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槓桿式台秤

(こうかんしきだいひょう)

槓桿式台秤とは、てこの原理を利用して、計量台に載せた物の重量と分銅の力をつり合わせて測定する機械式の台秤です。「かんかん式台秤」「機械式台秤」などと呼ばれることもあります。

計量台へ加わった荷重は、台枠内部の槓桿機構を介して竿へ伝達されます。竿に取り付けられた分銅や移動錘の位置を調整し、指針が平衡位置になったときの値から重量を読み取ります。

電源を必要とせず、構造が比較的分かりやすいことから、工場、倉庫、農業施設などで長く使用されてきました。一方、正確に計量するには、水平な設置、ゼロ点調整、槓桿機構の清掃、刃受け部の点検などが重要です。

槓桿式台秤の基本構造

槓桿式台秤は、計量台、台枠、槓桿、支点、刃、刃受け、連結桿、竿、分銅、指針、零点調整機構などで構成されます。

計量台に載せた荷重は、台枠内に配置された複数の槓桿へ分散して伝わります。槓桿によって力を縮小し、竿側の分銅とつり合わせることで、大きな荷重を比較的小さな分銅で測定します。

荷物を計量台の中央から外れた位置へ載せても、槓桿機構が適切に調整されていれば、おおむね同じ重量を示します。ただし、機構の摩耗や変形があると、載せる位置によって指示値が変わる偏置誤差が発生します。

てこの原理による計量

槓桿式台秤は、支点を中心とする力のモーメントがつり合う原理を利用しています。

荷重側の力をF1、支点から荷重点までの距離をL1、分銅側の力をF2、支点から分銅までの距離をL2とすると、平衡時には次の関係が成り立ちます。

F1×L1=F2×L2

例えば、荷重側の腕の長さが分銅側の10分の1であれば、荷重の10分の1の力でつり合わせられます。実際の台秤では複数の槓桿を組み合わせ、計量台に加わる大きな荷重を竿で読み取れる範囲へ縮小します。

基本的な計量方法

設置状態を確認する

秤を安定した床へ設置し、本体が水平になっていることを確認します。床面の傾きやがたつきがあると、槓桿や指針の動きが妨げられ、正しい値を示さない場合があります。

ゼロ点を調整する

計量台に何も載せていない状態で、分銅や移動錘をゼロ位置へ戻します。指針が基準位置に合わない場合は、零点調整機構を操作して調整します。

計量台や台枠へ原料、泥、異物などが付着していると、その重量や接触力によってゼロ点が変化します。調整前に秤の周囲を清掃します。

計量物を載せる

計量物を台の上へ静かに載せます。重量物を落下させると、槓桿、刃受け、台枠へ衝撃が加わり、変形や精度低下につながります。

計量物が周囲の壁、配管、コンベアなどへ接触していると、荷重の一部が秤へ加わらず、実際より軽く表示されます。

分銅を調整して読み取る

大分銅、小分銅、移動錘などを組み合わせ、指針が平衡位置になるよう調整します。指針の揺れが収まり、基準位置でつり合ったときの分銅値を合計して重量を求めます。

槓桿式台秤の特長

  • 計量に電源を必要としない
  • 停電時でも使用できる
  • 構造が機械的で動作を確認しやすい
  • 比較的大きな重量を計量できる
  • 適切に整備すれば長期間使用できる

一方、重量の読取りや分銅操作を作業者が行うため、自動記録や上位システム連携には適していません。計量頻度が高い工程や、計量値を自動保存したい工程では、電子台秤やロードセル式計量器への更新を検討します。

計量精度に影響する要因

刃と刃受けの摩耗

槓桿の支点には、刃と刃受けと呼ばれる部品が使用されます。長期間の使用によって摩耗、欠け、さびが発生すると、摩擦が増えて指針の動きが悪くなります。

摩耗した状態では、荷重を増やしたときと減らしたときで指示値が異なる場合があります。清掃や調整で改善しない場合は、部品交換を検討します。

計量台への偏荷重

荷物を台の四隅や端へ載せた際に指示値が変わる場合は、槓桿の連結状態、刃受け、台枠の変形などを確認します。

点検時には、既知重量の分銅を計量台の中央と四隅へ順番に載せ、指示値の差を確認します。

周辺部との接触

計量台と床、台枠、シュート、搬送装置などが接触すると、荷重が正しく槓桿へ伝わりません。粉体や異物が隙間へ入り込み、計量台の動きを妨げることもあります。

温度・腐食・汚れ

屋外や水分の多い場所では、刃、刃受け、連結部にさびが発生する場合があります。粉体や油が付着すると動作抵抗が増えます。

使用環境に応じて、防食、清掃、カバーの設置などを検討します。ただし、可動部へ過剰に潤滑剤を使用すると、粉じんを付着させる原因になるため注意が必要です。

風袋を含む計量

容器に原料を入れて計量する場合は、総重量から空容器の重量を差し引いて正味重量を求めます。

総重量をWg、風袋重量をWt、正味重量をWnとすると、次の式で表せます。

Wn=Wg-Wt

総重量が85kg、空容器が15kgの場合、内容物の正味重量は70kgです。容器重量にばらつきがある場合は、容器ごとに風袋を確認する必要があります。

異常時の確認

指針が動かない場合は、計量台と台枠の接触、槓桿への異物噛み込み、連結桿の外れ、刃受けの固着を確認します。

ゼロ点が毎回変わる場合は、計量台への付着、床のがたつき、刃受けの摩耗、零点調整部の緩みなどが考えられます。

同じ分銅を載せても指示値が異なる場合は、支点部分の摩擦や偏置誤差を確認します。無理に槓桿を曲げて調整すると、別の誤差が発生するため、構造を確認したうえで整備します。

保守・点検

日常点検では、計量台の清掃、ゼロ点、指針の動き、周囲との接触を確認します。定期点検では、既知重量による指示値、偏置誤差、刃と刃受け、連結部、台枠の腐食や変形を確認します。

分銅は重量値の基準となるため、紛失、摩耗、付着、取り違えがないよう管理します。秤本体と分銅を組み合わせた状態で検査することが重要です。

取引や証明に使用する場合は、使用する計量器に適用される法令や検定の要否を確認します。

電子台秤への更新

槓桿式台秤を電子台秤へ更新すると、重量値をデジタル表示でき、計量時間の短縮や読取り間違いの防止につながります。

通信機能を持つ計量器を採用すれば、重量値、計量日時、品種、作業者などをパソコンや上位システムへ保存できる場合があります。

更新時は、最大計量値、最小表示、計量台寸法、設置場所、電源、既存作業方法を確認します。現在の槓桿式台秤と同じ最大重量だけで選ばず、実際に必要な計量精度と最小計量量を整理します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、既設の槓桿式台秤を使用している工程について、計量対象、最大重量、必要精度、作業方法を確認し、計量設備の更新を検討します。

電子台秤やロードセル式計量台、計量コントローラ、制御盤、PLC、タッチパネルなどを組み合わせ、重量表示、過不足判定、計量完了、実績保存を構成します。

既設の搬送設備や容器を継続使用する場合は、計量台寸法、設置高さ、周辺設備との干渉を確認します。手計量の自動記録化や、生産管理システムとの連携についても、運用と通信仕様を確認して対応を検討します。

よくある質問

Q. 槓桿式台秤のゼロ点が合わない場合は何を確認しますか?

A. 計量台への付着、周囲との接触、床の水平、分銅の位置、刃受け部の汚れや摩耗を確認します。

Q. 荷物を載せる位置によって重量が変わるのはなぜですか?

A. 槓桿機構の調整ずれ、刃・刃受けの摩耗、台枠の変形などによる偏置誤差が考えられます。中央と四隅で確認します。

Q. 槓桿式台秤の値を自動でパソコンへ保存できますか?

A. 機械式のままでは一般に重量信号を出力できません。電子台秤やロードセル式計量器へ更新することで、自動保存できる場合があります。

Q. 既設の計量台だけを残して電子化できますか?

A. 台枠の強度、可動構造、設置寸法を確認し、ロードセルを組み込める場合があります。ただし、計量台全体の更新が適する場合もあります。

Q. 電子台秤へ更新するときに注意する点はありますか?

A. 最大計量値だけでなく、最小表示、必要精度、計量台寸法、電源、使用環境、実績保存の要否を確認します。

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