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カスケード制御

(カスケードせいぎょ)

カスケード制御とは、主となる制御ループの内側に、応答の速い補助制御ループを設け、二段階で制御する方式です。温度、圧力、流量など、外乱の影響が大きい設備や応答遅れのある設備で使用されます。

主制御器は最終的に維持したい温度や圧力を監視し、その出力を副制御器の目標値として与えます。副制御器は、流量やヒーター出口温度など、より速く変化する値を制御します。

ハカルプラスでは、制御対象、センサ位置、外乱、操作機器の応答を確認し、PLCや調節計によるカスケード制御を検討します。

基本的な構成

カスケード制御は、主制御ループと副制御ループで構成されます。

  • 主制御ループ:最終的に管理したい温度、圧力、液位などを制御
  • 副制御ループ:流量、入口温度、モーター速度などを高速に制御

主制御器の出力は、バルブ開度やポンプ速度へ直接与えるのではなく、副制御器の目標値として使用します。

単一ループ制御との違い

単一ループ制御では、主制御器が操作機器を直接動かします。操作量が変化してから主測定値へ影響が現れるまでに時間がかかる設備では、外乱への対応が遅れます。

カスケード制御では、操作機器に近い副測定値を監視し、外乱を早い段階で補正します。

温度制御の例

タンク内の液温を蒸気で制御する設備では、主制御器がタンク温度を監視し、副制御器が蒸気流量を制御します。

蒸気圧が変動した場合、蒸気流量が先に変化します。副制御器が流量をすぐ補正するため、タンク温度へ影響が現れる前に外乱を抑えられます。

ジャケット温度を利用する例

反応槽や加熱タンクでは、主制御器が槽内温度を、副制御器がジャケット温度を制御する場合があります。

槽内温度は応答が遅い一方、ジャケット温度は比較的速く変化します。副ループで加熱媒体を安定させることで、槽内温度のオーバーシュートを抑えやすくなります。

液位・流量カスケード

タンク液位をポンプ流量で制御する場合、主制御器が液位を監視し、副制御器が流量を制御します。

配管圧力やポンプ特性が変化しても、副制御器が流量を一定に保つため、液位制御が安定しやすくなります。

副制御量の選定

副制御量は、主制御量より速く応答し、外乱の影響を早く検出できる値を選びます。

また、操作機器の変化と明確な関係があり、安定して測定できることが必要です。主ループとほぼ同じ速度でしか変化しない値を選んでも効果が小さくなります。

主ループと副ループの応答速度

副ループは、主ループより十分に速く安定する必要があります。副ループが遅いと、二つの制御器が互いに影響し、振動しやすくなります。

一般には、副ループを先に調整し、その後で主ループを調整します。

調整の順序

カスケード制御の調整は、次の順序で行います。

  • 主制御器を手動または停止状態にする
  • 副ループだけで安定するようPIDを調整する
  • 副ループを自動運転にする
  • 主ループのPIDを調整する
  • 外乱や目標値変更時の応答を確認する

二つのループを同時に調整すると、どちらが振動原因か判断しにくくなります。

副ループの目標値制限

主制御器の出力によって、副制御器の目標値が過大になると、設備の温度、圧力、流量が許容範囲を超える可能性があります。

副目標値へ上限・下限を設け、操作機器と設備を保護します。目標値の変化速度を制限する場合もあります。

手動・自動切替

副制御器を手動操作すると、主制御器の出力と実際の副目標値が一致しなくなる場合があります。

自動復帰時に操作量が急変しないよう、主・副ループの状態を追従させるバンプレス切替を設けます。

センサ異常時の動作

副センサが故障した場合、副制御を継続できません。主制御器から操作機器へ直接出力する単一ループ制御へ切り替える、設備を停止するなどの方法があります。

切替によって制御特性が変わるため、安全な出力範囲を設定します。

通信遅延への注意

主制御器と副制御器を別のPLCや調節計で構成する場合、通信遅延や通信断が制御へ影響します。

高速な副ループは可能な限り同一機器内で処理し、通信異常時の目標値保持や安全停止を設計します。

適さない場合

副制御量を適切に測定できない場合や、副ループが主ループより速くない場合は、カスケード制御の効果を得にくくなります。

設備が単純で外乱が小さい場合は、単一のPID制御の方が調整や保守を行いやすいこともあります。

異常時の確認

制御が振動する場合は、まず副ループ単独の応答を確認します。副ループが不安定なままでは、主ループを調整しても改善しません。

目標値へ到達しない場合は、副目標値の制限、操作量上限、センサレンジ、バルブやポンプの能力を確認します。

ハカルプラスの対応

ハカルプラスでは、温度、圧力、流量、液位などの応答と外乱を確認し、主制御量と副制御量を選定します。

PLC、調節計、アナログ入出力、インバーター、バルブを組み合わせ、PID調整、手動切替、異常時動作まで含むカスケード制御を検討します。

よくある質問

Q. カスケード制御ではPID制御器が二つ必要ですか?

A. 主ループと副ループのそれぞれに調節器を設けるのが基本です。

Q. どの測定値を副制御量にすればよいですか?

A. 主制御量より速く応答し、外乱を早く検出できる流量や入口温度などを選びます。

Q. PID調整はどちらから行いますか?

A. 応答の速い副ループを先に調整し、その後で主ループを調整します。

Q. 副センサが故障した場合も運転できますか?

A. 単一ループへ切り替えられる場合もありますが、安全性と制御性能を確認する必要があります。

Q. 単一のPID制御より必ず高性能ですか?

A. 適切な副制御量がある場合に有効で、単純な設備では単一ループの方が適することもあります。

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