Technology
ポンプ空運転防止
(ポンプくううんてんぼうし)
ポンプ空運転防止とは、吸込側に液体がない状態や、必要な流量を確保できない状態でポンプが運転し続けることを防ぐ制御です。空運転は、ポンプ内部の冷却や潤滑を失わせ、メカニカルシール、軸受、羽根車などの過熱・摩耗・焼付きにつながる可能性があります。
空運転の検出には、液面、流量、吸込圧力、吐出圧力、モーター電流などを利用します。使用するポンプの種類、液体の性質、配管構成によって有効な検出方法が異なるため、複数の条件を組み合わせる場合もあります。
ハカルプラスでは、ポンプ、タンク、配管、センサ、制御盤の条件を確認し、空運転の検出、停止、警報、復旧まで含む制御構成を検討します。
空運転が発生する主な原因
- タンクやピットの液面低下
- 吸込配管の詰まりやバルブ閉止
- 吸込配管からの空気混入
- 呼び水不足や自吸失敗
- 液切れ後も運転指令が継続している
- レベルセンサや流量計の故障
ポンプが回転していても送液できていない場合があるため、運転指令や接触器の動作だけでは空運転を判断できません。
空運転による影響
液体がポンプ内部の冷却や潤滑を担っている場合、空運転によって短時間で温度が上昇します。特にメカニカルシールは、摺動面の冷却が失われると損傷しやすくなります。
- メカニカルシールの焼損・漏れ
- 軸受や回転部の過熱
- 樹脂部品やライニングの変形
- キャビテーションや異音
- 吐出不能による工程停止
レベルセンサによる検出
吸込元のタンクやピットへ下限レベルセンサを設け、液面が設定位置を下回った場合にポンプを停止します。構成が分かりやすく、空運転が発生する前に起動を禁止できる方法です。
ただし、レベルセンサの位置より下に吸込口がある場合や、配管途中で詰まり・空気混入が発生した場合は、液面が正常でも送液できないことがあります。
流量計による検出
ポンプ運転中の流量を監視し、一定時間経過しても最低流量へ到達しない場合に空運転または送液異常と判定します。
流量を直接確認できるため有効ですが、起動直後は配管充填に時間がかかることがあります。起動直後の判定待ち時間と、運転中の最低流量判定を分けて設定します。
圧力による検出
吸込圧力または吐出圧力を監視し、正常運転時より圧力が低下した場合に異常と判定します。加圧ポンプでは、吐出圧力が一定時間上昇しないことを起動失敗として扱えます。
バルブ閉止や配管詰まりでは吐出圧力が上昇する場合もあるため、圧力低下だけでなく上限圧力も監視します。
モーター電流による検出
遠心ポンプでは、空運転時に負荷が低下してモーター電流が小さくなる場合があります。電子式モーター保護機器や電流センサを用いて、下限電流を監視します。
ポンプ形式や運転条件によっては、正常時と空運転時の電流差が小さい場合があります。インバーター運転では周波数によって電流が変わるため、運転速度に応じた判定が必要です。
複数条件の組み合わせ
一つのセンサだけでは、センサ故障や別の異常を空運転と誤判定する可能性があります。
例えば、下限液面で起動を禁止し、運転開始後は流量または圧力で送液を確認する構成が考えられます。モーター電流も併用すると、機械側の負荷状態を確認できます。
起動時の判定
ポンプ起動直後は、配管内の空気排出や圧力上昇に時間がかかります。直ちに低流量・低圧力異常と判定すると、正常な始動でも停止する可能性があります。
起動確認時間を設け、その時間内に流量または圧力が設定値へ到達することを確認します。到達しない場合は起動失敗として停止します。
運転中の判定
正常運転へ移行した後は、流量、圧力、液面が下限を一定時間継続した場合に停止します。瞬間的な波立ちや信号ノイズで停止しないよう、判定遅延を設けます。
ただし、遅延時間を長くしすぎるとポンプ損傷が進むため、ポンプが許容できる空運転時間を確認します。
異常時の停止方法
空運転異常を検出した場合は、ポンプを停止し、タッチパネルや警報灯へ原因を表示します。ポンプ交互運転設備では、待機ポンプへ切り替える前に、液切れなど共通原因でないことを確認します。
液面不足が原因の場合、別のポンプへ切り替えても同じ空運転となるため、全ポンプを停止する必要があります。
自動復帰の考え方
液面が回復した際に自動再起動する構成も可能ですが、吸込配管の呼び水が失われている場合や、故障原因が残っている場合があります。
重要設備では、異常を保持し、作業者が原因を確認してからリセットします。自動復帰を行う場合は、再起動回数や再試行間隔を制限します。
センサ故障への対応
レベルセンサや流量計が故障すると、液体があるのに起動できない、または液切れを検出できない可能性があります。
断線、測定範囲外、値の固定、相互に矛盾する信号を異常として監視します。必要に応じて複数センサや異なる原理の検出器を組み合わせます。
異常履歴の活用
空運転発生時刻、液面、流量、圧力、モーター電流、運転周波数を保存すると、原因を特定しやすくなります。
空運転警報が頻発する場合は、タンク容量、補給能力、吸込配管、運転条件の見直しに利用できます。
保守と定期点検
レベルセンサ、流量計、圧力センサを模擬動作させ、ポンプが停止することを確認します。吸込ストレーナ、バルブ、配管漏れも点検します。
インバーターやモーター保護機器を使用している場合は、下限電流設定、保護動作、警報出力を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、ポンプ形式、液体、タンク、配管条件を確認し、レベル、流量、圧力、電流のどの情報を使用するか検討します。
PLC、インバーター、タッチパネルを組み合わせ、起動確認、空運転停止、再起動制限、交互運転、異常履歴まで含む制御に対応できる場合があります。
よくある質問
Q. 液面センサだけで空運転を防止できますか?
A. 液切れには有効ですが、配管詰まりや呼び水不足を検出するには流量や圧力の監視も有効です。
Q. モーター電流から空運転を検出できますか?
A. 空運転時に負荷電流が低下するポンプでは可能ですが、実機で正常時との差を確認する必要があります。
Q. 空運転異常後に自動再起動できますか?
A. 条件を満たせば可能ですが、原因が残ったまま再起動しないよう再試行回数や確認条件を設定します。
Q. ポンプ交互運転設備では待機機へ切り替えますか?
A. ポンプ固有の故障なら切替可能ですが、液切れなど共通原因の場合は全台を停止します。
Q. 既設ポンプへ空運転防止を追加できますか?
A. レベル、流量、圧力、電流の取得方法と制御盤の入出力を確認し、追加できる場合があります。
関連ワード
同じカテゴリの『ハカル技術辞典』を見る