Technology
セメント空気圧送式輸送制御
(セメントくうきあつそうしきゆそうせいぎょ)
セメント空気圧送式輸送制御とは、圧縮空気やブロワによる空気流を利用し、セメントを密閉配管内で搬送する設備を自動制御する技術です。
タンクローリーからセメントサイロへの受入れ、サイロ間の移送、中継ホッパーへの搬送などに用いられます。PLCでブロワ、コンプレッサ、ロータリーフィーダー、切替弁、集塵機、レベルセンサを連動させ、誤送、閉塞、過圧、過充填を防ぎます。
ハカルプラスでは、搬送距離、高低差、配管経路、サイロ構成、必要能力を確認し、制御盤、PLC、タッチパネル、各種センサを組み合わせた圧送制御システムを構築します。
セメント空気圧送の仕組み
空気圧送では、セメントと空気を配管内へ送り込み、搬送元と搬送先の圧力差によってセメントを移動させます。
密閉配管を使用するため、開放型の搬送設備と比べて粉じんの飛散を抑えやすく、曲がりや高低差のある経路も構成できます。一方で、空気量、圧力、セメント供給量、配管抵抗のバランスが崩れると、能力低下や配管閉塞につながります。
主な構成機器は次のとおりです。
- 搬送元のサイロ・ホッパー・圧送タンク
- ブロワまたはコンプレッサ
- ロータリーフィーダー・供給弁
- 切替弁・バタフライバルブ・ピンチバルブ
- 圧送配管・曲管・分岐配管
- 搬送先サイロ・中継ホッパー
- 集塵機・圧力センサ・レベルセンサ
- PLC・タッチパネル・制御盤
主な圧送方式
低圧・連続輸送
ブロワなどで比較的低い圧力と多い空気量をつくり、ロータリーフィーダーからセメントを連続的に配管へ供給する方式です。
連続搬送に適していますが、セメント供給量が空気流に対して多すぎると、配管内に堆積して閉塞する可能性があります。
加圧タンク式・間欠輸送
圧送タンクへ一定量のセメントを投入して密閉し、タンク内を加圧して搬送する方式です。
充填、加圧、圧送、空送、減圧を順番に行うため間欠運転となります。比較的高い圧力を利用でき、長距離や高低差のある搬送で採用されることがあります。
圧送運転の基本的な流れ
- 搬送元と搬送先を選択する
- 搬送先の空き容量と集塵機の運転を確認する
- 対象経路の切替弁を所定位置へ動かす
- 弁の開閉確認後にブロワやコンプレッサを起動する
- 必要な空気量・圧力を確認してセメント供給を開始する
- 搬送完了後にセメント供給を停止する
- 一定時間空気だけを流して配管内を空送する
- 残圧を処理して運転を終了する
PLCは各工程の成立条件を確認し、所定時間内に動作が完了しない場合は異常として停止します。
圧力と空気量の管理
搬送能力は、セメント供給量だけでなく、空気流量、配管径、搬送距離、高低差、曲管数によって変化します。
配管内の平均風速をv、空気の体積流量をQ、配管の断面積をAとすると、基本的な関係は次の式で表されます。
v=Q÷A
空気量が不足して風速が低下すると、セメントが配管底部へ堆積しやすくなります。一方、風速が高すぎると、曲管や配管内面の摩耗、搬送先での粉じん増加、消費電力の増大につながります。
実際の設備では、圧送方式、セメントと空気の混合比、配管抵抗を含めて必要なブロワ能力や圧力を選定します。
配管抵抗と圧力損失
圧送に必要な圧力は、直管の長さだけでなく、曲管、分岐、立上がり、バルブなどによって増加します。
- 搬送距離が長い
- 高低差が大きい
- 曲管や分岐が多い
- 配管径が小さい
- セメント供給量が多い
- 配管内に残留物がある
圧力センサで通常運転時の圧力を監視し、基準値からの変化によって閉塞や供給不足の兆候を検出します。
配管閉塞の監視
セメント空気圧送で特に注意が必要なのが、配管内の閉塞です。
主な原因には、空気量不足、セメントの過剰供給、吸湿による固着、空送不足、切替弁の開閉不良、搬送先の受入れ不良があります。
- 圧送圧力の異常上昇
- 設定時間を超えても搬送が完了しない
- ロータリーフィーダーの過負荷
- 搬送先で原料が検出されない
- ブロワ運転中に空気流量が低下する
閉塞の兆候を検出した場合は、セメント供給を直ちに停止し、必要に応じて空送を継続します。原因を確認せずに供給を再開すると、閉塞を悪化させる可能性があります。
空送工程の役割
圧送終了後は、セメントの供給を止めた状態で一定時間空気だけを流し、配管内に残ったセメントを搬送先へ送ります。
空送時間が短すぎると、配管内の残留や吸湿固着が増え、次回起動時の閉塞につながります。長すぎると、電力消費や配管摩耗が増加します。
配管長、曲管数、セメントの状態、圧力の低下傾向などを確認して空送時間を設定します。圧力が所定値まで低下したことを終了条件に加える場合もあります。
搬送経路の切替制御
複数の搬送元や搬送先を持つ設備では、切替弁によって圧送経路を選択します。
PLCは、対象となるすべての弁が所定位置へ移動したことを確認してから圧送を開始します。
- 搬送元と搬送先の組合せ確認
- 対象切替弁の開限・閉限確認
- 同時に開いてはいけない弁の相互ロック
- 搬送先の上限レベル確認
- 異種原料との経路重複防止
弁の位置確認信号が得られない場合は、誤送や閉塞を防ぐため圧送を開始しません。
搬送先サイロと集塵機
空気圧送では、セメントとともに搬送された空気をサイロ外へ排出する必要があります。そのため、搬送先サイロの集塵機は圧送制御の重要な構成要素です。
集塵機が停止している、またはフィルタが目詰まりしている状態で圧送すると、サイロ内圧が上昇し、粉じん漏れや設備損傷につながる可能性があります。
- 集塵機の運転確認
- フィルタ差圧の監視
- サイロ上限・上上限レベルの監視
- サイロ内圧の監視
- 安全弁・圧力逃がし機構の点検
圧送中に上限レベルを検出した場合は、追加供給を停止し、配管内の残留分を考慮しながら運転を終了します。
ロータリーフィーダーとの連動
ロータリーフィーダーを使用する設備では、ブロワによる空気流が成立した後にロータリーフィーダーを起動します。
先にセメントを供給すると、配管入口に原料が堆積し、起動直後の閉塞につながる可能性があります。
停止時は、先にロータリーフィーダーを止め、配管内のセメントを空送した後にブロワを停止します。モーター電流や回転確認信号を監視し、噛み込みや過負荷を検出します。
異常時の安全動作
圧送設備では、異常の種類に応じてセメント供給、送気、バルブの動作を安全側へ制御します。
- 過圧時はセメント供給を停止する
- 搬送先満杯時は新たな圧送を禁止する
- 集塵機異常時は圧送を開始しない
- 切替弁異常時はブロワを起動しない
- ロータリーフィーダー過負荷時は上流供給を停止する
設備停止後も配管や圧送タンク内に圧力が残っている場合があります。点検前には圧力計や残圧検出によって無圧状態を確認し、必要なロックアウトを行います。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、セメントの種類、必要搬送能力、搬送距離、高低差、配管径、曲管数、サイロ構成を確認し、セメント空気圧送設備の制御を設計します。
ブロワ、コンプレッサ、ロータリーフィーダー、切替弁、圧力センサ、レベルセンサ、集塵機を組み込んだ制御盤とPLCシーケンスを構築します。
搬送経路の選択、空送時間、過圧・閉塞・満杯監視、原料と搬送先の照合、タッチパネル表示、運転履歴・異常履歴の保存まで一体で対応します。
配合管理システムや生産管理システムと連携し、指示された原料、搬送元、搬送先に応じて経路を自動選択する構成も検討できます。
よくある質問
Q. 圧送中の圧力が徐々に上昇する原因は何ですか?
A. 配管内へのセメント堆積、集塵機の目詰まり、搬送先の受入れ不良、切替弁の開度不足などが考えられます。供給を停止し、圧力変化と各機器の状態を確認します。
Q. 圧送終了後も空送が必要なのはなぜですか?
A. 配管内に残ったセメントを搬送先へ送り、吸湿固着や次回起動時の閉塞を防ぐためです。
Q. 圧送中に搬送先が満杯になった場合はどうしますか?
A. セメント供給を停止し、配管内の残留分を考慮して空送へ移行します。満杯状態が解消されるまで次の圧送は許可しません。
Q. 閉塞が発生した場合に高圧空気で押し流してもよいですか?
A. 設備の許容圧力を超える危険があるため、安易に行うべきではありません。残圧を処理し、閉塞位置と原因を確認したうえで、定められた復旧手順に従います。
Q. 既設設備の制御盤だけを更新できますか?
A. バルブ、センサ、ブロワ、集塵機、配管構成の状態と信号仕様を確認し、流用可能であれば制御盤、PLC、タッチパネルを中心に更新できます。
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