Technology
ポンプ制御
(ポンプせいぎょ)
ポンプ制御とは、液体を移送・循環・供給するために、ポンプの運転・停止、回転速度、流量、圧力、液面などを制御する技術です。水、薬液、油、食品原料、排水などを扱う設備で使用され、タンク間移送、定量供給、循環、排水、圧送などに用いられます。
制御方法には、液面スイッチによる自動運転、流量計や圧力センサを用いたフィードバック制御、インバーターによる回転速度制御、重量計を用いた定量供給などがあります。液体の粘度、温度、腐食性、固形物の有無、必要流量、揚程、配管条件に応じて、ポンプ形式と制御方式を選定します。
ポンプ制御の基本構成
ポンプ設備は、ポンプ本体、モーター、吸込・吐出配管、バルブ、逆止弁、液面センサ、流量計、圧力センサ、制御盤、PLC、インバーターなどで構成されます。
PLCは、送液元と送液先の液面、バルブの開閉状態、圧力、流量、ポンプ異常などを確認し、運転条件が成立したときにポンプを起動します。設定量の移送、送液元の下限液面、送液先の上限液面などを条件として停止します。
単純な運転・停止だけでなく、ポンプ起動前のバルブ確認、運転中の流量不足監視、停止後の逆流防止、異常時の待機ポンプ切り替えまで含めて制御します。
流量・移送量・揚程の考え方
流量が一定の場合、移送量Vは流量Qと運転時間tから次の式で求められます。
V=Q×t
例えば、流量100L/minで15分間運転した場合、理論上の移送量は1,500Lです。ただし、実際の流量は液面差、配管抵抗、バルブ開度、粘度、ポンプ摩耗などによって変化します。正確な定量供給が必要な場合は、流量計やロードセルで実量を確認します。
液体を高い位置へ送るには、位置エネルギーに相当する圧力が必要です。液体密度をρ、重力加速度をg、揚程をHとすると、静水圧Pは次のように表せます。
P=ρgH
水を10m上方へ送る場合、静水圧は約98kPaです。実際には、配管長、曲がり、バルブ、フィルター、熱交換器などによる損失を加え、ポンプの性能曲線と照合して選定します。
主な制御方法
液面による運転・停止
タンク内の液面をフロートスイッチや連続式液面センサで検出し、上限・下限に応じてポンプを運転します。排水設備では上限で起動し、下限で停止します。受入れタンクへ移送する場合は、送液先の満杯信号でも停止します。
起動液面と停止液面に差を設けることで、短時間の起動・停止の繰り返しを防ぎます。センサ故障に備え、通常の制御用とは別に異常高液面・異常低液面を設ける場合もあります。
流量制御
流量計の測定値と設定流量を比較し、インバーターでポンプの回転速度を調整します。目標流量をQset、実流量をQとすると、偏差eは次のように表せます。
e=Qset-Q
偏差に応じて速度指令を変化させ、設定流量へ近づけます。流量計の応答遅れや配管容量が大きい設備では、制御を急激にすると流量が上下に振れるため、制御定数を調整します。
圧力制御
圧力センサの測定値を取り込み、配管圧力が設定値となるように回転速度を制御します。給水設備や循環設備など、使用量の変化によって必要流量が変わる設備に適しています。
吐出側のバルブが急に閉じた場合は、圧力が上昇します。上限圧力で速度を低下させる、ポンプを停止する、逃がし弁を設けるなど、機械と制御の両面で保護します。
時間による定量供給
流量が安定していることを前提に、設定時間だけポンプを運転して一定量を供給します。構成は簡潔ですが、液面、粘度、温度、配管圧力の変化によって供給量が変わります。
高い精度が不要な補助液の投入などには使用できますが、製品品質へ直接影響する原料では、流量または重量による確認を検討します。
重量による定量供給
計量槽や受入れ容器をロードセルで支持し、設定重量へ達した時点でポンプを停止します。流量の変化があっても、実際に入った重量で管理できるため、配合や充填に適しています。
供給停止後も配管内の液体が流入するため、停止後落差を考慮して目標重量より手前で停止します。微量域ではポンプを低速化する、細径配管へ切り替える、バルブを併用するなどの方法があります。
インバーターによる速度制御
遠心ポンプでは、インバーターによってモーター回転速度を変えることで、流量や圧力を調整できます。同一ポンプで条件が大きく変わらない範囲では、回転速度N、流量Q、揚程H、軸動力Wに概ね次の関係があります。
Q2/Q1=N2/N1
H2/H1=(N2/N1)2
W2/W1=(N2/N1)3
例えば、回転速度を80%にすると、理論上の流量は約80%、揚程は約64%、軸動力は約51%となります。実際の運転点は配管特性との交点で決まるため、メーカーの性能曲線を確認します。
容積式ポンプでは、回転速度と吐出量が比較的比例しやすい一方、吐出側を閉止したまま運転すると圧力が急上昇するため、逃がし弁などの保護が重要です。
ポンプ形式による違い
遠心ポンプ
羽根車の回転によって液体へ速度と圧力を与えます。水や低粘度液体の移送、循環、給水に広く使われます。流量は配管抵抗の影響を受けやすく、インバーターによる流量・圧力制御に適しています。
容積式ポンプ
一定容積の液体を繰り返し押し出す方式で、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプなどがあります。高粘度液体や定量供給に適する場合がありますが、閉止運転による過圧へ注意します。
水中ポンプ
ポンプ本体を液中へ設置し、排水槽、ピット、汚水処理などで使用します。液面制御と組み合わせることが多く、漏電、浸水、異物詰まり、過熱を監視します。
設計・制御上のポイント
空運転を防止する
ポンプ内部に液体がない状態で運転すると、冷却や潤滑が不足し、メカニカルシール、軸受、ポンプ本体を損傷する場合があります。吸込側の低液面、流量不足、圧力不足などを監視し、空運転を防ぎます。
遠心ポンプでは、起動前にポンプと吸込配管を液体で満たす呼び水が必要な構造もあります。停電復旧後や長期停止後は、液が保持されているか確認します。
キャビテーションを防止する
吸込側の圧力が液体の蒸気圧近くまで低下すると、気泡が発生し、羽根車付近で崩壊します。これをキャビテーションと呼び、異音、振動、流量低下、羽根車の損傷につながります。
吸込配管を短く太くする、曲がりやフィルターの抵抗を減らす、液面を確保する、液温を確認するなどの対策を行います。メーカーが示す必要NPSHと設備側で確保できるNPSHを比較します。
バルブとのインターロックを設ける
ポンプ起動前に、吸込側・吐出側バルブが適切な位置であることを確認します。吸込側が閉じていれば空運転、吐出側が閉じていれば異常圧力や発熱につながる場合があります。
停止時は、流体の逆流やウォーターハンマーを防ぐため、ポンプとバルブの動作順序を設備ごとに設定します。位置センサがない手動バルブでは、運用確認や別の圧力・流量監視を組み合わせます。
逆流と逆転を防止する
ポンプ停止後に液体が逆流すると、羽根車が逆転したり、送液先から送液元へ液体が戻ったりします。逆止弁を設け、必要に応じて遮断バルブの閉鎖順序を制御します。
逆止弁の固着や異物かみ込みによって逆流する場合もあるため、停止後の圧力低下や流量を監視することがあります。
頻繁な起動・停止を避ける
短時間に起動と停止を繰り返すと、モーター、電磁接触器、インバーター、ポンプへ負担がかかります。起動液面と停止液面に差を設け、最小運転時間、最小停止時間、再起動待ち時間を設定します。
必要流量が小さい時間帯では、インバーターで低速運転する方法があります。ただし、冷却不足や最低流量制限があるポンプでは、低速運転可能範囲を確認します。
複数台ポンプの制御
設備の必要流量や信頼性に応じて、複数台を交互運転、追従運転、並列運転することがあります。交互運転では、起動ごとまたは運転時間ごとに使用ポンプを切り替え、特定の機器へ運転が偏ることを防ぎます。
圧力や流量が不足した場合は、追加ポンプを起動します。需要が低下した場合は、短時間で頻繁に増減台しないよう遅延時間を設けて停止します。
運転中のポンプが過負荷やインバーター異常で停止した場合、待機側を自動起動できます。ただし、吸込側の液不足や共通配管の閉塞など、設備全体に共通する異常では、待機側も同じ故障状態になるため、原因を判定して切り替えます。
異常監視と復旧
主な監視項目は、モーター過負荷、漏電、インバーター異常、吸込低液面、吐出圧力異常、流量不足、配管詰まり、バルブ動作異常、漏液です。異常時はポンプを停止し、必要に応じて上流供給やヒーターなどの関連設備も停止します。
ポンプが運転中にもかかわらず流量が出ない場合は、液不足、空気混入、呼び水不足、吸込配管詰まり、バルブ閉止、回転方向の誤り、羽根車や継手の損傷を確認します。
異常復旧後は、ポンプ内に液体があること、バルブ位置、配管圧力、送液先の空き容量を確認してから再起動します。自動復帰が危険な設備では、作業者によるリセット後に運転を再開します。
保守と設備更新
定期点検では、異音、振動、漏れ、モーター電流、吐出圧力、流量、軸受温度、メカニカルシールを確認します。通常時の値を記録しておくと、摩耗や閉塞による変化を早期に把握しやすくなります。
既設ポンプを更新する場合は、流量、揚程、液体性状、配管口径、モーター容量、始動方式、回転方向を確認します。性能が過大なポンプへ交換すると、流量過多、騒音、電力消費増加などにつながる場合があります。
インバーターやPLCを更新する場合は、周波数指令、運転信号、異常信号、圧力・流量センサの信号形式を確認します。新旧機器で加減速時間や最低周波数が異なる場合は、制御設定を再調整します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、移送する液体の性状、必要流量、揚程、配管条件、タンク容量、運転頻度、要求精度などを確認し、ポンプを使用した供給・搬送設備を検討します。
ポンプ、タンク、配管、バルブ、流量計、圧力センサ、ロードセルなどを含む機械構成に加え、動力回路、制御盤、PLC、インバーター、タッチパネルまで一体的に構成します。
液面による自動運転、流量・圧力のフィードバック制御、重量による定量供給、複数台の交互・並列運転、バルブとのインターロック、空運転・過圧・流量不足などの異常監視を設計します。
運転時間、流量、移送量、警報履歴などの保存や、生産管理システム・配合管理システムとの連携も、必要な通信仕様を確認して検討します。既設設備のポンプ、インバーター、PLC更新についても、現在の運転条件と信号仕様を確認して構成します。
よくある質問
Q. ポンプが運転しているのに液体が流れない場合は何を確認しますか?
A. 送液元の液面、吸込側への空気混入、呼び水、バルブ位置、配管詰まり、回転方向、羽根車や継手の状態を確認します。流量不足のまま運転を継続すると損傷する場合があります。
Q. ポンプが頻繁に起動・停止する場合はどうしますか?
A. 液面の起動点と停止点の差、最小運転時間、再起動待ち時間を見直します。タンク容量や必要流量に対してポンプ能力が過大な場合もあります。
Q. インバーターで速度を下げれば省エネになりますか?
A. 遠心ポンプでは省エネ効果を得られる場合があります。ただし、必要揚程、最低流量、冷却条件を満たす範囲で運転し、ポンプと配管の特性を確認します。
Q. 2台のポンプを自動で交互運転できますか?
A. 起動回数や累積運転時間に応じて交互運転できます。運転中のポンプが異常となった場合に、条件を確認して待機側へ切り替える制御も可能です。
Q. 既設ポンプへ流量一定制御を追加できますか?
A. インバーターで速度変更でき、流量計の信号をPLCへ取り込めれば対応できる場合があります。ポンプ形式、最低回転速度、配管特性、既設制御盤の余裕を確認します。
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