Technology
産業用フィールドネットワーク通信
(さんぎょうようフィールドネットワークつうしん)
産業用フィールドネットワーク通信とは、PLCとリモートI/O、計測機器、インバーター、センサ、アクチュエータなどの現場機器を、通信ケーブルで接続する技術です。代表的な方式には、CC-Link、DeviceNet、CompoNet、CU-NETなどがあります。
従来の個別配線では、運転、停止、異常、計測値などの信号ごとに電線と端子台が必要でした。フィールドネットワークを利用すると、多数の信号を少数の通信ケーブルへまとめられるため、省配線化、施工時間の短縮、制御盤の小型化につながります。
一方、通信方式ごとに使用できる機器、ケーブル、通信速度、伝送距離、接続台数、設定方法が異なります。既設設備へ導入する場合は、PLCと接続機器の対応状況を確認し、設備全体に適した方式を選定します。
主な用途
- PLCとリモートI/Oの接続
- 計量器、変換器、インバーターとの通信
- 盤間配線や現場配線の削減
- 離れた場所にあるセンサ信号の収集
- 複数機器の運転状態や警報情報の共有
- 既設設備のネットワーク化・更新
通信では、ON・OFFの接点情報だけでなく、重量、流量、電流、周波数、警報コード、設定値などの数値データも扱えます。
CC-Link
CC-Linkは、PLCをマスター局として、リモートI/O、インバーター、計測機器などの子局を接続するフィールドネットワークです。ビットデータとワードデータを周期的に通信し、複数の機器を一つのネットワークで制御できます。
導入時には、局番、占有局数、通信速度、総延長、終端抵抗などを設定します。同じ局番を重複して設定した場合や、占有局数とPLC側の割付が一致していない場合は、正常に通信できません。
ハカルプラスでは、CC-Linkに対応するC1・C2・C3シリーズの信号変換器をラインナップしています。接続する信号、必要点数、対応バージョンなどを確認して機種を選定します。
DeviceNet
DeviceNetは、センサ、アクチュエータ、インバーターなどを接続するフィールドネットワークです。機器ごとにノード番号と通信速度を設定し、PLCとの間で入出力データや状態情報を通信します。
幹線と支線によってネットワークを構成し、通信線と機器用電源を同じケーブルで供給する構成もあります。通信距離や支線長は通信速度によって変わるため、設計段階で接続位置と配線長を確認します。
CompoNet
CompoNetは、センサや小点数のリモートI/Oなどを省配線で接続する用途に適したフィールドネットワークです。装置内や製造ラインに分散した多数の入出力信号をPLCへ集約する場合に使用されます。
個別配線に比べて配線量を削減しやすい一方、接続できる機器はCompoNet対応製品に限られます。PLC側の対応ユニット、通信ケーブル、接続台数を確認します。
CU-NET
CU-NETは、制御機器やリモートI/O間でデータを共有するネットワークです。既設設備で使用されている場合は、対応ユニット、局番、通信速度、データ割付を調査したうえで改造や更新を行います。
旧型PLCから現行PLCへ更新する際に、既設の通信ユニットをそのまま使用できないことがあります。その場合は、中継PLCや通信変換器を設け、既設ネットワークを段階的に更新する方法を検討します。
省配線化の効果
個別配線では、信号点数が増えるほど多芯ケーブル、端子台、配線作業、導通確認が増加します。フィールドネットワークを使用すると、現場側のリモートI/Oへ信号をまとめ、PLCとの間を通信ケーブルで接続できます。
これにより、盤間配線の削減、工事期間の短縮、端子台スペースの削減が期待できます。また、設備増設時にネットワークへ新しい機器を追加しやすくなる場合があります。
ただし、一本の通信ケーブルに複数の信号が集約されるため、ケーブル断線や通信ユニット故障の影響範囲は大きくなります。省配線化と同時に、通信異常時の動作を設計することが重要です。
データマップの作成
フィールドネットワークを使用する際は、PLCと各機器の間でやり取りするデータをデータマップとして整理します。
- 局番、ノード番号、占有局数
- 入力・出力データのアドレス
- ビット、16ビット整数、32ビット値などの形式
- 単位、小数点位置、符号の有無
- 正常、警報、通信異常の判定方法
例えば、相手機器が「1234」を12.34kgとして扱う場合、PLC側でも小数点位置を合わせる必要があります。データ形式やバイト順が一致しないと、実際とは異なる値として処理されます。
通信ユニットとPLCソフトの設定
PLC側では、通信ユニットの局種、通信速度、接続台数、データ割付などを設定します。そのうえで、受信データを設備制御へ使用するPLCソフトを作成します。
通信開始直後や機器再起動直後は、正しいデータが受信できていない場合があります。通信正常を確認してから受信値を有効にし、初期値や前回値による誤動作を防ぎます。
設定値を機器へ送信する場合は、書込み要求、完了応答、エラー応答を確認し、同じ設定を繰り返し送信しないようにします。
通信異常時の処理
通信ケーブルの断線、コネクタの緩み、機器電源の停止、局番重複、通信設定の不一致などによって通信異常が発生します。
PLCでは、通信ユニットの異常情報だけでなく、一定時間データが更新されない状態も監視します。異常時は、受信値を無効化し、関連機器の運転開始を禁止する、設備を安全側へ停止する、警報を表示するなどの処理を行います。
通信復旧後は、古い運転指令や完了信号が残っていないことを確認します。通信が戻っただけで設備を自動再起動させず、機器の現在状態を照合してから運転を再開します。
安全信号の扱い
非常停止、安全扉、過負荷停止など、人や設備の安全に直接関わる信号は、一般的なフィールドネットワークだけに依存させない場合があります。
安全回路はハード配線とし、運転状態や警報内容をネットワークで共有するなど、信号の重要度に応じて使い分けます。安全通信に対応したネットワークを使用する場合も、対象機器と安全規格への適合を確認します。
配線とノイズ対策
通信ケーブルは、各ネットワークで指定された種類を使用し、許容される分岐方法、配線長、終端処理を守ります。
インバーター出力線、モーター配線、電磁接触器などのノイズ源から距離を取り、必要に応じて金属配管やシールドを使用します。シールドの接地方法が適切でない場合、通信が不安定になることがあります。
現場工事後は、ケーブルの接続、局番、終端抵抗、通信エラーの有無を確認し、実際に機器を動作させて総合試験を行います。
既設設備の改造・更新
既設フィールドネットワークを更新する場合は、PLC、通信ユニット、接続機器、ケーブル、局番、データマップを調査します。
旧型PLCの更新では、既設の通信ユニットや子局が現行機種に対応していないことがあります。すべてを一度に更新する方法のほか、中継機器を設けて既設側を残しながら段階的に移行する方法もあります。
更新後は、通信状態だけでなく、各信号のON・OFF、数値データ、異常処理、復旧動作まで確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、CC-Link、DeviceNet、CompoNet、CU-NETなどを使用したフィールドネットワーク通信の設計実績があります。
接続機器、信号点数、配線距離、既設設備の構成を確認し、通信方式、PLC通信ユニット、リモートI/O、ネットワーク構成を選定します。
データマップの作成、通信パラメーターの設定、PLCソフト設計、タッチパネルへの通信状態表示、異常時のインターロックまで含めて構成します。
他社製制御盤との接続や旧式ネットワークの更新についても、既存仕様を調査し、設備への影響を抑えた方法を検討します。
よくある質問
Q. フィールドネットワークを使うと、すべての配線を通信ケーブルへ置き換えられますか?
A. 多くの入出力信号を省配線化できますが、非常停止など安全上重要な信号は、ハード配線を併用する場合があります。
Q. 異なるメーカーの機器を同じネットワークへ接続できますか?
A. 同じ通信規格に対応し、必要な機器情報やデータ仕様が公開されていれば接続を検討できます。対応バージョンも確認が必要です。
Q. 通信異常が発生すると設備は停止しますか?
A. 設備仕様によって異なります。安全性と運転継続性を考慮し、停止、運転禁止、前回値の無効化などの処理を設定します。
Q. 既設の個別配線設備をフィールドネットワーク化できますか?
A. PLCの対応状況、信号点数、現場機器、配線経路を確認し、リモートI/Oなどを追加してネットワーク化できる場合があります。
Q. 古いCC-LinkやDeviceNetを残したままPLCを更新できますか?
A. 現行PLCに対応ユニットがある場合や、中継PLC・通信変換器を使用できる場合は、既設ネットワークを残して更新できることがあります。
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