Technology
空調制御
(くうちょうせいぎょ)
空調機制御装置
空調制御とは、建物や工場の電力使用状況に応じて空調設備の運転を調整し、快適性や生産環境を保ちながら最大需要電力の上昇を抑える制御です。特にデマンド監視装置と組み合わせ、契約電力を超える可能性が高まった際に、空調室外機へ制御信号を送り、自動的に負荷を抑制する用途で使用されます。
オフィスや工場では、空調設備が電力負荷の大きな割合を占めることがあります。そのため、照明や生産設備だけでなく、複数の空調機を段階的に制御することで、業務への影響を抑えながらエネルギーコストの削減を目指します。
ハカルプラスでは、デマンド監視装置、デマンド警報装置、デマンド表示器、空調機制御装置を組み合わせ、電力計測から警報通知、見える化、空調負荷制御までを構成します。
デマンド監視と空調制御の関係
デマンド監視装置は、一定時間内の使用電力量から予測デマンドを算出し、設定した目標値を超える可能性がある場合に警報や制御信号を出力します。
この制御信号を空調機制御装置へ伝送し、あらかじめ設定した空調室外機を一時停止または能力抑制することで、施設全体の電力負荷を下げます。電力使用量が正常範囲へ戻った後は、設定した復帰条件に従って空調運転を再開します。
単に空調機を一斉停止すると、室温変化や利用者への影響が大きくなります。そのため、対象機器を複数のグループに分け、優先順位や時間差を設けて段階的に制御します。
システムを構成する機器
- 電力使用量を計測し、予測デマンドを演算するデマンド監視装置
- 注意・警戒・制御などの状態を通知するデマンド警報装置
- 現在値、予測値、目標値などを表示するデマンド表示器
- 制御信号を空調室外機へ伝送する空調機制御装置
- 電力量計、パルス変換器、通信機器などの計測・伝送機器
施設規模や空調機の台数に応じて、制御グループ数、警報段階、表示内容、信号伝送方法を設定します。
電力線通信を利用した信号伝送
ハカルプラスの空調機制御装置では、既設の電源ケーブルを通信経路として利用する電力線通信技術を採用しています。デマンド監視装置側から出力された制御情報を、空調室外機側の制御装置へ伝送します。
専用の通信線を新たに敷設する場合と比べ、既設建物への導入時に配線工事を抑えられることが特長です。空調室外機が屋上や建物外周に分散している施設でも、既設電源系統を利用して制御信号を伝送できる場合があります。
ただし、電源系統の構成、変圧器、分電盤、ノイズを発生する機器などによって通信条件が変わります。導入時には、送信側と受信側の電源経路を確認し、必要に応じて現地通信試験を行います。
空調負荷を抑える制御方法
空調制御では、対象機器を常に停止させるのではなく、予測デマンドの状態に応じて制御内容を変えます。
- 注意状態では警報表示のみを行う
- 警戒状態では一部の空調グループを制御する
- 目標超過の可能性が高い場合は制御対象を追加する
- 負荷低下後は時間差を設けて順番に復帰する
停止と復帰を短時間に繰り返すと、空調機への負担や室温変動が大きくなります。最低停止時間、再制御待ち時間、グループごとの制御間隔を設定し、安定した運転を行います。
制御グループと優先順位
空調室外機は、用途や設置場所に応じて複数のグループへ分けます。例えば、会議室、共用部、事務室など、短時間の制御による影響が比較的小さい場所を先に制御します。
サーバー室、品質管理室、温度管理が必要な生産エリアなどは、制御対象から除外するか、優先度を低く設定します。施設の使用状況に合わせ、時間帯や曜日によって対象グループを切り替える方法もあります。
特定の機器だけに制御が集中しないよう、制御順序をローテーションさせる構成も検討します。
警報通知と見える化
デマンド警報装置を使用すると、電力使用状況をランプ、ブザーなどで利用者へ通知できます。制御が始まる前に注意状態を知らせることで、不要な設備の停止や運転方法の見直しを促せます。
デマンド表示器では、現在デマンド、予測デマンド、目標値、残り時間などを表示します。管理者だけでなく、現場の利用者が電力使用状況を把握できるため、省エネルギー活動の意識づけにも利用できます。
自動制御だけに頼らず、通知と見える化を組み合わせることで、設備制御と運用改善の両面からデマンド抑制を行います。
異常時と通信不良時の処理
通信異常、停電、制御装置の故障が発生した場合に、空調機を停止状態のままとするか、通常運転へ戻すかを事前に決めます。一般には、施設環境への影響を考慮し、通信不能時には空調運転を継続できる構成を検討します。
デマンド監視装置からの信号が一定時間更新されない場合は、通信異常として表示し、自動制御を解除するなどの処理を行います。
復旧時には、すべての空調機を同時に再起動すると電力が急増する可能性があります。グループごとに時間差を設け、段階的に復帰させます。
既設設備への導入
既設施設へ導入する場合は、電力量計の出力、デマンド監視装置の有無、空調室外機の制御端子、電源系統、設置場所を確認します。
空調機のメーカーや機種によって、外部制御端子や制御方法が異なります。運転停止信号、デマンド入力、能力抑制入力など、利用できるインターフェースを確認して接続します。
電力線通信を利用できる場合は、専用通信線の追加工事を抑えられます。ただし、電源系統が分かれている場合や通信状態が安定しない場合は、別の伝送方法を検討します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、電力使用量の計測、デマンド予測、警報通知、表示、空調負荷制御を組み合わせたシステムを提供しています。
施設の契約電力、電力使用状況、空調機の台数、電源系統、制御可能な機器を確認し、デマンド監視装置、警報装置、表示器、空調機制御装置の構成を検討します。
既設電源ケーブルを利用する電力線通信についても、設置条件と通信経路を確認し、既設施設への導入方法を検討します。制御グループ、優先順位、停止・復帰時間などは、施設の運用と快適性を踏まえて設定します。
よくある質問
Q. 空調機を制御すると室温が大きく変化しませんか?
A. 制御時間を限定し、複数グループを順番に制御することで影響を抑えます。温度管理が重要な場所は制御対象から除外できます。
Q. すべての空調機を一斉に停止するのですか?
A. 一般には優先順位に従って段階的に制御します。予測デマンドの状態に応じて、制御するグループ数を変更します。
Q. 既設の空調設備にも後付けできますか?
A. 空調機に利用可能な外部制御端子があり、電源・通信条件を満たせば後付けできる場合があります。
Q. 電力線通信は必ず既設配線で使用できますか?
A. 電源系統や接続機器、電気ノイズなどの影響を受けるため、現地条件の確認が必要です。必要に応じて通信試験を行います。
Q. 通信異常時に空調が停止したままになりませんか?
A. 通信異常時の動作は設定できます。施設環境への影響を考慮し、制御を解除して通常運転へ戻す構成などを検討します。