Technology
オープンコレクタ出力
(オープンコレクタしゅつりょく)
オープンコレクタ出力とは、出力トランジスタのコレクタ端子を外部へ開放し、外部電源とプルアップ抵抗を使ってON・OFF信号を作る出力方式です。マイコン、センサ、計測器、PLCなどから、外部機器へパルス信号、警報信号、状態信号を出力する用途で使用されます。
出力がONになると、トランジスタが導通して出力端子を0V側へ引き込みます。出力がOFFになるとトランジスタは非導通となり、外部のプルアップ電源によって出力端子が高い電圧になります。
ハカルプラスでは、接続先の入力電圧、必要電流、信号周波数、絶縁の要否を確認し、オープンコレクタ出力回路と保護回路を検討します。
基本的な動作
オープンコレクタ出力では、出力回路自身が高い電圧を出力するのではなく、外部から供給された電流を0V側へ流します。
- 出力OFF:トランジスタが非導通となり、プルアップによってHighになる
- 出力ON:トランジスタが導通し、出力端子がLowになる
このため、論理上は出力ONのとき端子電圧が低くなる負論理として扱われる場合があります。
プルアップ抵抗
オープンコレクタ出力を電圧信号として使用するには、出力端子と外部電源の間にプルアップ抵抗を接続します。
抵抗値が小さいほどON時の電流が大きくなり、信号の立上りは速くなりやすくなります。一方、出力トランジスタの許容電流を超える可能性があります。
抵抗値が大きすぎると消費電流は減りますが、配線容量の影響で信号の立上りが遅くなり、高速パルスを正しく伝送できない場合があります。
シンク出力
オープンコレクタ出力は、一般に電流を0V側へ吸い込むシンク出力です。接続先の入力回路は、電源側から電流を供給するソース入力である必要があります。
NPNトランジスタを使うオープンコレクタ出力は、産業用センサや計測器で広く利用されています。接続時には、接続先PLCの入力方式と共通端子の極性を確認します。
PNPオープンコレクタとの違い
一般的なオープンコレクタ出力はNPN型ですが、PNPトランジスタによって電源側へ電流を供給する方式もあります。
- NPN出力:ON時に0V側へ電流を流す
- PNP出力:ON時にプラス側から電流を供給する
接続先の入力回路と方式が一致していない場合、信号を正しく検出できません。
無電圧接点との違い
リレー接点による無電圧出力は、接点が電気的に絶縁され、交流・直流の両方を扱える場合があります。
オープンコレクタ出力は半導体出力であり、極性と最大電圧が決まっています。一方、接点摩耗がなく、高速なON・OFFや長寿命が期待できます。
主な用途
- 流量計や電力量計のパルス出力
- 警報・運転状態の接点相当出力
- PLCやカウンタへの計数信号
- LEDや小型負荷の駆動
- 複数機器を接続する論理信号
高速パルスとして使用する場合は、出力トランジスタの応答速度、配線容量、入力回路の応答周波数を確認します。
出力電圧と出力電流
接続できる外部電源電圧と、ON時に流せる最大電流は出力回路ごとに定められています。
外部電源が出力トランジスタの耐圧を超えると故障する可能性があります。また、負荷電流が定格を超えると発熱や破損につながります。
定常電流だけでなく、負荷の突入電流も確認します。
ON時の残留電圧
トランジスタがONになっても、出力端子が完全な0Vになるわけではなく、わずかな残留電圧が発生します。
接続先入力のLow判定電圧より十分に低いことを確認します。負荷電流が大きいほど残留電圧が増える場合があります。
OFF時の漏れ電流
半導体出力では、OFF状態でも微小な漏れ電流が流れる場合があります。
入力抵抗が大きい機器へ接続すると、漏れ電流によって入力がOFFにならないことがあります。必要に応じて出力端子と0Vの間に抵抗を追加し、漏れ電流による電圧上昇を抑えます。
誘導負荷の駆動
電磁弁、リレーコイル、接触器コイルなどの誘導負荷をOFFすると、逆起電力が発生します。
直流負荷では、負荷と並列にフライホイールダイオードを接続し、出力トランジスタを保護します。高速な復帰が必要な場合は、ツェナーダイオードやバリスタを検討します。
外部電源の共通化
非絶縁のオープンコレクタ出力では、出力機器と接続先の0Vを共通にする必要があります。
0Vが共通でないと、信号電流の戻り経路がなく、正常に動作しません。一方、設備間の接地電位差が大きい場合は、共通化によってノイズや故障が発生する可能性があります。
絶縁出力
設備間の電位差やノイズを遮断したい場合は、フォトカプラなどで絶縁したオープンコレクタ出力を使用します。
絶縁出力でも、外部側にはプルアップ電源が必要です。絶縁耐圧、最大電圧、応答速度を確認します。
ワイヤードOR
複数のオープンコレクタ出力を一つの信号線へ接続し、いずれか一つがONになると信号をLowにする構成が可能です。これをワイヤードORと呼ぶ場合があります。
複数機器の異常信号をまとめる用途などに利用できます。ただし、どの機器が出力したかを個別に判別できないため、用途を限定します。
パルス出力での注意点
高速パルスでは、配線長、プルアップ抵抗、入力容量によって波形がなまり、パルス幅が変化することがあります。
オシロスコープで出力波形を確認し、High・Low電圧、立上り時間、立下り時間が接続先の仕様を満たしているか確認します。
出力短絡保護
出力端子を誤って電源へ直結すると、トランジスタへ過大電流が流れる可能性があります。
電流制限抵抗、過電流保護素子、保護機能付きドライバICなどを使用します。短絡保護がない出力では、配線作業時に電源を切ります。
異常時の確認
出力がLowにならない場合は、トランジスタ駆動信号、0V共通、配線、出力素子を確認します。出力がHighにならない場合は、プルアップ電源、抵抗値、負荷短絡を点検します。
パルスが欠ける場合は、出力周波数、プルアップ抵抗、配線容量、接続先入力の応答速度を確認します。
保守と更新
出力端子の緩み、配線の断線、外部電源電圧を点検します。接続先機器の更新時には、NPN・PNP方式、入力電圧、必要電流を再確認します。
リレー出力からオープンコレクタ出力へ変更する場合は、極性、漏れ電流、絶縁の有無に注意します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、PLC、カウンタ、センサ、外部機器の入出力仕様を確認し、NPN・PNP方式、プルアップ条件、絶縁の要否を検討します。
パルス出力、警報出力、誘導負荷駆動、過電流保護、サージ対策まで含むオープンコレクタ出力回路に対応できる場合があります。
よくある質問
Q. オープンコレクタ出力だけで電圧信号を出せますか?
A. 外部電源とプルアップ抵抗が必要です。出力回路自身は主に0V側へ電流を流します。
Q. リレー接点と同じように使えますか?
A. ON・OFF信号には使えますが、極性、最大電圧、漏れ電流、絶縁の有無が異なります。
Q. NPN出力をPNP入力へ接続できますか?
A. 入出力方式が合わない場合は正常に動作しないため、変換回路や適合する入力が必要です。
Q. オープンコレクタ出力でリレーを駆動できますか?
A. 出力定格内であれば可能ですが、コイルの逆起電力対策が必要です。
Q. 高速パルスを出力できますか?
A. 出力素子、プルアップ抵抗、配線容量、接続先の応答速度が対応していれば可能です。
関連ワード
同じカテゴリの『ハカル技術辞典』を見る