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防滴設計
(ぼうてきせっけい)
防滴設計とは、製品に水滴や結露水がかかる環境でも、内部の電子回路や電気部品へ水が侵入しにくい構造を設計することです。屋外、工場、厨房、介護施設、農業設備などでは、雨、清掃時の水滴、配管からの結露などへの対策が求められます。
防滴性能は、ケースを密閉するだけでは実現できません。ケースの合わせ面、表示部、操作スイッチ、コネクタ、ケーブル引込部、ねじ穴など、水の侵入口となる箇所を洗い出し、パッキン、シール材、ベントシートなどを組み合わせて設計します。
ハカルプラスでは、製品の設置場所、水のかかり方、必要な保護性能、使用温度などを確認し、ケース構造、部品配置、パッキン、防水コネクタ、通気構造を含む防滴設計を検討します。
防滴と防水の違い
防滴は、水滴が落ちたり飛散したりする環境で、製品内部への浸入を抑える考え方です。一方、防水は、より強い水流や一時的な水没などを想定する場合にも使用されます。
必要以上に高い密閉性を求めると、ケースが大型化したり、コストや組立工数が増えたりします。製品が実際に受ける水の方向、量、時間、清掃方法を整理し、必要な性能を設定することが重要です。
水が侵入しやすい箇所
ケース内部への水は、目立つ隙間だけでなく、ねじ部やケーブルを伝って侵入する場合があります。主な確認箇所は次のとおりです。
- ケース本体と蓋の合わせ面
- 液晶、LED、操作スイッチの取付部
- コネクタ、ケーブルグランド、配線引込部
- 取付ねじ、放熱穴、通気穴
- ケースの接合部や板金の曲げ部
製品の上面に水がたまり、時間をかけて隙間へ浸入することもあります。水を受けにくく、受けても外部へ流れやすい形状とすることが基本です。
ケース構造による対策
ケースの合わせ面は、直接水が当たりにくい位置へ配置します。蓋をケースの外側へかぶせる構造や、段差を設けた迷路構造にすることで、水が内部まで到達しにくくなります。
上面を平らにすると水がたまりやすいため、傾斜や水切り形状を設ける場合があります。ケーブルは、引込部より一度低い位置を通す水切り配線とすることで、ケーブルを伝った水の侵入を抑えられます。
板金ケースでは、溶接部、継ぎ目、塗装範囲も確認します。樹脂ケースでは、成形による反りや締結時の変形がパッキンの圧縮状態へ影響するため、材質と肉厚を含めて設計します。
パッキンとシール材
ケースの合わせ面には、ゴムパッキンや発泡材などを使用します。パッキンは隙間を埋めるだけでなく、所定の量だけ均一に圧縮することが重要です。
圧縮が不足すると水が入りやすくなり、圧縮しすぎるとパッキンが変形して寿命が短くなります。ねじの配置や締付力が不均一な場合も、部分的な隙間が生じます。
使用温度、紫外線、油、薬品などによって適した材質は異なります。屋外や薬品を使用する環境では、耐候性や耐薬品性も確認します。
ベントシートによる圧力調整
密閉性の高いケースでは、温度変化によって内部の空気が膨張・収縮します。内部圧力が変化すると、パッキン部から外気や水分を吸い込んだり、ケースが変形したりする場合があります。
ベントシートは、液体の水を通しにくく、空気や水蒸気を通す膜です。ケース内外の圧力差を緩和しながら、水滴の侵入を抑える目的で使用します。
ベントシートの取付位置が、水たまりや高圧の水流を直接受ける場所になると、本来の性能を発揮しにくくなります。通気量、取付面積、設置方向を確認して選定します。
コネクタとケーブル引込部
外部配線の接続部には、防滴・防水仕様のコネクタやケーブルグランドを使用します。適合するケーブル径から外れると、締め付けても十分に密閉できません。
複数のケーブルを一本のグランドへまとめたり、丸形グランドへ平形ケーブルを通したりすると、隙間が生じやすくなります。使用するケーブルごとに、適した部品と取付穴を設定します。
コネクタを下向きや側面に配置すると、水が直接たまりにくくなります。保守時の抜き差しや配線作業も考慮して配置します。
結露への対策
外部から水が入らなくても、ケース内部で結露が発生する場合があります。昼夜の温度差が大きい屋外設備や、冷暖房の影響を受ける場所では注意が必要です。
ベントシートによる圧力調整のほか、発熱部品の配置、断熱、ケース内部の空気量を考慮します。基板へ防湿コーティングを施し、結露水による腐食や短絡のリスクを抑える方法もあります。
放熱との両立
ケースを密閉すると、内部で発生した熱が外へ逃げにくくなります。電源回路、リレー、表示器などの発熱によって、部品温度が上昇する可能性があります。
消費電力と周囲温度から内部温度を見積もり、ケース材質、表面積、放熱部品を検討します。必要に応じて、ケースへ熱を逃がす構造や、防滴性能を確保した通気部を設けます。
評価と試験
試作品では、想定される方向から水をかけた後、ケース内部への浸入、パッキンの状態、表示部や操作部の動作を確認します。
試験直後に水が見つからなくても、ケーブルや合わせ面に残った水が時間をかけて内部へ移動することがあります。試験後の経過確認も必要です。
量産時には、パッキンの取付忘れ、ねじの締付不足、ケーブルグランドの緩みがないよう、組立手順と検査項目を明確にします。
保守・点検
パッキンは、長期間の圧縮、熱、紫外線などによって硬化やひび割れが発生します。点検時には、変形、破損、浮き、汚れを確認し、必要に応じて交換します。
蓋を開けて保守した後は、パッキンへ異物が付着していないか確認し、ねじを均一に締めます。ベントシートやケーブルグランドに汚れや破損がある場合も、防滴性能が低下します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、製品が設置される環境と要求性能を確認し、板金ケースや樹脂ケースの形状、合わせ面、パッキン、コネクタ、ケーブル引込部を含む防滴構造を検討します。
ベントシートを用いた圧力調整、結露対策、内部の放熱、基板や表示部の配置についても、電子回路と機構の両面から構成します。
既存製品の防滴性能向上についても、水の侵入箇所や使用環境を確認し、ケース変更、シール部品の追加、部品配置の見直しなどの対応方法を検討します。
よくある質問
Q. ケースを完全に密閉すれば防滴性能は高くなりますか?
A. 水は入りにくくなりますが、内部圧力の変化や放熱、結露が問題になる場合があります。ベントシートや熱対策も含めて検討します。
Q. パッキンを追加するだけで防滴構造にできますか?
A. 合わせ面の形状、ねじ位置、圧縮量が適切でなければ十分な性能を得られません。ケース構造と一体で設計する必要があります。
Q. ケーブルを伝って水が入ることはありますか?
A. あります。適切なケーブルグランドを使用し、引込部の向きや水切り配線を考慮します。
Q. 防滴ケースの内部でも結露しますか?
A. 温度変化や内部の湿気によって結露する場合があります。通気、断熱、基板の防湿処理などを検討します。
Q. 既存製品の防滴性能を向上できますか?
A. 水の侵入箇所、ケース構造、発熱、配線方法を確認し、パッキンやベントシートの追加、ケース変更などを検討できます。