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VCCI ClassB
(VCCI ClassB)
VCCI Class Bとは、電子機器から発生する妨害波について、VCCI協会が定めるクラスBの許容値を満たしたマルチメディア機器の区分です。
電子機器は、内部のクロック信号、スイッチング電源、通信回路などの動作によって、意図しない電磁ノイズを発生することがあります。この妨害波が大きいと、周囲のラジオ、テレビ、通信機器などへ影響を与える可能性があります。
VCCI協会では、日本国内へ出荷されるマルチメディア機器を対象に、妨害波を抑制するための自主規制を行っています。対象となる製品のメーカーは、技術基準への適合確認試験を行い、必要な届出を経てVCCIマークを表示します。
ハカルプラスでは、メディカルケア製品の一部でVCCI Class Bへの適合実績があります。また、製品や回路から発生する妨害波を抑え、要求される規格への適合を目指すハードウェア設計に対応しています。
VCCIとは
VCCIは、電子機器から発生する妨害波を自主的に規制するための国内制度です。一般財団法人VCCI協会が、技術基準、測定方法、適合確認、届出、表示などの仕組みを定めています。
VCCIによる規制は法律による強制認証ではなく、VCCI協会の会員企業が参加する自主規制です。ただし、VCCIマークを表示するためには、協会が定める手順に従って適合確認と届出を行う必要があります。
VCCI協会の自主規制では、主に次の流れで適合を確認します。
- 製品がVCCIの適用対象に該当するか確認する
- クラスAまたはクラスBの区分を決定する
- VCCI協会に登録された測定設備で試験する
- 妨害波が技術基準の許容値以下であることを確認する
- 製品の出荷前に適合確認届出を行う
- 受理後、製品や取扱説明書へ所定の表示を行う
VCCI協会では、届出済み製品に対する市場抜取試験も実施しています。
VCCIの対象となる機器
VCCI協会の自主規制は、原則として日本国内へ出荷されるMME(Multimedia Equipment:マルチメディア機器)を対象とします。
MMEには、情報技術装置、オーディオ機器、ビデオ機器、放送受信機や、それらの機能を組み合わせた機器などが含まれます。
例えば、次のような機器が対象となる可能性があります。
- パソコンや周辺機器
- 表示端末・情報処理端末
- ネットワーク機器
- データ処理機能を持つ電子機器
- 音声・映像を処理する機器
- 通信や記録機能を持つ組込み製品
一方、別の法律や規格によって同様の妨害波要求が定められている機器などは、VCCIの適用対象外となる場合があります。製品の機能や用途を確認し、どの規格を適用するか判断する必要があります。
Class AとClass Bの違い
VCCIでは、製品が使用される環境などに応じて、マルチメディア機器をClass AとClass Bに区分します。
| 区分 | 主な使用環境 | 位置付け |
|---|---|---|
| Class A | 主に商業・工業環境 | Class B機器以外で、Class Aの許容値を満たす機器 |
| Class B | 主に住宅環境 | 放送サービスを適切に保護するため、Class Bの許容値を満たす機器 |
一般にClass Bは住宅環境での使用を想定するため、Class Aより厳しい妨害波の許容値が設定されています。
ただし、Class Bが製品の性能、耐久性、安全性など、すべての品質面でClass Aより優れているという意味ではありません。あくまで、外部へ放出する妨害波に関する区分です。
妨害波とは
妨害波とは、電子機器から意図せず外部へ放出され、他の機器の受信や動作へ影響を与える可能性のある電磁エネルギーです。
妨害波の伝わり方は、大きく次の2種類に分けられます。
放射妨害波
機器の筐体、基板、配線、ケーブルなどから、空間へ電波として放射される妨害波です。
高速なデジタル信号やクロック信号、長いケーブルなどがアンテナのように働くことで発生します。
伝導妨害波
電源線や通信線などを通じて外部へ伝わる妨害波です。
スイッチング電源、DC-DCコンバータ、モーター駆動回路などから発生したノイズが、ケーブルを通じて別の機器へ伝わる場合があります。
VCCIへの適合を目指す場合は、放射妨害波と伝導妨害波の双方を考慮して設計します。
VCCI Class B適合のメリット
VCCI Class Bの許容値を満たすことで、主に住宅環境で使用されるラジオやテレビなどへ妨害を与える可能性を抑えられます。
また、次のような利点があります。
- 住宅やオフィスなどで使用しやすい製品となる
- 製品の妨害波対策が一定水準で行われていることを示せる
- 顧客の規格要求へ対応できる
- 量産後の電波障害トラブルを低減できる
- 設置先の周辺機器への影響を抑えられる
ただし、VCCI Class Bへの適合は、どのような設置環境でも妨害が一切発生しないことを保証するものではありません。接続するケーブル、周辺機器、設置方法などによって製品単体とは異なる状態になることがあります。
VCCIマークが示すもの
VCCIマークは、VCCI協会の会員企業が対象製品について適合確認試験を実施し、協会へ適合確認届出を行った製品に表示されます。
Class B機器では、所定のVCCIマークを製品の見やすい場所などへ表示します。表示装置を備える機器などでは、条件に応じて電子表示を利用できる場合もあります。
VCCIマークは、次のような意味を持ちます。
- VCCI協会の自主規制制度に基づく製品である
- 届出クラスの妨害波許容値への適合を確認している
- 協会へ適合確認届出が行われている
一方、VCCIマークは製品安全、無線性能、耐ノイズ性、医療機器としての性能などを包括的に保証する認証ではありません。
VCCIとEMCの関係
EMCは「Electromagnetic Compatibility」の略で、日本語では電磁両立性と呼ばれます。
EMCには、主に次の2つの考え方があります。
- エミッション:機器から発生する妨害波を抑えること
- イミュニティ:外部から受ける電磁ノイズに耐えること
VCCIが主に対象とするのは、機器から外部へ出るエミッションです。
外部ノイズによる誤動作への耐性を評価するイミュニティ試験は、VCCI Class Bの適合確認とは別の評価です。製品によっては、静電気、雷サージ、放射電磁界、電源瞬断などに対する試験を別途行います。
設計段階で行う妨害波対策
妨害波は、完成品の試験時に対策するよりも、回路や基板の設計段階から抑えることが重要です。
基板パターンの設計
高速信号の配線を短くする、リターン電流の経路を確保する、クロック回路と入出力回路を分離するなど、電流の流れを考慮して基板を設計します。
電源回路の対策
バイパスコンデンサ、フィルタ、フェライトビーズなどを適切に配置し、電源線へ流れる高周波ノイズを抑えます。
クロック・高速信号の対策
必要以上に高速なクロックを使用しない、信号の立上り・立下りを調整する、配線長を短くするなどの対策を行います。
ケーブルとコネクタの対策
電源線や通信線は、基板内部のノイズを外部へ放出する経路になる場合があります。
コネクタ付近にフィルタや保護回路を配置し、必要に応じてシールドケーブルやフェライトコアを使用します。
筐体・シールド設計
金属筐体やシールド部材を利用し、基板から発生する電磁ノイズの放射を抑えます。
筐体の開口部、接合部、ケーブル引出口などからノイズが漏れることがあるため、構造設計との連携が必要です。
接地設計
基板の信号グランド、筐体、シールド、保護接地などを適切に接続し、高周波電流が流れる経路を管理します。
接地方法が適切でないと、対策部品を追加しても十分な効果が得られない場合があります。
開発段階での評価
製品完成後の正式試験で規格値を超過すると、回路や基板、筐体を大きく変更しなければならない場合があります。
そのため、開発途中で簡易的なエミッション評価を行い、問題となる周波数や発生源を確認します。
主な評価内容には、次のものがあります。
- 基板単体でのノイズ測定
- 近傍界プローブによる発生源の確認
- 電源線・通信線のノイズ測定
- 筐体を含む試作機の予備測定
- ケーブルや周辺機器を接続した状態での確認
- 動作モードごとの比較
規格値に対して余裕の少ない設計では、部品ばらつきや量産時の変更によって不適合となる可能性があります。正式試験に合格するだけでなく、規格値に対して十分な余裕を確保することが重要です。
適合確認試験での主な注意点
VCCIの適合確認試験では、製品が妨害波を最も発生しやすい状態を考慮して動作させます。
試験構成を決める際は、次のような点を確認します。
- 製品の代表的な動作モード
- 接続する周辺機器
- 電源・通信ケーブルの種類と長さ
- オプション部品の構成
- 使用する電源アダプター
- 筐体や基板のバージョン
- ソフトウェアの動作条件
同じ製品名であっても、回路、基板、筐体、ケーブル、電源などを変更すると、妨害波特性が変わる可能性があります。変更内容によっては再評価が必要です。
VCCI Class B対応で起こりやすい課題
特定周波数だけ規格値を超える
クロック周波数やその高調波に対応する周波数で、妨害波が大きくなる場合があります。
発生源、伝達経路、放射部分を切り分けて対策します。
ケーブル接続時に悪化する
製品単体では問題がなくても、電源線や通信線を接続すると、ケーブルがアンテナとして働き、放射妨害波が増加することがあります。
筐体へ組み込むと結果が変わる
基板単体と完成品では、グランド、シールド、配線の状態が異なるため、妨害波の測定結果も変化します。
量産部品の変更で特性が変わる
DC-DCコンバータ、クロック部品、電源アダプターなどを代替品へ変更すると、発生するノイズの周波数や大きさが変化することがあります。
ハカルプラスのVCCI Class B対応
ハカルプラスでは、メディカルケア製品の一部において、VCCI Class Bの許容値へ適合した製品の開発実績があります。
また、計測機器、通信機器、表示機器などの開発で培った回路設計、基板設計、筐体設計の技術を活用し、妨害波を抑えるための設計に対応しています。
主な対応内容には、次のものがあります。
- 適用規格・製品クラスの確認
- 低ノイズを考慮した回路設計
- 基板パターン・グランド設計
- 電源・通信インターフェースのフィルタ設計
- 筐体・シールド・接地設計
- 試作段階でのノイズ確認
- 測定結果に基づく発生源の解析
- 対策部品・回路変更の検討
- 正式試験に向けた試験構成の整理
製品単体の回路だけでなく、電源、ケーブル、筐体、ソフトウェアの動作条件まで含めて、妨害波を抑える設計を行います。
よくある質問
Q. VCCIとは何ですか?
A. 日本国内へ出荷されるマルチメディア機器を主な対象として、機器から発生する妨害波を抑制するための自主規制制度です。
Q. VCCI Class Bとは何ですか?
A. 主に住宅環境での使用を目的とし、放送サービスを保護するためのClass B許容値を満たす機器の区分です。
Q. Class BはClass Aより厳しい規格ですか?
A. 妨害波の許容値については、一般に住宅環境向けのClass Bの方が厳しく設定されています。ただし、製品品質全般の優劣を示す区分ではありません。
Q. VCCIは法律で義務付けられていますか?
A. VCCIは会員企業による自主規制です。ただし、VCCIマークを表示する場合は、協会の規程に従った適合確認と届出が必要です。
Q. VCCIマークは認証機関による製品認証ですか?
A. 一般的な第三者認証とは仕組みが異なります。会員企業が登録測定設備で適合を確認し、VCCI協会へ届出を行う制度です。
Q. VCCI Class Bに適合すればノイズによる誤動作も防げますか?
A. VCCIは主に機器から出る妨害波を対象とします。外部ノイズへの耐性はイミュニティ試験などで別途評価します。
Q. 無線機器の技術基準適合認定とVCCIは同じですか?
A. 異なります。無線・技術適合認定は無線設備などの電波法令への適合に関する制度で、VCCIはマルチメディア機器から発生する妨害波の自主規制です。
Q. 開発のどの段階からVCCI対策を始めるべきですか?
A. 回路・基板・筐体の設計段階から始めることが重要です。完成後だけで対策すると、大幅な設計変更が必要になる場合があります。
Q. 一度適合すれば部品を変更しても問題ありませんか?
A. 部品や基板、電源、筐体、ケーブルなどの変更によって妨害波特性が変わる場合があります。変更内容を確認し、必要に応じて再評価します。
Q. ハカルプラスではVCCI Class B対応の設計を依頼できますか?
A. 製品仕様を確認し、回路、基板、電源、通信、筐体などを含めた妨害波対策と、適合確認試験へ向けた設計を検討できます。
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