有線方式を検討します。
Q. 工場内で通信できない場所を減らせますか?
A. 電波調査を行い、アクセスポイント、アンテナ、チャンネルを調整することで改善できます。
Q. 通信が切れても実績データを残せますか?
A. 端末や設備側へ一時保存し、接続復旧後に再送できます。
Q. 既設の事務用Wi-Fiを設備でも使えますか?
A. 通信負荷とセキュリティを確認し、設備用SSIDやネットワーク分離を行うことが望まれます。
関連ワード
Bluetoothとは、スマートフォン、タブレット、ハンディターミナル、センサ、計測器、組込機器などを近距離で無線接続する通信方式です。ケーブルを接続せずに、設定値、測定値、識別情報などを送受信できます。
製造現場では、秤とハンディターミナルの連携、保守用端末からの設定、無線センサのデータ取得、作業者向け機器の接続などに利用されます。消費電力を抑えたBluetooth Low Energyも広く使われています。
ハカルプラスでは、通信距離、データ量、電池寿命、接続台数、周辺電波環境を確認し、Bluetoothの通信方式、認証、再接続、異常時処理を検討します。
Bluetoothの主な用途
- 秤とハンディターミナルの重量データ通信
- スマートフォン・タブレットからの設定変更
- 温度・振動・状態センサのデータ取得
- 保守用パソコンと組込機器の接続
- バーコードリーダーや入力機器の接続
- ウェアラブル端末との通信
Bluetooth Classic
Bluetooth Classicは、連続的なデータ通信や音声通信などに利用される方式です。
シリアル通信を無線化するプロファイルを利用し、既存のRS-232C通信に近い感覚で扱える製品もあります。通信量が比較的多い用途に適しています。
Bluetooth Low Energy
Bluetooth Low Energyは、短時間だけ通信し、待機時の消費電力を抑える方式です。BLEと略されます。
電池駆動のセンサ、ビーコン、小型計測機器などに適しています。常時大容量通信より、少量データを周期的に送る用途へ向いています。
セントラルとペリフェラル
BLEでは、接続を開始して複数機器を管理する側をセントラル、接続されてデータを提供する側をペリフェラルと呼びます。
スマートフォンやゲートウェイがセントラル、センサや秤がペリフェラルになる構成が一般的です。
アドバタイズ
BLE機器は、接続前に自分の存在や簡単な情報を周囲へ送信します。これをアドバタイズと呼びます。
セントラルは受信した情報から対象機器を探し、必要に応じて接続します。アドバタイズ周期を短くすると発見は速くなりますが、消費電力が増えます。
GATT
BLEでは、機器が提供するデータや機能をGATTという構造で表現します。
重量、温度、電池残量、設定値などをCharacteristicとして定義し、読み出し、書込み、通知などの操作を設定します。
サービスとCharacteristic
関連するデータをまとめたものをService、その中の個別データをCharacteristicと呼びます。
独自機器では、専用のUUIDを使用して通信仕様を定義できます。接続アプリケーション側も同じ仕様へ対応する必要があります。
ペアリング
機器同士を信頼関係のある接続先として登録する操作をペアリングと呼びます。
初回接続時に確認コードを入力する、ボタン操作を行うなどの方法があります。第三者の端末が無断接続しないようにします。
ボンディング
ペアリング時に交換した認証情報を保存し、次回以降の接続へ利用することをボンディングと呼びます。
毎回の認証操作を減らせますが、機器交換や利用者変更時には登録情報の削除・再設定が必要です。
通信距離
通信距離は、送信出力、アンテナ、遮蔽物、周辺電波によって変わります。
見通し環境では長く届いても、制御盤、人体、金属棚、機械によって大きく低下する場合があります。必要距離より余裕を持って実機確認します。
2.4GHz帯の干渉
Bluetoothは2.4GHz帯を使用し、Wi-Fiや他の無線機器と同じ環境で動作します。
周波数を切り替えながら通信する仕組みによって干渉を避けますが、非常に混雑した環境では通信遅延や再送が増える場合があります。
アンテナ配置
基板内蔵アンテナの周囲へ金属、電池、配線を近づけると、通信性能が低下します。
筐体材質、アンテナ位置、基板向きを考慮します。金属筐体では、外部アンテナや樹脂窓を設ける場合があります。
接続台数
スマートフォンやゲートウェイが同時に接続できる機器数には上限があります。
センサ数が多い場合は、接続を順番に切り替える、複数ゲートウェイを設ける、アドバタイズデータだけを受信する構成を検討します。
通知通信
値が変化したときや一定周期で、機器側から接続先へデータを通知できます。
クライアントが繰り返し読みに行くより効率的ですが、通知が失われた場合に備え、通し番号や定期的な再通知を使用する場合があります。
通信周期
重量やスイッチ状態など、必要な更新速度に応じて通信周期を設定します。
周期を短くすると応答は速くなりますが、電池消費と通信負荷が増えます。表示用途と制御用途で要求を分けます。
電池寿命
BLE機器の電池寿命は、アドバタイズ周期、接続時間、送信出力、測定周期によって変化します。
待機時間を長くし、必要なときだけ通信すると寿命を延ばせます。低温環境では電池容量が低下する場合があります。
自動再接続
距離やノイズによって接続が切れた場合、再接続処理を行います。
再接続間隔が短すぎると電力消費や処理負荷が増えます。一定回数失敗した場合は、画面へ通信異常を表示します。
通信断時のデータ保持
測定中に通信が切れた場合、センサや計測器側へデータを一時保存する方法があります。
再接続後に未送信データを送信し、欠測を防ぎます。リアルタイム値と履歴値を識別できるよう、時刻や通し番号を付けます。
セキュリティ
機器検索、ペアリング、データ通信の各段階で、不正接続への対策が必要です。
固定の簡単な暗証番号だけに依存せず、認証、暗号化、接続可能時間の制限、機器固有情報を組み合わせます。
スマートフォン利用時の注意
スマートフォンのOS更新によって、アプリケーション権限や通信動作が変わる場合があります。
対応OS、端末機種、バックグラウンド動作、位置情報権限などを確認し、製品の保守期間を考慮します。
秤との連携
秤から安定した重量値をBluetoothで送信し、ハンディターミナルへ取り込む構成があります。
安定フラグ、単位、正味重量、風袋重量を合わせて送信し、手入力による転記ミスを減らします。通信切断時に誤った前回値を登録しないようにします。
シリアル通信の無線化
Bluetoothシリアルアダプタを利用し、既設のRS-232C・RS-485通信の一部を無線化できる場合があります。
ただし、通信距離、遅延、接続切替、相手機器の制御信号を確認します。有線と同じ確実性が得られるとは限りません。
異常時の確認
機器が見つからない場合は、電源、アドバタイズ、距離、スマートフォン権限を確認します。
接続できない場合は、ペアリング情報、接続台数、認証を点検します。通信が途切れる場合は、遮蔽物、アンテナ位置、2.4GHz帯の混雑を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、秤、センサ、ハンディターミナルなどの通信内容と必要周期を確認します。
Bluetooth Classic、BLE、ペアリング、再接続、一時保存を組み合わせ、近距離の設備データ通信や保守支援に適した構成を検討します。
よくある質問
Q. BluetoothとWi-Fiはどちらがよいですか?
A. 近距離・省電力の少量通信にはBluetooth、ネットワーク接続や大容量通信にはWi-Fiが適する場合があります。
Q. 金属製制御盤の中から通信できますか?
A. 電波が遮られる可能性が高いため、外部アンテナや盤外設置を検討します。
Q. 通信が切れた後に自動で再接続できますか?
A. 再接続処理を実装できますが、失敗回数と異常表示を設定する必要があります。
Q. Bluetoothで秤の安定重量を取得できますか?
A. 秤が対応していれば、安定フラグと重量値を取り込めます。
Q. 複数のセンサを一台の端末へ接続できますか?
A. 端末の同時接続数と通信周期を確認し、必要に応じて順番接続やゲートウェイを使用します。
関連ワード
LTE・5G通信とは、携帯電話事業者の移動通信網を利用して、遠隔地の設備、センサ、IoTゲートウェイ、監視カメラなどをインターネットやクラウドへ接続する通信方式です。有線回線を敷設しにくい場所や、全国に分散した設備の遠隔監視に利用されます。
LTEは広いエリアで安定した通信を利用しやすく、5Gは高速・大容量・低遅延などを特長とします。ただし、実際の利用可能エリアや通信品質は設置場所、建物、基地局、契約内容によって変化します。
ハカルプラスでは、通信エリア、必要データ量、遠隔接続方式、セキュリティを確認し、ルーター、アンテナ、SIM、VPN、通信断時の一時保存を含む構成を検討します。
LTE・5G通信の主な用途
- 遠隔設備の状態・異常監視
- 計測データのクラウド送信
- 保守用パソコンからの遠隔接続
- 監視カメラや画像データの送信
- 移動体・仮設設備のネットワーク接続
- 有線回線障害時のバックアップ通信
LTE
LTEは、広いサービスエリアと対応機器の多さから、産業用遠隔監視で広く利用されています。
計測値、異常通知、設備履歴などの送信には十分な速度を得られる場合が多く、産業用ルーターやIoTゲートウェイも多数提供されています。
5G
5Gは、高速・大容量通信、低遅延、多数端末接続などを目標とする移動通信方式です。
高精細映像、遠隔作業支援、多数センサの接続などへ利用できます。ただし、エリアや端末対応、通信品質は場所によって異なります。
公衆網とローカル5G
携帯電話事業者が提供する全国的なネットワークを公衆網として利用する方法があります。
特定の工場や敷地内に専用の5Gネットワークを構築するローカル5Gもあります。専用性は高まりますが、免許、基地局、運用、保守を含む検討が必要です。
産業用ルーター
SIMカードを装着し、LTE・5G回線と有線LAN・Wi-Fi機器を中継します。
使用温度、電源電圧、耐振動、アンテナ端子、VPN、遠隔管理、冗長SIMなどを確認します。一般家庭用ルーターより長期運用や盤内設置に適した製品を選定します。
SIM
SIMは、通信回線の契約情報を持つ識別媒体です。物理SIMと、機器へ内蔵されるeSIMがあります。
通信事業者、料金プラン、データ容量、利用エリア、固定IPの有無を確認します。多数設備へ導入する場合は、回線の一括管理機能も重要です。
データ通信量
計測値や異常通知は通信量が小さい一方、画像、動画、ファームウェア更新は大きな通信量を必要とします。
送信周期、1件あたりのデータ量、端末数から月間通信量を見積もります。通信量超過時の速度制限や追加料金も確認します。
通信エリア
地図上でエリア内でも、山間部、地下、建物内部、金属筐体内では通信できない場合があります。
設置候補場所で実際の受信電波と通信速度を確認します。可能であれば複数時間帯や設備稼働中にも試験します。
アンテナ
ルーター内蔵アンテナ、外部アンテナ、屋外アンテナなどがあります。
制御盤内で電波が弱い場合は、アンテナだけを盤外や建物外へ設置します。アンテナケーブルが長いと損失が増えるため、ルーター位置とのバランスを取ります。
MIMO
LTE・5Gでは、複数アンテナを利用して通信品質や速度を高めるMIMOが使用されます。
対応ルーターでは複数のアンテナ端子があり、指定本数と配置を守る必要があります。アンテナ同士を近づけすぎると効果が低下する場合があります。
固定IPアドレス
遠隔側から設備へ接続する場合、固定のグローバルIPアドレスを利用する方法があります。
ただし、設備をインターネットへ直接公開するとセキュリティリスクが高まります。VPNや閉域網と組み合わせます。
プライベートIPとNAT
一般的なモバイル回線では、端末側へプライベートIPが割り当てられ、外部から直接接続できない場合があります。
設備側からクラウドへ接続を開始する方式や、VPNサービス、遠隔保守用中継サーバーを利用します。
VPN
VPNを利用すると、移動通信網やインターネット上に暗号化された通信経路を構築できます。
遠隔からPLCや産業用コンピュータへ接続する場合は、利用者認証、接続時間制限、アクセス先制限を設定します。
閉域網
通信事業者の閉域サービスを利用し、一般インターネットを経由せず拠点間を接続する方法があります。
セキュリティと運用性を高めやすい一方、対応回線、費用、接続拠点の構成を確認します。
遠隔監視
設備状態、計測値、異常履歴をクラウドや監視サーバーへ送信します。
常時接続する方式と、一定周期または異常時だけ接続する方式があります。電池駆動機器では通信時間を短くして消費電力を抑えます。
遠隔操作
LTE・5G経由で設備へ指令を送ることは可能ですが、通信遅延、切断、不正アクセスを考慮する必要があります。
遠隔操作だけで安全を確保せず、現地の安全回路、操作許可、状態確認、タイムアウトを設けます。重要操作では現地承認を求める方法もあります。
通信遅延
通信遅延は、基地局、ネットワーク混雑、クラウド処理などによって変動します。
監視や指図送信では問題にならなくても、高速制御には適さない場合があります。設備のリアルタイム制御は現地PLCで行い、LTE・5Gは上位監視へ利用する構成が一般的です。
通信断時の処理
電波状態や通信事業者の障害により、接続が一時的に失われる可能性があります。
設備側へデータを一時保存し、復旧後に再送します。通信断中も現地制御を継続するか、安全停止するかを用途に応じて決めます。
自動再接続
通信が切れた場合は、ルーターやアプリケーションが自動再接続します。
一定回数失敗した場合にルーターを再起動する、別回線へ切り替えるなどの処理を設ける場合があります。無制限な再起動は避け、履歴を残します。
冗長SIM
二枚のSIMへ対応するルーターでは、主回線が利用できない場合に別事業者の回線へ切り替えられることがあります。
同じ基地局設備や通信経路へ依存する場合もあるため、必要な冗長性を確認します。切替時間とIPアドレス変更の影響も考慮します。
ファームウェア更新
遠隔地のルーター、ゲートウェイ、組込機器へ更新データを配信できます。
通信量、更新中の停電・切断、更新失敗時の復旧を考慮します。更新時間帯と対象機器を管理します。
セキュリティ
初期パスワードの変更、不要ポートの閉鎖、VPN、証明書、ファイアウォールを使用します。
ルーター管理画面を外部へ無条件に公開せず、接続元や利用時間を制限します。遠隔保守の操作履歴も保存します。
異常時の確認
接続できない場合は、SIM、契約状態、アンテナ、電波強度、APN設定を確認します。
通信が不安定な場合は、アンテナ位置、周辺基地局、時間帯、データ量を点検します。遠隔接続だけできない場合は、VPN、固定IP、ファイアウォールを確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、設置場所、通信内容、遠隔保守の範囲を確認し、LTE・5Gルーターとアンテナを選定します。
VPN、クラウド連携、通信断時のデータ保存、回線冗長化を組み合わせ、全国に分散した設備の遠隔監視構成を検討します。
よくある質問
Q. 有線回線がない場所でも遠隔監視できますか?
A. LTE・5Gの通信エリア内であれば、産業用ルーターを使って接続できる場合があります。
Q. 制御盤の中へルーターを設置できますか?
A. 金属盤で電波が弱くなる場合は、外部アンテナを盤外へ設置します。
Q. 遠隔からPLCを操作できますか?
A. VPNなどで接続できますが、現地安全回路、操作権限、通信断時処理が必要です。
Q. 通信が切れてもデータは残りますか?
A. 設備側へ一時保存し、回線復旧後に再送できます。
Q. LTEと5Gはどちらを選べばよいですか?
A. 必要速度、通信量、設置場所のエリア、対応機器、費用を確認して選定します。
関連ワード
産業用無線通信とは、計測機器、センサ、制御装置、表示器などの間で、配線を使用せずにデータを伝送する技術です。配線工事が難しい場所、移動する機器、離れた設備の監視などに利用されます。
産業用途では、単に電波が届くことだけでなく、通信距離、障害物、電池寿命、通信周期、データ欠落時の処理、電波法への適合を含めて設計する必要があります。
ハカルプラスでは、特定小電力無線、920MHz帯無線モジュール、ANT無線などを利用した製品・システムの開発実績があります。用途や設置環境に合わせ、センサ、無線端末、中継機、受信機、表示・監視システムを組み合わせます。
産業用無線通信の主な用途
- 離れた場所にある計測データの収集
- 配線工事が難しい既設設備へのセンサ追加
- 移動台車や携帯機器との通信
- 建物内の警報・呼出信号の伝送
- 屋外設備や無人設備の遠隔監視
- 複数端末の状態を監視装置へ集約
通信する情報には、温度、電流、重量などの計測値のほか、接点状態、警報、電池残量、機器番号、通信状態などがあります。
特定小電力無線
特定小電力無線は、定められた周波数、送信出力、通信方法などの条件を満たすことで、利用者が無線局免許を取得せずに使用できる無線方式です。
ただし、どのような機器でも自由に使用できるわけではありません。日本国内で使用する場合は、対象となる技術基準に適合し、必要な技適表示が行われた機器を使用します。
ハカルプラスでは、429MHz帯の特定小電力無線を利用した機器の開発実績があります。比較的少量の計測値や警報信号を、一定間隔で送信する用途などに使用されます。
920MHz帯無線
920MHz帯無線は、センサデータや設備状態を比較的低い消費電力で伝送する用途に利用されます。2.4GHz帯と比べ、壁や設備などの障害物がある環境で通信しやすい場合があります。
認証済みの無線モジュールを使用すれば、無線回路を一から設計する場合に比べて開発負担を抑えられます。ただし、指定されたアンテナ、送信出力、電源条件、組み込み方法などを守る必要があります。
実際の通信性能は、無線モジュールの仕様だけでなく、アンテナ位置、筐体、取付高さ、周囲の金属、壁の材質によって変化します。
ANT無線
ANT無線は、低消費電力で小容量のデータを送受信する近距離無線通信に利用される方式です。電池で動作する小型端末や、人体の近くで使用するセンサ機器などに適しています。
ハカルプラスでは、メディカルケア機器分野においてANT無線を利用した製品・システムの開発実績があります。
複数の端末を使用する場合は、機器番号の管理、受信先の識別、再送処理、電池消費などを考慮して通信ソフトウェアを設計します。
携帯電話回線を利用した遠隔通信
携帯電話回線を利用すると、工場内や建物内の無線通信だけでなく、遠隔地にある設備からインターネットを経由して監視サーバーへデータを送信できます。
ハカルプラスでは、NTTドコモのFOMA回線を利用した計測機器や遠隔監視システムを開発してきた実績があります。ただし、FOMAサービスは2026年3月31日に終了しているため、現在はFOMAを前提とした新規システムを構築できません。既設機器では、4G・LTEなどに対応した通信機器への更新を検討する必要があります。
携帯電話回線を使用するシステムでは、端末だけでなく、通信回線の契約、SIM、通信サーバー、データ保存、利用者画面などを含めた構成が必要です。
通信距離に影響する要因
無線機器の仕様に記載された通信距離は、見通しのよい試験環境を前提としていることがあります。工場や建物内では、壁、床、配管、機械、制御盤などによって電波が反射・吸収されます。
特に金属製の制御盤内へ無線機器を設置すると、電波が大きく減衰する場合があります。外部アンテナを使用する、盤外へ無線端末を設置する、中継機を追加するなどの対策を検討します。
設置予定場所で通信試験を行い、扉の開閉、設備の稼働、人や車両の移動なども含めて受信状態を確認することが重要です。
中継機とネットワーク構成
送信端末と受信機の間に障害物がある場合や通信距離が長い場合は、中継機を設置して通信範囲を広げます。
中継機を増やすと通信経路を確保しやすくなりますが、データ到着までの時間、通信量、電源、故障時の影響も増えます。必要以上に複雑な構成とせず、設置環境に応じて台数と位置を決めます。
複数端末が同時に送信すると電波が衝突する可能性があるため、送信時刻を分散する、ランダムな待ち時間を設けるなどの制御を行います。
電池駆動と消費電力
配線を不要にするため、無線端末を電池で動作させる場合があります。電池寿命は、送信間隔、送信時間、通信失敗時の再送回数、センサの消費電力、使用温度などによって変わります。
常時通信するのではなく、一定時間ごとに起動してデータを送信し、通信後は省電力状態へ移行することで電池消費を抑えます。
電池電圧を監視し、交換時期が近づいた際に警報を送信する機能を設ける場合もあります。
データの識別と誤り検出
複数の無線端末を使用するシステムでは、受信したデータがどの機器から送られたものかを識別する必要があります。
送信データには、機器番号、データ種別、連番、計測値、電池状態、誤り検出情報などを付加します。受信側では、データの破損、重複、順序の入れ替わりを確認します。
連番を管理すると、途中のデータが受信できなかったことを検出できます。ただし、欠落したデータを再送するか、そのまま次のデータを使用するかは、監視周期や用途に応じて決めます。
通信異常時の処理
無線通信では、一時的にデータを受信できないことがあります。そのため、通信失敗を前提としてシステムを構成します。
一定時間データを受信できない場合は通信異常とし、前回値を保持する、無効値として表示する、警報を出すなどの処理を行います。
前回値を表示する場合は、最新値と誤認されないよう、最終受信時刻や通信異常を併せて表示します。
設備の安全に直接関わる停止制御などでは、一般的な無線通信だけに依存せず、有線回路や安全に対応した別系統を併用することがあります。
セキュリティ
無線通信では、第三者による受信、なりすまし、不正なデータ送信などを考慮する必要があります。
無線方式が対応している場合は、暗号化、機器認証、通信先の制限などを利用します。携帯電話回線やインターネットを使用する場合は、端末からサーバーまでの通信経路、接続先、利用者権限も含めて設計します。
遠隔監視システムでは、端末、回線、サーバー、利用者画面のそれぞれで対策を行い、必要以上に外部から設備制御へアクセスできない構成とします。
既設設備への無線追加
既設設備へ無線通信を追加する場合は、取得する信号、通信周期、電源、設置場所、必要な通信距離を確認します。
既設の接点信号やアナログ信号を無線端末へ入力し、離れた監視盤へ送信することで、大規模な配線工事を行わずに監視項目を追加できる場合があります。
既設設備の配線を無線へ置き換える際は、通信異常時の動作が従来と変わらないかを確認します。通信遅延が設備制御へ影響する用途では、無線化が適さない場合もあります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、429MHz帯特定小電力無線、920MHz帯無線モジュール、ANT無線などを利用した製品・システムの開発実績があります。
通信距離、端末台数、データ量、送信周期、電源、設置環境を確認し、無線端末、アンテナ、中継機、受信機、表示・監視装置を含む構成を検討します。
無線回路や認証済み無線モジュールの組み込みに加え、マイコンソフト、通信データ、再送処理、通信異常監視、電池管理などを設計します。
携帯電話回線を利用した既設遠隔監視システムについても、使用中の通信端末、サーバー、データ形式を確認し、現行通信方式への更新を検討します。
よくある質問
Q. 特定小電力無線は免許なしで使用できますか?
A. 技術基準に適合した機器を、定められた条件で使用する場合は、利用者による無線局免許を必要としません。機器の改造や指定外アンテナの使用は認証条件から外れる可能性があります。
Q. カタログ記載の通信距離まで必ず通信できますか?
A. 通信距離は壁、金属設備、アンテナ位置、取付高さ、電気ノイズなどによって変化します。設置場所での通信試験が必要です。
Q. 既設設備の接点信号や計測値を無線化できますか?
A. 信号形式、通信周期、必要な応答時間を確認し、無線端末や信号変換器を追加して無線化できる場合があります。
Q. 無線通信が一時的に切れた場合はどうなりますか?
A. 再送を行う、前回値を無効化する、通信異常を表示するなど、用途に応じた処理を設計します。通信復旧だけで設備を自動再起動させない構成も検討します。
Q. FOMAを利用した既設システムはそのまま使用できますか?
A. FOMAサービスは2026年3月31日に終了したため、FOMA通信を使用する機器は継続利用できません。通信端末や回線を4G・LTEなどへ変更し、必要に応じてサーバーや通信ソフトも更新します。