トップ事業紹介ハカルの技術辞典コンクリート養生制御

Technology

コンクリート養生制御

(コンクリートようじょうせいぎょ)

コンクリート養生制御とは、プレキャストコンクリート製品などの蒸気養生工程において、養生室内の温度を測定し、設定した温度パターンに従って蒸気バルブなどを自動制御する技術です。

蒸気養生では、単に室温を高くするのではなく、前養生、昇温、一定温度での保持、降温という工程に沿って温度を管理します。急激な温度変化を避け、製品や配合に応じた条件で運転することで、品質の安定化と養生時間の短縮を図ります。

ハカルプラスでは、温度センサ、PLC、タッチパネル、蒸気バルブ、記録装置などを組み合わせ、温度制御、工程管理、異常監視、実績保存を一体化した養生制御システムを構築しています。

蒸気養生の基本工程

一般的な蒸気養生は、次のような工程で構成されます。

  1. 打込み後、一定時間静置する前養生
  2. 設定した温度勾配で室温を上げる昇温
  3. 設定温度を一定時間維持する保持
  4. 蒸気供給を抑えながら温度を下げる降温
  5. 取出し可能な条件を確認して養生を終了する

制御システムは、現在の工程、経過時間、測定温度、設定温度を監視しながら、蒸気バルブの開閉や出力調整を行います。

温度勾配による昇温制御

昇温工程では、一定時間ごとに設定温度を段階的に上げ、急激な温度上昇を抑えます。

開始温度をT1、目標温度をT2、昇温時間をtとすると、平均的な温度勾配Gは次の式で表せます。

G=(T2-T1)÷t

例えば、20℃から60℃まで4時間で昇温する場合、平均温度勾配は1時間当たり10℃です。

実際の養生室では、外気温、製品量、蒸気圧力、室内の放熱などによって温度の上がり方が変化します。そのため、設定値を単純に時間で切り替えるだけでなく、実測温度を確認しながら工程を進めます。

蒸気バルブの制御方法

蒸気バルブの制御には、電磁弁によるON・OFF制御や、調節弁による比例制御などがあります。

ON・OFF制御

測定温度が設定値より低い場合にバルブを開き、設定値へ近づくと閉じる方式です。構成が比較的簡単ですが、開閉を頻繁に繰り返すと温度が上下しやすくなります。

設定値を中心に一定の幅を持たせるヒステリシスを設け、過度な開閉を防ぎます。

比例制御

測定温度と設定温度の差に応じて、蒸気バルブの開度を変化させる方式です。目標温度へ近づくほど蒸気量を絞り、温度の行き過ぎを抑えます。

設備条件によっては、比例制御やPID制御を用いて、応答性と安定性を調整します。

複数位置の温度測定

養生室内は、蒸気の吹出口、扉付近、上部・下部などで温度差が生じる場合があります。1か所だけを測定すると、室内全体の状態を正しく判断できないことがあります。

必要に応じて複数の温度センサを配置し、代表値として平均温度、最高温度、最低温度などを使用します。

測定点ごとの温度差が大きい場合は、蒸気配管、吹出口、循環方法、製品配置など、設備側の改善も検討します。

複数の養生室をまとめて管理

複数の養生室を備える工場では、各室を異なる温度条件や開始時刻で運転する場合があります。

各室に温度センサと蒸気バルブを設け、一つのPLCや管理システムから個別に制御することで、操作方法と記録形式を統一できます。

  • 各養生室の運転・停止
  • 温度パターンの選択
  • 予約時刻による運転開始
  • 現在工程と残り時間の表示
  • 養生中・完了・異常状態の一覧表示

複数室が同時に蒸気を使用すると、蒸気圧力や供給能力が不足する場合があります。必要に応じて、運転開始時刻をずらす、バルブ開度を制限するなどの制御を行います。

温度記録と実績管理

養生工程では、設定した条件に従って温度管理されたことを確認できる記録が重要です。

  • 養生室ごとの測定温度
  • 設定温度と温度パターン
  • 養生開始・終了時刻
  • 各工程の開始・終了時刻
  • 蒸気バルブの動作状態
  • 温度異常・機器異常の履歴
  • 作業者や製品ロットの情報

データはタッチパネル、記録計、管理用パソコンなどへ保存し、グラフ表示、帳票、CSVファイルとして出力できます。

製品ロットと養生実績を関連付けることで、品質確認や問い合わせ発生時の追跡にも利用できます。

異常監視と安全な運転

養生制御では、温度だけでなく、温度センサ、蒸気バルブ、空気圧、制御機器の状態を監視します。

  • 上限・下限温度の監視
  • 設定温度からの偏差監視
  • 温度センサの断線・短絡検出
  • 蒸気バルブの開閉状態確認
  • 蒸気圧力・空気圧の低下監視
  • PLC・通信機器の異常監視

蒸気バルブを開いているのに温度が上昇しない場合は、蒸気供給不足、バルブ異常、配管詰まり、扉の閉鎖不良などが考えられます。一定時間内の温度変化も監視し、異常の早期発見につなげます。

停電・異常停止後の復旧

養生中に停電や設備異常が発生した場合は、単純に最初から再運転すればよいとは限りません。

停電前の工程、経過時間、温度履歴、停止時間を保存し、復旧後に継続するか、中止するかを判断できる設計が必要です。

自動復旧を行う場合でも、蒸気バルブや温度センサの状態を確認し、安全条件が成立してから運転を再開します。

既設設備の更新

既設の養生設備では、養生室や蒸気配管を継続使用しながら、制御盤、PLC、タッチパネル、温度センサなどを更新できます。

更新時には、既設バルブの電圧・駆動方式、温度センサの種類、蒸気供給能力、手動操作方法、異常時の動作を調査します。

従来の操作性を残しながら、温度パターンの登録、グラフ表示、自動記録、遠隔確認などを追加することも可能です。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、コンクリート製品の蒸気養生に対応した「養生温度制御システム H-CSC」を提供しています。

温度計測、蒸気バルブ制御、温度パターン運転、複数養生室の管理、異常監視、実績保存までを一つのシステムとして構成します。

PLCソフトウェア、タッチパネル画面、制御盤、温度センサ、バルブ信号、管理用パソコンとの通信まで含め、既設設備や工場の運用に合わせて設計します。

養生温度制御システム H-CSCについて詳しくはこちら

よくある質問

Q. 養生室内の温度が場所によって異なる場合はどうしますか?

A. 複数の温度センサを設置し、最高・最低・平均温度を監視します。温度差が大きい場合は、蒸気吹出口や循環方法の見直しも検討します。

Q. 温度が設定値を超えた場合はどうなりますか?

A. 蒸気バルブを閉じ、上限温度警報を出します。設備条件に応じて、運転中断や管理者確認を必要とする制御も設定できます。

Q. 停電後に養生を途中から再開できますか?

A. 停電前の工程と温度履歴を保存していれば、再開を検討できます。ただし、停止時間や製品状態を確認し、継続の可否を判断する必要があります。

Q. 複数の養生室を同時に運転できますか?

A. 可能です。ただし、蒸気供給能力が不足しないよう、同時運転数、開始時刻、バルブ開度などを調整します。

Q. 既設の蒸気バルブや温度センサを流用できますか?

A. 駆動電圧、信号形式、劣化状態、制御方式を確認して判断します。必要に応じて信号変換器やバルブの更新を行います。

関連ワード

お問い合わせ窓口

この技術について
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム

同じカテゴリの『ハカル技術辞典』を見る

お問い合わせ