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硝酸態窒素濃度

(しょうさんたいちっそのうど)

硝酸態窒素濃度とは、植物汁液、土壌抽出液、培養液、水などの中に、硝酸態窒素がどの程度含まれているかを示す値です。作物の窒素栄養状態や、土壌・養液中の窒素供給状態を確認するために利用されます。

硝酸態窒素は、硝酸イオンに含まれる窒素分を表します。そのため、測定器が硝酸イオン濃度を表示する場合と、硝酸態窒素濃度を表示する場合では、数値が異なります。

施肥判断やデータ比較を行うときは、濃度の単位だけでなく、硝酸態窒素としての表示か、硝酸イオンとしての表示かを確認することが重要です。

濃度とは

濃度とは、一定量の試料中に対象成分がどの程度含まれているかを表す値です。液体試料では、mg/Lやppmなどが使用されます。

例えば、硝酸態窒素濃度が100mg/Lとは、試料1L中に硝酸態窒素として100mg含まれることを表します。

水溶液では、条件によって1mg/Lをおおよそ1ppmとして扱うことがあります。ただし、試料の密度や単位の定義によって異なるため、測定器や分析結果の表示単位を確認します。

硝酸態窒素と硝酸イオンの換算

硝酸イオンは、窒素原子1個と酸素原子3個から構成されます。硝酸イオンの分子量は約62、窒素分の原子量は約14です。

硝酸態窒素濃度は、硝酸イオン濃度から次のように換算できます。

硝酸態窒素濃度=硝酸イオン濃度×14÷62

反対に、硝酸態窒素濃度から硝酸イオン濃度へ換算する場合は、次のように求めます。

硝酸イオン濃度=硝酸態窒素濃度×62÷14

おおよその換算係数は、硝酸イオンから硝酸態窒素へは約0.226、硝酸態窒素から硝酸イオンへは約4.43です。

植物体内の硝酸態窒素濃度

植物は、根から吸収した硝酸イオンを体内で還元し、アミノ酸やタンパク質などへ変換します。吸収量が利用量を上回ると、葉柄、茎、葉などに硝酸態窒素が蓄積することがあります。

植物体内の濃度は、次の条件によって変化します。

  • 施肥量と施肥時期
  • 作物の種類と品種
  • 生育段階
  • 日射量
  • 温度
  • 土壌水分やかん水量
  • 根の状態
  • 収穫までの日数

日照不足や低温時には、吸収した硝酸の代謝が遅れ、植物体内に蓄積する場合があります。そのため、高い濃度が必ずしも施肥過剰だけを示すわけではありません。

土壌中の硝酸態窒素濃度

土壌中の硝酸態窒素濃度は、作物が利用できる窒素量を把握するための指標です。土壌を一定量採取し、水や抽出液を加えて硝酸イオンを抽出した後、濃度を測定します。

土壌分析では、乾土重量当たりのmg/kgとして表す場合や、抽出液のmg/Lとして表す場合があります。同じ圃場の結果でも、採取深さ、抽出方法、土壌水分によって値が異なるため、同じ手順で比較します。

硝酸態窒素は水とともに移動しやすいため、降雨やかん水後には測定値が変化することがあります。

養液栽培での濃度管理

養液栽培では、培養液中の窒素成分を調整し、根へ供給します。硝酸態窒素濃度を確認することで、作物による吸収、原水、肥料調製、排液の状態を把握できます。

ただし、養液管理では硝酸態窒素だけでなく、EC、pH、他の養分濃度、液温なども確認する必要があります。

ECが設定範囲内でも、各成分の比率が変化している場合があります。硝酸態窒素濃度を個別に測定することで、窒素成分の変化を確認できます。

濃度と総量の違い

濃度が同じでも、液量や土壌量が異なれば、含まれる硝酸態窒素の総量は異なります。

含有量は、概念的に次のように求めます。

硝酸態窒素量=硝酸態窒素濃度×対象となる液量

例えば、培養液の濃度が同じでも、タンク内の液量が2倍であれば、タンク全体に含まれる硝酸態窒素量もおおむね2倍になります。

施肥設計では、濃度だけでなく、かん水量、タンク容量、圃場面積などを考慮します。

測定値を比較するときの注意点

硝酸態窒素濃度を比較する場合は、次の条件をそろえます。

  • 測定対象
  • 採取する部位
  • 採取時間
  • 生育段階
  • 試料の希釈倍率
  • 測定方法
  • 表示単位
  • 硝酸態窒素または硝酸イオンの区別

植物汁液と培養液の数値をそのまま比較することはできません。また、異なる機器や分析方法では、前処理や検量線が異なる場合があります。

希釈した場合の濃度計算

測定範囲を超える試料では、一定倍率に希釈して測定することがあります。希釈前の濃度は次の式で求めます。

元の濃度=測定された濃度×希釈倍率

例えば、試料を10倍に希釈し、測定結果が50mg/Lであれば、元の試料は500mg/Lです。

希釈倍率の記録を忘れると、実際とは大きく異なる結果になるため、試料番号と併せて管理します。

測定値が高い場合

植物体で測定値が高い場合は、窒素肥料の供給量だけでなく、日照、温度、生育速度、収穫時期を確認します。

土壌や排液の濃度が高い場合は、作物が吸収できる量を超えて肥料が供給されている可能性があります。施肥量の削減、施肥間隔の調整、かん水管理などを検討します。

ただし、一度の測定だけで判断せず、継続的な変化を確認することが重要です。

測定値が低い場合

濃度が低い場合は、窒素肥料不足、肥料調製ミス、降雨による流亡、根傷みなどが考えられます。

植物体の濃度が低くても、生育が良好で窒素を十分に利用している場合があります。葉色、草丈、果実品質、収量などを併せて判断します。

土壌中の濃度が低い場合でも、有機物から今後窒素が供給される可能性があるため、土壌条件も確認します。

測定誤差の主な原因

  • 採取部位や採取時刻の違い
  • 試料の希釈間違い
  • 校正不良
  • 電極や測定セルの汚れ
  • 試料中の濁りや気泡
  • 共存成分の影響
  • 温度変化

異常値が出た場合は、同じ試料を再測定し、標準液で機器の状態を確認します。

栽培履歴としての活用

硝酸態窒素濃度を定期的に記録し、施肥量、天候、生育、収量、品質と関連付けることで、作物や圃場ごとの傾向を把握できます。

良好な収量や品質が得られた作型のデータを基準として残せば、次作の施肥判断に活用できます。異なる品種や栽培時期では適正範囲が変わる場合があるため、条件別に整理します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、植物体の硝酸態窒素濃度を測定し、栽培管理へ活用する方法について、対象作物、測定部位、測定頻度などの条件を確認して検討します。

測定履歴と施肥、生育、収量などを関連付けたデータ管理についても、必要な項目を確認して対応できる場合があります。

よくある質問

Q. 硝酸態窒素濃度と硝酸イオン濃度は同じですか?

A. 同じではありません。硝酸態窒素は硝酸イオンに含まれる窒素分だけを表し、換算係数が異なります。

Q. ppmとmg/Lは同じですか?

A. 水に近い密度の液体では、おおよそ同じ数値として扱われる場合がありますが、測定条件と単位定義を確認します。

Q. 濃度が高ければ作物の生育も良くなりますか?

A. 高すぎると過剰施肥や品質低下につながる場合があります。作物と生育段階に適した範囲で管理します。

Q. 希釈して測定した場合はどう計算しますか?

A. 測定結果へ希釈倍率を掛けることで、元の試料濃度を求めます。

Q. 作物ごとに適正な濃度は異なりますか?

A. 作物、品種、生育段階、採取部位、栽培環境によって異なります。同じ条件で蓄積したデータとの比較が重要です。

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