Technology
空気輸送制御
(くうきゆそうせいぎょ)
空気輸送制御
空気輸送制御とは、空気の流れを利用して粉体や粒体を配管内で搬送する設備を、PLCによって安全かつ安定して運転するための制御です。ブロワー、真空ポンプ、ロータリーフィーダー、バルブ、フィルター、受入ホッパーなどを決められた順序で動作させ、配管閉塞や粉体残留を防ぎます。
空気輸送には、配管内を加圧して粉体を押し出す圧送式と、配管内を負圧にして粉体を吸い込む吸引式があります。機械構成は異なりますが、どちらも空気流を確立してから粉体供給を開始し、供給停止後に配管内の粉体を送り切ることが重要です。
ハカルプラスでは、圧送式・吸引式の双方について、機械設備、配管、制御盤、PLCソフトを含む空気輸送設備を検討します。粉体の性状や輸送条件に合わせ、起動順序、残処理時間、レベル制御、異常監視などを設計します。
圧送式と吸引式の制御
圧送式
圧送式では、ブロワーやコンプレッサーで配管内を加圧し、粉体を搬送先へ送ります。起動時は、搬送先の受入準備、配管経路のバルブ位置、フィルター状態を確認した後、空気源を起動します。
配管内の圧力と風量が安定してから、ロータリーフィーダーやスクリューフィーダーによる粉体供給を開始します。供給量が輸送能力を上回ると圧力が上昇し、閉塞につながるため、圧力状態に応じて供給を停止する制御を設けます。
吸引式
吸引式では、真空ポンプや吸引ブロワーによって受入側から空気を引き、粉体を吸い込みます。複数の供給元から一つの受入先へ集める設備にも利用されます。
受入ホッパーのフィルター目詰まりや、ロータリーバルブの排出不良が発生すると吸引力が低下します。そのため、真空圧、フィルター差圧、ホッパーレベルを監視しながら運転します。
起動シーケンス
空気輸送設備は、すべての機器を同時に起動するのではなく、下流側から順番に起動します。一般的には、受入側のフィルターや排出機器を起動し、輸送経路のバルブを確認した後、ブロワーを運転します。
空気流が確立したことを圧力や運転信号で確認してから、粉体供給機器を起動します。空気流が不足した状態で粉体を投入すると、配管内に粉体が堆積し、閉塞する可能性があります。
起動条件には、次のような項目を組み込みます。
- 搬送先ホッパーに空き容量がある
- 輸送経路の切替バルブが正常位置にある
- フィルターや集塵機が運転可能である
- ブロワー、真空ポンプに異常がない
- 供給機器と排出機器が運転可能である
停止シーケンスと残処理時間
停止時は、粉体供給を先に停止し、ブロワーや真空ポンプを一定時間運転し続けます。この処理によって配管内に残った粉体を搬送先まで送り切ります。
粉体供給停止から空気源停止までの時間を、残処理時間または空送時間と呼びます。時間が短すぎると配管内に粉体が残り、次回起動時の閉塞原因になります。長すぎると、運転時間と消費電力が増え、粉体や配管への負荷も大きくなります。
適切な残処理時間は、搬送距離、配管径、風速、粉体のかさ密度や付着性によって異なります。試運転時の圧力変化や搬送状態を確認しながら調整します。
レベル制御
受入ホッパーや貯槽には、上限・下限などのレベルセンサを設置します。受入側が満杯の状態で輸送を続けると、フィルターや配管へ粉体が逆流する可能性があります。
上限レベルを検出した場合は、新しい粉体供給を停止し、残処理を行ってから空気輸送を停止します。下限レベルを検出した場合に自動で輸送を開始する構成では、短時間に起動と停止を繰り返さないよう、運転継続時間や再起動待ち時間を設定します。
粉体の付着によってレベルセンサが誤検出する可能性もあるため、複数センサの組合せやタイマーによる継続確認を行う場合があります。
搬送先と経路の切替制御
複数の搬送先がある設備では、切替バルブや分岐弁によって輸送経路を選択します。切替前には粉体供給を停止し、配管内を空送した後にバルブを動作させます。
バルブの開閉確認信号が正常に成立してから、次の搬送を開始します。位置確認を行わずに粉体を供給すると、誤った貯槽への投入や配管閉塞につながります。
搬送元、搬送先、原料名を配合情報と照合し、誤投入を防止する制御を組み込むこともできます。
圧力・差圧の監視
空気輸送では、配管圧力が設備状態を判断する重要な情報になります。圧力が急上昇した場合は、配管閉塞、バルブ閉止、供給過多などが考えられます。
圧力が通常より低い場合は、配管外れ、空気漏れ、ブロワー能力低下などを確認します。フィルター差圧が高い場合は、目詰まりによって必要な風量を確保できていない可能性があります。
PLCでは、単純な上限・下限だけでなく、起動後に圧力が成立するまでの時間や、運転中の変化も監視します。
閉塞時の処理
閉塞を検出した場合は、粉体供給機器を直ちに停止します。設備条件によっては、空気源を継続運転して閉塞の解消を試みる場合があります。
圧力が正常範囲へ戻らない場合は、設備を停止して配管を点検します。閉塞状態のまま供給を再開すると、閉塞範囲が広がり、復旧作業が困難になります。
頻繁に閉塞する場合は、制御設定だけでなく、供給量、配管径、曲管数、空気量、粉体の付着状態を含めて見直します。
粉体特性に合わせた調整
流動性のよい粉体と付着性の高い粉体では、適切な供給量、空気量、残処理時間が異なります。摩耗性の高い粉体では、過大な風速によって配管や曲管の摩耗が進みます。
ハカルプラスでは、輸送能力だけを高めるのではなく、配管の圧力損失を抑え、粉体に適した速度で搬送できるよう、機械設計と制御設定の両面から検討します。
粉体特性が明確でない場合は、実粉体を用いた輸送テストを行い、搬送能力、圧力、残留、閉塞の有無を確認することが有効です。
異常時の復旧と手動運転
空気輸送設備では、ブロワー過負荷、圧力異常、バルブ位置不一致、レベル異常、フィルター差圧上昇などを監視します。タッチパネルには異常箇所と確認内容を表示し、復旧作業を行いやすくします。
保守時には、ブロワー、バルブ、供給機器を個別に操作できる手動運転を設けます。ただし、誤操作による閉塞や誤投入を防ぐため、必要なインターロックは手動運転時も有効とします。
停電後は、配管内に粉体が残っている可能性があります。復電後に粉体供給から再開せず、バルブ位置や受入側の状態を確認し、必要に応じて空送から復旧します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、圧送式・吸引式の空気輸送設備について、PLCソフト設計と制御盤設計に対応します。起動・停止シーケンス、残処理時間、レベル制御、搬送経路切替、圧力監視、閉塞時の処理を設備仕様に合わせて構成します。
空気輸送の機械設計や配管設計にも対応し、粉体の種類、搬送距離、高低差、必要能力を確認して、圧力損失を抑えた設備構成を検討します。
機械設備と制御ソフトを一体で設計することで、供給能力と輸送能力の不一致を防ぎ、安定した搬送を目指します。既設設備の能力改善や搬送先追加についても、現状を調査して改造方法を検討します。
よくある質問
Q. 圧送式と吸引式のどちらも制御できますか?
A. はい。機械構成と運転条件を確認し、それぞれに適した起動順序、圧力監視、停止処理を設計します。
Q. 残処理時間はどのように決めますか?
A. 搬送距離、風速、粉体特性などから初期値を設定し、試運転時の配管圧力や残留状態を確認して調整します。
Q. 配管閉塞を自動で検出できますか?
A. 配管圧力、ブロワー電流、風量などの変化から検出できます。異常時は粉体供給を停止し、設備仕様に応じた処理を行います。
Q. 既設の空気輸送設備の制御だけを更新できますか?
A. PLC、制御盤、センサ、バルブの仕様を確認し、既設機械を流用して制御部分を更新できる場合があります。
Q. 実際の粉体を使って事前に確認できますか?
A. 粉体の量や性状、必要な試験内容を確認し、輸送能力や閉塞、残留状態を評価する粉体テストを検討します。
関連ワード
関連ページ
同じカテゴリの『ハカル技術辞典』を見る